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保育士から転職は可能?おすすめの職種やキャリアチェンジの方法を紹介
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保育士から異業種に転職する場合、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。保育士からの転職は可能ですが、職種によっては未経験という点が不利になる場合もあります。 一方では、保育士の経験で培ったスキルは多くの職種で評価されるため、自分の強みを整理すれば適した転職先が見つかりやすくなるでしょう。 この記事では、保育士が転職を考える理由や保育士の経験を活かせるおすすめの職種、さらには異業種へのキャリアチェンジの方法について詳しく解説します。
目次
保育士からほかの仕事へ転職するのは可能?
保育士からほかの仕事への転職は可能です。ただし、職種によっては応募条件を満たさなかったり、業界未経験で不利になったりする可能性もあります。そのため、選択肢によってはハードルが高くなる可能性も否めません。
しかし、保育士として培ったコミュニケーション能力やマルチタスクスキルは多くの職種で評価される資質です。自分の強みを整理し、メリット・デメリットを見極めると、適した転職先を見つけやすくなるでしょう。
保育士が転職を考える理由
保育士が転職を考える理由はさまざまです。厚生労働省の「保育士の現状と主な取組 (p.24)」によると、主な退職理由には以下のようなものがあります。
1位:職場の人間関係(33.5%)
2位:給料が安い(29.2%)
3位:仕事量が多い(27.7%)
4位:労働時間が長い(24.9%)
5位:妊娠・出産(22.3%)
6位:健康上の理由(体力含む)(20.6%)
7位:結婚(18.4%)
8位:他業種への興味(15.2%)
9位:子育て・家事(13.5%)
10位:転居(11.3%)
上記によると、保育士が転職を考える理由は結婚や出産などのライフイベントもありますが、上位4位までは現職場における問題が占めています。現場での人間関係や過重労働、待遇面の問題などに直面し、理想とのギャップに悩む方も少なくありません。
出典
厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(2025年6月16日)
保育士経験を活かせる転職先とおすすめ職種
保育士経験で培ったスキルは、子どもとの関わりだけでなく、幅広い分野で活かせる場面が多いといえるでしょう。ここでは、保育士としての経験や資格を活かしながら、キャリアアップや待遇改善を目指せるおすすめの職種を紹介します。
放課後等デイサービス/児童発達支援
放課後等デイサービスとは、障がいのある子どもに必要なサポートを行う通所型の施設です。基本的に6歳から18歳を対象としています。
児童発達支援とは、障がいがある0歳から6歳までの未就学の子どもに対し、日常や社会生活への支援を提供する通所型のサービスです。
放課後等デイサービスや児童発達支援では、保育士資格を応募要件にしている求人が多くあります。子ども一人ひとりに合わせて柔軟に対応するスキルは、どちらでも活かせるでしょう。放課後等デイサービスで預かる子どもは6〜18歳であり、保育園よりも幅広い年齢層に関わりたい方におすすめです。保育園と同じ年代の子どもをサポートしたいという方には、児童発達支援が適しているといえます。
保育ママ
保育ママ(家庭的保育事業者)は、自宅で主に0〜2歳の子どもを最大で3人程度預かり、保育を行う仕事です。一般的に保育士資格が必要で自治体の認可を受けて開業するか、すでに運営している保育ママと協力して働きます。
一人ひとりの子どもとじっくり向き合えるため、子どもの生活リズムに寄り添った保育を行いたい方にぴったりです。自分の家を職場にできるため、通勤時間が不要で家庭との両立もしやすいのがメリットといえるでしょう。しかし、基本的にすべての業務を1人でこなす必要があるため、自己管理能力と責任感が求められます。
