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保育士は簡単になれる仕事ではない!資格の難易度や試験対策のコツを紹介
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保育士の資格取得を考えている方の中には、「保育士は簡単になれるって本当?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。保育士資格を得るには一定の学習期間が求められることから、一概に簡単とはいえません。 この記事では、「保育士は簡単になれるの?」という疑問を解消するための情報をまとめました。保育士試験の概要や合格率、受験対策のポイントも紹介するので、保育士を目指すかどうかを考える際の参考にしてください。
目次
「保育士は簡単になれる」は間違い
保育士は国家資格であり、資格を取得するには一定の努力と準備が必要です。また、児童福祉法には「専門的知識および技術をもって」と明記されており、保育士には高い専門性が求められます。そのため、保育士は誰でも簡単になれる仕事ではありません。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験とは」(2025年4月22日)
簡単に感じるかは人それぞれ異なる
保育士資格の取得が「簡単かどうか」は、人それぞれの感じ方や状況によって異なります。資格の取得方法やライフスタイル、これまでの知識量、実務経験の有無などによって、「なりやすい」と感じる人もいれば、「大変」「難しい」と感じる人もいるでしょう。
保育士は年齢制限がなく、受験資格を満たしていれば誰でも目指せる開かれた国家資格です。ただし、「挑戦しやすいこと」と「簡単になれること」は別であるという点は理解しておきましょう。
独学の場合は効率的な試験勉強が必要
仕事と両立しながら保育士試験の合格を目指す場合は、安定した勉強時間を確保する必要があります。合格するためには相応の熱意や本気度を持って取り組む必要があるでしょう。とはいえ、決して難し過ぎて手が届かないというわけではないため、子どもたちの成長を支えたいという気持ちで前向きに挑戦し続けることが大切です。
保育士は誰でもできる仕事ではない
以下のとおり、保育士に求められるスキルは多く、簡単にできる仕事だと考えていると実際に働いてからそのギャップに驚くことがあるかもしれません。そのため、子どもたちの命を預かる責任や体力を伴う仕事だということもあらかじめ理解しておきましょう。
子どもの発達状況に応じた対応力
子どもの安全面に目を配る観察力
保護者と信頼関係を築く力
周囲と協働して動く協調性
保育以外の事務処理能力
専門職として学び続ける姿勢
保育士は、資格を取得することがゴールではなく、就職活動を経て保育現場で働き始めてからがスタートです。資格取得のみに焦点を当てるのではなく、知識を習得し実践に活かすための心構えを持つことが大切といえます。
保育士になるための3つの方法
保育士になるためには、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格して資格を取得する必要があります。また、養成施設に入る手段としては、自分で受験して入学を目指すほかに、ハローワークの職業訓練を利用するという選択肢もあります。以下で詳しく見ていきましょう。
1.指定保育士養成施設を卒業する
1つ目の方法は、厚生労働大臣が指定する大学・短期大学・専門学校などの養成施設に進学し、卒業することです。
費用面の考慮は必要ですが、保育実習を通して実践的なスキルを身に付けられるほか、施設によっては幼稚園教諭の資格も同時に取得できるため、高校卒業後の進路として一般的です。また、通信教育や夜間学部を選べば、社会人として働きながら保育士を目指すこともできます。
厚生労働省「保育士の現状と主な取組(p5)」によると、指定保育士養成施設の定員充足率は100%に満たない状態が続いているため、入学に関してそれほど激しい競争はないようです。ただし、進学後のカリキュラムによってはスケジュールが過密になり、学業の大変さを感じることもあるでしょう。
出典
厚生労働省「保育士になるには?」(2025年4月22日)
厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(2025年4月22日)
2.保育士試験に合格して資格を取得する
2つ目の方法は、保育士試験に合格して資格を取得することです。保育士試験は年に2回、前期と後期に実施され、筆記試験と実技試験で構成されます。受験資格を満たしていれば年齢に関係なく誰でも受験できるため、通学の必要がなく社会人も挑戦しやすいでしょう。
筆記試験に合格するためには広範囲にわたる勉強が求められます。福祉や保育に関連する授業を受けたことがある人や、子育て経験がある人は内容をイメージしやすいかもしれませんが、未経験者にとっては理解するのが難しいと感じることもあるでしょう。
出典
厚生労働省「保育士になるには?」(2025年4月22日)
3.ハローワークの職業訓練を受講する
3つ目の方法は、ハローワークの職業訓練(長期高度人材育成コース)を利用して、養成施設に入校する方法です。標準的なルートとは少し異なりますが、ハローワークに求職の申し込みをしており正社員として就職を希望している人であれば、受講資格を満たすことで選考試験を受けられます。
