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保育士試験の筆記試験はどう対策する?出題範囲や合格率、勉強のコツを解説

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保育士試験の受験を考えている方の中には、「筆記試験に合格したいけれど、仕事や家事と両立できるかな?」「筆記は難しいと聞くけれど、合格ラインや合格率はどれくらい?」など、不安や疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。 この記事では、保育士試験の筆記試験について、出題範囲や合格基準、効果的な勉強方法などを詳しく解説します。独学での対策に不安がある方も、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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保育士試験の筆記試験の内容

保育士試験は、筆記試験と実技試験で構成され、年に2回実施されます。筆記試験に全科目合格すると実技試験に進むことが可能です。この項では、試験科目や出題範囲、試験時間などの概要を解説します。

試験科目・出題範囲

保育士試験の筆記試験の科目は全9科目です。以下の表に出題範囲や出題の基本方針をまとめましたのでご覧ください。

筆記科目 出題範囲 出題の基本方針
保育原理
  • 保育原理
  • 乳児保育Ⅰ
  • 乳児保育Ⅱ
  • 障害児保育
  • 子育て支援
保育の意義や保育の内容、方法に関する理解を問う
教育原理
  • 教育原理
教育の基本的概念、教育の実践原理に関する理解を問う
社会的養護
  • 社会的養護Ⅰ
  • 社会的養護Ⅱ
現代社会での社会的養護の意義と役割に関する理解を問う
子ども家庭福祉
  • 子ども家庭福祉
  • 子ども家庭支援論
現代社会での子ども家庭福祉の意義と役割に関する理解を問う
社会福祉
  • 社会福祉
社会福祉全般に関して理念体系の理解を問う
保育の心理学
  • 保育の心理学
  • 子ども家庭支援の心理学
  • 子どもの理解と援助
保育実践に関連する心理学の知識と発達の基本原理に関する理解を問う
子どもの保健
  • 子どもの保健
  • 子どもの健康と安全
児童の健康と安全に関する基本的知識、保育実践に関する児童の疾病と予防、事故防止・安全管理等についての理解を問う
子どもの食と栄養
  • 子どもの食と栄養
子どもの食生活と栄養に関する基本的知識・保育実践に関する食育の基本・内容についての理解を問う
保育実習理論
  • 保育内容の理解と方法
  • 保育内容総論
  • 保育内容演習
  • 保育実習Ⅰ
  • 保育実習指導Ⅰ
  • 保育実践演習
  • 保育者論
  • 保育の計画と評価
保育に関する教科目全体の知識・技術を基礎とし、子どもの保育と保護者に対する支援に関する総合的な理解を問う

参考:一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験とは新規タブリンク

保育士試験の筆記は試験範囲が非常に広いため、全体を大まかに把握した上で、各科目のポイントを整理することが大切です。詳しい勉強法については後ほど紹介しますが、限られた時間で合格を掴むためには、効率的な学習が欠かせません。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験とは新規タブリンク」(2025年4月10日)

出題形式・試験時間・日程

保育士試験の筆記試験は、5択のマークシート方式で実施されます。問題によっては複数選択の場合もあるため正確な知識が必要です。試験時間は基本的に1科目60分ですが、「教育原理」と「社会的養護」はそれぞれ30分となっています。

試験は2日間にわたって実施され、1日目に4科目、2日目に5科目という時間割で進められます。以下に2025年度の具体的な試験日程を記載するので、参考にしてください。

前期試験 2025年4月19日(土)・20日(日)
後期試験 2025年10月18日(土)・19日(日)

参考:一般社団法人全国保育士養成協議会「令和7年試験案内新規タブリンク

なお、自然災害などで試験が中止となった場合でも、再試験は実施されないためあらかじめ注意しておきましょう。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「令和7年試験案内新規タブリンク」(2025年4月10日)

保育士試験の筆記の合格基準と合格率

保育士試験の受験を検討する上で、気になるのが筆記試験の合格ラインや合格率かもしれません。「合格するには何点必要なんだろう?」「自分に合格のチャンスはあるのかな?」と不安に思っている方は、以下の情報を参考にしてみてください。

筆記試験の合格基準

保育士試験の筆記試験では、9科目すべてで60点以上(100点満点中)を取る必要があります。合否は科目ごとに判定されるため、不合格の科目があった場合も合格の有効期限である3年以内であれば、その科目のみを再受験することが可能です。

中でも、多くの受験生が苦戦しやすいといわれているのが「教育原理」と「社会的養護」です。この2科目はセットで評価されるため、いわゆるニコイチ科目と呼ばれ、どちらか一方が基準に達していない場合は両方の科目を再受験する必要があります。内容自体も難しいとされているため、特に念入りな対策が求められるでしょう。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「令和7年試験案内新規タブリンク」(2025年4月10日)

