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保育士の派遣ってどうなの?実際の仕事内容やメリット・デメリットを解説
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「派遣保育士で働くのはどうなのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。派遣保育士は、ライフスタイルに合わせて働けるのが魅力といえます。派遣保育士は原則として期間限定で雇用され、即戦力として働くことが求められるようです。 この記事では、派遣保育士の仕事内容や給料の平均、福利厚生を解説します。派遣保育士のメリット・デメリットや働く際の注意点も紹介するので、ぜひご確認ください。
目次
保育士の派遣って実際どうなの?
保育士の派遣は自由な働き方がしやすいというイメージがありますが、実際は派遣の種類によって働き方が異なります。ここでは、派遣保育士の種類と正社員やパートとの違いをまとめました。
派遣保育士の種類と働き方
派遣保育士には、「登録型派遣」「紹介予定派遣」「常用型派遣」の3種類があります。派遣保育士は、種類ごとに雇用主や就業期間に違いがあります。
派遣の種類 | 雇用主 | 就業期間 |
登録型派遣 | 派遣会社(就業中のみ雇用関係が発生) | 最長3年 |
紹介予定派遣 | 派遣会社→派遣先企業(派遣期間終了後に双方の合意があれば直接雇用) | 最長6ヶ月 |
常用型派遣 | 派遣会社 | 無期限 |
「登録型派遣」の保育士は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の保育園で働くのが特徴です。契約期間は派遣先との合意により決まります。同一の派遣先での就業期間は最長で3年です。
「紹介予定派遣」の保育士は、派遣期間中は派遣会社が雇用主です。派遣期間が終了後に双方の合意があれば、派遣先の保育園と直接雇用契約を結びます。派遣としての就業期間は最長6カ月です。
「常用型派遣」の保育士は、派遣会社と無期限の雇用契約を結び、派遣先の保育園で派遣会社の正社員または契約社員として働きます。派遣会社と保育士との雇用契約は無期限ですが、派遣先での就業期間は派遣先の保育園のニーズによって異なるため、注意が必要です。
保育士の派遣は「登録型派遣」が主流ですが、派遣には3つの種類があり、ライフスタイルやキャリアプランに合わせて最適な選択をするのが大切といえるでしょう。
正社員やパート・アルバイトとの違い
保育士の働き方は、派遣のほかにも、正社員やパートがあります。3つの雇用形態による違いを以下の表にまとめました。
雇用形態 | 雇用主 | 期間 | 勤務時間 | 賃金 |
派遣・非正規 | 派遣会社 | 有期 | フルタイム
または パートタイム | 時給制が
一般的 |
正社員・正規 | 保育園の運営元 | 無期 | フルタイム | 月給制が
一般的 |
パート/
アルバイト・非正規 | 保育園の運営元 | 有期または無期 | フルタイム
または パートタイム | 時給制が
一般的 |
派遣は保育士として柔軟な働き方を希望する方や、高時給で働きたい方におすすめです。また、ブランクがある方や、幅広い職場を経験したい方にも向いている可能性があります。
正社員は、安定した収入と長期的なキャリア形成を望む保育士に合っている働き方といえます。正社員の保育士は、責任のある業務を担当する傾向にあります。
パート・アルバイトは、短時間勤務や1週間のうち数日の勤務を希望する保育士に適している傾向にあります。保育士として扶養範囲内で働きたい方にも向いている働き方でしょう。
雇用形態にはそれぞれの特徴があるため、違いを理解して自分に合う働き方を見つけましょう。
派遣保育士の仕事内容
派遣保育士の仕事内容は、どのようなものなのでしょうか。ここでは、派遣保育士の仕事内容を解説します。
派遣保育士の仕事とは
派遣で保育士として働く際は、即戦力として保育現場で求められる傾向にあり、スムーズに業務に対応できる適応力や経験が期待されます。仕事内容は、保育補助やサポートを行うことが多いようです。具体的には、子どもの身の回りのお世話や遊びの見守りなどが含まれます。
派遣保育士の1日の流れ
派遣保育士の就業時間は契約内容によって異なりますが、週5日フルタイムで働く派遣保育士の1日の流れを一例として以下にまとめました。
