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保育士のいじめが辛い…具体例や原因、心を守るための対処法を解説

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うずくまって頭を抱える保育士の画像

保育士の中には、職場でいじめを受け、精神的に辛い思いをしている方もいるかもしれません。閉鎖的な環境になりがちな保育現場では、過酷な労働環境や人間関係のトラブルから悪口や無視といったいじめに発展してしまうことがあります。この記事では、保育士のいじめの具体例や原因、被害に遭ったときの対処法を解説します。どうしたら良いか分からず苦しんでいる方は、この記事をヒントに解決への糸口を見つけてみてください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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保育士のいじめの具体例

ここでは、保育士の職場で起こりやすいいじめの例を6つ紹介します。どのような行為がいじめにあたるのかを知り、問題への理解を深めていきましょう。

悪口や陰口を言われる

保育現場で起こりやすいいじめの1つが、悪口や陰口です。「子どもへの対応が雑」「保護者対応ができていない」といった仕事ぶりに対する批判から、容姿や性格に関する中傷まで内容はさまざまです。こうした悪口は本人に直接言われる場合もあれば、「〇〇先生がこう言っていたよ」とほかの保育士を通じて間接的に知らされたり、噂のように周囲に広められたりすることもあります。

休憩室や更衣室などの閉鎖的な場所でやりとりが行われると、証拠が残らず、問題が明るみに出にくいのが実情です。

話しかけても無視をされる

保育士のいじめでは、職場で無視されるケースもあります。たとえば、「朝の挨拶を返してもらえない」「質問しても答えてもらえない」「会議で発言しても取り合ってもらえない」などの状況が日常のあらゆる場面で起こるようです。こうした態度は、周囲の保育士に「この人とは関わらないほうが良い」という無言の圧力を与えることになり、職場全体での孤立を招きやすくなるでしょう

過度な仕事量を割り振られる

新人や若手の保育士に対して、経験や能力に見合わない仕事量を押し付けるのも、保育現場で見られるいじめの1つです。具体的には、「時間のかかる業務を一人に集中させる」「体力的に負担が大きいシフトを意図的に組む」「休日出勤を頻繁に頼む」などのケースが挙げられます。

こうした状況は新人だから仕方がないと思いがちですが、明らかに不公平な仕事の割り振りは立派ないじめです。体力の限界を超えた働き方は、心身の健康を損なう恐れがあります。

日々の業務を妨害される

保育の現場では、いじめが業務妨害という形で表れることもあります。たとえば、「必要な情報を伝えてもらえない」「保育に使う道具を隠される」「大事な書類を紛失させられる」などです。また、自分が担当する園児の前で否定的な発言をされたり、保護者との信頼関係を築くのを妨げられたりする場合もあります。

こうした妨害は、保育士としての自信を失わせるだけでなく、子どもたちへの保育の質にも悪影響を及ぼすため、非常に深刻な問題といえるでしょう

執拗に仕事内容を責められる

仕事内容について必要以上に厳しく指摘されるのも、保育士のいじめの1つです。些細なミスを大げさに取り上げられたり、すでに対応済みの内容を何度も蒸し返されたりすることで、どんどん気持ちが追い込まれていきます。

特に新人や若手の保育士は、指導と称した否定的な言動を受けやすく、「こんなこともできないの?」「まだそんなことも分からないの?」といった言葉によって自信を喪失してしまうことも。こうした批判が続くと、自分には保育の仕事が向いていないのではと感じ、次第に心のバランスを崩してしまうかもしれません。

人前で叱責される

保育士のいじめの中には、ほかの職員や子どもたち、場合によっては保護者の前で大声で叱られるケースがあります。小さなミスをわざわざ取り上げて皮肉を言われたり、「あなたのせいで」と一方的に責任を押し付けられたりすることもあるようです。

このような人前で叱られる行為は、保育士としての専門性や信頼を傷つけるだけでなく、周囲からの評価を下げる原因にもなります。結果として、自尊心が大きく傷つき、仕事への意欲や自信を失うことにつながるでしょう。

保育士のいじめが起きる4つの原因

ここでは、保育士の間でいじめが起きる主な原因について解説します。保育現場でのいじめは、職場環境や人間関係の影響により些細なきっかけから発生することがあります。

1.精神的なゆとりがないため

慢性的な人手不足や過密な勤務スケジュールが続く職場では、疲労やストレスが溜まりやすくなります。その結果、気持ちに余裕がなくなり、ちょっとしたことでイライラしたり周囲にきつく当たってしまったりして、いじめにつながる場合があります

保育士は子どもの安全管理に加え、事務作業や行事の準備、保護者対応などさまざまな業務を抱えています。これらの精神的な負担が重なることで、職員同士の円滑なコミュニケーションが難しくなり、冷静さを失ってしまう場合があるのです。