学童保育スタッフ
学童保育スタッフは、放課後に小学生を見守りながら遊びや宿題のサポートを行う仕事です。地域により学童クラブや放課後児童クラブなどと呼ばれる場合もあります。資格は必須ではありませんが、保育士資格や子どもと関わった経験がある方は、採用時に有利となる可能性があります。
学童保育は、保育園とは異なり小学生が対象となるため、子どもたちは自分で活動する時間が多く、保育士時代とは違うやりがいを感じられるでしょう。
また、勤務時間が午後から夕方が中心になるため、午前中の時間を有効活用したい方やフルタイム勤務が難しい方におすすめです。
ベビーシッター
ベビーシッターは、主に利用者の自宅で乳幼児の保育や食事・入浴などのサポートを行う仕事です。特に保育士資格や経験がある方は信頼されやすく、乳幼児のいる家庭での需要が高い傾向にあります。1人で子どもに向き合う仕事のため、人間関係でのストレスが少ない場合が多いのが魅力です。
また、働き方の自由度が高く、時給が高めに設定されているケースが多いため、自分のライフスタイルに合わせて働ける可能性が高いといえます。プライベートの時間を確保しながら、専門性を活かして働きたい方におすすめです。
ベビーホテル
ベビーホテルは子どもの一時預かりや宿泊、夜間保育などを提供する認可外保育施設です。施設によっては24時間体制で運営している場合もあり、勤務時間や内容に幅広い選択肢があります。主に0歳から6歳までを預かるため、幅広い年齢層の子どもと関わりたい方、夜勤に対応できる方や柔軟な働き方をしたい方におすすめです。
写真スタジオのカメラマン
子ども専門の写真スタジオでのカメラマンやアシスタント業務は、保育士経験が活かせる意外な職種の1つです。子どもの笑顔を引き出すスキルや注意を引く方法を熟知している保育士は、撮影現場で重宝される可能性が高いといえます。カメラマンだけでなく、着替えや小道具の準備をサポートするスタッフとしても、保育士のスキルが役立つでしょう。
子どもたちや保護者と楽しく関わりながら思い出作りを手伝うことができる、やりがいのある仕事です。写真撮影が好きな方や家族に特別な時間を提供したい方におすすめです。
低年齢児向けの塾講師
未就学児などを対象とした塾講師も、保育士経験が活かせる職種の1つといえます。英語教室や個別指導塾、幼児向けの学習塾などでは、子どもとの接し方や関わり方が上手な講師が求められる傾向にあります。教育に特化した環境において、子どもたちの成長をサポートしながら新たなスキルを磨けるでしょう。短時間勤務の求人が多いため、プライベートとの両立を重視したい方にも最適です。
子ども向け用品の販売スタッフ
子ども向け用品を扱う店舗の販売スタッフも、保育士経験が役立つ仕事です。顧客が子育て中の家庭である場合が多いため、保育士として培った知識や経験を活かして接客ができるのが魅力です。接客が好きな方、子どもや家庭に関わる仕事を続けたい方にぴったりの職種といえるでしょう。
保育士からキャリアチェンジしやすい異業種の仕事
異業種への転職では、保育士時代に培ったコミュニケーション能力や柔軟な対応力、問題解決力などが大きな武器です。ここでは、保育士から異業種へ転職したい方向けにおすすめの仕事を紹介します。
事務職
事務職は、保育士からキャリアチェンジしやすい職種の1つだといえます。基本的なパソコンスキルがあれば応募できる求人も多く、書類作成やスケジュール管理などの事務作業を通じて新たなスキルを磨ける可能性があります。業務において、ほかの人と関わる場合もあるため、保育士時代に培ったコミュニケーション能力やチームワークなども活かせるでしょう。
販売職
販売職は、保育士の経験を活かして人と接する仕事を続けたい方におすすめです。特に子ども向け商品を扱う店では、保育士の経験が強みとなる場面が多いでしょう。
また、販売職は未経験からでも比較的始めやすく、商品の知識や接客スキルを学べば幅広い分野で活躍の場を広げられるメリットもあります。一方で、シフト制が主流なため、休日や勤務時間の調整が必要になる場合もあるでしょう。
介護職