合格率

筆記試験のみの合格率は公開されていませんが、保育士試験全体の最新の合格率は以下の通りです。

年度 受験申請者数 合格者数 合格率
2023年度 6万6,625人 1万7,955人 26.9%
2022年度 7万9,378人 2万3,758人 29.9%

厚生労働省「保育士の現状と主な取組(p9)新規タブリンク」によると、過去の合格率も概ね20%前後で推移しており、試験の難易度は比較的高めなことがわかります。なお、同省の「保育士試験の概要新規タブリンク」によれば、実技試験のみの合格率は概ね80%前後で推移しているようです。そのため、保育士試験の合否を大きく左右するのは、筆記試験であるといえるでしょう。

出典

こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度)新規タブリンク保育士試験の実施状況(令和4年度)新規タブリンク」(2025年4月10日)
厚生労働省「保育士の現状と主な取組新規タブリンク」(2025年4月10日)
厚生労働省「保育士試験の概要新規タブリンク」(2025年4月10日)

保育士試験の筆記試験科目の免除制度

保育士試験では、幼稚園教諭免許状所有者および社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格所有者を対象に、筆記試験の一部科目が免除される制度があります。該当する方は、事前にしっかり確認しておきましょう。

幼稚園教諭の場合

幼稚園教諭免許状を持っている場合、保育士試験の一部科目について免除を受けられます。

まず、「保育の心理学」「教育原理」の2科目については、免除申請を行うことで受験が不要になります。指定保育士養成施設において筆記試験に該当する教科目を修得していれば、そのほかの科目についても免除が認められます。

次に、特例制度により、特例制度対象施設で一定の実務経験がある場合は「保育実習理論」も免除されます。指定保育士養成施設において特例教科目を修得していれば、該当の試験科目も免除可能です。なお、この特例制度は2029年度末までの実施となっているため、留意しておきましょう。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「幼稚園教諭免許状所有者の免除について新規タブリンク」(2025年4月10日)
こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例新規タブリンク」(2025年4月10日)

社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の場合

社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格を持っている方も、筆記試験科目の免除対象です。

具体的には、「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」の科目が免除されます。それ以外の科目についても、指定保育士養成施設で修得した教科目が筆記試験科目に該当する場合、一部またはすべてが免除されます。

免除を受けるためには、登録証のコピーや証明書の提出が必要です。必要書類や手続きの詳細を事前に確認し、余裕をもって準備を進めましょう。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士新規タブリンク
資格所有者の免除について新規タブリンク」(2025年4月10日)

保育士試験の筆記の合格に必要な勉強時間

保育士試験の筆記試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に100〜180時間程度が目安とされています。毎日2〜3時間の勉強時間を確保できる場合は約3ヶ月、働きながら資格取得を目指す場合は、6ヶ月程度を見込んでおくと安心です。1日の勉強時間をどれくらいに設定するか迷っている方は、合格を目指す時期を決めて逆算する方法も検討してみてください。

勉強を続けるためには、習慣化が大切です。自分に合ったテキストを選んだり、アプリや参考動画などを活用したりしながら、毎日コツコツと取り組んでいきましょう。

保育士試験の筆記を独学で勉強するコツ

ここでは、保育士試験の筆記試験を独学で勉強する方に向けて、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。保育士試験の筆記試験は、科目数が多く範囲も広いため、効果的な学習計画が合格への近道となります。

出題範囲が似ている科目でグループ化する

保育士試験の筆記試験の勉強を始める際は、以下のように出題範囲が似ている分野でカテゴリ分けをすると効率良く学習できます

分野 筆記科目
1.保育学の原理に関すること
  • 保育原理
  • 教育原理
  • 保育実習理論
2.福祉に関すること
  • 社会的養護
  • 社会福祉
  • 子ども家庭福祉
3.保健や栄養に関すること
  • 保育の心理学
  • 子どもの保健
  • 子どもの食と栄養

どの分野から勉強を始めても問題ありませんが、特に興味のある分野がない場合は、保育所保育指針を扱う保育原理から着手するのがおすすめです。また、子育て経験がある方は、保健や栄養に関する分野から取り組むと、よりスムーズに進められるかもしれません。

過去問題でアウトプットする時間を設ける

テキストを一通り読んで要点を掴んだら、過去問題を解いてアウトプットしましょう。過去問題を解くことで、知識が定着するだけでなく、「問題の傾向を把握できる」「時間配分を意識できる」「苦手な分野が明確になる」などのメリットがあります。

なお、過去問題集を選ぶ際は、最新の試験内容に対応するために可能な限り最新版を選ぶことをおすすめします。全国保育士養成協議会の公式サイトにも、過去の試験問題新規タブリンクが掲載されているので、積極的に活用しましょう。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「過去の試験問題新規タブリンク」(2025年4月10日)

