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保育士が受けるパワハラとは?事例や対処法、転職する際のポイントを解説

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ベテラン保育士に怒られる保育士の画像

保育士のなかには、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)に悩んでいる方もいるでしょう。上司や先輩保育士から無視されたり責任を負わされたりした場合は、パワハラに該当する可能性があります。 この記事では、職場におけるパワハラの定義や指導との違い、保育士ならではの事例を解説。パワハラを受けたときの対処法や転職のポイントも紹介します。パワハラに悩んでいる保育士の方は、解決に向けてぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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目次

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保育士が悩むパワハラとは

保育士が悩むパワハラとは、上司や先輩の保育士などから立場の優位性を背景に、攻撃を受けたり苦痛を与えられたりすることです悩んでいる保育士の方は、職場におけるパワハラの定義や指導との違いを把握しておきましょう。

職場におけるパワハラの定義

厚生労働省の「職場のパワーハラスメントとは (p.2)新規タブリンク」によると、パワハラとは職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えたり職場環境を悪化させたりする行為を指します。たとえば、以下のような行為はパワハラにあてはまる可能性があります。

  • 精神的な攻撃:同僚の目の前で叱責される

  • 身体的な攻撃:叩く、蹴る、殴るなどの暴行を受ける

  • 過大な要求:新人でやり方がわからないのにほかの人の仕事を押し付けられる

  • 過小な要求:保育士なのに草むしりだけ命じられる

  • 人間関係の切り離し:業務について質問したのに無視される

  • 個の侵害:交際相手について執拗に問われた

上記はあくまで一例のため、そのほかにも嫌がらせや攻撃を受けている場合はパワハラに該当する場合があります。

出典

厚生労働省「NO パワハラ新規タブリンク」(2025年7月23日)

パワハラと指導の違い

パワハラと指導の違いは、目的や必要性です。指導は相手の成長を促す目的があり、業務上必要なコミュニケーションといえます。一方、パワハラは立場の優位性を背景に相手に苦痛を与える行為です。

たとえば部下の言動に対し、ある程度の厳しさで注意したり叱ったりするのは上司の仕事といえるでしょう。ただし、必要以上に責めたり威圧的な態度を取ったりすると、部下に精神的苦痛を与えパワハラになる可能性があります。
パワハラなのか指導なのか迷ったときは、目的や必要性、冷静で落ち着いたコミュニケーションを取れるかといった部分を考えてみましょう。

保育士ならではのパワハラ事例

ここでは、保育園で働く保育士に関するパワハラの事例を紹介します。どのようなときにパワハラになるのか、参考にしてください。

子どもたちの前で叱られる・怒鳴られる

上司や先輩の保育士から意図的に子どもたちの前で叱られたり、ほかの職員が集まる会議中に怒鳴られたりするのもパワハラに該当します。保育士が叱られている姿は、子どもたちの精神的な苦痛になる場合も。指導として叱られるときもありますが、周りの人や状況に配慮せず度が過ぎている場合はパワハラになるでしょう。

上司や先輩から無視され情報を共有されない

保育士は、子どもの安全を守るためにほかの職員と連携するのが大切です。しかし、なかには、上司や先輩の保育士から無視され、情報を共有されないというパワハラを受ける場合も。必要な情報が共有されないと、精神的な苦痛を受けるほか、業務にも差し支えることもあります。日々のあいさつや会話など些細なことから無視され始め、業務に支障をきたすまで過剰になるケースもあるようです。

自分だけに責任を負わされる

保育士が保育中のトラブルや子どものケガなどの責任を1人で負わされた場合は、パワハラになるでしょう。保育中のトラブルや子どものケガが大きな場合は、上司が保育士に付き添って保護者に説明し対応するのが一般的です。また、保護者の対応に同席できなくても、上司が一緒に責任を負い改善に務めるのが適切な対応といえるでしょう。そのため、自分だけに責任を負わされた場合はパワハラだといえます。

勤務時間外に労働を強要される

上司や先輩の保育士から「退勤の打刻をしたにもかかわらず残業を指示される」「持ち帰りの仕事を任される」など過度な労働の強要はパワハラになります。保育士は行事の準備や保護者の対応などで勤務時間内に業務が終わらないこともありますが、その場合は残業として賃金が発生するのが適切です。勤務時間外に労働を強要されると、精神的にも体力的にも負担を感じるでしょう。

過去の失敗を何度も掘り返される

上司や先輩の保育士から過去の失敗を何度も掘り返され、小言を言われたり話のネタにされたりするのはパワハラに該当します。必要以上に失敗を掘り返されると、保育士として働く自信を喪失する可能性もあります。過去のミスを何度も掘り返されると、精神的な苦痛だけでなく失敗から学び成長していく過程の妨げになるでしょう。

