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2025年保育士の給料は本当に上がる?人件費10.7%引き上げの注意点
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「2025年、保育士の給料は本当に上がるの?」と気になっている方もいるかもしれません。政府による処遇改善は続いており、給料アップの可能性は十分にあります。ただし、その反映には個人差があるのが現状です。この記事では、政府の公式資料をもとに、2025年の保育士の給料に関する動向や人件費10.7%引き上げの詳細について解説します。2025年になっても給料に変化がなく不安な方は、ぜひ参考にしてください。
目次
2025年に保育士の給料が上がるって本当?
2025年に保育士の給料が大幅に上がるわけではありませんが、政府の継続的な支援によって、今後も少しずつ改善が進んでいくと見られています。
こども家庭庁の「令和7年度以降の処遇改善等加算について(p.3)」によると、政府は保育士不足の解消や保育の質の向上を目的に、2013年から保育士の処遇改善に取り組んでいます。保育士の平均賃金は依然として全産業の平均を下回っているものの、処遇改善の取り組みによって、着実に給与水準が引き上げられている状況です。
出典
こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(2025年7月30日)
「人件費10.7%引き上げ」は2025年も実施される
2025年の保育士の給料アップのポイントとなるのが、「人件費10.7%引き上げ」です。こども家庭庁の「令和7年度以降の処遇改善等加算について(p.3)」によると、この政策は2024年11月にこども家庭庁が発表し12月に補正予算案が可決され、すでに導入が始まっています。
こども家庭庁の「令和6年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた公定価格の人件費改定」によると、これまでも人件費単価は人事院勧告に基づいて改定されてきたものの(2022年は+2.1%、2023年は+5.2%)、2024年の+10.7%は過去最大の引き上げ幅となり大きな注目を集めました。
こども家庭庁はこの引き上げを「現状からの大脱却」と位置づけ、抜本的な処遇改善に乗り出すと明言。これにより、保育士の間で給料アップへの期待が高まったと考えられます。この人件費の引き上げは2025年も継続されており、今後の動向を注視していく必要があるでしょう。
出典
こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(2025年7月30日)
こども家庭庁「令和6年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた公定価格の人件費改定」(2025年7月30日)
保育士の人件費10.7%引き上げに関する注意点
「人件費10.7%引き上げ」の施策では、給料が増えたという保育士がいる一方で、施設ごとの運用の違いから「恩恵を受けられていない」といった声が聞かれるのも現状です。処遇改善の効果を実感できていない方は、以下の内容を参考に自身の状況を整理してみてください。
人件費に全額が回っていない保育園もある
人件費単価の引き上げは、「人件費として使用すること」が告示で定められているものの、実際の配分方法は各保育園の裁量に委ねられており、報告も自己申告にとどまっています。そのため、財源が本来の目的どおりに使われず、保育士に十分還元されていないケースもあるようです。
また、給与計算や書類作成などの事務手続きが複雑なことから、支給が遅れたり処理が追いついていなかったりする保育園もあると考えられます。もし「給料に反映されていない」と感じるときは、支給の時期や方法を職場に確認してみましょう。直接聞くのがためらわれる場合は、自治体の担当窓口に相談するのも選択肢の1つです。
保育士間で手当の配分状況が異なる
人件費単価の引き上げで気をつけたいのは、すべての保育士の給料が一律に同じ割合で上がるわけではないという点です。職場によっては勤続年数や役職、評価、配置人数などに応じて支給額に差が出ることもあるため、「思っていたより少なかった」と感じる方もいるかもしれません。
また、「10.7%引き上げ」とは、人件費全体の改定率を指しており、保育士一人ひとりの給与が10.7%増えるという意味ではありません。この点を誤解しないよう、あらかじめ理解しておくことが大切です。
2025年の保育士の処遇改善で国に求められる対策
制度の運用をめぐる課題が明らかになる中、保育現場からは「政策を実際に効果のあるものにしてほしい」との声が上がっています。今後どのような対策が講じられるのか、どのような対応が求められているのかを以下で確認してみましょう。
処遇改善が確実に行き渡る仕組みを構築する
保育士の処遇改善を効果的なものにするには、制度の透明性を高め、現場に確実に反映される仕組みを整えることが必要です。支給された金額の報告内容と実際の配分にズレがないか、厳密にチェックする体制づくりが求められています。
実際に、こども家庭庁の「三原大臣記者会見(令和6年11月22日)」によると、三原じゅん子大臣は記者会見の中で、「今回の10.7%という改善の効果は、現場で働く保育士に確実に行き届き、その効果を実感しなければ意味がない」と述べており、この政策を確実に運用していくことの重要性を強調しています。
出典
こども家庭庁「三原大臣記者会見(令和6年11月22日)」(2025年7月30日)
「経営情報の見える化制度」を推進する
こども家庭庁の「令和7年度以降の処遇改善等加算について(p.3)」によると、2025年度以降の重点施策の1つとして、「経営情報の継続的な見える化」の推進が挙げられています。この取り組みでは、各施設が「人員配置」「職員の給与」「収支の状況」などの経営情報を専用システムを通じて報告し、公表する仕組みが導入されます。
こども家庭庁の「新たな継続的な見える化の制度における報告・公表の在り方について」によると、公表されたデータは集計・分析され、公定価格の見直しなど今後の政策づくりに活用される予定のようです。経営の透明性が高まれば、処遇改善の効果がより確実になり、保育士への支援が適切に届くようになるかもしれません。
出典
こども家庭庁「新たな継続的な見える化の制度における報告・公表の在り方について」(2025年7月30日)
こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(2025年7月30日)
保育士の給料が上がる取り組みは今後も続く?