2.責任感や使命感が強過ぎるため

強過ぎる責任感や使命感が、いじめを引き起こすこともあります。保育士は子どもの命を預かる責任ある仕事です。だからこそ、「自分のときはもっと大変だった」と過去の経験を重ねて、新人や若手に厳しく接してしまうことも。子どもたちのためという大義名分があると、自分では単に指導しているつもりであっても、知らず知らずのうちに相手を強く追い詰めている場合があるのです

3.対象者に妬みや嫉妬があるため

人間関係で生まれる妬みや嫉妬も、保育士のいじめの原因の1つです。たとえば、園長や主任からの高い評価を若手保育士が受けることで、長年中心的な役割を担ってきたベテラン保育士が脅威を感じることがあります。保護者や子どもたちから人気のある保育士に対して嫉妬が生まれるケースもあるでしょう。

また、資格や学歴、前職の経験など自分にない強みを持つ保育士に対して劣等感を抱き、いじめとなって表れることもあります。こうした感情は本人も気づきにくく、無意識のうちに相手を排除しようとする行動につながってしまいます

4.閉鎖的な環境になりやすいため

保育現場では、一度できた人間関係や序列が固定化しやすく、新しく入った保育士がグループに馴染みにくいことがあります。外部との交流が少なく、同じメンバーと長時間一緒に過ごす閉鎖的な環境ができるため、結果としていじめが起こりやすくなるのです

また、職場によっては、長く勤めている保育士の発言力が強く、慣習や暗黙のルールが重んじられている場合も。こうした環境ではトラブルが生じても外部に相談しづらく、味方を見つけにくいため、いじめが長期化・深刻化しやすくなるでしょう。

いじめのターゲットになりやすい保育士の傾向

いじめは加害者側の問題であり、被害者に責任はありません。しかし、自分を守るためには、どのような保育士がいじめのターゲットになりやすいのかを知っておくことも大切です。以下に傾向をまとめたので、予防や対策にお役立てください。

控えめな性格で意見を主張しない

周囲に合わせることが多く、自分の意見をあまり主張しない保育士は、いじめのターゲットにされやすい傾向があります。不満を声に出さないことで、「何を言っても反論されない」と見なされ、理不尽な要求や批判を受けやすくなってしまうからです。

また、「迷惑をかけたくない」「波風を立てたくない」と考え、困っていても周囲に相談せず、一人で抱え込んでしまう人も少なくありません。そうした状況が続くと、さらに立場が弱くなり、いじめがエスカレートしてしまうこともあります。反対に、はっきり意見を言える人には手を出しにくいというのが、いじめの構図の1つです。

業務上のミスや欠勤が目立つ

仕事のミスが多い、または体調不良などで欠勤が続く保育士は、いじめのターゲットになる場合があります。人手不足が常態化している職場では、一人が休むとほかのスタッフの負担が増えます。そのため、「迷惑をかけている」という見方をされやすくなるのです。

また、保育の質や子どもの安全に関わるミスは、職場で厳しく指摘されることが少なくありません。その注意が何度も繰り返されると、指導という名目で必要以上に細かくチェックされたり、強い口調で責められたりするようになり、いじめに発展するケースもあります。

保育士経験が浅く立場が弱い

新卒や転職直後の保育士といった経験が浅い人も、いじめのターゲットになりやすい傾向があります。仕事の流れがまだ分からず質問が多かったり、園の方針や独自のルールに慣れていなかったりして、「手がかかる」「面倒な存在」と見なされる場合があるためです。

また、パート勤務・派遣保育士・保育補助といった非正規雇用の人も、立場の違いからいじめの対象にされる場合があります。人間関係がまだ築けていない状況では、相談できる相手も限られ、孤立を深めやすいのが現実です。中には、年下の後輩からいじめを受けるケースもあるようです。

保育士がいじめの被害に遭った場合の対処法

保育士がいじめを受けてしまったらどう対応すれば良いのでしょうか。ここでは、いじめの被害に遭った保育士が取るべき具体的な行動について解説します。

はっきりと「やめてほしい」と伝える

保育士がいじめの被害に遭った場合は、相手に「やめてください」とはっきり意思表示することが大切です。感情的になるのではなく、「そのように言われると傷つきます」と冷静かつ毅然とした態度で伝えましょう。第三者がいる場で伝えれば、いじめの事実を知る人が増え、客観的に状況を把握してもらえるはずです。また、信頼できる同僚や上司に相談し、仲介役を頼むのも1つの手といえます。

上司に配置替えを検討してもらう

特定の保育士との間でいじめが起きている場合は、上司にクラス異動を相談してみましょう。いじめの被害を直接話すのがためらわれる場合は、「〇〇先生といると気持ちが張り詰めてしまい、子どもたちに迷惑をかけてしまうのではないかと心配です」と仕事に支障が出ていることを伝えます。

