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保育士に必要な最終学歴は?試験の受験資格や転職、働くうえでの影響を解説

  • #保育士
学歴と書かれた積み木とペンの画像

保育士の学歴について気になっている方もいるのではないでしょうか。保育士は中卒から大卒まで、幅広い学歴の方が目指せる国家資格です。取得方法は、保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格するかの2つ。学歴によって必要な実務経験や受験資格が異なるため、自分に合ったルート選びが大切です。この記事では、学歴別の保育士資格取得ルートや受験資格、就職・転職における学歴の影響について詳しく解説しています。

保育士の資格取得に必要な最終学歴は?

保育士として働くためには、国家資格である「保育士資格」の取得が必要です。この資格を得るには、以下のいずれかの方法を選ぶことができます。

  • 1.保育士養成施設を卒業するルート(高卒以上)

  • 2.保育士試験に合格するルート(中卒以上)

1つは、国が指定する保育士養成施設(専門学校や短期大学、大学など)を卒業する方法です。これらの学校に入学するには、原則として高等学校を卒業している必要があり、養成施設を卒業すれば、その時点で保育士資格が取得できます。 もう1つの方法は、保育士試験に合格することです。この試験は、養成施設を卒業していない場合でも受験できますが、最終学歴が中卒や高卒の場合は一定期間の実務経験が求められるのが一般的です。
一方で、保育士養成施設以外の大学・短大・専門学校を卒業している方は、学部や専攻を問わず、原則として実務経験がなくても受験することができます。

このように、保育士資格は学歴だけでなく、それに伴う経験の有無なども含めて、条件を満たしていれば目指せる資格です。次の見出しでは、それぞれの学歴に応じた受験資格について詳しく紹介します。

出典

こども家庭庁「保育士になるには新規タブリンク」(2025年4月24日)

【保育士試験】最終学歴別の受験資格

保育士資格を取得する方法の1つである「保育士試験」は、学歴によって受験資格の条件が異なります。ここでは、最終学歴ごとに求められる条件についてまとめました。

中卒者の受験資格

最終学歴が中学校卒業の方も、保育士試験を受けることは可能です。ただし、学歴のみでは受験資格を満たさないため、5年以上かつ7,200時間以上、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設で児童の保護または養護に従事した勤務経験が必要となります。施設が認定対象であるか不明な場合は、勤務先の施設長または都道府県の保育士試験担当窓口に確認することをおすすめします。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「中学卒業新規タブリンク」(2025年4月24日)

高卒者の受験資格

高等学校を卒業した方は、保育士試験の受験にあたり、2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が求められます。中卒者と比べて条件はやや緩和されており、学歴と合わせて保育に関する現場経験を積むことで受験資格を得られます。
なお、実務経験が認められる施設は児童福祉法に基づいたものである必要があり、事前に勤務先の施設長や自治体へ確認しておくと安心です。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「高等学校卒業新規タブリンク」(2025年4月24日)

専門学校・大学・短大卒者の受験資格

最終学歴が4年制大学・短期大学・専門学校であり、その課程が修業年限2年以上であれば、保育士試験の受験資格が認められます。この際、保育士養成課程である必要はなく、学部・学科も問いません。
ただし、専門学校の場合は受験資格を得るために、以下の2点を満たすことが求められます。

  • 学校教育法に基づいた専修学校(専門課程)であること

  • 修業年限が2年以上の課程であること

たとえば、カルチャースクールや短期間のスクールなど、これらの要件を満たしていない教育機関は該当しないため、入学前に確認しておくことが大切です。また、海外の学校を卒業した場合や、中退している場合は、受験資格の判断基準が異なるため、都道府県の保育士試験担当窓口に問い合わせる必要があります。

在学中・中退者の受験資格

保育士試験は、すでに卒業している方だけでなく、大学・短期大学・専門学校に在学中の方や中退された方でも、一定の条件を満たせば受験することが可能です。以下では学校ごとの受験資格についてまとめました。

