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保育士資格とは?取得方法や保育士試験の難易度を解説

  • #保育士
紙の上に保育士と書かれた積木を持つ手のイメージ

保育士に興味があるものの、資格の取得方法がよくわからないという方もいるのではないでしょうか。 この記事では、保育士資格の取得方法を解説します。ほかにも取得するメリット、保育士として働く流れも紹介します。保育士試験を受験できる資格や合格率、勉強方法も紹介するので、興味のある方はぜひチェックしてください。

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「レバウェル保育士」編集部

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保育士資格とは

保育士資格とは、保育士をするために必要な国家資格です。児童福祉法新規タブリンク第18条によると、保育士とは保育士の登録を受け、保育士の名称を用いて専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を仕事とする者を指します。保育士は一人ひとりの行動や内面を理解し、自発的な活動(遊び)を中心とした保育で心身の発達を促したり、保護者に情報を提供したりしてサポートを行うなど、高い専門性が求められる仕事のため、資格が必須とされています。

出典

e-GOV法令検索「児童福祉法新規タブリンク」(2025年4月21日)

保育士になるには

保育士になるためには、保育士資格を取得する必要があります。保育士資格を取得するには、指定保育士養成学校を修了するか、保育士試験に合格するかの2通りあります。ここでは、2つの方法を解説します。

指定保育士養成施設を修了する

保育士資格は、指定保育士養成施設を修了すると取得できます。指定保育士養成施設では、座学や保育実習を通じて、専門的な知識や技術を身につけることが可能です。

こども家庭庁の「保育士になるには新規タブリンク」によると、指定保育士養成施設には、大学(4年制)・短期大学(3年制)・専門学校(2年制/3年制)があります。大学は、卒業までに時間がかかり学費が高い傾向にありますが、4年間で保育についてじっくり学べるのがメリットです。短期大学や専門学校は4年制大学に比べ短期間で卒業できますが、2~3年間で必須科目や実習を終える必要があるため、多忙になる可能性があるでしょう。

メリット・デメリットを比較し、自身の状況に合わせて指定保育士養成施設を選択するのが大切です。

出典

こども家庭庁「保育士になるには新規タブリンク」(2025年4月21日)

保育士試験に合格する

保育士資格は、保育士試験に合格すると取得可能です。保育士試験で資格を取得する場合は、指定保育士養成施設で学ぶ必要はありません。ただし、保育士試験を受験するには、受験資格を満たす必要があります。

こども家庭庁の「保育士になるには新規タブリンク」によると、概ね「短期大学卒業程度」が保育士試験を受験できる資格です。しかし、最終学歴が高等学校卒業の場合も「児童福祉施設で実務経験2年以上」などの条件を満たすのであれば、受験できます。

保育士試験には筆記試験と実技試験の2つがあり、筆記試験に合格すれば実技試験に進むことができます。誰でも受かる試験ではありませんが、しっかりと対策すれば合格可能な試験です。

出典

こども家庭庁「保育士になるには新規タブリンク」(2025年4月23日)

高卒・大卒・社会人の保育士資格の取得方法

東京都福祉局の「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)(p9)新規タブリンク」によると、指定保育士養成施設での保育士資格取得者は56.4%、保育士試験での保育士資格取得者は43.5%という結果になっています。ここでは、状況別で保育士資格の取得方法を紹介します。自分の状況に応じて、適切な方法で保育士資格の取得を目指しましょう。

高校卒業後に保育士資格を取得する場合

高校卒業後に保育士資格を取得する場合は、指定保育士養成施設に進学するのが一般的です。現場での実習と専門知識を学ぶことができ、修了と同時に試験なしで資格を取得できます。一方で、すぐに働きたい方には、就職して現場での実務経験を積んでから保育士試験を受験する選択肢もあります。

指定保育士養成施設で保育の知識を蓄えて保育士資格を取得するか、受験資格を満たして保育士資格を受験し資格取得を目指すのか、どちらも良し悪しがあるので、自分に合う方法を検討してください。