パワハラによる保育士への影響

パワハラを受けると、体調を崩しやすくなったりキャリア形成に支障をきたしたりする恐れがあります。保育士でパワハラに悩んでいる場合、以下のような影響に注意し対処する必要があるでしょう。

体調を崩しやすくなる

パワハラを受けると、精神的な苦痛から体調を崩しやすくなります。ストレスが蓄積すると、体調に異変が起きるケースもあります。パワハラにより体調が悪化すると、仕事だけでなく、プライベートにも支障が出るでしょう。

キャリア形成に支障をきたす

パワハラは、保育士のキャリア形成に支障をきたすこともあります。パワハラを受けていると、正当な評価が受けられなかったり仕事へのモチベーションが下がったりするのがその理由です。キャリア形成は収入にも影響するため、生活に対する不安にもつながる可能性があります。

保育士がパワハラを受けたときの対処法

保育士がパワハラを受けたときは、証拠を残したり相談窓口に助けを求めたりして対処しましょう。ここでは、保育士向けにパワハラを受けたときの対処法を6つ紹介します。

パワハラの証拠を残しておく

パワハラを受けたときは、「いつ・どこで・誰に・何をされた(言われた)か」、メモして証拠を残しておきましょう。証拠を残しておくと、上司に相談する際や外部に助けを求める際に役立ちます。パワハラの証拠として役立つ可能性があるものは、以下のとおりです。

  • パワハラの状況を記録したノート

  • ボイスレコーダー

  • スマホの録音・撮影データ

  • 医師からの診断書

もし日常的にパワハラを受けているのであれば、音声を録音しておくと証拠になるでしょう。また、暴力によるケガや精神的な不調がある場合は病院を受診し、医師からの診断書を発行してもらうと証拠の1つになります。

信頼できる先輩や同僚、家族に相談する

パワハラを受けた際は、信頼できる職場の先輩や同僚、家族に相談してください。パワハラの悩みを1人で抱え込むと、適切な対処法が思いつかない場合もあるようです。信頼できる人に相談し助けを求めれば、解決する可能性もあるでしょう。

職場の相談窓口を利用する

職場によっては、パワハラに関する相談窓口を設けているケースもあります。また、労働組合に加入している場合、相談先が設けられている場合も。相談窓口が設置されている場合は、相談者と行為者のプライバシーを守ったうえで適切に対応してもらえるでしょう。企業によっては、匿名で相談できるケースもあるようです。なお、パワハラの相談先や処分については、就業規則に記載されている場合があります。

外部の相談窓口に助けを求める

職場や労働組合にパワハラの相談をしても適切な対応をしてもらえない場合は、外部の相談窓口の利用を検討してみましょう。厚生労働省の「あかるい職場応援団新規タブリンク」では、職場のハラスメントに関連する相談機関が紹介されています。
電話やメッセージなどで手軽に相談できる先もあるため、パワハラに悩んだときは外部への相談も検討してみましょう。

出典

厚生労働省「あかるい職場応援団新規タブリンク」(2025年7月23日)

体調を崩している場合は休職を検討する

パワハラにより体調を崩している場合は、休むのを検討するのも1つの方法です。保育士は休みにくいと感じることもありますが、体調が悪いのに働くと業務に支障が出る恐れも。休まないとさらに体調が悪化する場合もあるため、休職により心身の回復も検討してみましょう。

働きやすい労働環境へ転職を検討する

パワハラが解決しなかったり解決しても働きにくかったりする場合は、転職を検討してみましょう。問題が解決しても、パワハラの行為者と一緒に働き続けるのは精神的に辛い場合もあります。そのため、転職により労働環境を変えるのも1つの選択肢として検討してみましょう。

保育士がパワハラにより転職する際のポイント

保育士がパワハラにより転職する際は、退職理由の伝え方に注意したり転職エージェントを利用したりするのがポイントといえます。転職活動がスムーズにいくように、以下の2つのポイントを抑えておきましょう。

応募書類や面接での退職理由の伝え方に注意する

応募書類や面接で退職理由を問われた際は、前向きな表現を意識しましょう。パワハラにより退職したことは、プライバシーにも関わるため無理に伝える必要はありません。また、パワハラにより退職した理由を話す場合は、愚痴や他人を下げるような表現にならないように注意する必要があります。

たとえば、「年功序列の職場だったため、若いうちからキャリアアップを目指せる職場に転職したいと思った」「◯◯の業務に携わりスキルアップを目指したい」など、前向きな表現を意識しましょう。

