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保育士の役職とは?役割の違いや転職時の履歴書への書き方を解説
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「保育士には、どのような役職があるのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。保育士には、園長や主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーなどの役職があります。 この記事では、役職の種類や等級表、給料や手当などを解説。保育士が役職に就くメリットや方法、履歴書における役職名の書き方も紹介します。保育士で役職を目指したい方やキャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
保育士の役職として挙げられる種類
保育士の役職には、園長や主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーなどがあります。ここでは、厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」をもとに、保育園における保育士の役職と就くための条件、役割などを解説します。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年9月4日)
園長
園長は、保育園の運営・管理の責任者です。保育園の責任者として行政・地域との連携、トラブル時の対応、人事採用など責任の重い業務を任されます。園長の平均勤続年数は24年とされています。
園長になるにはリーダーシップ、管理能力、コミュニケーション能力などが求められるでしょう。
なお、保育園によっては副園長の役職を設けていることもあります。
主任保育士
主任保育士は、園長の補佐として、運営管理を行います。職員の配置や勤務シフトの作成など、保育園全体の業務を管理する役割を担います。保護者の対応や行政・地域など外部機関とのやりとりを行う場合もあります。主任保育士の平均勤続年数は21年とされています。
主任保育士は園長と現場の保育士との間に立つ役割を担います。そのため、円滑な人間関係を築くコミュニケーション能力、保育士に指導や助言を行うスキルなどが求められるでしょう。
副主任保育士
副主任保育士は現場と管理職をつなぐ橋渡し役です。園長や主任から受けた指示を現場に伝える役割を担います。また、現場の意見を園長や主任に伝える場面もあります。新人や若手保育士の育成、保護者支援やクレーム対応などを行うため、現場に近いリーダーといえるでしょう。
副主任保育士になるには、保育士の経験が概ね7年以上必要です。また、職務分野別リーダーを経験し、マネジメントと3つ以上のキャリアアップ研修を修了することが求められます。
処遇改善等加算区分3の仕組みにより、副主任保育士は最大で月額4万円が加算されます。施設は、この加算額を役職や職務に応じて副主任保育士などに配分します。そのため、給与アップにつながる可能性があります。
出典
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(2025年9月4日)
専門リーダー
専門リーダーは現場で実務を行いながら、高い専門性に基づいてほかの保育士に助言やサポートなどをして、保育の質を高める役割を担います。保育現場のなかでも、高い専門性や知識をもつ中堅保育士のポジションといえるでしょう。
専門リーダーを目指す場合、保育士として概ね7年以上の経験が求められます。ほかにも、職務分野別リーダーを経験し、キャリアアップ研修を4つ以上受ける必要があります。
処遇改善等加算区分3の仕組みにより、副主任保育士と同様に最大で月額4万円が加算されます。施設はこの加算額を役職や職務に応じて専門リーダーなどに配分するため、給与アップにつながるケースがあるでしょう。
出典
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(2025年9月4日)
職務分野別リーダー
職務分野別リーダーは特定の分野において専門的な知識を活かし、保育の質を向上する役割を期待される役職です。職務分野別リーダーになるには、担当する分野の研修を終了する必要があります。職務分野別リーダーは、概ね3年以上の経験があれば目指せるため、若手や中堅の保育士が目指すキャリアアップの第一歩といえるでしょう。
処遇改善等加算区分3の仕組みにより、職務分野別リーダーは最大で月額5,000円が加算されます。施設はこの加算額を役職や職務に応じて配分するので、給与がアップする可能性があります。
出典
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(2025年9月4日)
クラス担任の保育士
クラス担任になると、保育指導計画の作成や保護者対応、連絡帳の記入など、さまざまな業務を行う必要があります。
保育園によっては、経験の浅いうちからクラス担任を任されるケースもあるようです。また、0〜5歳児のどのクラスを担当したいか希望を出せる場合もあります。担当するクラスによって、1日の業務の流れや身につくスキルは変わるでしょう。
保育補助の保育士
保育補助は、クラス担任や保育園全体のサポート役を担います。日によってサポートするクラスが変わる場合もあるようです。また、保育園によっては、パートやアルバイトなど非正規雇用の職員が多いケースもあります。
基本的には主にサポートを行うのが中心ですが、クラス担任が休みの場合はメインで子どもを保育したり、保護者対応をしたりする場合もあるでしょう。
保育士の等級表とは
保育士の等級表とは人事管理制度の1つで、職務や能力、役割ごとに職員を順列化するものです。保育園によっては、等級制度が設けられていない場合もあります。
以下は、保育園における等級表の一例です。
等級 | 職層 | 役職など |
7 | 経営層 | 理事長 |
6 | 管理職 | 園長 |
5 | 監督職 | 主任保育士 |
4 | 指導職 | 副主任保育士 |
3 | 指導職 | 専門リーダー |
2 | 一般職 | 職務分野別リーダー |
1 | 一般職 | 新人保育士 |
上記はあくまで一例となるため、勤務先の等級表については就業規則などで確認し、今後どのような役職に就きキャリアアップしていけるかの参考にしてみましょう。
