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未経験から保育士になるのはきつい?大変な理由や無理なく働く方法を解説
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「未経験から保育士になるのはきつい?」といった不安を抱えていませんか?「未経験者歓迎」の求人を選んだり、充実した研修制度のある園を探したりすれば、未経験の保育士もスムーズに仕事を始めることが可能です。 この記事では、未経験から保育士になるのがきついといわれる理由や、目指す際の心構えをまとめました。無理なく目指す方法や保育士になるメリットにも触れているので、ぜひご一読ください。
目次
未経験から保育士になるのはきつい?
未経験から保育士を目指す際は、保育士試験の難易度の高さや保育現場の大変さから、きついと感じる面があるのも事実です。とはいえ、誰もが未経験からスタートするため、保育に関する知識やスキルが不足していても、働きながら学び続ける姿勢があれば活躍していけるでしょう。
こども家庭庁の「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」によると、令和7年1月時点の保育士の有効求人倍率は3.78倍と高く、保育士不足の状況が続いています。そのため、未経験者も採用される可能性は十分にあるでしょう。自分にとってきついと思う場面を踏まえ、「この先保育士として頑張りたい」という気持ちが勝るなら、挑戦してみるのも手です。
出典
「保育」(2025年7月2日)
未経験で保育士になるのがきついといわれる理由
未経験から保育士を目指すときは、資格を取得する負担があったり、保育現場で戸惑ったりすることがあります。ここでは、未経験者が保育士になるのがきついといわれる具体的な理由を見ていきましょう。
保育士資格を取得するのが大変
こども家庭庁の「保育士になるには」によると、保育士資格を取得するには、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格する必要があります。社会人が働きながら資格取得を目指す場合、どちらの方法を選んでも時間や金銭面でハードルが高くなりがちです。
指定保育士養成施設は高等学校卒業後、最短で2年間の通学が基本となるので、仕事と両立するのはきついと感じるかもしれません。保育士試験は受験資格を満たせば独学で挑戦できますが、幅広い分野から出題されるため、しっかりとした学習計画が求められます。社会人の場合、働きながら学習する時間を確保するのに苦労する人も少なくありません。
出典
こども家庭庁「保育士になるには」(2025年7月2日)
実務経験がないと現場で戸惑う
教科書だけでは学べない実践的な対応は、未経験の保育士がきついと感じやすい部分です。子どもへの声掛けや保護者対応といった実務において、戸惑いを覚える保育士もいるでしょう。
子ども同士がケンカをしている際の仲裁や、急な体調不良といったイレギュラーな場面での対応は、未経験者には負担が大きいようです。保護者から子育ての悩みを相談されても、自身の経験不足から具体的なアドバイスが見つからず、対応するのが難しいと感じるかもしれません。
体力的な負担が大きい
保育士の仕事は体力を消耗するため、未経験者は心身ともにきついと感じやすいでしょう。保育中は常に子どもたちの動きに合わせ、注意力を持続させる必要があります。未経験で慣れないうちは、常に動き回る子どもたちと同じペースで過ごすと、身体的な疲労が溜まりやすいかもしれません。
また、乳児クラスを担当する場合は、抱っこする時間が長く、腰痛のリスクも高まります。幼児クラスは、子どもたちの元気な声や騒がしさに慣れていないと、精神的な疲労も大きくなりやすいでしょう。
先輩との人間関係が難しい
未経験の保育士にとって、先輩との人間関係はストレスの要因になりやすいです。忙しい環境では、先輩保育士に質問したくても話し掛けるタイミングが見つからず、「積極性がない」と指摘されてしまう場合もあります。いざ質問をすると「今は忙しい」と言われ、どう対応すべきか悩むこともあるでしょう。
未経験の保育士は慣れない業務でスピードが遅いと、先輩からイライラした態度をとられる場合もあります。「先輩にどう接すれば良いのか分からず辛い」「自分だけ厳しく指導されるのがきつい」といった状況に陥る人も少なくありません。
給与と仕事内容のバランスが悪い
未経験の保育士は、仕事内容の負担に比べて収入が見合わないと感じる場合があります。政府統計の総合窓口e-Statの「令和6年賃金構造基本統計調査」より、全保育士と未経験者の平均給与を以下の表にまとめました。
所定内給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 想定年収 | |
全保育士 | 27万300円 | 74万1,700円 | 398万5,300円 |
経験年数0年 | 22万6,800円 | 12万9100円 | 285万700円 |
