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保育士の給料と年収の平均はいくら?状況別の比較や収入アップの方法を紹介

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机の上で給料袋を持つ女性の手

「保育士の給料や年収がどれくらいなのか気になる」という方もいるのではないでしょうか。保育士の給料はキャリアを積むと、向上していく傾向にあります。保育士の経験年数や勤務する地域により給料が異なります。 この記事では、保育士の給料や年収の平均について解説します。ほかにも、保育士の年齢や経験年数別に給料を比較します。給料の今後の予想や給料がアップする方法も紹介するので、ぜひチェックしてください。

保育士の給料・年収の平均

保育士の給料や年収の平均はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」より、保育士と民事営業所(国及び地方公共団体以外の事業所)の産業計の給与・賞与・年収を以下の表にまとめました。

きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)
保育士 27万7,200円 74万1,700円 406万8,100円
民営事業所(国及び地方公共団体以外の事業所)の産業計 34万6,700円 90万9,000円 506万9,400円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク

上記の表から、保育士の平均年収は406万8,100円とわかります。民営事業所(国及び地方公共団体以外の事業所)の産業計平均年収である506万9,400円と比較すると、保育士の平均年収は100万ほど低い傾向にあります。ただし、保育士の平均年収は年齢や地域、園によっても異なるため、あくまで参考としてください。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年6月18日)

年齢ごとの保育士の給料比較

保育士の給料は、年齢や経験年数によって変動します。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク」によると、保育士の年齢と勤務年数別の給与・賞与・年収は以下のとおりです。

保育士の年齢 きまって支給する現金給与額(月額) 年間賞与その他特別給与額 年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)
20~24 23万6,100円 51万7,800円 335万1,000円
25~29 25万8,100円 62万7,000円 372万4,200円
30~34 27万100円 65万6,300円 389万7,500円
35~39 28万9,100円 83万7,400円 430万6,600円
40~44 28万3,000円 80万8,200円 420万4,200円
45~49 29万4,000円 86万3,700円 439万1,700円
50~54 29万4,700円 819.0万円 435万5,400円
55~59 30万9,000円 95万7,100円 466万5,100円
60~64 30万2,200円 81万3,000円 443万9,400円
65~69 26万5,100円 51万8,900円 370万100円
70~ 45万1,200円 179万2,300円 720万6,700円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク

上記の表から、20代保育士の「きまって支給する現金給与額」は23〜25万円前後だとわかります。20代の保育士は勤続年数が少なく保育経験が浅いため、賃金が低い傾向にあるようです。

30代保育士の「きまって支給する現金給与額」は27〜28万円程度です。40代保育士は28〜29万円程度となります。一時的に下がる場合もありますが、基本的に年齢が上がるにつれ、給与もアップしているのがわかります。キャリアが浅い世代の保育士は、長期的にキャリアを積むと収入が増えていく傾向にあるといえます。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計新規タブリンク」(2025年6月18日)

各地域における保育士の給料比較

保育士の給料は、働く地域によって異なります。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」より、都道府県をいくつかピックアップして、保育士の給与・賞与を以下にまとめました。

勤務地 きまって支給する現金給与額(月額) 年間賞与その他特別給与額
北海道 26万5,800円 103万4,700円
秋田 24万4,600円 74万5,800円
東京 29万8,400円 64万2,300円
福井 23万1,700円 58万3,300円
愛知 27万5,200円 70万3,000円
三重 28万3,400円 61万5,000円
大阪 26万5,700円 68万3,300円
岡山 24万8,100円 54万4,900円
山口 23万1,600円 69万3,200円
徳島 22万8,900円 60万9,000円
長崎 24万8,600円 80万1,700円
沖縄 24万6,400円 68万7,900円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク

「きまって支給する現金給与額」が一番高い東京と低い徳島を比較してみましょう。東京の「きまって支給する現金給与額」は29万8,400円、徳島は22万8,900円でその差は6万9,500円あります。保育士の「年間賞与その他特別給与額」は地域によってばらつきがあり、都市部と地方都市で大きな違いは見られませんでした。保育士が転職する際には、給与水準を考慮して働く地域を決めるのも1つの選択肢でしょう。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年6月19日)

経験年数による保育士の給料比較

保育士の給料は、経験年数に応じて増えていくのが一般的です。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」によると、保育士の経験年数別の賃金は以下のとおりです。