大学卒業後に保育士資格を取得する場合

大学生が保育士資格を取得する場合、通っている大学が指定保育士養成施設かどうかによって取得方法が異なるため、確認しましょう。指定保育士養成施設であれば、卒業と同時に保育士資格を取得できます。指定保育士養成施設ではない場合は、卒業後に保育士試験を受けて合格すれば、保育士資格を取得可能です。ただし、海外の大学は日本と教育制度が異なります。そのため、受験資格があるかどうかを保育士試験事務センターに問い合わせて確認しましょう。

社会人が働きながら保育士資格を取得する場合

社会人が保育士資格の取得を目指す場合は、保育士試験を受けるのが一般的です。保育士試験の受験資格があれば、収入を得て働きながら、保育士試験にチャレンジできます。仕事と保育士試験の勉強を両立させる必要があるため、試験に向けて計画的に学習に取り組みましょう。

保育士試験の概要

受験資格の条件は、最終学歴(中学校・高等学校・短期大学・専門学校・大学)によって異なります。ここでは、保育士試験の受験資格や内容、難易度について解説します。

保育士試験の受験資格

全国保育士養成協議会の「保育士試験を受ける方へ新規タブリンク」によると、保育士試験の受験資格は以下のとおりです。

最終学歴 受験資格の条件
中学校 受験資格に該当する児童福祉施設で、5年以上かつ7200時間以上の勤務経験
高等学校 ・卒業年月日が平成3年3月31日以前

・高等学校の保育科を平成8年3月31日以前に卒業

・受験資格または受験資格認定基準に該当する児童福祉施設で、2年以上かつ2880時間以上の勤務経験

上記のうち、どれか1つ以上の条件を満たす

短期大学 学校教育法に基づいた短期大学を卒業(保育以外の学科でも可)
専門学校 ・学校教育法に基づいた専修学校で、卒業した過程が卒業年限2年以上の専門課程である

(上記の条件を満たさない場合、平成3年3月31日以前に高等学校卒業または平成8年3月31日以前に高等学校保育科卒業であれば、受験資格あり)

大学 学校教育法に基づいた大学を卒業(保育以外の学部・学科でも可)

参照:全国保育士養成協議会「保育士試験を受ける方へ新規タブリンク

上記の表からも分かるとおり、保育士試験の受験資格は細かく条件が決まっています。保育士試験の受験を検討している方は、全国保育士養成協議会のホームページから、受験資格があるかどうか確認しましょう。

出典

全国保育士養成協議会「保育士試験を受ける方へ新規タブリンク」(2025年4月23日)

保育士試験の内容

保育士試験は大きく分けて筆記と実技があります。ここでは詳細を解説します。

筆記試験

保育士試験の筆記試験では、以下の8つの科目に合格する必要があります。

  • 保育原理

  • 教育原理及びおよび社会的養護

  • 子ども家庭福祉

  • 社会福祉

  • 保育の心理学

  • 子どもの保健

  • 子どもの食と栄養

  • 保育実習理論

各科目について合否が決まり、全科目合格すると筆記試験に合格できます。科目の合格判定は最大3年間有効なので、何回かに分けて筆記試験を受験することも可能です。

実技試験

保育士試験の実技試験では、以下の3分野から2分野を選んで受験します。

  • 音楽に関する技術

  • 造形に関する技術

  • 言語に関する技術

音楽ではピアノ、造形では絵画、言語では読み聞かせの技術が問われます。得意な領域で練習してから挑みましょう。

保育士試験の難易度と合格率

厚生労働省の「保育士の現状と主な取組(p.9)新規タブリンク」によると、平成28年から令和元年にかけて、保育士試験の前期試験と後期試験の合計の合格率は以下の表のとおりです。

受験申請者数 合格者数 合格率
平成28年度 70,710 18,229 25.8%
平成29年度 62,555 13,511 21.6%
平成30年度 68,388 13,500 19.7%
令和元年度 77,076 18,330 23.9%