参照:政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査」
想定年収を比較すると、未経験の保育士は全保育士よりも約113万円低いことが分かります。未経験の保育士は仕事に慣れるまで時間がかかったり、持ち帰りの仕事が増えたりするため、経験を積んで昇給するまでは給与面が割に合わずきついと感じやすいでしょう。
出典
政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年7月3日)
業務量が多くいっぱいいっぱいになる
保育士として働き始めてすぐは、日々の業務に追い詰められやすいです。保育士の業務は子どもと直接関わるだけでなく、連絡帳記入や保育日誌の作成、環境整備など多岐にわたります。
未経験の保育士の場合は、子どもたちの安全を確保しながら、保育以外の事務作業もこなすことにきつさを感じやすいようです。未経験の保育士は「子どもたちと楽しく過ごす」という保育士の理想と、業務に追われる現実のギャップに悩む人もいるでしょう。
未経験者が無理なく保育士を目指すには
ここでは、未経験者がスムーズに保育士になるための方法を解説します。自分のペースで経験を積みながら、保育士として成長できる道を探っていきましょう。
保育補助として働きながら保育士資格を取得する
「保育士資格はないけれど保育士を目指したい」という人は、保育補助として働きながら資格の取得を目指すのがおすすめです。保育補助は無資格でも働ける職種ですが、保育士と同じように子どもたちと関わる機会が豊富にあります。
現場で経験を積みながら勉強すれば、座学で得た知識をすぐに実践に結びつけられるのがメリットです。子どもの発達段階や対応方法を実際に目で見て学べるため、資格取得後もスムーズに現場に適応できるかもしれません。
「未経験者歓迎」の保育園に応募する
求人情報で「未経験者歓迎」と明記している保育園は、新人教育の体制が整っている可能性が高いです。未経験者を歓迎している園では、一から丁寧に仕事を教えてもらえる機会があり、質問しやすい雰囲気が整っている傾向にあります。
未経験者を受け入れるのは、園側に新人保育士の成長を見守る姿勢があるからでしょう。失敗を恐れず、積極的に学べる環境が整っているのかもしれません。面接時には教育体制や先輩からのサポート体制について詳しく質問し、自分に合った職場かどうか見極めることが大切です。
パートで実務経験を積んでから正社員になる
未経験のため、最初から正社員の保育士として長時間勤務するのが不安であれば、パートから始めるのも選択肢です。パートであれば勤務時間や日数を調整しやすく、無理なく保育の仕事に慣れられます。基本的には担任を持たないフリーの立場から保育を学べるため、プレッシャーが少ないのも魅力です。
仕事に慣れ、自信がついてきたら徐々に勤務時間を増やし、将来的には正社員として担任を持つというステップアップも可能です。時間をかけて経験を積めば、着実にスキルアップしながら保育士としてのキャリアを築いていけるでしょう。
転職エージェントに研修が充実している職場を紹介してもらう
「未経験者も無理のないペースで働ける職場」を自力で見つけるのが難しい場合もあるでしょう。未経験者が職場選びに悩んだら、保育業界の求人情報に詳しい転職エージェントを活用するのがおすすめです。
専門のアドバイザーに「保育士としてやっていけるか不安」という気持ちを素直に伝えれば、あなたの経験やスキル、性格に合った職場を提案してくれます。研修制度が充実した園や未経験者への指導が丁寧な園を紹介してもらうことも可能です。
保育士専門の転職エージェントである「レバウェル保育士」では、保育士や保育士を目指している方の相談に乗っているので、気軽にご活用ください。
未経験から保育士を目指す際の心構え
未経験から保育士になる場合、知識や技術だけでなく心の準備も重要です。ここでは、保育士を目指す際の心構えを紹介します。
保育士の役割や仕事への理解を深める
未経験から保育士になると、業務量と責任の重さがきついと感じるかもしれません。しかし、保育士の仕事の本質を事前に理解しておけば、現場に入ったときの焦りや不安を軽減できます。子どもへの深い愛情と理解が、保育士として長く働き続ける原動力になるはずです。
保育士は子どもの安全を最優先に考え、一人ひとりの成長をサポートする役割を担っています。基本的な生活習慣の指導や、社会性を教えるのも保育士の仕事です。また、子どもへの対応だけでなく、同僚や保護者との良好な関係を築くことも求められます。
自分がなりたい保育士像を明確にする
未経験から保育士を目指す人は、自分が「どのような保育士になりたいのか」を明確にするのがおすすめです。理想の保育士像があれば、仕事がきついと感じたときも目標に向かって前向きに取り組めるでしょう。
未経験の保育士は理想の保育士像が定まると、自分に必要な知識やスキル、働くべき施設が見えてきます。たとえば「子どもの創造性を引き出したい」と思えば、芸術活動に強い園を選んだり、関連するスキルを磨いたりするといった方向性が明確になるでしょう。考えがまとまらないときは、保育士を目指したきっかけや、大切にしたい保育観を紙に書き出してみると整理しやすくなります。