保育に関する最新情報を定期的に確認する

保育士試験の筆記試験では、頻出事項をしっかり押さえるのはもちろん、保育に関する時事問題にも対応できるようにしておくことが大切です。ニュースやこども家庭庁の公式サイトに目を通し、法改正のポイントや保育業界に関する社会的な課題を把握しておきましょう。

保育士試験の筆記に自信がない時の乗り越え方

保育士試験の筆記は難易度が高く、一度で合格するのが難しいこともあります。「勉強が大変で心が折れそう」という方は、ぜひ下記の内容を参考にしてみてください。

無理のない範囲で3年以内の合格を目指す

保育士試験の筆記試験科目は、合格した年を含めて3年間の有効期限があります。合格科目免除期間延長制度の条件を満たせば、最長で5年まで延長することも可能です。そのため、長期的な計画のもと数科目ずつ合格を重ねていくのも一つの方法といえます

モチベーションを維持する必要があったり、受験料が再度発生したりする側面はありますが、少しずつ前に進むことで心に余裕が生まれるかもしれません。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「筆記試験合格科目における合格科目免除期間延長制度について新規タブリンク」(2025年4月10日)

試験対策講座を受講して受験対策を行う

独学に不安を感じる場合は、通信講座やスクールを活用するのも手です。独学に比べて費用はかかりますが、専門講師の指導やアドバイスを受けながら、疑問点をしっかりと解消できます。「時事問題の対策まで手が回らない」「保育業界の動向をチェックする時間がない」と焦りを感じている場合も、効率良く勉強を進められるはずです。

保育士試験の筆記試験に関してよくある質問

ここでは、保育士試験の筆記試験に関してよくある質問を紹介します。

保育士の筆記試験の受験資格を得るのは大変ですか?

保育士試験の受験資格は学歴や実務経験によって異なりますが、間口は比較的広く設定されているためハードルは高くありません。年齢制限もなく、受験資格を満たせば誰でも受験可能です。一般社団法人全国保育士養成協議会の「受験資格新規タブリンク」や「受験資格について新規タブリンク」のページを参考にして、規定を満たしているか確認しましょう。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「受験資格新規タブリンク」(2025年4月10日)
一般社団法人全国保育士養成協議会「受験資格について新規タブリンク」(2025年4月10日)

保育士試験の地域限定保育士制度とは何ですか?

地域限定保育士は、正式名称を「国家戦略特別区域限定保育士」といい、保育士不足の解消を目的に導入された制度です。資格取得後の3年間は決められた地域でのみ働くことになりますが、3年が経過すれば全国で働けるようになります。全国共通の保育士試験に加えて別枠で受験機会を増やせるため、合格のチャンスを広げたい方はあらかじめ確認しておきましょう。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「地域限定保育士試験について新規タブリンク」(2025年4月10日)

保育士試験の過去問を解く際のコツはありますか?

保育士試験の筆記試験の過去問を解く際は、時間配分に注意し、本番の試験と同じ意識で取り組むことが大切です。また、点数に振り回されず冷静に自分の弱点を把握し、次に活かすことも重要といえます。過去問題集を選ぶ際は、できる限り最新の法改正に対応したテキストを選ぶようにしましょう。

保育士試験の筆記の合格発表はいつ実施されますか?

一般社団法人全国保育士養成協議会の「【前期試験】受験票・試験結果通知について新規タブリンク」によると、2025年度の前期試験の場合、筆記試験の結果は6月上旬に公開されるようです。​保育士試験の筆記試験の合格発表日は、試験の実施時期によって異なるため、最新情報は同サイトをチェックするようにしてください。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「【前期試験】受験票・試験結果通知について新規タブリンク」(2025年4月10日)

まとめ

保育士試験の筆記試験は、年に2回、2日間にわたって実施されます。9科目すべてで100点満点中60点以上を取ると、実技試験に進むことが可能です。

保育士試験の筆記試験は出題範囲が広く、難易度も高めではありますが、しっかりと勉強時間を確保して計画的に取り組めば、独学での合格も目指せるでしょう。過去問題を活用してアウトプットしたり、保育に関する最新情報を定期的にチェックしたりしながら、効率的に学習を進めることが大切です。

また、合格への意欲を高めるためには、将来働きたい職場をイメージするのも効果的です。レバウェル保育士では、キャリアアドバイザーがあなたの希望条件に合った職場をご紹介するため、合格後の就職活動もスムーズに進められます。職場の雰囲気や内部事情も把握できるので、ミスマッチの不安も軽減できますよ。ぜひ、お気軽にご活用ください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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