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保育士のボーナスは少ない?平均支給額や賞与アップを目指す方法を解説
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保育士のボーナス額が気になっている方へ向けて、最新の統計データをもとに詳しく解説します。政府統計によると、保育士の平均ボーナスは年間74万ほどで、基本給の2〜3ヶ月分が相場です。 この記事では、保育士のボーナスについて、年齢・経験年数・都道府県別の比較や支給条件、計算方法をまとめました。転職やキャリアアップを考える際の参考情報として、ご活用ください。
目次
保育士の平均的なボーナスはいくら?
政府統計の総合窓口(e-Stat)の「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号1)」によると、保育士の平均ボーナス額は74万1,700円です。
性別 | 年間賞与その他特別給与額 |
男性 | 79万3,300円 |
女性 | 73万8,000円 |
男女計 | 74万1,700円 |
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号1)」
保育士のボーナスは年2回に分けられるのが一般的なため、半分ずつ支給された場合は1回あたり37万円程度となります。保育士の基本給はおおよそ15〜25万円なので、ボーナス1回あたりの相場は基本給の2〜3ヶ月分といえるでしょう。
なお、月収とボーナスの比率は職場によって異なるため、賞与が低くても年収が高いケースもあります。「ボーナスが低い=待遇が悪い」ではないので、働きぶりやスキルなどに対していまの給与が妥当かどうかを調べるときは、年収ベースで平均データやほかの職場と比べることが大切です。
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出典
政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年7月1日)
保育士のボーナスは高い?低い?
ここでは、保育士の平均ボーナス額がほかの職種と比べて高いか、低いかについて解説します。異業種との比較や私立・公立保育園の違いをまとめました。
ほかの職種と保育士のボーナス比較
政府統計の総合窓口(e-Stat)の「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号1)」によると、幼稚園教諭・保育教諭に比べると保育士の平均ボーナス額は低い傾向にあります。
職種 | 年間賞与その他特別給与額 |
保育士 | 74万1,700円 |
幼稚園教諭・保育教諭 | 80万8,100円 |
栄養士 | 65万4,600円 |
受付・案内事務員 | 48万5,800円 |
販売店員 | 43万9,900円 |
理容・美容師 | 10万9,800円 |
飲食物調理従事者 | 35万6,400円 |
自動車営業職業従事者 | 108万6,100円 |
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号1)」
一方で、栄養士や受付・案内事務員、販売店員などの職種と比較すると、保育士の平均ボーナス額は高いことがわかります。営業職や高度な専門性が問われるIT系、金融・法律系などの職種と比べると、保育士の平均ボーナス額は低くなりますが、ほかの職種と比べて特別低いというわけではありません。なお、上記はあくまで平均ボーナス額となっているため、参考程度に押さえておきましょう。
出典
政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年7月1日)
公立保育士と私立保育士のボーナス比較
総務省の「令和6年4月1日地方公務員給与実態調査結果 第5表 職種別職員の平均給与額(p.4)」によると、保育士が含まれる福祉職の平均ボーナス額は143万4,758円です。前述した保育士の平均ボーナス額(74万1,700円)を上回っており、公立保育園で働く公務員保育士の賞与は私立に比べ高い傾向がうかがえます。
ボーナスの内訳 | 金額 |
期末手当 | 77万8,451円 |
勤勉手当 | 65万6,307円 |
合計 | 143万4,758円 |
公務員のボーナスは、一般的に期末手当と勤勉手当として支給されます。期末手当とは、生活費の補充を目的とした手当で、民間の賞与や特別給との均衡を考慮して支給額が決定されるものです。勤勉手当とは、勤務成績に応じて支給され、成績率という評価に基づいて支給額が決まります。公務員のボーナスは、民間企業との給与格差が生じないように調整されたり、業績に影響されたりしないのがポイントといえるでしょう。
出典
総務省「令和6年4月1日地方公務員給与実態調査結果」(2025年7月1日)
【年齢別】保育士の平均ボーナス額