【大学・短大】在学中または中退の場合

大学に在学中、または中退している場合でも、2年以上在学しており、かつ62単位以上を修得していれば、学部や学科を問わず保育士試験の受験資格を得られます
ただし、年度内に62単位以上修得できなかったり、在学期間が2年未満だった場合は、試験に合格しても無効となり、合格や一部科目合格が認められないので注意が必要です。

また、短期大学に在学中の場合も学部や学科を問わず受験資格がありますが、年度内に短大を卒業できなかった場合は合格が無効となります。卒業が条件となるため、スケジュール管理にも気を配ることが大切です。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「大学在学中・中途退学新規タブリンク」(2025年4月24日)
一般社団法人全国保育士養成協議会「短期大学在学中新規タブリンク」(2025年4月24日)

【専門学校】在学中の場合

専門学校に在学中の場合でも、学校教育法に基づく専修学校であり、修業年限が2年以上の専門課程であれば、年度内の卒業見込みで受験資格を得ることができます。保育や教育に関係のない学科でも問題ありません。
ただし、こちらも同様に、年度内に卒業できなかった場合には合格や一部科目合格は無効となるため注意が必要です。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「専門学校在学中新規タブリンク」(2025年4月24日)

【保育士資格の取得方法別】各学歴の割合

保育士資格を取得する方法にはさまざまなルートがあり、取得者の学歴も多岐にわたります。ここでは、東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査報告書新規タブリンク」をもとに、保育士資格を取得した人たちの学歴や取得ルートの割合についてわかりやすく表にまとめました。

保育士資格の取得方法 割合
保育士試験 43.5%
短期大学の保育士養成課程 19%
大学の保育士養成課程 17.8%
専門(専修学校)の保育士養成課程 16%
その他養成施設の保育士養成課程 3.6%

養成課程での取得者を見ると、短期大学、大学、専門学校、その他の順に多いことがわかります。一方で、保育士試験を通じて資格を取得した人も全体の4割以上を占めており、学歴にとらわれず幅広い層がチャレンジしている現状がうかがえます。

出典

東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)新規タブリンク」(2025年4月24日)

保育士の就職・転職で学歴は影響する?

保育士資格を取得した後、就職や転職活動をする際に学歴がどのくらい影響するのか不安に思う方もいるかもしれません。ここでは、新卒採用と中途採用に分けて、学歴の影響を詳しく解説します。

新卒採用における学歴の影響

新卒の就職活動において、学歴が特別重視されることはほとんどありません。保育士資格を取得していれば、どの学校を卒業していても基本的に施設側への影響はないと考えてよいでしょう。

ただし、ごく一部のケースでは学歴が影響することもあります。たとえば、在学している学校が園と提携しており、学生の頃からの様子が把握されている場合や、同じ学校出身の保育士が園に勤務していて、学校に対する印象が多少左右される場合などです。またで、保育業界内で知名度の高い学校に通っている場合は、プラスに働く可能性もゼロではありません。

とはいえ、大半の施設では、学歴は一つの参考程度であり、採用においては人柄や意欲、保育士としての適性などが重視されます。卒業した学校や偏差値を気にする必要はなく、自分自身の魅力をアピールすることが大切です。

中途採用における学歴の影響

転職による中途採用の場合、学歴よりも重視されるのは職歴です。保育士としてどのような経験を積んできたのか、何年続けたのか、即戦力として働けるかどうか、といった点が重要視されるでしょう。また、保育士資格取得前に社会人経験がある場合は、その職歴も評価の対象になります。

中途採用においても学歴はあくまで参考情報に過ぎず、採用・不採用に直接大きく影響することはありません。これまでのキャリアや実績を十分にアピールすることが、成功への近道となるでしょう。

保育士が働くうえで学歴が影響する場面

保育士の資格取得や就職で学歴が大きく影響することは少ないとされていますが、保育士として働くなかでは学歴が影響する場面もいくつか存在します。ここでは、注意しておきたいポイントを見ていきましょう。

初任給が決まるとき

施設の方針によっては、学歴によって新卒の初任給に差が出る場合があります。4年制大学卒と短大・専門学校卒では、4年制大学卒の方が初任給が高く設定されるケースも。これは、学びにかけた期間や専門性の違いを評価しているためと考えられます。厚生労働省の調査による一般的な学歴別の初任給の例は以下のとおりです。