ハローワークや転職エージェントを活用する

求人探しや選考対策で悩んだときは、ハローワークや転職エージェントに相談してみましょう。ハローワークや転職エージェントでは、求人紹介や応募書類の添削、模擬面接などが受けられる機会も。ハローワークや転職エージェントを利用すれば、疑問や不安なことを相談しながら転職活動を進められるでしょう。

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保育士が悩むパワハラ以外のハラスメント

保育士が職場で悩んでいることは、パワハラ以外のハラスメントにあてはまる場合もあります。ここでは、モラルハラスメント(モラハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)について解説します。

モラルハラスメント(モラハラ)

モラルハラスメント(モラハラ)とは、道徳や倫理に反した嫌がらせや攻撃により相手の尊厳を傷つける行為です。モラハラとパワハラの違いは、発生する場所と対象者にあります。パワーハラスメントは立場の優位性を背景に攻撃する行為であり、一般的に職場で発生します。

一方、モラハラの被害者と加害者の立場は明確ではありません。個人対個人において発生し、職場でも家庭でも起こります。また、モラハラには一般的に暴力は含まれません。職場の後輩や部下、同僚、保護者などから嫌がらせを受けた場合は、モラハラに該当する可能性があります。

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメント(セクハラ)とは、性的な発言や行為により相手に嫌がらせや攻撃をすることです。性的な要求をされたり身体を触られたりした場合は、セクハラに該当する可能性があるでしょう。

保育士は女性が多い職場ですが、同性からの行為もセクハラに該当する場合があります。また、被害者は女性に限らず、男性保育士が性的な嫌がらせを受けた場合も、セクハラに該当するでしょう。

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠中の女性に対する嫌がらせや攻撃をする行為です。たとえば、妊娠を理由に退職を促されたり検診は公休日に行くべきと強要されたりした場合は、マタハラに該当する可能性があります。

また、妊娠を報告したら急にクラス担当担任を外され、掃除や片付けなど雑用しか任されない場合、マタハラになるケースも。安全の観点や配慮から業務が変更されることもありますが、事前に相談がなかったり個人的な価値観の押しつけから仕事内容が変わった場合は、マタハラに該当する可能性があります。

保育士のパワハラに関する質問

保育士がパワハラを受けたときは、相談先や対処方法、証拠集めなどで悩むこともあるでしょう。ここでは、保育士のパワハラに関する質問にQ&A形式で答えます。

主任保育士からパワハラを受けたときはどうする?

主任保育士より上の立場の職員や園長、労働組合に相談しましょう。相談する際は、パワハラを受けた状況をメモしておくと証拠として伝えやすくなります。また、職場内で解決できない場合は、外部の相談窓口の利用を検討しましょう。

パワハラを受けたときボイスレコーダーの録音は証拠になる?

ボイスレコーダーの録音は、パワハラの証拠になります。日常的にパワハラを受けていて解決しない場合は、ボイスレコーダーの録音で証拠を残しておくと相談時に役立つでしょう。なお、パワハラを記録したメモもあると、状況を伝えやすくなります。

保育士がパワハラを受けたとき訴えることは可能?

パワハラについて弁護士に相談すれば、状況や証拠によっては訴えることもできるようです。職場内での解決が望ましいですが、パワハラによる被害があまりにも大きい場合は、公的な窓口や弁護士への相談も検討してみましょう。

パワハラで保育士をやめたいときは?

まずは、保育士自体は辞めずに職場を変えることを検討してみましょう。保育士資格や経験を活かせば、転職活動がスムーズにいく可能性があります。なお、保育士をどうしても辞めたい場合は、転職の軸を明確にしたうえで、ほかの職種でも活かせるスキル、強みから求人を探してみましょう。

まとめ

保育士が悩むパワハラとは、上司や先輩保育士などから立場の優位性を背景に、攻撃を受けたり苦痛を与えられたりすることを指します。保育士の言動に対して、成長を促すために注意したり怒ったりするのは指導として必要ですが、必要以上に怒鳴ったり攻撃したりするとパワハラに該当する可能性があります。

保育士は意図的に子どもの前で叱られたり、自分だけに責任を負わされたりしてパワハラを受ける場合もあるようです。パワハラを受けると、体調を崩しやすくなるだけでなく、保育士のキャリア形成にも影響する可能性が高いといえます。

保育士がパワハラを受けた場合、信頼できる上司や先輩などに相談しましょう。相談する際には、パワハラを記録したメモがあると伝えやすくなります。また、パワハラが解決しても働き辛さが続く場合は、転職も選択肢の1つとして検討してみましょう。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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