政府統計の総合窓口(e-Stat)の「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号5)」によると、保育士の平均ボーナス額は年齢が上がるにつれ高くなる傾向がみられます。
年齢 | 年間賞与その他特別給与額 |
20~24歳 | 51万7,800円 |
25~29歳 | 62万7,000円 |
30~34歳 | 65万6,300円 |
35~39歳 | 83万7,400円 |
40~44歳 | 80万8,200円 |
45~49歳 | 86万3,700円 |
50~54歳 | 81万9,000円 |
55~59歳 | 95万7,100円 |
60~64歳 | 81万3,000円 |
65~69歳 | 51万8,900円 |
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号5)」
保育士のボーナス額は、20代から30代前半にかけて緩やかに上昇していますが、30代後半から40代にかけて大きく増加しています。保育士のボーナスは経験やスキルの蓄積に応じて上昇し、ベテラン層では比較的安定した水準になっているようです。
出典
総務省「令和6年4月1日地方公務員給与実態調査結果」(2025年7月1日)
【経験年数別】保育士の平均ボーナス額
政府統計の総合窓口(e-Stat)の「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号10)」によると、保育士は経験年数が上がるほどボーナスも増える傾向です。
経験年数 | 年間賞与その他特別給与額 |
0年 | 12万9,100円 |
1~4年 | 58万4,000円 |
5~9年 | 67万600円 |
10~14年 | 72万円 |
15年~ | 100万3,900円 |
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号10)」
保育士は経験を積むにつれて専門性が高まり、クラス担任やリーダーなど責任の重い仕事を任されるようになるため、それに応じてボーナスも増加していきます。主任保育士や園長などの役職に就くと、さらにボーナスが増える可能性もあるでしょう。
出典
政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種(表番号10)」(2025年7月1日)
【都道府県別】保育士の平均ボーナス額
政府統計の総合窓口(e-Stat)の「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 都道府県別」によると、都道府県別の保育士の平均ボーナス額は以下のとおりです。
都道府県 | 年間賞与その他特別給与額 |
北海道 | 103万4,700円 |
東京都 | 64万2,300円 |
愛知県 | 70万3,000円 |
大阪府 | 68万3,300円 |
福岡県 | 80万9,000円 |
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 都道府県別」
上記の都道府県のなかで、一番ボーナスが高いのは北海道です。東京や大阪などの大都市だからといって、平均ボーナス額が高いわけではありません。なお、同じ県内でも都市部と郊外でボーナスの金額に差が出ることもあるため、転職したい地域の求人を比較検討してみましょう。
出典
政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 都道府県別」(2025年7月1日)
保育士向けボーナスの基本
ここでは、ボーナスについて知っておきたい基本的な知識として、支給条件や手取りの計算方法などを解説します。一般的な例として、参考にしてみてください。
ボーナスの支給条件は?
ボーナスの有無や支給条件は職場によって異なります。賞与がある園の場合、正社員は支給対象になるでしょう。パートやアルバイトなど非正規雇用の大半は、ボーナスが支給されない傾向にあります。ボーナスがもらえる場合であっても、正社員に比べるとパートやアルバイトへの支給額は低くなるでしょう。
ボーナスの支給条件としては、一般的に「一定期間の勤務実績」が問われます。入職後、ボーナス支給月の前日までに3〜6ヶ月以上の勤務実績がないと、支給対象外になることもあるようです。支給条件は就業規則や契約書などに記載されているため、入職前や入職時に確認しましょう。
ボーナスは年何回・いつ支給される?
保育士のボーナスは、年2回に分けて支給されるのが基本です。ボーナスの支給日は、給与日と同じ日の場合と別の日に設定されている場合があります。夏季賞与が6月または7月に、冬季賞与が12月に支給されるのが一般的です。
職場によっては、年3回支給(夏・冬・決算賞与)や年1回にまとめて支給する場合もあります。ただし、ボーナスが年3回あったとしても、そのぶん支給額が多いとは限りません。単にボーナス支給を3回に分けているだけの可能性も理解しておきましょう。
ボーナスの計算方法は?