保育士の給料アップに向けた取り組みは、2025年以降も引き続き進められる見通しです。内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針 2025~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~(p.50)」では、医療・介護・保育・福祉などの公定価格の引き上げを省庁の垣根を越えて進める方針が明記されています。
また、こども家庭庁の「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」によると、2025年度より、処遇改善等加算制度の一本化が実施されています。制度変更によって保育園側の事務負担が軽減され、よりスムーズに運用できるようになるかもしれません(保育士等キャリアアップ研修については後述します)。
出典
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2025」(2025年7月30日)
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(2025年7月30日)
2025年以降も使える!保育士が給料を上げる方法
2025年以降に保育士が給料を上げるには、キャリアアップ研修を活用したり、高待遇の職場への転職を検討したりと、自ら行動してチャンスを掴むことも大切です。以下で紹介する方法を参考に、今後のキャリアや働き方を見直してみましょう。
処遇改善等加算によって手当を受給する
保育士が給料を上げる方法の1つは、処遇改善等加算の仕組みを活用することです。厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」によると、保育現場では「保育士等キャリアアップ研修」の導入により、園長や主任保育士に加えて、「職務分野別リーダー」「専門リーダー」「副主任保育士」という中堅クラスの役職が新たに設けられています。
この研修を修了すれば、専門知識を得られるだけでなく処遇改善手当も支給されるため、2025年以降も継続的な収入アップが期待できるでしょう。ただし、手当の管理や配分方法は各保育施設に委ねられているため、状況を事前に確認することが大切です。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年7月30日)
処遇改善が進む自治体の保育園に転職する
現在の職場で役職に空きがない、あるいは昇給が見込めない場合は、処遇改善に積極的な自治体や保育園への転職を検討するのも1つの手です。自治体によっては、給与上乗せや報奨金など独自の処遇改善策を実施し、保育士の給与水準を引き上げている地域もあります。
転職先を選ぶ際は、基本給だけでなく、賞与や各種手当、昇給の仕組み、キャリアパスの明確さなどを確認することが重要です。処遇改善に力を入れている園は、サポート体制が充実しており、長期的に働きやすい環境が整っている可能性があります。給与条件と働きやすさの両面から、2025年以降のキャリアを慎重に検討してみてください。
保育士の給料や年収が2025年に上がることに関するQ&A
ここでは、2025年の保育士の給料・年収アップに関して、よくある質問を紹介します。
保育士の給料が上がるのは2025年のいつからですか?
保育士の2025年の処遇改善はすでに進められています。こども家庭庁の「令和6年度保育関係補正予算の概要(p.16)」によると、2025年の処遇改善策の1つである「保育士の人件費10.7%引き上げ」については、2024年4月まで遡って適用されることになっています。給与への反映時期は施設によって異なるため、自身の給料がいつから上がるかは、勤務先に直接確認するのが確実です。
出典
こども家庭庁「令和6年度保育関係補正予算の概要」(2025年7月30日)
保育士の給料は2025年にいくら上がりますか?
2025年の保育士の給料について、一律で「〇〇円上がる」という具体的な金額は発表されていません。しかし、こども家庭庁の「令和7年度以降の処遇改善等加算について(p.3)」によると、2024年12月に決定された人件費単価10.7%引き上げの施策は、2025年も引き続き実施されています。この改定率は公定価格に適用されるものであり、個々の保育士の給料が単純に10.7%増えるわけではありませんが、給与水準の向上が期待できるでしょう。実際に給料がどの程度増えるかは、各園の運営方針や個人の勤務条件によって異なります。
出典
こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」(2025年7月30日)
保育士の給料が2025年に上がるのはパートも対象ですか?
人件費単価10.7%引き上げの施策は、パートの保育士も対象になり得ます。ただし、具体的な配分方法は各園に委ねられているため、中には正規職員のみを対象とする園もあるようです。パート保育士の給料改善が実現するかどうかは、勤務先が非常勤職員の待遇改善にどのような方針を持っているかによって決まるといえるでしょう。
認可外保育園の保育士の給料は2025年に上がりますか?
2025年に認可外保育園の保育士の給料が上がるかどうかは、園によって異なります。認可外保育園は国が主導する処遇改善の直接的な対象ではないため、給料アップは各施設の判断に左右されます。もし現在の給料に不満があり、処遇改善を強く希望する場合は、認可保育園への転職を視野に入れて情報収集を始めるのも手かもしれません。
まとめ
保育士の処遇改善に関する取り組みは近年強化されており、2025年以降もその流れは続くと見られています。ただし、2024年から実施されている人件費単価の引き上げ(10.7%)については、その効果がすべての保育士に平等に行き届いているとはいえず、運用面に課題が残っているのも実情です。こうした現状を踏まえ、2025年度からは経営情報の見える化によって、制度の透明性や公平性を高めるための動きが本格化しています。保育士自身が確実に処遇改善の恩恵を受けるためには、自園で制度がどう運用されているかをしっかりと把握し、必要に応じて確認や相談を行うことが大切といえるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。