午前8時30分 | 出勤
登園してくる子どもたちの受け入れ 自由遊びの見守り |
午前9時45分 | 朝の会のサポート |
午前10時 | クラス活動に参加
園庭遊びの見守り 散歩 制作活動の補助 |
午後12時 | 給食の準備
手洗いやトイレの介助 食事の見守り、介助 |
午後1時 | 午睡の寝かしつけ
保育室の清掃 休憩 |
午後3時 | おやつの準備と介助 |
午後4時 | 帰りの会のサポート
自由遊びの見守り 保護者への引き渡し |
午後5時30分 | 退勤 |
派遣保育士のスケジュールは、正社員やパートの保育士と大きく変わらないことが分かります。なお、派遣保育士は正社員に比べて持ち帰り仕事や残業は行わない傾向にあるようです。
派遣保育士の時給・給料の平均
派遣保育士の給料は時給制で支払われるのが一般的で、高時給な傾向にあります。派遣保育士の時給は1,200〜1,800円とされています。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、常勤保育士(正社員)の年収(きまって支給する現金給与額+年間賞与その他特別給与額)は406万8,100円と想定されます。1ヶ月の勤務日:20日×8時間=160時間として計算すると、2,118円となります。
派遣保育士 | 常勤の保育士(正社員) | |
時給 | 1,200〜1,800円 | 2,118円 |
上記をもとに比較すると、派遣保育士の時給は常勤の保育士(正社員)よりも318円~918円低いことが分かります。しかし、園によって派遣保育士の時給や常勤の保育士(正社員)の給与は異なるため、あくまで参考にとどめてください。
出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年8月29日)
派遣保育士の福利厚生
派遣保育士の福利厚生は派遣会社によって内容が異なりますが、正社員の保育士の福利厚生よりも充実していない傾向にあります。派遣保育士の場合、社会保険や有給休暇などが派遣会社を通じて提供されるのが基本ですが、交通費の支給や資格取得の支援制度などは対応していない場合もあるでしょう。派遣保育士の福利厚生の内容や充実度は、派遣会社の規模や方針に依存します。そのため、保育士が派遣契約を結ぶ際は、事前に具体的な待遇を確認することが重要です。
紹介予定派遣の保育士は一定期間の派遣契約を終了すると、雇用元となる保育園の福利厚生が適用されます。
派遣保育士の福利厚生面は、正社員に比べて制約があるため、派遣会社選びや派遣先の環境は慎重に検討しましょう。
保育士が派遣で働くメリット
派遣保育士は、柔軟な働き方がしやすいことや幅広い保育施設で経験を積めるというメリットがあります。また、派遣保育士はパートの方よりも時給が高い傾向にあるのも魅力の1つです。ここでは、保育士が派遣で働くメリットを解説します。
柔軟に勤務できる傾向にある
派遣保育士は、柔軟に働けるのが魅力です。派遣保育士は派遣会社と契約を結び、契約内容に基づいて勤務先や勤務時間を選びます。派遣会社によっては、「週に数日だけ働きたい」「午前中の勤務を希望する」などの要望にも、対応してもらえる可能性があるでしょう。
また、自分のライフスタイルの変化に応じて働き方を調整しやすいのもメリットといえます。
さまざまな保育施設で経験を積める
派遣保育士は、原則として契約期間が決まっています。そのため、多岐にわたる現場で経験を積めます。派遣保育士は、幅広い保育施設で勤務するチャンスがあるため、スキルや知識を幅広く身につけられるのが魅力です。保育施設ごとに求められるスキルが異なるため、柔軟な対応力や多様な保育方法を学べるのもメリットです。
また、さまざまな保育施設での勤務経験を通じて、自分に合った働き方や職場のスタイルを見つけられるのも魅力といえます。派遣で保育士として働くと、どのような保育施設で働くのが自分に向いているのかを知る機会となるため、将来的に正社員を目指す場合、職場選びの参考になるでしょう。
パートと比較して高時給の傾向がある
派遣保育士はパートの保育士と比較して、高い時給が得られる傾向にあります。派遣保育士は即戦力としての働きを期待されるため、その経験やスキルに見合った報酬が設定されやすいようです。派遣保育士の時給が高いと、パートの保育士と同じ時間働いても、効率的に収入を得られる可能性があります。そのため、短時間でしっかりと収入を得たい保育士にとって、メリットのある働き方といえます。
