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保育士は産休・育休を取得できる?条件や期間、休暇中の給料などを解説
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「保育士は産休・育休を取れるのか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。産休・育休は、条件を満たせば保育士も取得可能な制度です。保育士は産休・育休を活用すると、出産や育児に専念できるでしょう。 この記事では、保育士の産休・育休の取得条件と期間を解説します。保育士の産休・育休中の給料や手当、取得する流れも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
保育士は産休・育休を取得可能?
保育士として働く場合、法律で定められた産休・育休を取得する権利があります。ここでは、産休・育休の取得条件と期間を解説します。
産休の取得条件と期間
産休とは労働基準法に基づき、出産する労働者が取得できる産前産後休業のことです。産休には、産前休業と産後休業があります。厚生労働省の「働きながらお母さんになるあなたへ (p.7)」によると、産前休業と産後休業を取得できる期間は以下のとおりです。
産前休業 |
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産後休業 |
|
参照:厚生労働省「働きながらお母さんになるあなたへ (p.7)」
産休は勤務先の保育園に規定がない場合も、申し出ることが可能です。産休を取得する保育士は、事前に休業できる期間を把握しておきましょう。
出典
厚生労働省「妊娠・産休・育休 特設コーナー(労働者の方向け)」(2025年8月6日)
育休の取得条件と期間
育休とは、育児・介護休業法に基づいて原則1歳未満の子どもを養育する労働者が取得できる育児休業制度のことです。厚生労働省の「働きながらお母さんになるあなたへ (p.8)」より、育休の取得条件と期間を以下にまとめました。
取得条件 | 取得可能な期間 |
子どもが1歳6ヶ月(2歳に達する日まで取得する場合は2歳)に達する日までに労働契約が満了し、更新されないことが明らかでない |
|
参照:厚生労働省「働きながらお母さんになるあなたへ (p.8)」
保育士が育休の制度を正しく理解し、適切に活用すると、子どもの育児に集中しやすくなるでしょう。
出典
厚生労働省「妊娠・産休・育休 特設コーナー(労働者の方向け)」(2025年8月6日)
保育士の産休・育休中の給料や手当
保育士が産休や育休を取得している期間、原則として給料は支給されません。しかし、厚生労働省の「働きながらお母さんになるあなたへ (p.13)」によると、産休・育休の期間中の保育士は以下の経済的支援を受けられます。
条件 | 内容 | |
出産育児 一時金 | 健康保険の加入者が出産した場合 | 子ども1人につき50万円(産科医療補償制度加算対象出産でない場合は48万8,000円)が支給される |
出産手当金 | 産前産後休業の期間中(休業中に会社から出産手当金よりも多い額の給与が支給されている場合、支給されない) | 健康保険から1日につき、原則として賃金の3分の2相当額が支給される |
出生時育児
休業給付金 | 子どもの出生日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間以内の期間で産後パパ育休を取得したなどの一定要件を満たした雇用保険被保険者 | 休業開始前賃金の67%が支給される |
育児休業給付金 | 1歳未満の子(事情があれば最長2歳まで)を養育するために育児休業を取得したなど、一定の要件を満たした雇用保険被保険者 | 休業開始後180日間は休業開始前賃金の67%、休業開始から181日目以降は50%が支給される |
社会保険料の免除 | 勤務先の会社から年金事務所または健康保険組合に申出をする | 産前産後休業または育児休業の取得期間の社会保険料の支払いは本人負担分、会社負担分ともに免除される(健康保険の給付や将来受け取る年金額には影響しない) |
参照:厚生労働省「働きながらお母さんになるあなたへ (p.13)」
上記の制度を活用すると、保育士の産休・育休中の経済的な負担を軽減できます。各手当の詳細や手続きの方法は、勤務先の人事担当者や加入している保険組合に確認しましょう。
出典
厚生労働省「妊娠・産休・育休 特設コーナー(労働者の方向け)」(2025年8月6日)
保育士が産休・育休を取得する流れ
保育士が産休・育休の取得をする際は、どのような対応が必要なのでしょうか。ここでは、保育士が産休・育休を取得する流れを解説します。
1.勤務先の上司や園長に相談
保育士が産休や育休を取得する場合、直属の上司や園長に妊娠を報告し、産休・育休の取得を希望する旨を早めに相談するのが重要です。出産予定日や産休・育休の取得希望と希望期間を伝えましょう。早期に産休・育休の取得希望を相談すると、休業期間に向けて準備が進めやすくなります。
