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夜間保育とは?保育士の仕事内容やメリット・デメリット、求人探しの方法

「夜間保育とは何か」「保育士の仕事内容はどのようなものなのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。夜間保育では、夜の時間帯に保育園や施設などで子どもを預かり、入浴を介助したり就寝を見守ったりします。 この記事では、夜間保育を実施している保育園の種類や保育士の仕事内容、必要な資格を解説。夜間保育で働く保育士のメリット・デメリットや、向いている・向いていない人の特徴も紹介します。転職のポイントや求人探しの方法も解説するので、ぜひ今後の参考にしてください。
目次
夜間保育とは
夜間保育とは、保護者に代わって夜の時間帯に子どもを保育することを指します。家庭の事情や保護者の就業などにより、夜間保育が利用されているケースが多いようです。
夜間保育は、夜から早朝の時間帯のみ開所している認可外保育園や日中保育を行っている認可保育園で実施されているケースも。医療従事者を対象とした院内保育や、24時間開所している施設で実施されている場合もあるでしょう。
夜間保育園の設置・認可基準
夜間保育を実施している施設のなかには、認可保育園もあります。夜間保育の認可基準は、以下のとおりです。
受け入れ対象の子ども | 保護者の就労などにより夜間保育が必要な子ども |
定員 | 20名以上 |
施設長 | 施設長は保育士の資格を有し、直接児童の保育に従事できるように努めること |
保育士1人に対する子どもの数 | 0歳児3人・1、2歳児6人・3歳児15人・4,5歳児25人 |
開所時間 | 開所時間は原則11時間とし、おおよそ午後10時までとすること |
設備 | 仮眠のための設備や夜間保育に必要な設備、備品を備えている |
保育の方法 | 既存の施設に夜間の保育所を併設する場合、直接児童の保育する設備については専用でなければならない(管理部門などは運営に支障を生じない範囲で既存の施設の設備と共用して良い) |
参照:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等について」、e-GOV法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条2項
」
夜間保育は利用者数が見込めない場合、認可基準を満たしたうえでの運営が難しい場合もあるようです。そのため、1日単位や数時間の預かりなど、さまざまなニーズに対応しやすい一時保育として認可外で実施している施設もあるでしょう。
出典
厚生労働省「夜間保育所の設置認可等について」(2025年9月25日)
e-GOV法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条2項」(2025年9月25日)
夜間保育は何時まで?
夜間保育は施設によって、開所時間が異なります。認可保育園の場合は「原則午後10時まで」、認可外では、「24時間」「午前11時から翌朝午前3時まで」などさまざまです。
こども家庭庁の「令和3年 認可外保育施設の現況取りまとめ (p.9)」によると、夜間保育で最も多いのは、午後8時から午後10時までの時間帯のすべてまたは一部を含んで開所している施設です。次に多いのは、24時間開所している施設とされています。
出典
こども家庭庁「令和3年 認可外保育施設の現況取りまとめ」(2025年9月25日)
夜間保育を実施している保育園の種類
夜間保育を実施している施設は、認可保育園や認可外保育園、企業主導型の保育園などがあります。こども家庭庁の「令和6年度 夜間保育所の設置状況(令和6年4月1日時点)p.1」によると、夜間保育施設は74ヵ所で、そのうち大阪府にある施設1ヵ所のみが公営、そのほかは民営です。
ここでは、夜間保育園を実施している保育園の種類とそれぞれの特徴を解説します。
出典
こども家庭庁「令和6年度 夜間保育所の設置状況(令和6年4月1日時点)」(2025年9月25日)
認可保育園の夜間保育
日中保育を実施している認可保育園では、夜間まで対応している場合もあります。前述したように、認可基準により開所時間は原則午後10時までとされています。
認可基準を満たしているため、職員の配置や設備などが整備されていることが特徴といえます。また、定員は20名以上とされているため、基本的には毎日一定数の子どもを夜間保育することになるでしょう。
認可外保育園の夜間保育
前述しましたが、認可外保育園での夜間保育は、施設によって開所時間や特徴が異なります。なかには、24時間開所している保育園もあります。1日単位や数時間などの一時預かりがメインで、利用する子どもは日によって入れ替わるでしょう。
企業主導型の夜間保育
企業主導型の夜間保育には、たとえば病院に併設している院内保育があります。院内保育では、夜間働く医師や看護師など医療従事者向けに夜間保育を実施。日中保育に加えて、午前0時まで対応していたり、24時間保育を実施している施設もあるようです。
院内保育の利用者は、基本的に医療従事者の子どもに限られるため、定員が少人数であったりクラス分けがなく異年齢保育(縦割り保育)をしたりする場合もあるでしょう。
