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保育士の給料は見合わない?上がりづらい理由や2026年の処遇改善の動向
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「仕事量や責任の重さに給料が見合わない」と悩む保育士もいるのではないでしょうか。その背景には業界特有の構造的な課題がありますが、現在は国の処遇改善が進み、環境次第で収入アップを叶えられるチャンスも広がってきました。この記事では、保育士の給料が上がりにくい原因や最新の処遇改善の動向、年収を増やす具体的な方法を解説します。どの園で働くかが収入を左右する今、理想の待遇を掴む参考にしてみてください。
この記事のまとめ
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保育士の給料が見合わないと感じる背景には、残業の多さや重い責任がある
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処遇改善で平均年収は上昇中&2026年度も人件費5.3%増の見通し
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納得の給与を得るには、キャリアアップや好待遇の職場選びがポイント
目次
保育士の給料が見合わないと感じる理由
保育士の仕事は責任が重く業務も多岐にわたるため、「給料が見合わない」と感じる人は少なくありません。実際に、大阪市私立保育連盟の「『保育施設で働く保育者のためのアンケート』結果報告(p9)」によると、保育者として大変なこと・難しいと感じることとして最も多かったのは、「仕事の内容に対して給与が安い」という回答でした。なぜ保育士は給料が見合わないと感じやすいのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。
出典
一般社団法人大阪市私立保育連盟「『保育施設で働く保育者のためのアンケート』結果報告」(2026年4月30日)
残業や持ち帰り仕事が多い
保育士の給料が見合わないと感じる背景には、残業や持ち帰り仕事の多さがあります。保育士の仕事は、子どもと関わる時間だけでなく、書類作成や行事の準備、保護者対応など多岐にわたります。そのため、勤務時間内にすべてを終えることが難しいケースも少なくありません。特に人手不足の園では一人あたりの負担が大きく、業務量が多くなりがちです。
十分な手当や残業代が支払われない場合、プライベートな時間が削られるだけでなく、実質的な時給も下がるため、「割に合わない」と感じる原因となります。
子どもの命を預かる責任が重い
給料が見合わないと感じる要因の1つに、子どもの命を預かる重大な責任があります。保育士は、子どものケガや事故を防ぐため、常に高い集中力を維持しなければなりません。アレルギー対応や子どもの発達に応じた専門的な支援など、的確な判断も求められます。
このように、高度な専門知識と強い責任感が求められるにもかかわらず、それに見合う給与が得られていない現状が、保育士の不満につながっています。近年は不適切保育に関する報道の影響もあり、現場のプレッシャーは一層強まっているといえるでしょう。
保護者対応の負担が大きい
保護者対応による負担の大きさも、保育士の給料が見合わないと感じる要因です。近年は子育てに対する価値観が多様化しており、家庭ごとの不安やニーズに寄り添う柔軟な対応がより求められています。ときには、理不尽な要求やクレーム対応に追われ、精神的なストレスにつながることもあるでしょう。
また、子ども同士のトラブルやケガが発生した際には、状況説明や再発防止に向けた対応も必要です。こうした心理的な負担を伴う対応は、目に見える業務量以上に保育士の心を深く疲れさせてしまう場合があります。
国家資格・専門職だが給料が上がりにくい
専門性に見合った給与水準でないことも、多くの保育士の不満の一因となっています。保育士は、子どもの命と成長を支える国家資格を持つ専門職であり、業務には高度な専門知識や技術、日々の研鑽が求められます。
こども家庭庁の「保育士・幼稚園教諭等の処遇改善(p2)」によると、保育士の平均賃金はいまだ全産業の平均を下回っているのが現状です。仕事に誇りを持つほど、待遇とのギャップにやるせなさを感じ、情熱がすり減ってしまうこともあるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育」(2026年4月30日)
保育士の給料が上がりにくいのはなぜ?