介護職は、高齢化社会の中で需要が急増している職種です。常に人手不足のため未経験でも比較的採用されやすく、保育士として培ったホスピタリティやコミュニケーションスキルが活かせるメリットがあります。また、資格の取得を支援する施設も多く、働きながら新たなスキルを習得できる点も魅力だといえるでしょう。
営業職
営業職は、保育士として培った配慮や気配りを存分に活かせる仕事の1つです。営業では、相手の要望を深く理解し、的確に提案する能力が求められます。この点においても、保育士のコミュニケーションスキルや柔軟な対応力が役立つ可能性が高いでしょう。
また、営業経験はキャリアの幅を広げるチャンスでもあります。目標を達成すると成果が報酬に反映されるため、やりがいを感じられる職種だといえます。
ITエンジニア
IT分野の成長に伴い、エンジニア職は未経験者にも門戸を広げています。保育士としての計画性や問題解決能力は、IT業界でも強みとして活かせるでしょう。リモートワークやフレックスタイム制を導入する企業も多いため、柔軟な働き方ができる可能性が高いといえます。一方では、専門知識を学び、スキルを習得する時間が必要でしょう。
保育士から転職するメリットとデメリット
保育士から転職する場合、さまざまなメリットとデメリットがあります。転職を検討する際には、これまでの経験を活かせるかどうか、また新しい職場でどのような課題があるのかを十分に理解するのが大切です。
ここでは、保育士から別の職種へ転職する際に得られるメリットとデメリットを具体的に紹介します。
メリット
転職すると、新しいスキルや知識を身に付けられるメリットがあります。
また、異業種への転職によって、これまで気づかなかったキャリアの可能性が広がる場合もあるでしょう。スキルや経験を活かしてステップアップを目指せるだけでなく、給与や福利厚生といった待遇の改善が期待できる点も大きな魅力です。
職種によっては長時間労働や不規則なシフトから解放され、自分に合った働き方を見つけられる場合も。より快適な環境で新たなスタートを切れるチャンスといえるでしょう。
デメリット
保育士から転職する際には、デメリットも考えられます。未経験の職種では、一から新しいスキルや経験を積む必要があり、業界特有の知識やスキルが求められる傾向にあります。
また、一般的に研修期間中や経験が浅いうちは給与が低くなったり、入社後すぐには有給休暇を取得できないケースもあるでしょう。これらのデメリットを考慮した上で、慎重に転職を検討してください。
保育士から他職種への転職を成功させる5つのステップ
ここでは、転職をスムーズに進める5つのステップを紹介します。このステップを参考に、自分に合った仕事を見つけて理想のキャリアを実現しましょう。
1.自分のスキルや経験を整理する
まずは、自分のスキルや経験を整理することから始めましょう。「保育士の経験しかない」と感じていても、実は多くのスキルを持っているものです。
たとえば、保育業務でExcelやWord、PowerPointを使用していた経験があれば、一般事務などの職種に活かせるでしょう。ほかにも、学生時代の部活やアルバイト、長く続けている趣味も立派なスキルとして転職に役立つ場合もあります。
また、「自分が好きなこと」を動詞で表現すると、転職で活かせるスキルや経験が具体的にイメージできるのでおすすめです。たとえば旅行が好きならば、「旅行の計画やスケジュールを立てるのが好き」「一緒に旅行する友達を笑顔にしたい」「イベントを計画し、人々を笑顔にするのが好き」という風に深く掘り下げると、教育関連やイベント運営、営業職など新たな可能性が見えてきます。
好きなことを挙げて自分のスキルや経験を整理し、転職につなげましょう。
2.希望する条件を具体化する
休日や勤務時間、給与、待遇などをリストアップし、その中で「絶対に譲れない条件」と「妥協できる条件」を明確にしておきましょう。
未経験の職種に飛び込む場合、「どんな仕事でも良い」と妥協しがちですが、希望する条件が曖昧だと転職後に不満が募る場合もあります。「残業は少なくしたい」「週末は家族と過ごせる仕事が良い」「給与は現状よりも下げたくない」など、自分のライフスタイルや価値観に合った条件を明確にしましょう。