保育士のボーナスは、一般的に「基本給×支給月数」で計算されます。基本給とは、残業代や各種手当などを除いた、毎月決まって支払われる賃金です。ボーナスの計算例は、以下のようになっています。
年2回支給の場合 | 計算方法 |
夏 | 基本給20万円×1.5ヶ月=30万円 |
冬 | 基本給20万円×2ヶ月=40万円 |
合計 | 70万円 |
ボーナスの支給額は、勤続年数や勤務態度、仕事ぶりなどによる人事評価によって変動額が加わる場合もあります。また、出勤率も考慮され、病気や私用による欠勤が多いときは減額されることもあるでしょう。
ボーナスの手取りの計算方法は?
ボーナスは、以下の税金が差し引かれた金額が手取りになります。所得税は総支給額が多いぶん通常の給与よりも高い税率が適用され、ボーナスの額によって10%以上の税率になることもあるようです。
所得税
厚生年金保険料
健康保険料
雇用保険料
ボーナスの手取り額は、支給総額のおおよそ75〜85%程度になるのが一般的です。たとえば、ボーナスの支給総額が70万円の場合、手取りは52万5,000円〜59万5,000円ほどとなります。
保育士向けボーナスの注意点
ここでは、保育士向けにボーナスの支給のあり・なしについて注意点を解説します。勤続年数や雇用形態などにあわせて、参考にしてみてください。
保育士1年目のボーナスは少ない可能性がある
保育士1年目のボーナスは、勤務日数が少なかったり実績がなかったりするため、経験者と比べて少ないのが一般的です。4月入職の場合、最初の夏のボーナスまで勤務期間が短いため、減額されるか支給されないケースもあります。就業規則で「6ヶ月以上勤務した者に支給」のような条件がある場合は、最初のボーナスが支給されないこともあるため注意が必要です。
1年目のボーナスについて知りたい場合は、「支給条件はあるか」「いつから満額支給されるか」といった内容を職場に質問してみましょう。将来的な見通しも含めて理解しておけば、金銭面での計画が立てやすくなります。
産休・育休中のボーナスは就業規則であり・なしが決まる
産休・育休中のボーナスについては、職場の就業規則によって支給の有無や金額が決まります。産休中(産前6週間・産後8週間)は、休む前の評価対象期間に勤務実績があるためボーナスが支給される可能性があるでしょう。また、園によっては育休中も一部支給する場合や、復帰後に調整金として支給するケースもあります。産休・育休を考えている場合は、事前に園の規定を確認しておくことが大切です。
派遣保育士はボーナスがないことが多い
派遣保育士は、派遣会社との雇用契約に基づいて時給制で給与が支払われるため、一般的にボーナスがないことを理解しておきましょう。ただし、派遣会社によっては「皆勤手当」「継続勤務手当」「紹介手当」などの名目で、ボーナスに近い特別手当を支給する場合もあるようです。また、派遣保育士はボーナスがないことを考慮して、一般的にパートやアルバイトに比べ時給が高く設定されています。
保育士がボーナスをアップする方法
ここでは、保育士がボーナスアップする方法について解説します。ボーナスアップを目指している方は、スキルアップに取り組んだり転職エージェントに相談してみたりしましょう。
同じ職場で長く働き続ける
保育士のボーナスは年齢や経験年数によって上がる傾向があるため、同じ職場で長く働き続けると賞与の支給額が増える可能性があるでしょう。たとえば、「勤続3年で基本給の3.0ヶ月分、5年で3.5ヶ月分」というように、段階的にボーナスが増えるように支給額が設定されている場合があります。長く働くことで保育の経験や知識も深まり、園の行事や保育方針にも精通してくるため、園側からの評価によりボーナスが増えるかもしれません。
評価制度の内容・基準に沿ってスキルアップする
保育の質や保護者対応、クラス運営など、人事評価の項目が保育士に周知されている場合は、基準に沿ってスキルアップするとボーナスアップにつながる可能性があります。評価制度に沿って、自分の弱点を克服したり強みを伸ばしたりすれば、効率よくスキルアップへの取り組みができるでしょう。
また、評価面談などで上司から指摘されたポイントを真摯に受け止め、改善に取り組む姿勢も大切です。園が求める保育士像に近づけば、それだけ評価も高まり、ボーナスアップにつながりやすくなります。