保育士が派遣で働くデメリット
派遣保育士は、雇用の不安定さや長期的なキャリア形成が難しいのがデメリットといえます。派遣保育士は、正社員と比較して、責任のある仕事を任されにくい点も注意が必要です。ここでは、保育士が派遣で働くデメリットを紹介します。
雇用が安定しにくい
派遣保育士のデメリットは、雇用の安定性が低い傾向にあることです。派遣保育士は原則的に契約期間が定められており、更新されるか定かではありません。派遣先の保育園が契約を更新をしない場合、保育士は次の勤務先を見つける必要があります。次の職場を見つけても自分とは合わなかったり、ほかの候補者がいてすぐに決まらない場合もあります。収入がない期間が発生してしまう可能性があるのは、デメリットといえます。
長期的なキャリア形成が難しい
派遣保育士は契約期間が短期間の傾向にあり、長期的なキャリア形成が難しい点もデメリットでしょう。同じ園で長期間勤務すると、経験を積んでスキルアップし、昇給する場合もあります。しかし、派遣保育士は特定の施設内でリーダーシップを発揮したり、専門的なスキルを深めたりすることが難しく、職務の幅を広げにくいかもしれません。このような理由から、派遣保育士は長期的なキャリアビジョンを描くのが難しく、その点はデメリットといえます。
責任がある仕事を任されにくい
派遣保育士は契約期間が限定されているのが一般的なため、責任の重い業務を経験しにくい点がデメリットです。クラス担任や施設全体の運営に関わる業務は、長期的な雇用が前提となる正社員の保育士に任される傾向にあります。研修や育成を限られた期間内で行うのが難しく、園は派遣保育士に対し、責任の重い業務を任せることに慎重になるようです。責任のある仕事を任されにくい状況が続くことで、保育士としての成長に限界を感じる方もいるようです。
派遣保育士に向いている人の特徴
派遣保育士はどのような方が向いているのでしょうか。ここでは、派遣保育士に向いている人の特徴を解説します。
柔軟な働き方がしたい人
派遣保育士は働く時間や期間を選択しやすいため、自分のライフスタイルに合わせた働き方を希望する方に向いています。子育てや家庭の事情でフルタイム勤務が難しい場合、派遣保育士ならば、週に数回勤務したり、短時間での勤務が可能です。派遣保育士は原則として契約期間が定められているため、一定期間だけ働きたい方にも向いているでしょう。
短期間で保育の経験を積みたい人
派遣保育士は、契約期間が定まっているため、短期間で幅広い保育施設で働ける可能性があります。まだ自分の進むべき保育の方向性が定まっていない方や、多くの保育施設での経験を通じてスキルを磨きたい方は、派遣保育士で経験を積むのも1つの選択肢です。派遣保育士として働くと、各保育施設の特色を理解でき、保育士としての幅を広げるのに役立つでしょう。
人間関係のしがらみを避けたい人
派遣保育士は契約期間が限られているため、職場の人間関係のストレスを軽減しやすいのが魅力です。派遣保育士は長期間同じ職場で働く必要がないため、職場の人間関係に縛られたり、深く入り込み過ぎたりすることを避けたい方に向いています。派遣保育士の場合、職場の運営や管理に関する責任を負いにくいため、人間関係のトラブルに巻き込まれにくいケースもあります。派遣保育士は契約ごとに気持ちを切り替えて働きやすい点もメリットといえるかもしれません。
柔軟性と順応力がある人
派遣保育士は、派遣先の保育施設ごとに異なるルールや方針に従って働くことが必要です。そのため、派遣保育士には、新しい環境や業務内容に迅速に適応できる柔軟性と順応力が求められます。柔軟性があると、保育施設ごとの特色や方針をポジティブに受け入れ、多様な保育経験を通じて自己成長を遂げられます。順応力があると、派遣先の期待に応えやすく、スムーズに仕事を進められるでしょう。
新しい環境で働くことに抵抗が少ない人
派遣保育士は、契約ごとに新しい職場で働く機会があるため、環境に馴染むのが得意な方に向いています。派遣保育士は短期間で複数の保育施設を経験するため、職場が変わるごとに人間関係をゼロから築く必要があります。派遣保育士は、環境の変化を楽しみながら働ける方や、前向きにチャレンジ精神を持って取り組める方に適した働き方といえます。
環境の変化をストレスと感じるのではなく、新しい出会いや経験を積極的に活かせる方であれば、派遣保育士として充実した働き方ができるでしょう。
