最終更新日:
保育士資格を独学で取得するには?試験合格に向けた勉強法を解説
- #保育士試験

「保育士資格を取得したいけれど、独学で合格できるか不安」「勉強方法やスケジュールの立て方がわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。独学で保育士試験に合格するのは簡単ではありませんが、正しく対策すれば十分可能です。 本記事では、独学で保育士試験に合格するための勉強法や、試験準備について解説します。スケジュールの立て方や、独学のメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
保育士資格は独学で取得できる?
保育士資格は、独学でも取得を目指せます。こども家庭庁の「保育士試験の実施状況(令和5年度)」によると、2023(令和5)年度保育士試験の合格率は26.9%と難易度は低くありません。
この合格率は専門分野を学べる学校や通信講座で受講した方も含まれます。通信講座や予備校を利用せず、独学で保育士試験を受験するには、綿密なスケジュールを立てながら対策する必要があるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度)」(2025年8月28日)
独学で保育士資格を取得する方法
独学で保育士資格を取得するには、年に2回実施される保育士試験に合格する必要があります。筆記試験全9科目で6割以上の点数を獲得したのち、実技試験で「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」から2分野を選択して合格すれば、保育士資格を取得できます。
保育士の筆記試験に挑戦する際、科目を分散し、数回に分けて受験することも可能です。
保育士試験では9科目のうち、合格した科目は合格した年を含めて3年間免除されます。
たとえば、令和7年後期に9科目のうち4科目に合格した場合、令和9年後期までに残りの5科目を受験します。
保育士試験の受験資格については、一般社団法人 全国保育士養成協議会が提供する「受験資格」で確認しておきましょう。
出典
一般社団法人 全国保育士養成協議会「保育士試験を受ける方へ」(2025年8月28日)
独学で保育士資格取得を目指すメリット
保育士試験に独学で挑戦することは簡単とはいえませんが、独学ならではの利点もあります。ここでは、独学で合格を目指すメリットをご紹介します。
費用を抑えられる
独学で保育士試験を受験するのにかかる費用は、2~3万円程度です。以下で必要な費用の詳細を確認してみましょう。
テキスト・問題集:4,500~9,000円程度
保育士試験受験料:13,050円(オンライン申請)
卒業証明書:500円程度
証明写真:500~1,000円程度
楽譜(実技):300~1,000円程度
色鉛筆(実技):2,000円程度
独学の試験対策費用が約2〜3万円なのに対し、通信講座の受講費は5〜7万円、専門学校の通学は200万円以上、大学は400万円以上の学費が必要になります。費用を抑えながら保育士資格の取得を目指したい方は、独学が望ましいといえるでしょう。
好きな時間に、好きな場所で勉強できる
独学の場合、保育士試験対策用のテキストや問題集を使い、自分のペースで学習を進められるのがメリットといえます。自分に合った学習方法を自由に選べるため、効率よく知識を習得することが可能です。勉強時間や場所、学習方法の縛りがなく、仕事や子育てをしながら試験対策できるのが独学で受験する魅力といえるでしょう。
独学で保育士資格取得を目指すデメリット
資格取得を独学で目指す場合、メリットだけでなくデメリットもあります。以下では、独学で直面しやすい2つのデメリットについて解説します。
すべて自分で準備する必要がある
独学で保育士資格の取得を検討する場合、下記の準備を自力で行わなくてはなりません。
テキスト選び
試験内容の把握
学習計画の作成
勉強時間の確保
筆記試験対策
実技試験対策
受験申請
独学の場合は、必要なものを調べたり試験までのスケジュールを立てたりする必要があります。通信講座ではテキストが指定されていたり、学校では年間を通して学習計画を立ててもらえたりするため、独学だと「大変だ」と感じる方がいるかもしれません。
モチベーションの維持が難しい
独学ではすべて自分で管理する必要があるため、モチベーションを保ちながら試験対策を続けることが難しく、途中で挫折してしまう方もいるようです。合格した人の体験談を読み、モチベーションを維持するのも1つの方法でしょう。
独学で保育士試験に合格するための勉強法
保育士試験の筆記試験では、「キーワードをどれだけ多く暗記できるか」が合格の鍵となります。コツコツと知識を積み重ねていけば、合格に近づけられるでしょう。
ここでは、独学で保育士資格を取得するために、記憶に残りやすい勉強法を具体的に解説します。
1.インプットとアウトプットを並行する
独学で保育士資格の取得を目指す際は、テキストの内容を確認し、問題集を解きながら知識を定着させます。最初から完璧に覚えるのではなく、インプットとアウトプットを繰り返して少しずつ記憶を定着させるイメージで進めていきましょう。
キーワードを把握する
保育士試験の合格基準は、「9科目で約6割を得点すること」です。テキストの一言一句を覚える必要はありません。頻出するキーワードに注目しながら学習を進めましょう。重点的に覚えるべき内容と、完全に暗記しなくてもいい内容を見極めるため、問題集や過去問を活用しましょう。
思い出す
記憶は思い出すことで定着します。保育士試験のテキストを読むだけでなく、勉強した内容をつぶやいてみたり、何も見ないでノートに書き出してみたりして、記憶を呼び起こす学習法がおすすめです。
繰り返す
反復も記憶を定着させるために重要な作業です。1科目に時間をかけすぎると、序盤に学習した科目の内容を忘れてしまう可能性があります。完璧を求めず、テキストや問題集を活用しながら全体を3〜5回繰り返すと、網羅できるでしょう。
2.早めに問題集や過去問を解く