2.産休・育休の申請手続き
保育士が産休・育休を取得するには、申請手続きが必要です。産休・育休の取得に必要な書類は、勤務先の保育園から提供されるのが一般的。事前に、勤務先に産休・育休の申請手続きに必要な書類や記入方法を確認しておくと安心です。
3.業務の引き継ぎと職員への周知
保育士は産休・育休に入る前までに、職員全体に休業する旨を周知し、業務の引き継ぎを行う必要があります。まず、産休・育休を取得する期間の後任者に、業務内容を引き継ぐための資料を作成しましょう。自分が担当している日常業務や保護者対応、行事準備などのポイントを整理し、わかりやすくまとめます。職員会議のような職員が集まる場を活用して、自分が産休・育休を取得する期間と引き継ぎ内容を説明します。引き継ぎする業務を職員で情報を共有するのが大切です。引き継ぎを丁寧に行うと、保育士が産休・育休中も業務が円滑に進む環境を整備できるでしょう。
4.保護者への周知
保護者への産休・育休の報告も重要です。産休・育休を取得する保育士は、上司や園長に時期や内容を相談し、保護者に報告します。保護者への報告方法は、保護者会やおたよりなど、状況に応じて決定するようです。保護者に産休・育休の取得を報告する際は、休業期間と後任者に関して具体的に伝え、保育の質が変わらないよう引き継ぎが完了している旨を説明しましょう。保護者へ産休・育休の取得を周知したあとは、質問や不安に対応し、信頼関係を維持することが大切です。
保育士が産休・育休を取得するときの挨拶
保育士が産休・育休を取得する際、職場の上司や同僚、保護者への報告が必要です。ここでは、保育士が産休・育休を取得するときの挨拶を解説します。
保育士が上司や同僚に感謝を伝える挨拶文の例
保育士が産休前に上司や同僚に挨拶する際の挨拶文の例は、以下のとおりです。
私事ではございますが、このたび、出産準備のため〇月〇日より産休をいただきます。出産予定日は○月○日です。これまで、多くのサポートをいただき、本当にありがとうございました。おかげさまで、無事に業務を続けることができました。
しばらく業務を離れるため、皆さまにご迷惑をおかけいたします。復帰後はさらに努力し、職場に貢献できるよう努力いたします。引き続きよろしくお願いいたします。
保育士が上司や同僚に産休・育休の挨拶をする際は、これまでの指導やサポートへの感謝を述べることが大切です。また、人手が足りていない園では負担が増える場合もあります。サポートに対して謙虚な姿勢でお礼を伝えるようにしましょう。
保育士から保護者に向けたおたよりの文例
保育士が産休前に保護者に向けたおたよりの文例は、以下のとおりです。
保護者の皆さまへ
私事ではございますが、このたび、出産準備のため〇月〇日より産休をいただくことになりました。産休中は〇〇先生をはじめ、職員一同が責任をもって保育を行いますのでご安心ください。復帰後にまたお会いできるのを楽しみにしています。今後ともよろしくお願いいたします。
保育士が保護者におたよりで産休・育休の挨拶をする際は、出産準備で休業する旨を、簡潔に伝え、不安を与えないよう配慮するのがポイントです。休業期間中の後任や園全体の対応に関しても触れると、保護者が安心できる内容になるでしょう。
保育士が産休・育休を取得する際の注意点
保育士が産休・育休を取得するときには、どのようなことに気をつけると良いのでしょうか。ここでは、保育士が産休・育休を取得する際の注意点を解説します。
公認保育士への引き継ぎは計画的に行う
保育士が産休や育休に入る際には、計画的に業務を引き継ぐ必要があります。自分が休業に入るまでのスケジュールを明確にし、どの業務を誰に引き継ぐのか計画を立てましょう。業務の引き継ぎ内容は日々の保育業務だけでなく、年間行事や保護者の対応、子どもやクラスの特性なども含めましょう。
引き継ぎでは、後任者が混乱しないよう、業務の手順や対応方法を記載した資料を準備してください。自分の担当している業務の優先順位を整理し、引き継ぎが完了していない部分は、ほかの職員に相談しながら進めると安心です。計画的に業務の引き継ぎができれば、産休・育休を取得する保育士も職員も安心して休業期間を迎えられるでしょう。
職場の上司や同僚と十分なコミュニケーションをとる
保育士が産休・育休を取得するには、後任者や同僚、上司とのコミュニケーションが欠かせません。妊娠を職場に報告した後は後任者や同僚、上司と適宜話し合い、体調に応じて業務を調整するなど、協力を仰ぐことが大切です。職場全体の理解を得るためには、休業が周囲に与える影響を理解し、感謝の気持ちを示すよう心がけましょう。
また、育休期間に関して、復帰の時期や働き方に関する意思を早めに職場に共有しておくとスムーズです。職場での十分な話し合いと連携が、保育士の産休・育休を円滑に進めるコツといえます。
保育士の産休や育休に関してよくある質問
保育士の産休や育休に関してよくある質問に、Q&A形式で回答します。
産休を取得した保育士はいつから復帰できる?