経験年数 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額
0 22万6,800円 12万9,100円
1~4 24万500円 58万4,000円
5~9 26万円 67万600円
10~14 27万2,100円 72万円
15~ 30万2,700円 100万3,900円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク

保育士の経験が4年までは「所定内給与額」が22〜24万円ほどですが、年数が15年以上になると30万円を超えています。また、保育士の経験が4年までの場合、「年間賞与その他特別給与額」は約60万円ですが、年数が15年以上を超えると、100万円を超え、40万程度高くなります。

経験年数が15年を超える保育士は、主任保育士や副園長のような管理職に昇進できるケースもあるため、大幅に収入が増えていると考えられます。基本的に保育士の経験を積むと業務の幅が広がり、安定した収入を得られる可能性が高まるでしょう。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年6月19日)

雇用形態による保育士の給料比較

保育士は、雇用形態によって月給制と時給制という違いがあります。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」によると、正社員と短時間労働者の給与・賞与は以下のとおりです。

正社員の保育士

きまって支給する現金給与額(月額)

27万7,200円 年間賞与その他特別給与額:9万1,700円
短時間労働者の保育士

1時間当たりの所定内給与額

1,370円 年間賞与その他特別給与額:74万1,700円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク

一般的に正社員の保育士は月給制、短時間労働者は時給制です。正社員の保育士は月給制のため、月によって収入に大きく差が出にくく、経済面が安定しているのが特徴といえます。短時間労働者の保育士は時給制で働いた時間に応じて賃金が支払われるため、月によって収入が変動しやすいでしょう。正社員の保育士は、経済面が安定することが魅力といえます。短時間労働者の保育士はライフスタイルに合わせて柔軟に働けるのがメリットでしょう。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年6月19日)

公立保育園と私立保育園の保育士の給料比較

公立保育園の保育士は、公務員として雇用されるため、公務員の給与体系に基づいています。私立保育園の保育士は、園の規模などによって、給与が異なります。

こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>(p11)新規タブリンク」によると、私立と公立の常勤保育士の月給は以下のとおりです。

給与月額(賞与込み) 給与月額(賞与込み) 平均勤続年数
私立 34万8,119円 11.2年
公立 36万5,542円 10.6年

月給を比較すると、私立保育園よりも公立のほうが1万7,423円高いとわかります。月額は主任保育士や施設長など役職に就くと公立のほうが高くなり、私立との差がさらに大きくなる傾向にあります。ただし、私立保育園で早くから役職に就いた場合、公立よりも収入が上回るケースもあるでしょう。

保育士の給料は他職種よりも安い傾向

「保育士の給料は安い」といわれることもありますが、実際はどうなのでしょうか。ここでは、保育士とほかの職種の給料の比較します。ほかにも、保育士が給料に不満を感じているかどうかに関して解説するので、見ていきましょう。

保育士とほかの職種を比較

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」より、保育士とほかの職種の給与・賞与を表にまとめました。

職種 きまって支給する現金給与額(月額) 年間賞与その他特別給与額 年収(きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額)
保育士 27万7,200円 74万1,700円 406万8,100円
幼稚園教員

・保育教諭

27万6,600円 80万8,100円 412万7,300円
看護師 36万3,500円 83万5,000円 519万7,000円
栄養士 27万4,000円 65万4,600円 394万2,600円
介護支援専門員(ケアマネージャー) 30万1,600円 67万6,700円 429万5,900円

参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク

保育士の平均年収は406万8,100円です。単純に比較するのは難しいですが、保育士の平均年収は栄養士より高く、幼稚園教員・保育教諭、看護師、介護支援専門員(ケアマネージャー)より低い傾向にあります。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年6月19日)

給料に不満を感じている保育士は62.7%

東京都福祉局の「令和4年度東京都保育士実態調査(報告書)調査結果の概要(p.10)新規タブリンク」によると、「現在の職場で改善を希望する項目」「給与・賞与等の改善」を希望する保育士は62.7%を占めています。つまり、仕事内容に対して給与・賞与が見合っていないと感じる保育士が多いといえそうです。保育士は子どもの成長を支える専門性の高い仕事です。しかしほかの専門職と比較すると給料が低い傾向にあるのも、保育士が不満を感じる原因の1つかもしれません。

出典

東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)新規タブリンク」(2025年6月19日)

保育士の年収・給料はアップする見込み

近年では、政府により保育士の処遇改善対策が行われており、年収・給与は高くなっている傾向にあります。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査新規タブリンク」より、保育士の令和元年から令和5年までの給与・賞与・年収を表にまとめました。