「より良い保育環境のために配置替えを検討していただけませんか」と子どもたちの利益を第一に考えている姿勢を示すと、上司も耳を傾けやすくなるでしょう。今すぐの変更は難しいかもしれませんが、新年度に向けて早めに相談しておくことが大切です。

公的な相談窓口を利用する

職場内での解決が難しいときは、外部の専門機関に相談することも大切です。たとえば、都道府県労働局や労働基準監督署内などに設置されている「総合労働相談コーナー」や、法務局・支局内にある「常設相談所」などが利用できます。電話での相談も可能なので、面談に抵抗がある方も安心です

外部機関に相談する際は、状況を具体的に伝えられるよう準備しておきましょう。いつ、誰からどのようないじめを受けたのか、自分がどう対応したかなどをメモやボイスレコーダーに細かく記録しておきます。こうした客観的な証拠があると、相談時に状況を正確に伝えやすくなり、問題解決への助けになります。

出典

厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内新規タブリンク」(2025年9月11日)
法務省「常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)新規タブリンク」(2025年9月11日)

いじめが解決しない場合は転職する

いじめが改善されず、心身の健康に影響が出ている場合は、無理をせず転職を検討しましょう。転職は自分を守るための選択であり、逃げではありません。「自分が悪いからだ」「不出来だからだ」と自分を責める必要はないので、あなたの心や体が壊れてしまう前に動くことが重要です

転職活動を始める際は、次の職場で同じ思いをしないよう希望条件を明確にしておきましょう。保育士専門の転職エージェントを利用すれば、職場の雰囲気といった自分一人では得にくい情報を事前に知れるため転職の不安を軽減できます。「年度末まで待つべき?」「休職と転職はどちらが良い?」といった具体的な悩みにも乗ってくれるので、気持ちが整理されて、少しずつ前向きな気持ちになれるかもしれません。

保育士のいじめに関してよくある質問

ここでは、保育士のいじめに関してよくある質問を紹介します。

保育士がいじめで退職する際に注意すべきことはありますか?

保育士がいじめを理由に退職する際は、いじめの事実を証明する記録を事前に集めておくことが重要です。いじめが原因で退職したとハローワークで判断されれば、雇用保険の基本手当(失業保険)の申請時に会社都合退職として扱われ、優遇措置を受けられる可能性があります。また、有給休暇の消化や退職金の支払いなど、自身の正当な権利を主張することも忘れてはなりません。

出典

厚生労働省「離職されたみなさまへ新規タブリンク」(2025年9月11日)

保育士のいじめが起きにくい保育園の特徴は何ですか?

保育士間のいじめが起きにくい保育園には、主に以下の特徴が挙げられます。

  • 職員間のコミュニケーションが活発である

  • 園長や主任が現場の声に耳を傾けている

  • 園長や主任が公平な態度で職員に接している

  • 人員の配置にゆとりがある

  • ワーク・ライフ・バランスを重視している

これらの特徴を持つ保育園を見つけるには、転職前の職場見学が有効です。職員のやり取りや園全体の雰囲気を自分の目で確認することで、いじめを未然に回避できるかもしれません。なお、頻繁に求人募集を行っている園は、保育士の定着率が低い可能性があるため注意が必要です。

保育士が職場でいじめの被害に遭ったら訴えるべきですか?

保育士のいじめが悪質で改善の見込みがない場合は、法的手段を検討することも選択肢の1つです。ただし、訴訟には時間や費用がかかるため、まずは「法テラス新規タブリンク」(日本司法支援センター)のような第三者機関に相談することをおすすめします。そのほかの相談窓口に関する情報は、この記事の「公的な相談窓口を利用する」をご覧ください。

出典

日本司法支援センター「法テラス新規タブリンク」(2025年9月11日)

まとめ

保育士間のいじめは、陰口や無視、過度な業務負担、人前での叱責など多岐にわたります。その背景には、精神的なゆとりのなさや閉鎖的な職場環境、嫉妬心などが潜んでいるようです。保育士がいじめの被害に遭った場合は、「やめてほしい」とはっきり意思表示をしたり、配置換えを相談したりすることが大切です。それでも改善が見込めない場合は、転職を真剣に考えましょう。保育士のいじめは決して仕方がないものではありません。お互いを尊重し合える職場は存在するので、積極的に行動することをおすすめします。

「毎日辛いけど、辞めたら園児や保護者に申し訳ない…」「転職しても同じことの繰り返しかな…」と一人で悩みを抱えている方は、保育業界に特化した転職エージェントのレバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、キャリアアドバイザーがあなたの悩みや不安を丁寧にヒアリングし、希望条件に合った求人をご紹介します。求人票だけでは分かりにくい職場の雰囲気や実際に働く人の生の声も事前に知れるので、「またいじめに遭うのでは…」といった不安を軽減することが可能です。ご希望に応じて保育園以外の選択肢もご提案するので、現在の働き方を変えたいと考えている方もぜひご利用ください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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