保育士が役職に就くメリット
保育士が役職に就くメリットは、収入アップにつながったり、モチベーションを維持できたりすることです。ここでは、保育士が役職に就くメリットを3つ紹介します。
収入アップにつながる
役職に就くと、収入アップにつながる可能性があるのはメリットといえます。役職手当や処遇改善加算によって、給与が上がる場合もあります。役職に就いて収入が増えると、仕事のやりがいやモチベーションアップにもつながるでしょう。
モチベーションを維持できる
役職に就くと、重要な業務やリーダーを任されることがあるため、仕事に対するモチベーションを維持しやすくなる方もいるようです。役職は責任が重いと感じることもありますが、業務を上手く進められたり、スキルを磨けたりするとやりがいにつながる可能性もあります。
保育環境を整備できるチャンスが広がる
役職に就くと、管理職と会話したり、重要な会議に参加したりする機会が増え、保育方針や職場環境について自分の意見を伝えられる場合もあります。「子どもたちの活動に◯◯を取り入れたい」「◯◯によって職場環境を改善したい」など、自分の理想を実現できるチャンスが広がる可能性があるのはメリットといえるでしょう。
役職別の保育士の給料
以下のデータによると、私立・公立保育園どちらも保育士の役職が上がると給与もアップしているのが分かります。
役職 | 私立(常勤)賞与込み | 公立(常勤)賞与込み |
施設長(園長) | 58万354円 | 64万5,307円 |
主任保育士 | 47万2,529円 | 56万2,944円 |
保育士 | 34万1,468円 | 36万3,315円 |
参照:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果 (p.11)」
私立園の場合、保育士と主任保育士の給与には約13万円差があります。主任保育士と施設長(園長)の給与には約11万円差があるのが分かるでしょう。
公立園の場合も同様に、保育士と主任保育士の給与には約20万円差があります。主任保育士と施設長(園長)の給与には、約8万円差が生じているのが分かります。
私立・公立園ともに、役職に就くと責任が重い仕事を任され、業務が増えたりする分、給与アップにつながる可能性があるといえます。
出典
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果」(2025年9月4日)
保育士が役職に就く方法
保育士が役職に就くためには、経験を積んだりスキルを磨いたりする必要があります。具体的には、以下のような方法で役職に就くためのスキルを身につけ、チャンスを掴めるでしょう。
キャリアアップ研修を受ける
同じ保育園で長く働き経験を積む
運動保育士や絵本専門士など、保育関連の資格を取得する
役職に就ける保育士求人を探して転職する
勤務先の保育園で役職に就くためには、キャリアアップ研修を受けたり、長く働き続けたりする必要があります。また、保育に活かせる資格を取得すれば、専門性が評価されキャリアアップにつながる可能性もあるでしょう。
なお、スキルや経験が評価されれば、転職により役職に就けることも。現在の職場で役職に就いていなくても、ほかの保育園であれば空きがあり、主任保育士や副主任保育士などになれる可能性があります。
保育士の役職名の書き方
ここでは、履歴書や職務経歴書における保育士の役職名の書き方を解説します。役職に就いている方は、正しい書き方を把握しておきましょう。
履歴書の職歴欄に保育士の役職を書く場合
履歴書の職歴欄には、以下のように保育士の役職を記載します。
平成30年4月 社会福祉法人△保育園 入職
令和3年4月 職務分野別リーダーに昇進
現在に至る
履歴書の職歴欄において役職の記載は必須ではありませんが、アピールするために書いておくのがおすすめです。役職について面接で質問される場合もあるため、業務内容や経験、身についたスキルなどを回答できるように準備しておきましょう。
職務経歴書に保育士の役職を書く場合
職務経歴書には、以下のように保育士の役職を記載しましょう。
平成30年4月 社会福祉法人△保育園 入職
認可保育園 職員数:20名、園児数:30名
【雇用形態】正社員
【担任業務】職務分野別リーダー(乳児保育リーダー)
【職務内容】2歳児クラスの担任および乳児保育リーダーとして管理・指導を担当。新人保育士向けのマニュアル作成や研修を実施。
職務内容には、任されたポジションや担当業務などを簡潔に記載します。面接では詳しく聞かれる可能性があるため、アピールできるように役職経験を棚卸しておきましょう。
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保育士の役職に関する質問
ここでは、保育士の役職に関する質問にQ&A形式で回答します。公務員保育士や必要なスキルについて参考にしてください。
公務員保育士にも役職はありますか?
公務員保育士にもクラス担任や主任保育士、園長などの役職があります。一般的には、年功序列でキャリアアップしていくようです。昇格試験に合格し、自治体より任命されると園長になれるというのが一般的な流れです。
保育士が役職を目指すうえで必要なスキルとは?
目指す役職にもよりますが、基本的な保育のスキルに加えて、コミュニケーション能力やリーダーシップ、マネジメントスキルなどが必要になるでしょう。また、キャリアアップ研修を受講し、専門的な知識を身につける必要があります。役職が上がるにつれ、幅広いスキルや知識が求められるでしょう。
まとめ
保育士の役職には、園長や主任保育士、副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーなどがあります。保育士としての経験を積み、キャリアアップ研修を受けたりすれば役職に就けるチャンスが広がるでしょう。
保育士が役職に就くメリットは、収入アップや仕事へのモチベーションの維持につながることです。保育士が役職に就くためには、キャリアアップ研修を受けたり資格を取得したり、スキルを身につける必要があります。同じ保育園で長く働き経験を積むのも大事ですが、転職により役職に就ける場合もあるでしょう。保育士向けの転職エージェントに相談するのも1つの方法です。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。