テキストで基礎を確認したら、なるべく早い段階で問題集や過去問に取り組むことが大切です。最初は解けない問題があっても、繰り返すうちに正答率は上がっていきます。覚えていない内容にチェックを入れながら解き進め、問題に慣れていきましょう。2回目はチェックの入っている問題に注力すれば、勉強時間を短縮できます。
過去問はインターネット上で公開されているので、積極的に活用しましょう。過去問を解いたあとは、関連するキーワードも合わせて暗記すると、より効率的に学習できます。問題集やテキストだけで覚えにくい部分は、インターネットで調べたり、自分なりにノートにまとめたりすると、記憶に残りやすくなるでしょう。
3.スキマ時間を活用する
忙しい場合は、スキマ時間を活用をしましょう。音声学習や動画視聴、学習アプリを活用すれば、家事や移動の時間を学習にあてることが可能です。「保育所保育指針」など毎年出題される範囲は、繰り返し聞き流して得点源にしましょう。
また、「朝ご飯を作るときには動画学習」「昼休みは学習アプリ」というように、生活に合わせた習慣をつくるのも手です。
4.余裕があれば実技試験の対策も始める
保育士資格を独学で取得する際は、筆記試験の対策を中心に進めながら、余裕があれば実技試験の準備も始めておきましょう。実技試験の内容を確認し、音楽・言語・造形から自分に合った分野を決定したうえで、必要なものを準備することが大切です。楽譜や画材、練習用の道具をそろえておけば、実技試験対策をスムーズに行えるでしょう。
保育士資格を独学で取得するために必要な準備
ここでは、保育士資格を独学で取得する際に必要になる準備について解説します。事前に知っておきたい内容を紹介するので、独学での試験対策を検討している方はぜひ参考にしてください。
1.保育士試験合格に必要な勉強時間・期間を把握する
保育士試験の対策に必要な勉強時間は、100~150時間程度といわれています。月に換算して考えると、3~6ヶ月間の学習期間が必要になるでしょう。
また、筆記試験の9科目の中で、「教育原理」「社会的養護」「社会福祉」の難易度は特に高いと言われています。難易度の高い科目ほど、勉強時間が長くなると認識しておきましょう。
2.学習スケジュールを立てる
数ヶ月にわたる保育士試験の対策は、無理なく継続できるスケジュールを立てることが重要です。体調が優れない日や、急用で勉強できない場合があるのも考慮してスケジュールに余白を作りましょう。保育士試験の学習スケジュールは、以下のように7ステップで立てるのがおすすめです。
試験勉強に当てられる日数・時間を書き出す
テキストや問題集の内容とページ数を把握する
学習する順番を決める
科目ごとの学習期間と復習する時期を決める
手帳またはカレンダーに学習範囲を書き込む(保育所保育指針1章を聞き流す・問題集◯ページを解くなど具体的に)
勉強を始めて1週間後に改善できることがないか振り返る
練り直したスケジュールでまた1週間勉強を進める
学習する順番を決めかねている場合、保育原理の保育所保育指針からスタートするのがおすすめです。厚生労働大臣の告示として定められ、保育所における保育の内容や基本的な考え方を定めたものです。保育の基本を学べるのに加え、ほかの科目にも応用できるので保育士試験対策のスタートにピッタリといえます。
3.自分に合ったテキストや問題集を選ぶ
保育士試験に独学で合格するために、数ヶ月にわたって勉強に使用するテキストと問題集は慎重に選びましょう。文字の多さ、イラストの有無、カラーの使い方が「自分好みかどうか」で選ぶのがポイントです。書店で実際にテキストを手にとり、比較しながら選ぶのも手です。
4.受験申請を忘れず行う
保育士試験が実施されるおおよそ3ヶ月前に、受験申請の受付が開始されます。受付期間は数週間と限定されているため、申請漏れのないように注意しましょう。
卒業証明書などが必要な場合もあるので、あらかじめ学校から取り寄せておくなどの事前準備をしておくと安心です。詳しくは一般社団法人 全国保育士養成協議会の「受験資格ごとの必要書類(証明書)について」を確認しましょう。
出典
一般社団法人 全国保育士養成協議会「受験申請方法」(2025年8月28日)
保育士資格を独学で取得する際によくある質問
ここでは、保育士資格を独学で取得を目指す場合に、抱えやすい疑問や不安をQ&A形式で回答します。
勉強しないで保育士試験に合格することは可能?
科目によっては聞き馴染みのない単語や法律も含まれるため、勉強しないで保育士資格を取得するのは難しいでしょう。保育現場に関連する制度や法律は改正される場合があるため、常に最新の情報をチェックする必要があります。
保育士試験は独学で一発合格できますか?
独学で保育士試験に一発合格することは、不可能ではありません。過去問から傾向を探ったり、モチベーションを維持しながら学習を続けたりすれば、合格の可能性を高められるでしょう。また、筆記試験だけでなく実技試験の対策も準備を進めておくと、一発合格を目指しやすくなるといえます。
まとめ
独学で保育士試験に挑むことは容易ではありませんが、計画を立てて入念に準備をすれば合格を目指すことが可能です。独学のデメリットは、自分ひとりで試験準備を行う必要があり、モチベーションの維持が難しい点です。その反面、費用を抑えながら自分のペースで学習を進められるため、仕事や子育てと両立しやすいでしょう。
保育士試験の対策では、インプットとアウトプットの両方が大切です。問題集や過去問を活用しながら、全体を3〜5回繰り返しましょう。スキマ時間に、音声学習や動画視聴、学習アプリなどを活用するのも1つの方法です。
保育士資格を取得した後、「保育業界で働いてみたい」「保育士資格を活かして働きたい」という方は、「レバウェル保育士」をご利用ください。専任のアドバイザーが、希望に合った求人をご紹介します。サービスはすべて無料で利用可能。実際に働く人の声や、現場の雰囲気も知ることができるので、ぜひお気軽にご活用ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。