保育士の産休後の復帰時期は、法律で定められた産後休業の期間を守るのが基本です。厚生労働省の「働きながらお母さんになるあなたへ (p.7)」によると、産後の休業期間は出産日の翌日から8週間とされています。この期間は原則として、働くことができません。
ただし、本人が希望し、医師の許可があれば、産後6週間以降に職場に復帰できます。産休・育休の取得期間を詳しく知りたい方は、本記事の「保育士は産休・育休を取得可能?」をご確認ください。
出典
厚生労働省「妊娠・産休・育休 特設コーナー(労働者の方向け)」(2025年8月6日)
パートの保育士も産休・育休を取得できますか?
パートの保育士も、条件を満たせば産休や育休を取得する権利があります。厚生労働省の「働きながらお母さんになるあなたへ (p.7)」によると、産休は雇用形態に関係なく取得できます。育休は規定の条件を満たせば、パートの保育士も取得できます。育休の詳しい取得条件は、本記事の「育休の取得条件と期間」をご確認ください。産休・育休の取得に不安があるパートの保育士は、職場の上司に相談し、自分の権利を把握しましょう。
出典
厚生労働省「妊娠・産休・育休 特設コーナー(労働者の方向け)」(2025年8月6日)
保育士は育休を取れないこともある?
法律上、育休は条件を満たせば保育士も取得できる権利です。しかし、職場の状況や環境によっては「育休を取りにくい」と感じる保育士もいるようです。慢性的な人手不足の園では、職場から復帰を早めてほしいと相談される可能性もあり、保育士が希望する育休期間を確保しにくい場合もあるようです。また、「育休を取得してほかの保育士に迷惑をかけたくない」という心理的なプレッシャーを感じる保育士もいるでしょう。育休を希望する際は職場の事情を考慮しつつも、自分の権利を理解して上司や同僚、園長としっかり話し合うことが必要です。
育休明けに保育士を辞めることは可能?
育休明けに保育士を辞めることは可能です。ただし、職場に早めに退職の意思を伝える必要があるでしょう。保育園では、保育士の人員配置が子どもの安全や保育環境に直結します。そのため、退職の意思を伝える時期が遅いと、園の運営に影響を与える可能性があるので注意しましょう。また、育児休業給付に関して育休後の復帰を前提としているため、育休中に退職すると給付金を受け取れない可能性がある点にも注意が必要です。
厚生労働省の「Q&A〜育児休業給付〜」によると、育休中の当初から退職を予定している場合は、育児休業給付の支給対象から外れます。保育士が育休明けの退職を決めた際は、家庭の状況や自身の状況を考慮し、職場と誠実に話し合いながら最善の選択をしましょう。
出典
厚生労働省「Q&A〜育児休業給付〜」(2025年8月6日)
まとめ
産休・育休は労働者の権利として認められており、雇用形態に関わらず、保育士も条件を満たせば取得可能です。保育士が産休や育休を取得する際は、職場との連携が重要といえます。産休・育休を取得したい旨を上司や園長、同僚に早めに報告し、業務の引き継ぎを計画的に行うと、休業期間も職場の運営がスムーズになるでしょう。産休・育休を活用するためには、自分の権利を理解しつつ、周囲との協力体制を築くことが大切です。産休・育休期間を充実した期間にするためにも、計画性と周囲への感謝を心がけましょう。
保育士の中には、「人手不足で今の職場環境では産休・育休を取得するのが難しい」という方がいるかもしれません。産休・育休を取得しにくいと感じる保育士は、制度が整っているほかの保育園に転職するのも1つの選択肢です。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。