保育士の給料がほかの職種と比べて上がりにくい背景には、保育業界特有の構造的な課題があるようです。ここでは、保育士の給料が上がりにくい3つの理由を解説します。
公定価格によって売上に上限があるから
保育士の給料が上がりにくい根本的な原因として、国が定める「公定価格」の仕組みが挙げられます。保育園の収入は、主に国からの補助金と保護者からの保育料で構成されており、一般企業のように独自の企業努力で売上を伸ばすのは難しいのが実情です。
また、公定価格は最低限の運営を前提に設定されています。手厚い保育を目指して基準以上の職員を配置すれば、人件費が経営を圧迫してしまうことも。限られた予算をやりくりして運営せざるを得ないため、現場の給料になかなか反映されにくいのです。
業務の効率化が利益に直結しないから
業務効率化が利益に直結しにくい点も、保育士の給料が上がりにくい一因です。一般企業であれば、ITの導入などで生産性を高め、少ない人数で利益を確保できます。しかし、保育現場では、安全確保のために配置すべき職員数(配置基準)が法律で厳格に定められています。そのため、事務作業などを効率化しても、人件費の割合は大きく変わらず、一人ひとりの給料を大幅に引き上げることが難しいのが現状です。
専門性が正当に評価されていないから
保育士の給与が上がりにくい背景には、その専門性が正当に評価されていない現状があります。前述のとおり、保育士の仕事は子どもの発達や安全管理、保護者対応など、専門的な知識とスキルを要するのが特徴です。
しかし、世間では子どもの世話をする仕事というイメージが強く、業務の難易度や責任の重さが十分に理解されているとはいえません。加えて、「子どものために」という奉仕の精神が強調されやすく、待遇面の改善が後回しになりやすい側面もあります。
保育士の給料と処遇改善の動き
ここでは、保育士の給料の現状と最新の処遇改善動向を解説します。「給料が見合わない」という悩みを解消するには、国の施策を正しく知ることが大切です。
保育士の平均給与はどう推移している?
近年、国による処遇改善施策によって、保育士の給与水準は着実に底上げされています。2025年度には、過去最大となる10.7%の人件費引き上げが実施されました。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、平均年収は直近3年間で約31万円増加しています。
| 保育士 | きまって支給する現金給与額(①) | 年間賞与その他特別給与額(②) | 想定年収(①×12+②) |
| 令和7年賃金構造 基本統計調査 | 28万5,700円 | 84万7,900円 | 427万6,300円 |
| 令和6年賃金構造 基本統計調査 | 27万7,200円 | 74万1,700円 | 406万8,100円 |
| 令和5年賃金構造 基本統計調査 | 27万1,400円 | 71万2,200円 | 396万9,000円 |
参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
なお、統計上は右肩上がりですが、給与への反映状況は園ごとに大きな差があるのが実情です。処遇改善の恩恵を受けるためには、職員への還元に積極的な園を見極める必要があります。
出典
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2026年4月30日)
2026年、保育士の給料は上がる?
2026年も、保育士の処遇改善は強化される見通しです。こども家庭庁の令和8年度予算案では、保育士等の人件費を5.3%引き上げる方針が示されました。2025年度の改定に続く上乗せとなり、さらなる収入増が期待できます。
また、2025年度には複雑だった処遇改善等加算が一本化され、職員への還元がより柔軟になりました。「経営情報の見える化」により、各施設のモデル給与や職員配置などの公開も進んでいます。情報の透明性が高まったことで、「給料が見合わない」という悩みを解消し、より良い環境へと踏み出しやすくなっているといえるでしょう。
出典
こども家庭庁「予算・決算・税制・特別会計に関する情報開示」(2026年4月30日)
保育士の給料が見合わないときの対処法
ここでは、保育士が「給料が見合わない」と感じるときの対処法を紹介します。キャリアアップやスキルアップ、転職など年収を上げる方法は1つではありません。処遇改善の動きを追い風にして、自分に合う方法を探してみてください。
キャリアアップによる処遇改善を狙う
現在の職場で年収を上げるには、役職に就いて手当を得るのが確実です。こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果(p11)」によると、私立保育園で働く一般の保育士と主任保育士では、1人当たりの平均給与月額(賞与込み)に、約13万円もの差があることが分かっています。
| 職種 | 1人当たり給与月額(賞与込み) |
| 施設長 | 58万354円 |
| 主任保育士 | 47万2,529円 |
| 保育士 | 34万1,468円 |
参照:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果(p11)」