保育士が派遣として働く際の注意点
派遣保育士として働く場合、派遣会社を慎重に選択し、契約内容をしっかり確認することが大切です。また、派遣期間が終了後のキャリアプランも考えておくのも重要といえます。
ここでは、保育士が派遣として働く際の注意点を解説します。
派遣会社を慎重に選ぶ
保育士が派遣として働く際、派遣会社を慎重に選択する必要があります。派遣会社によって求人情報の質やサポート体制に違いがあるため、しっかりチェックするのが大切です。希望する勤務地や条件に合った派遣先を紹介してくれるか、派遣先でのトラブルにどの程度サポートしてくれるかを事前に確認しましょう。
派遣会社の口コミや評判を調べてみるのも1つの方法です。また、福利厚生や研修制度が充実している派遣会社を選ぶと、働きやすさやスキルアップの機会が得られる可能性が高まるでしょう。
契約内容を確認する
派遣会社と契約するときは、契約内容をしっかりと確認しましょう。契約内容は、勤務地・勤務時間・時給・給与などが自分の希望や条件に合致しているか確認するのが重要です。契約内容は、保険や有給休暇、交通費の支給など、細やかな部分までチェックしましょう。口頭での説明と契約内容が異なる可能性もあるため、疑問点があれば事前に解消する必要があります。契約内容をしっかりと確認すると、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。
派遣期間終了後のキャリアプランを考える
派遣保育士として働く際は、派遣期間が終了した後のキャリアプランをあらかじめ考えておく必要があります。引き続き派遣保育士として働くのか、正社員やパートを目指すのか、自分の目標に応じて、派遣期間が終了した後の進路を明確にしましょう。派遣保育士として得たスキルや経験を次のキャリアにつなげるには、計画性が求められます。派遣期間が終わる前に、次の目標に向けて準備を進めると、スムーズに次の職場に移行できるでしょう。
「派遣保育士はどうなのか」という方によくある質問
「派遣保育士はどうなのか」と思う方に関して、よくある質問にQ&A形式で回答します。
派遣保育士の時給がパートの保育士より高い理由は?
派遣保育士は即戦力が求められるため、スキルや経験が重視され、その分パートの保育士より時給が高くなる傾向にあります。保育園は、必要な期間だけ即戦力となる派遣保育士を雇うことで人件費を抑えられるため、派遣保育士に高時給を設定できるようです。また、派遣保育士は交通費の支給や昇給がない場合もあり、その点を補う意味で時給が高めに設定されている場合もあります。
派遣保育士は副業が可能ですか?
派遣会社が認めていれば、派遣保育士は副業も可能です。派遣保育士はフルタイムだけでなく、週数日や短時間勤務など柔軟な働き方がしやすいため、空いた時間を利用して副業を行いやすいでしょう。しかし、派遣保育士が副業をする際は、体力面や時間の管理を慎重に行うことが大切です。副業が本業に悪影響を与えないように、無理のない範囲で行うのをおすすめします。
「派遣保育士は職場で嫌われる」って本当?
実際には「派遣保育は職場で嫌われる」ということはありません。派遣保育士は責任のある仕事を任されにくいことから、「楽をしているのでは」と誤解されることもあるようです。
派遣保育士だからといって嫌われるわけではなく、業務をしっかりとこなし、積極的にコミュニケーションをとるように心がけると、良好な人間関係を築けるでしょう。
自分が派遣保育士に適しているか気になる方は、本記事の「派遣保育士に向いている人の特徴」を参考にしてください。
まとめ
派遣保育士は、自由度の高い働き方や、幅広い施設で経験が得られるという点がメリットです。一方で、派遣保育士は雇用の不安定さや長期的なキャリア形成が難しいという課題も存在します。派遣保育士の働き方の柔軟性は魅力的ですが、派遣会社の選び方や契約内容の確認、派遣期間が終了後のキャリアプランなどに注意が必要です。派遣保育士は、新しい環境に柔軟に適応できる人や、自分のペースで働きたい人に向いています。長期的にキャリア形成をしたい人は、正社員の求人で働きやすい職場を探すのも1つの手です。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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