参照:厚生労働省「保育士の現状と主な取組新規タブリンク

保育士試験の合格率は概ね20~25%前後であることから、試験の難易度は決して低くないといえそうです。一般的に、保育士試験には100~150時間ほどの勉強が必要といわれています。保育士試験を受験する際は、念入りに対策をして万全の状態で臨みましょう。

出典

厚生労働省「保育の現場・職業の魅力向上検討会(第5回)新規タブリンク」(2025年4月23日)

保育士資格を取得するための勉強方法

ここでは、保育士試験を受験するための勉強方法として独学と通信講座を紹介します。それぞれのメリットとデメリットを比較して、自分に合う勉強方法を見つけましょう。

テキストなどを使用して独学で勉強する

保育士試験の勉強は、テキストなどを購入して独学で勉強することも可能です。

独学で保育士試験の勉強をすると、以下のようなメリットがあります。

  • 自分のペースで好きな時間に勉強できる

  • 費用を抑えられる

  • テキストや動画学習など、自分で勉強方法を選べる

  • 主体的に学ぶ姿勢が身につく

計画的にコツコツと勉強を進めるのが得意であれば、空いた時間をうまく利用して保育士試験の勉強ができるため、独学での学習がおすすめです。また、比較的費用の負担が少ないため、気軽に勉強を始められるのもメリットでしょう。

独学で保育士試験の勉強をするデメリットは、以下のとおりです。

  • モチベーションの維持が大変

  • 疑問点があっても質問できない

  • 自分で計画を立てて進める必要がある

  • 保育士試験の最新情報の入手が難しい

独学で保育士試験の勉強をする場合は、学習の計画から試験の情報収集まで、すべて1人で行う必要があります。独学での勉強は、分からないところがあっても自力で解決するしかないため、効率的に勉強したい人にはマッチしにくい方法かもしれません。

保育士試験対策のできるの通信教育講座を受講する

保育士試験の対策には、通信教育講座を受講するのも1つの手です。

通信教育講座を受講すると、以下のようなメリットがあります。

  • 効率的に学習できる

  • 質問をして不明点を解決できる

  • 講師のサポートを受けられる

  • モチベーションを保ちやすい

通信教育講座では、保育士試験対策に特化した教育カリキュラムが組まれており、効率的に学習できます。ほとんどの通信講座では、何か勉強で困ったことがあれば講師に質問したり、サポートを受けたりできる体制が整っているため、モチベーションを保ちやすく、安心して学習できるのもメリットの1つです。

通信教育講座を受講するデメリットは、以下のとおりです。

  • 独学よりも受講料や教材費などの費用がかかる

  • サポートを受けられる期間が限られている

  • 課題の提出がある

  • 自分に不要と感じる教材も購入が必要な場合がある

通信教育講座は、独学での学習に比べると受講料や教材費がかかるため、費用が高くなる傾向があります。また、学習・在籍期間が限られていたり、課題の提出があったりするため、独学に比べると自由度は低くなります。決められたカリキュラムをこなしていく必要があるため、自分のペースで勉強したい場合は負担に感じる可能性があるでしょう。

保育士資格を取得して保育士になるメリット

保育士資格を取得して保育士になるメリットとして、資格の期限や更新がなく一生使えることや、転職の際に資格を活かせること、子育てのスキルが身につくことが挙げられます。ここでは、保育士資格を取得して保育士になるメリットを解説します。

保育士資格は期限がない

保育士資格は一度取得すれば更新を必要とせず、一生涯失効しない国家資格です。そのため、結婚や出産などのライフイベントで保育士を辞めたとしても、再び保育士として復職できます。家事や子育てと両立するためにパートで働くことも可能なため、保育士資格があれば、ライフステージに合った働き方が可能な点が魅力です。