主任保育士やリーダーなどのキャリアアップを目指す
主任保育士やリーダーなどの役職に就くと基本給が上がり、それに比例してボーナスも増える可能性があります。保育園によっては、副主任や職務分野別リーダーなど、早い段階からキャリアアップを目指せるように中間的な役職を設けていることもあるようです。
役職を目指すためには、日々の保育業務はもちろん、園の運営面や保護者対応、行事のまとめ役など幅広いスキルが求められます。積極的に責任ある立場を引き受け、園全体を見る視点を養えば役職への道が開きやすくなるでしょう。
保育士向けのエージェントを利用して転職する
より高いボーナスを求めて転職する場合は、保育士向けのエージェントを利用するのがおすすめです。保育士向けの転職エージェントでは、保育業界の転職事情に詳しいアドバイザーから、待遇や働き方などの希望条件に合った求人紹介が受けられます。
転職エージェントを利用する際は、「年間ボーナス額」を具体的な数字で伝えることが大切です。たとえば「年間ボーナス80万円以上を希望」のように明確に伝えれば、条件に合った求人を探してもらえます。なお、ボーナスだけではなく、年収の希望条件も合わせて伝えることが大切です。
より良い待遇の保育園で働きたいとお考えの方は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士なら、希望する給与やボーナスの条件に合わせて、非公開求人を含む豊富な求人情報のなかから転職先を紹介します。待遇の相場感や交渉方法についても保育業界に精通したアドバイザーが丁寧にサポートしているので、安心してご利用ください。
保育士のボーナスに関するよくある質問
ここでは、保育士のボーナスに関するよくある質問に答えます。ボーナスのあり・なしや支給額についてまとめました。
保育士のボーナスで100万円は目指せる?
経営が好調だったり人手が必要だったりする保育園では、高いボーナスを支給される可能性があります。また、公務員保育士が含まれる福祉職の平均ボーナス額は約143万円となっており、公立保育園は私立に比べ高い傾向です。保育士の平均ボーナス額は約74万円となっているため100万円を目指すためには、同じ職場で長く働き続けたり役職に就いたりする必要があるでしょう。
パート保育士でボーナスありの職場はある?
人材確保に力を入れている職場や、正社員との待遇差を縮小している園では、パート保育士もボーナスが支給される可能性があるでしょう。ただし、パート保育士の場合、週の勤務日数や一日の勤務時間の条件を満たさないとボーナスの対象外になることもあるため注意が必要です。ボーナス支給のあるパート求人を探すには、求人情報で「賞与あり」に絞ったり、面接時に確認したりしましょう。
保育士でボーナスがないことはあるの?
保育士が働く職場によっては、「月給制ではなく時給制」「年俸制を採用している」などの理由でボーナスがないこともあるでしょう。ボーナスがない代わりに月給を高く設定している園もあるようです。「月給25万円・ボーナスなし」という条件は、「月給19万円・ボーナス年間70万円」と年収ベースでは同等になることもあります。求人情報を見る際は「賞与の有無」だけでなく、「年収ベースでの待遇」を確認することが重要です。
まとめ
保育士のボーナスの平均額は74万1,700円で、基本給の2〜3ヶ月分が一般的な相場となっています。ボーナスの金額は年齢や経験年数が上がるにつれて増加する傾向があり、15年以上の経験者では年間100万円を超えることもあるようです。また、公立保育園の方が私立より高い傾向にあり、公務員保育士のボーナスは年間143万円ほどになります。
保育士のボーナスは勤務先による違いも大きく、都市部だからといって必ずしも賞与が高いわけではありません。ボーナスは基本的に正社員が対象で、年2回の支給が一般的です。支給額は基本給×支給月数で計算され、勤務態度や出勤率なども考慮されます。手取り額は、支給総額の75〜85%程度と把握しておきましょう。ボーナスアップを目指して転職を検討している方は、保育士専門転職支援サービス「レバウェル保育士」にご相談ください。