きまって支給する現金給与額(月額) 年間賞与その他特別給与額 年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)
令和元年 24万4,500円 70万600円 363万4,600円
令和2年 24万9,800円 74万7,400円 374万5,000円
令和3年 25万6,500円 74万4,000円 382万2,000円
令和4年 26万6,800円 71万2,100円 391万3,700円
令和5年 27万1,400円 71万2,200円 396万9,000円

参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/令和元年新規タブリンク/令和2年新規タブリンク/令和3年新規タブリンク/令和4年新規タブリンク/令和5年新規タブリンク

5年間の推移を見ると、保育士の給与と年収は少しずつ上昇しています。令和元年と令和5年を比較すると、保育士の平均年収は33万4,400円アップしています。

厚生労働省の「保育士の現状と主な取組 (p.38)新規タブリンク」によると、保育士の収入が増加している背景には、平成25年度から国が保育士の処遇改善を進めているのが影響しています。保育士の年収は、令和元年から令和5年にかけて上がっているため、今後も待遇改善が進むと収入は増える傾向にあるといえるでしょう。

出典

保育士が給料を上げる方法

保育士が給料を上げるには、役職に就く、「保育士等キャリアップ研修」を受講する、ほかの保育園に転職するなどの方法があります。ここでは、保育士が給料を上げる方法を解説します。

保育士としてのスキルを磨いて役職に就く

保育士の給料を上げるためには、自分のスキルを磨くのが大切です。具体的には、リーダーシップや保育の専門知識を身につけ、リーダーや主任保育士などの役職に就くのを目指しましょう。役職に就くと、一般的に基本給がアップしたり、手当がついたりする傾向にあります。保育士としてのキャリアプランを立て、スキルを磨くと給料アップを期待できるでしょう。

保育士等キャリアアップ研修を受講する

「保育士等キャリアアップ研修」を受講すると、保育の専門性が高まり、給与アップのチャンスが広がります。この研修は、保育士のリーダー的な職員を育成し、保育の専門性を深めるためのものです。「保育士等キャリアアップ研修」を修了すると、副主任保育士や専門リーダーといった役職に就けたり、処遇改善手当が支給されたりする可能性があります

処遇改善手当が支給されると保育士の収入アップにつながるため、積極的に「保育士等キャリアアップ研修」を受講するのがおすすめです。

今の職場より給料が高い保育園に転職する

現状の給料に満足できない場合は、高い保育園に転職するのも1つの方法です。処遇改善手当や園独自のインセンティブ制度を設けている保育園に転職すれば、収入アップが期待できるかもしれません。転職する際には事前に求人票や面接で給与や手当の詳細を確認して、納得した状態で決断するのが重要です。

保育士の給料に関してよくある質問

ここでは、保育士の給料に関して、よくある質問をQ&A形式で回答します。

「保育士の給料はなぜ安い」といわれているの?

「保育士の給料は安い」といわれている原因の1つに、公定価格により低く設定されている点が挙げられます。公定価格とは、国が定める基準によって算出された費用のことです。ただし、平成25年度から国が保育士の処遇改善を図っているため、収入はアップしている傾向にあります。保育士の給料の今後に関して興味がある方は、本記事の「保育士の年収・給料はアップする見込み」をチェックしてください。

保育士の手取りはどれくらいですか?

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」によると、保育士の「きまって支給する現金給与額」は、27万7,200円です。一般的に、手取り額は額面の80%程度といわれています。そのため、保育士の手取り額は、22万1,760円程度と想定されるでしょう。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年6月19日)

保育士の給料が高い園の特徴は?

大規模な企業が運営している企業内保育園などは、園に安定した資金力があるため、基本給や手当が手厚い傾向にあります。また、夜間保育園などは保育士の負担が大きい分、給与が高めに設定がされている可能性が高いでしょう。ほかにも、保育士が勤務する地域によって、給料に差があるケースも。保育士の給料が高い地域に興味がある方は、本記事の「各地域における保育士の給料比較」を参考にしてください。

まとめ

単純に比較するのは難しいですが、保育士の給料や年収は多職種よりも低い傾向にあります。ただし、政府は保育士の処遇改善を行っており、収入は上がっています。給料をアップしたいという保育士は、スキルアップして役職に就くのを目指すか、他園に転職するのも1つの手です。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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