転職の際に保育士資格を活かせる

保育士資格を所有していれば、保育園だけでなく、児童発達支援事業所や助産施設などほかの施設で働くことが可能です。

子どもに関わる職場では、保育士資格を持っていると即戦力として採用される可能性も高まります。保育士資格を活かして、自身のキャリアの幅を広げられるでしょう。

子育てのスキルが身につく

保育士資格は自身の子育てなど、実生活でも役立つ機会が多いでしょう。保育士として、子どもの接し方や発達段階に応じた対応を学ぶことで、自分の家庭でも活かせる育児スキルが身につきます。

保育士は保護者のサポートも仕事の1つのため、知人が子育てに悩んでいるときにも保育士としての知識を活かしてサポートできる場面があるかもしれません。

保育士資格を取得してから働くまでの流れ

保育士資格を取得できたら、保育士登録をして保育士証を発行し、保育士として就職します。ここでは、保育士資格を取得した後に保育士として働くまでの流れを紹介します。

保育士登録をして保育士証を発行する

保育士資格を取得した後は、各都道府県に保育士登録をして、保育士証を発行します。

社会福祉法人日本保育協会の「保育士登録申請手続き(新規登録)新規タブリンク」によると、保育士登録から保育士証交付の流れは以下のとおりです。

  • 1. 登録事務処理センターから、「保育士登録の手引き」を取り寄せる

  • 2. 保育士登録料4,200円を振り込む

  • 3. 保育士登録申請書・振替払込受付証明書・保育士となる資格を証明する書類の原本・戸籍謄本を用意する

  • 4. 登録事務処理センター宛に申請書類を提出する

  • 5. 各都道府県が書類の審査をし、保育士登録簿へ登録後、保育士証が交付される

保育士登録は郵送で手続きするため、必要書類の不足や記入漏れに注意しましょう。保育士登録の手続きに期限は設けられていないものの、登録から保育士証の交付までには時間がかかります。保育士登録の手続きは早めに行うようにしましょう

出典

社会福祉法人日本保育協会「保育士登録申請手続き(新規登録)新規タブリンク」(2025年4月23日)

保育士資格を活かして就職する

保育士登録が完了したら、勤務する職場を探しましょう。保育士資格は保育園だけでなく、乳児院や企業内保育所などさまざまな施設で活かすことができます。

就職活動をする際は、自分が理想とする保育方針や希望する働き方を考慮して、最適な職場を選択することが重要です。自身のキャリアプランを明確にして、保育士としての第一歩を踏み出しましょう。

保育士資格に関してよくある質問

ここでは、保育士の資格についてよくある質問を、Q&A形式でお答えします。

保育士資格は誰でも取得できますか?

保育士資格は、「指定保育士養成施設を修了する」または「保育士試験を受験して合格する」どちらかの要件を満たした方が取得できます。詳しくは、本記事の「保育士になるには」で解説しているので、ご確認ください。

主婦が保育士資格を取得するにはどうすれば良いですか?

主婦の方が家事や子育てと両立しながら資格を取得するには、保育士試験を受験するルートがおすすめです。保育士試験は、受験資格を満たしていればすぐに受験することができるので、最短で資格を取得できます。保育士試験の合格率は20~25%程度と難易度が高いですが、しっかり対策すれば独学で合格することも十分可能です。

保育士試験の受験資格を満たしていない方は、実務経験を2年以上(2880時間以上)積む必要があるため、保育現場で就業してから保育士試験を受験することになります。指定保育養成施設の修了で保育士資格を取得する場合も最短で2年はかかるので、学費や自由に使える時間と相談して最適な方法を選ぶと良いでしょう。

まとめ

保育士資格を取得するには、「指定保育士養成施設を修了する」か「保育士試験に合格する」か、どちらかが必要です。自身の状況や希望に合わせて、保育士資格を取得しましょう。

保育士試験を受験する場合は、自分が受験資格を満たしているか確認することが大切です。保育士資格を取得した後は、資格の登録をして保育士証を発行する必要があります。保育士登録が済んだら、自身の希望条件に合う保育士資格を活かせる職場を見つけましょう。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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