学歴 初任給
高卒 16万7,400円
高専・短大卒 18万3,900円
大学卒 21万0,200円
大学院卒 23万8,900円

保育士に特化したデータではありませんが、一般的にも学歴によって初任給に違いが出る傾向があります。学歴によって給与面に影響があるかどうか、あらかじめ確認しておくと安心です。

幼稚園教諭免許を取得するとき

保育士が幼稚園教諭免許を取得するためには、高校卒業以上の学歴が必要であり、免許が取得できる大学や専門学校を卒業することが求められます

保育士が特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得する場合、3年かつ4,320時間以上の実務経験と所定の学校で必要な単位数を取得することが必要です。幼稚園教諭二種免許状は、これらの要件を満たしていれば取得できます。幼稚園教諭一種免許状を目指すにはさらに「学士の学位」が必要になり、4年制大学卒業という学歴が求められます。

このように、取得する免許の種類によって必要な学歴が異なるだけでなく、幼稚園教諭一種免許状を取得することで給与に反映されたり、園長になれる資格が得られるなど、学歴と同様に将来のキャリアに影響を与える可能性があります。

出典

【保育士向け】履歴書における学歴欄の書き方

履歴書を書く際、まずは学歴欄の1行目の中央に「学歴」と記載します。次の行からは、高等学校卒業以降の学歴を時系列で記入してください。

【記入例】

学歴・職歴(各別にまとめて書く)
学歴
平成◯ 4 ○○県立○○高等学校 入学
平成◯ 3 ○○県立○○高等学校 卒業
平成◯ 4 ○○大学○○学部○○学科 入学
平成◯ 3 ○○大学○○学部○○学科 卒業

学校名は略さず、「○○高等学校」や「○○大学○○学部○○学科」といった正式名称で記載するのがマナーです。また、現在在学中である場合は「卒業見込み」と記載します。「卒業予定」ではなく、「卒業見込み」が正式な表現なので注意しましょう。

保育士の学歴に関するよくある質問

ここでは、保育士の学歴についてよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。

保育士は学歴が低いとどうなる?

保育士になるために必ずしも大卒や専門卒である必要はありません。中卒や高卒であっても、保育士試験の受験資格を満たせば受験は可能です。また、保育士資格を取得していれば、学歴が採用に大きく影響することは少ないのが実情です。
ただし、初任給や昇給制度において、学歴が反映されるケースもあるため、全く影響がないとはいい切れません。実際にどのような場面で学歴が関係するのかは、「保育士が働くうえで学歴が影響する場面」をご確認ください。

保育士試験の受験資格がないときは?

保育士試験を受けるための学歴や実務経験の条件を満たしていない場合は、主に2つの方法があります。
1つは、保育士養成施設(大学・短大・専門学校)へ進学し、卒業を目指す方法です。卒業すれば資格試験を受けることなく保育士資格を取得できます。
もう1つは、中卒・高卒者が受験資格を得る方法として挙げられるのは、児童福祉施設などで一定の実務経験を積むというものです。実務経験年数などの条件を満たすことで、保育士試験の受験資格を得られます。どちらの方法を選ぶかはライフスタイルや年齢、働きながら取得したいかなどによって検討しましょう。

出典

こども家庭庁「保育士になるには新規タブリンク」(2025年4月24日)

まとめ

保育士資格は、学歴に関係なく幅広い人が目指せる国家資格です。中卒・高卒・短大・大学卒など、どの学歴からでも取得ルートが用意されており、自分の状況やライフスタイルに合わせて柔軟に進められるのが大きな魅力です。
また、保育士は子どもたちの成長を支えるやりがいのある仕事であり、経験やスキルを積み重ねることで将来的に主任や園長、企業内保育や福祉施設など、さまざまなキャリアパスも描けます。学歴だけにとらわれず、自分の強みや経験を活かしながら働き方を選べるのも、保育士という職業の大きな魅力といえるでしょう。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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