夜間保育士の仕事内容
夜間保育で働く保育士ならではの仕事内容には、以下のようなものがあります。
入浴の介助や沐浴
夜の寝かしつけ
夜間に眠っている子どもの見守り
施設によっては、浴室やシャワー室などが設置されており子どもの入浴を介助する場合もあるようです。夜間は交代で保育士が子どもの睡眠を見守ることになるでしょう。なお、遊びの提供や食事・排せつのサポートなど、基本的な仕事内容は日中する保育と同じです。
夜間保育は日によって利用する子どもが入れ替わる場合もあるため、クラス分けがなく年齢が異なる子どもを同時に保育するケースもあります。
夜間保育で働く保育士のスケジュール例
夜間保育で働く保育士は、夕方から出勤したり、早朝まで担当したりシフト制で働く場合があります。以下は、夕方から翌朝まで開所している夜間保育で保育士が働くスケジュール例です。
時間 | 子どもたちの動き | 保育士の仕事内容 |
午後4時 | ー | 出勤・保育室の準備 |
午後5時 | 登園 | 子どもの受け入れ・健康状態の確認 |
午後6時 | 夕食 | 食事の提供・介助 |
午後7時 | 歯磨き・入浴 | 入浴の介助・おむつ替え |
午後8時 | 就寝 | 寝かしつけ・見守り |
午後8時~午前6時 | 就寝 | 交代で見守り・夕食・休憩・仮眠 |
午前6時 | 起床 | おむつ替え・朝食準備 |
午前7時 | 朝食 | 朝食の援助 |
午前8時 | 降園 | お迎え対応 |
保育士は子どもが寝ている間に、交代で休憩や仮眠をとるようです。ただし、夜間も勤務中であるため、出勤前に身体を休めたり、仮眠を取ったりして眠くならないようにしておく必要があるでしょう。
夜間保育士に必要な資格
夜間保育は、一般的に保育士資格があれば働けます。求人によっては、看護師免許保有者を募集しているものもあるようです。なお、パートやアルバイトなど非正規雇用の場合は、資格がなくても働ける可能性があるでしょう。
夜間保育士の給料
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、夜間保育士を含む、保育士の平均年収は396万9,000円とされています。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
27万7,200円 | 74万1,700円 | 406万8,100円 |
参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
なお、夜間保育で午後10時から翌日午前5時の間に勤務する場合は、賃金の25%が上乗せされます。深夜手当によって、平均給与より高くなることもあるでしょう。
出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年9月25日)
夜間保育士として働くメリット
夜間保育士の働き方が合っている方は、以下のようなメリットを感じられるでしょう。
昼間の時間を自由に使える
働く時間帯によっては深夜手当が付く
日中保育とは異なる経験によってスキルアップできる
日中学校に通っている方や副業をしたい場合、夜間保育であれば深夜や早朝の時間を使って働けます。午後10時から翌日午前5時の間に働くと深夜手当がつくため、日中働くより稼げることもあるでしょう。
また、入浴介助や夜間の見守りなど夜間保育ならではの業務も経験できるため、保育士としてスキルアップにつながるメリットもあります。
夜間保育士として働くデメリット
自己管理が苦手な方や体力に自信がない方は、夜間保育で働くと以下のようなデメリットを感じる可能性があります。
不規則な生活になりやすい
土日も開所している職場だと休日も不規則になる
家族や友人とスケジュールを合わせづらいこともある
一般的な保育園に比べて遊びや行事などに関わる機会が少ない
夜間保育で働く場合、シフト制を採用しているケースが多く、日によって勤務時間が大きく異なり、不規則な生活になりやすい点はデメリットといえます。そのため、自己管理が苦手な方は、不規則な生活が続くと体調に影響が出る可能性もあるでしょう。
また、夜間保育では行事が少ない保育園もあり、イベントの準備や運営といったスキルを身につけられない可能性があります。
夜間保育士に向いている人
以下にあてはまる人は、夜間保育の保育士に向いている可能性があります。
給料アップを目指したい人
夜間に働く体力がある人
自己管理が得意な人
家庭的な雰囲気のなか保育したい人
働く時間帯によっては深夜手当がつくため、給料アップを目指したい方は希望を叶えられるケースも。また、夜間に働く体力がある方や自己管理が得意な方は、夜間保育で不規則な生活になっても体調を整えながら働けるでしょう。
夜間保育では日常生活のサポートがメインの仕事になるため、家庭的な雰囲気のなかで保育したい方にも向いている可能性があります。
夜間保育士に向いていない人
以下にあてはまる方は、夜間保育に向いていない可能性があります。
子どもとの遊びや行事に携わりたい人
体力に自信がない人
生活リズムを安定させたい人
夜間保育で働く時間帯によっては、寝かしつけや夜間の見守りがメインとなるため、子どもとの遊びや行事に携わりたい方は向いていない可能性があります。また、体力に自信がない方や生活リズムを安定させたい方は、夜間保育士の働き方があっていないこともあるでしょう。