「完璧じゃなくても良い」と割り切る
未経験の保育士は完璧を目指すのではなく、「今日よりも明日」「少しずつ成長する」という気持ちで日々の業務に取り組むことが大切です。未経験から保育士を始める場合、始めからスムーズに業務をこなせるわけではありません。むしろ失敗や戸惑いは、成長のために必要な過程です。
ミスをした際は「失敗から学べたこともあった」と気持ちを切り替え、少しずつ成長していく姿勢を持ちましょう。業務できついと感じることや分からないことが出てきたら、素直に同僚や上司に相談する勇気も大切です。
先輩保育士と上手に付き合う
未経験の保育士は、先輩保育士の指示に素直に従うことで円滑な人間関係が築けます。教わったことはメモに取って復習し、次からは同じ質問をしないよう努力しましょう。先輩保育士の良い対応を積極的に真似れば、自分のスキルアップにつながります。
もし先輩保育士に強い口調で指摘されても、反抗的な態度はとらないことが大切です。保育現場は忙しく、先輩も余裕がないことを理解し、業務に対するアドバイスのみ受け止めましょう。
未経験で保育士になるメリット
未経験から保育士になると、これまでの経験を活かせたり、子どもたちと関われるやりがいがあります。ここでは、未経験者が保育士になるメリットを解説します。
異業種で培ったスキルを保育に活かせる
異業種で培った経験やスキルは、保育現場で役立ちます。自分の強みを明確にし、保育にどう活かせるか考えてみましょう。たとえば、事務職の経験があれば効率よく書類作成できたり、接客業の経験があれば保護者対応がスムーズに進んだりするでしょう。
未経験だからこそ、前職や趣味で培った独自の視点や発想を保育に取り入れられる場合もあります。これまでの人生経験は、子どもたちとの関わりや保育内容を豊かにする糧になります。
子どもたちとの関わりがやりがいにつながる
未経験から保育士になるメリットは、子どもたちの成長に直接関われる喜びを感じられることです。仕事がきついと感じる日も、子どもたちの笑顔や「先生大好き」という言葉に救われる瞬間がきっとあるでしょう。
子どもたちのできなかったことができるようになる瞬間に立ち会えたり、日々の小さな変化に気づいたりする体験は、保育士ならではのものです。保育士の言葉掛けや行動が子どもに良い変化を与えることもあるでしょう。子どもの成長に携わる責任や、やりがいを感じながら働けるのは、保育士の仕事の魅力です。
未経験で保育士を目指すのはきついのか気になる方によくある質問
ここでは、「未経験で保育士を目指すのはきつい?」と気になる方によくある質問にお答えします。
未経験で保育士になるもんじゃない?
未経験から保育士を目指すと大変な面もありますが、子どもと関わるのが好きで向上心があれば、保育現場で活躍できるでしょう。ただし、自己流で業務を進めるのではなく、先輩の指導を受け入れる姿勢が大切です。体力的・精神的な負担に備えて、自己管理の習慣をつけておくことも重要になります。
未経験から保育士になりたい人は、本記事の「未経験者が無理なく保育士を目指すには」も確認してみてください。
未経験の保育士は「使えない」と思われる?
未経験の保育士が同じことを何度も聞いたり、同じミスを繰り返したりすると、先輩保育士にマイナスな印象を与えてしまうかもしれません。また、自分の意見ばかり主張している場合、協調性がないと思われてしまうので注意が必要です。
先輩保育士は、未経験の保育士の意欲や姿勢を見ています。「分からないことは素直に聞く」「教わったことはメモする」「失敗は繰り返さないようにする」といった態度が、周囲からの信頼につながるでしょう。
未経験で資格なしの場合も保育士を目指せる?
未経験で資格がなくても保育補助として経験を積みながら、保育士資格の取得を目指す人も少なくありません。働きながら資格取得を目指す場合は、夜間や通信制の養成校を利用したり、独学で国家試験に挑戦したりする方法があります。
まとめ
未経験から保育士になると、体力的な負担や業務量の多さ、人間関係といったきつい面があるのは事実です。しかし、子どもたちの成長に関われる喜びは、苦労を上回るやりがいにつながるでしょう。
未経験から保育士に挑戦する場合は、保育補助として働きながら資格取得を目指したり、パートから始めて段階的にステップアップしたりするなど、無理のないペースで経験を積むのがおすすめです。また、職場を選ぶ際は、研修制度が整った園を選ぶと、働きやすい環境が整っている可能性が高まります。
「未経験だから保育士の仕事についていけるか不安...」という方は、「レバウェル保育士」にご相談ください。「レバウェル保育士」では、保育業界に特化したアドバイザーが、あなたの経験や希望に合わせて、教育体制が整った職場や未経験者に優しい園を紹介します。実務経験や体力面の不安、人間関係の悩みなど、保育士としての第一歩を踏み出すまでの不安も解消できるようサポートするので、お気軽にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。