3.仕事への意欲を伝える
未経験で新たな職種に挑戦する場合、経験やスキルの不足は避けられません。しかし、それを補う大きな要素となるのが仕事への熱意です。自分がその仕事に対してどれほど真剣に向き合いたいのか、どんなことを実現したいのかを具体的に伝えましょう。
「保育士として培った観察力や気配りを新たな職場でも活かしながら、幅広いスキルを習得したい」「未経験だからこそ学ぶ姿勢を忘れず、1つひとつ着実に取り組む」など、意欲を伝えると、採用担当者に前向きな印象を与えられるでしょう。
4.応募先で活かせる経験をアピールする
たとえ異業種への転職であっても、これまでの経験の中に新たな職場で活かせるスキルや強みもあります。たとえば、保育士として培った観察力やコミュニケーション能力、計画性、忍耐力や柔軟性などは、多くの職場で重宝されるスキルです。観察力や傾聴力は、細かい変化に気づく能力として営業や接客業などで役立つでしょう。どのような経験も見方を変えれば強みになります。自分の経験を振り返り、応募先の業務にどのように活かせるかをアピールしましょう。
5.転職エージェントを活用する
転職を成功させるために、転職エージェントを活用するのも1つの選択です。
プロのキャリアアドバイザーが履歴書や職務経歴書の書き方、面接対策も支援してくれるため、転職活動における不安を軽減できます。また、キャリアアドバイザーが採用側の立場になって熱意の伝わる転職理由を一緒に考えるため、自信を持って転職活動を進められるでしょう。
保育業界専門の転職エージェント「レバウェル保育士」は、保育経験を活かして働ける学童保育や放課後等デイサービスの仕事を紹介可能です。サービスはすべて無料で利用できるので、転職で悩んでいる方はお気軽にご登録ください。
保育士からの転職に関するよくある質問
ここでは、保育士からの転職についてよくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
保育士の年収はほかの職業と比較して低めですか?
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の年収はほかの職種と比較するとやや低めの傾向にあります。全職種の平均年収が526万9,900円であるのに対し、保育士の平均年収は406万8,100円と想定されます。しかし近年、政府は保育士の処遇改善を行っており、今後さらなる年収の引き上げが期待されます。
出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年6月16日)
転職先で活かせる保育士のスキルはどんなものがありますか?
保育士として培ったスキルは、転職先でも活かせるものが多くあります。
コミュニケーション力:子どもや保護者と信頼関係を築く力
マルチタスク能力:複数の業務を効率よく進める力
忍耐力と柔軟性:予測不能な状況にも冷静に対応する力
コミュニケーション力は顧客対応やチームでの仕事に、マルチタスク能力は事務作業やスケジュール管理、忍耐力と柔軟性は予期せぬトラブル対応や業務改善に活かせるでしょう。
こうした経験をアピールすれば、転職先でも高く評価される可能性があります。
まとめ
保育士から転職することは十分に可能です。この記事では、保育士として身につけたスキルや経験は、さまざまな仕事で活かせるでしょう。転職活動は大きな決断ですが、前向きな気持ちを忘れずに、自分のペースで進めていけばきっと新しいキャリアが見つかるはずです。
ただし、初めての転職や異業種への挑戦は不安がつきものです。「自分に合った仕事が見つかるか不安」「どうやって転職活動を進めたらいいのだろう」と悩むこともあるでしょう。「レバウェル保育士」では、専任のキャリアアドバイザーが志望動機の作成や面接対策など、あなたの転職をトータルでサポートします。「保育士から学童保育や放課後等デイサービスの仕事に転職したい」という方は、お気軽にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。