以前は、主任や施設長といった限られたポストしかありませんでしたが、現在はキャリアアップ研修の整備により、副主任保育士や専門リーダーなど、中堅層向けの新たな役職が新設されています。キャリアアップを目指す際は、事前に園の就業規則で役職の要件や手当の額を確認しておきましょう。
出典
こども家庭庁「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」(2026年4月30日)
専門知識を付けてスキルアップする
保育士が給与アップを目指すには、スキルアップを通じて市場価値を高めるのも手です。専門的な知識や資格を得ることで、現在の職場での昇給・昇進に役立つだけでなく、転職の際にも有利になります。
たとえば、幼稚園教諭免許を取得してダブルライセンスになれば、認定こども園への活躍の場が広がり、採用時の条件交渉で優位に立てるかもしれません。また、療育や障がい児保育、保護者支援などの専門知識も強みになるでしょう。
現職よりも条件の良い職場へ転職する
今の職場でどれだけ努力しても給料が見合わないと感じるなら、転職も有効な手段です。転職先を検討する際は、国からの処遇改善等加算が人件費として適切に給与に反映されているかを確認しましょう。加算の配分方法や昇給・昇格の基準が明確な園であれば、頑張りが正しく評価され、納得感を持って働けるはずです。
また、将来の安心を優先したい場合は、公立保育園で働くという選択肢もあります。採用試験の壁はありますが、公務員ならではの昇給や手厚い賞与、充実した退職金制度は魅力です。今の環境にとらわれず、少し視野を広げてみるのも1つの選択肢といえるでしょう。
保育士が給料が高い保育園を選ぶコツ
ここでは、保育士が「給料が高い保育園」を見極めるためのコツを解説します。無理なく働き続けるには、給与体系や福利厚生、職場環境を丁寧にチェックすることが大切です。就職・転職を予定している方は、ぜひ参考にしてみてください。
求人票の内容を細かく確認する
給料の高い保育園を見つけるには、求人票を細部まで比較することが不可欠です。賞与や退職金の算定基準となるのは基本給が一般的なので、給与の内訳は必ず確認しましょう。また、昇給の有無だけでなく、過去の昇給実績や頻度を調べることで、将来的な収入の増加も見通せます。
都市部の園を検討するなら、「保育士宿舎借り上げ支援事業(家賃補助)」の有無も重要です。額面の給料が変わらなくても、家賃負担が軽減されることで、実質的な手取り額を向上できる可能性があります。
保育士専門の転職エージェントを利用する
希望条件にぴったりの保育園を選ぶには、保育士専門の転職エージェントに相談するのも手です。離職率や平均勤続年数、処遇改善手当の分配方法など、求人票だけでは分からない内容もキャリアアドバイザーを通じて確認できます。
また、残業時間や持ち帰り仕事の有無、有給休暇の取得率といった働きやすさに直結する情報も事前に把握できるため、ミスマッチを防ぎやすくなります。自分では聞きにくい内容を代わりに確認してもらえる点は大きなメリットです。
「保育士の給料は見合わない」と感じる人によくある質問
ここでは、給料が見合わないと感じる保育士によくある質問を紹介します。
保育士の給料が安いのは当たり前?
保育士の給料が安いのは当たり前ではありません。これまで保育士は専門性が低い仕事と誤解されたり、資格が取りやすい職種と見なされたりして、適正よりも低い給与水準にとどまってきた背景があります。しかし近年では、国や自治体による処遇改善の取り組みが進み、給与アップの動きも広がっています。詳しくは、「保育士の給料が安いのは本当に当たり前?理由や年収の実態、改善策を解説」で情報をまとめています。
保育士の給料が少ない理由はなぜ?
保育士の給与が全産業平均を下回る理由は、主に業界の構造と社会的評価の低さにあります。保育園の運営費は国の基準で定められているため、各施設が大幅に給与を上げることは簡単ではありません。また、専門職であるにもかかわらず、育児の延長という社会的な認識が根強く、職責に見合った評価が得られにくい側面もあります。こうした構造的な制約と専門性に対する理解不足が重なり、給与水準が上がりにくい現状が生じています。
保育士の給料が高い職場はどこ?
保育士の給料が高いとされる職場には、公立保育園(公務員保育士)や大手企業が運営する企業内保育園、院内保育所などがあります。乳児院や児童養護施設といった夜勤のある職場も、割増賃金や夜勤手当によって高収入を狙える可能性があるでしょう。近年は国による処遇改善も進んでいるため、処遇改善手当や人件費の増額分がきちんと職員に還元されているかどうかも、給料を左右する重要なポイントといえます。
まとめ
保育士の給料が見合わないと感じる背景には、命を預かる責任の重さや多忙な業務、保護者対応の負担などがあります。加えて、保育園は国からの補助金で運営費が賄われているため、施設側が自由に給料を上げることが難しいのも現状です。
現在は国による処遇改善が進み、2026年度もさらなる人件費の引き上げが予定されています。もし、今の職場で「給料が見合わない」と悩んでいるなら、昇進やスキルアップ、あるいは好条件の園への転職を検討するのも有効な手段といえるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。