夜間保育士に就職・転職する際のポイント
夜間保育士に就職・転職を目指す場合は、志望理由を明確にし、熱意をアピールする必要があります。ここでは、夜間保育の求人に応募する際の志望理由や面接におけるポイントを2つ紹介します。
夜間保育で働きたい理由を明確にする
志望理由を伝える際は、夜間保育で働きたいと思った理由やきっかけなどを明確にして伝えましょう。たとえば、「日中保育とは異なる保育環境でスキルアップしたい」「少人数の子どもとじっくり向き合いながら保育したい」などです。
また、夜間保育で働くことを選んだきっかけに加えて、志望先ではなくてはならない理由も伝えるのがポイントといえます。求人票をチェックし、志望先の保育方針や求める人物像を確認して志望理由を考えてみましょう。
なお、働きたい理由が給料や待遇の場合は、「子どもの学費のために給料アップを目指したい」「日中介護で働けないため、より待遇の良い職場で働きたい」などの事情を伝えるのがポイント。です「給料が高ければ、どの就職先でも良いのでは?」と思われないように、給料や待遇以外の志望理由も必ず伝えましょう。
人柄や熱意をアピールする
面接や応募書類では、人柄や熱意をアピールする必要があります。夜間保育を行う際には、子どもが安心して過ごせる環境づくりが重要なため、優しさや温かみがある人柄は好印象につながるでしょう。
また、夜通し働いたり不規則な生活になったりする際には、体力や気力が必要になるため、「夜間保育で働きたい」といった熱意をアピールすることもポイントです。熱意や意欲をアピールすれば、採用担当者は応募者の活躍を期待しやすくなるでしょう。
夜間保育士の求人を探す方法
夜間保育士の求人を探すためには、就職・転職エージェントを利用するのがおすすめです。夜間保育施設は一般的な保育園より少ないため、希望に合った求人探しが難しい場合も。しかし、就職・転職エージェントを利用すれば夜間保育士の求人を探しやすくなるでしょう。
保育業界専門の就職・転職エージェントであれば、求人検索がしやすかったりプロからアドバイスがもらえたりするのもメリットです。求人選びや選考対策などに不安がある場合は、手厚いサポートが受けられる就職・転職エージェントに相談してみましょう。
「夜間保育の求人を探したい」「保育士資格を活かして転職したい」という方は、ぜひ保育業界専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」にご相談ください。
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夜間保育に関するよくある質問
ここでは、夜間保育に関するよくある質問に、Q&A形式で答えます。夜間保育で関わる子どもやベビーシッター・ベビーホテルとの違いをまとめました。
夜間保育はかわいそう?子どもへの影響は?
夜、保護者と離れて過ごすことにより心細くなったり、逆に初めての夜間保育でも楽しめたり、子どもによって様子はさまざまです。そのため、夜間保育士は必要に応じて子どものメンタルをケアしたり、安心できる環境をつくったりする必要があるでしょう。
夜間保育は一時預かりの子どももいますか?
夜間保育には、一時預かりをメインとしている施設もあります。一時預かりの場合は、日によって子どもが入れ替わり、受け入れ人数も増減するでしょう。なお、認可保育園や院内保育では一時預かりではなく、夜間保育で受け入れる子どもや定員が固定されていることもあります。
夜間保育とベビーシッター、ベビーホテルは違いますか?
夜間保育・ベビーシッター・ベビーホテルの主な違いは、子どもを受け入れる時間帯や保育形態です。夜間保育は、夜の時間帯に保育することを指しますが、ベビーシッターやベビーホテルは昼間を含む時間帯にも対応している場合があります。
また、ベビーシッターは一般的に利用者の家に訪問して保育を実施しているのが特徴です。夜間保育やベビーホテルは、保育園や専用施設で保育する点が違います。
まとめ
夜間保育とは、保護者に代わって夜の時間帯に子どもを保育することを指します。夜間保育は、夜から早朝の時間帯のみ開所している保育園や日中保育を行っている保育園で実施されていることもあるようです。
夜間保育ならではの仕事内容は、入浴の介助や夜の寝かしつけなどが挙げられます。夜間は保育士が交代で子どもの睡眠を見守ったり、休憩したりするでしょう。
夜間保育は、一般的に保育士資格があれば働けます。非正規雇用の場合は、資格が問われない可能性もあります。
夜間保育士に向いている人は、給料アップを目指したい方や夜間に働く体力がある方などです。夜間に働くと生活が不規則になり体力的にきつい場合もありますが、深夜手当が付くため日中より稼げることもあります。
一方、体力に自信がない方や生活リズムを安定させたい方は、夜間保育士の働き方が向いていない可能性があるでしょう。
夜間保育士に興味がある方は、保育業界専門の就職・転職エージェントを利用するのがおすすめです。求人選びや選考対策に不安がある方は、保育業界に特化した就職・転職エージェントに相談してみましょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。