選考試験の内容は都道府県によって異なり、学科試験・面接・適性検査・作文などのうちいくつかが組み合わされて実施されるのが一般的です。選考に合格すると、2年間の養成課程を授業料無料(教科書代等は自己負担)で受講できます。
職業訓練は毎年4月に開講されるため、余裕を持って申し込みましょう。詳細はお住まいの地域を管轄するハローワークでご確認ください。
保育士試験の概要
保育士試験は筆記試験と実技試験に分かれています。筆記試験は8教科9科目で構成されており、解答形式はマークシートです。実技試験では「音楽」「造形」「言語」の3分野の中から2つを選んで受験します。
筆記試験は科目ごとに60%以上の得点で合格となり、合格した科目は3年間有効です。有効期間内であれば、不合格科目のみを再受験することもできます。ただし、「教育原理」と「社会的養護」は同時に合格が必要なニコイチ科目となっており、どちらか一方だけでは合格扱いになりません。
なお、幼稚園教諭免許や社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の資格を持っている場合は該当する科目の免除を受けられます。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「令和7年試験案内」(2025年4月22日)
保育士試験の難易度・合格率
保育士試験の近年の合格率は以下のとおりです。厚生労働省の「保育士試験の概要」によると、実技試験のみの合格率は概ね80%台で推移しており、筆記試験の対策が合格のカギであることがわかります。
年度 | 受験申請者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年度 | 6万6,625人 | 1万7,955人 | 26.9% |
2022年度 | 7万9,378人 | 2万3,758人 | 29.9% |
参照:こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度)」・「保育士試験の実施状況(令和4年度)
」
この合格率だけを見ると、試験の難易度が高いと感じる方もいるでしょう。しかし、保育士試験には科目合格制が導入されており、すべての科目に一度に合格する必要はないため、合格率がそのまま難易度を示すわけではありません。全科目を一括で受験するほかの国家資格と比較すると、保育士試験は社会人も取り組みやすい資格試験といえます。
出典
こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度)」・「保育士試験の実施状況(令和4年度)
」(2025年4月22日)
厚生労働省「保育士試験の概要」(2025年4月22日)
保育士試験にできるだけ簡単に合格するコツ
ここでは、筆記試験と実技試験に分けて「保育士試験にできるだけ簡単に合格するためのポイント」を紹介します。下記にまとめた方法は、取り組めば確実に合格できるというわけではないので、あくまでも参考としてお役立てください。
筆記試験の受験対策
保育士試験の筆記試験は、科目数が多く出題範囲も広いため、継続力とバランス力が求められます。効率よく勉強するためには、自分に合った参考書や教材を選び、過去問題を活用して出題傾向を掴むのがポイントです。また、類似分野を同じ時期にまとめて勉強すると理解が深まりやすくなります。法改正や時事問題に関する最新情報も把握しておきましょう。
筆記試験の勉強時間は、一般的に100時間〜180時間が目安とされています。3〜6ヶ月程度の期間を見込んで、試験日から逆算してスケジュールを立てるのがおすすめです。独学が難しいと感じた場合は、予備校や通信講座を視野に入れるのも選択肢の一つでしょう。
実技試験の受験対策
保育士試験の実技試験では、保育士として実践上必要な知識や技能、資質が求められます。そのため、単に技術をこなすだけでなく、子どもたちの心を惹きつけ、楽しませようとする姿勢が大切です。試験分野を選ぶ際は、楽しんで取り組めるものを選ぶと緊張せずに実力を出しやすいでしょう。
試験分野 | 試験内容 | 試験対策 |
音楽 | 2つの課題曲を弾き歌いする(ピアノもしくはギター) |
|
造形 | 保育の一場面を絵画で表現する(問題文と条件は試験当日に提示される) |
|
言語 | 3つの課題のうち当日指定されたお話を話す(3歳児クラスで3分間のお話を想定) |
|
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「実技試験(前期)概要」
また、練習の際は、自己評価と当日のパフォーマンスにズレが生じないように、客観的に確認することが重要です。「動画を撮る」「音声を録音する」「第三者に見てもらう」などを通して、表現の豊かさや立ち振る舞いが適切かどうかをチェックしましょう。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「実技試験(前期)概要」(2025年4月22日)
保育士は簡単ではないがやりがいのある仕事
保育士になるには、時間やお金、そして一定の努力が求められます。実際に保育現場で働き始めても決して簡単に進む仕事ではありません。
しかし、保育士の仕事には、子どもたちの成長を間近で感じられる大きな充実感があります。子どもが新しいことをできるようになった瞬間や、皆で力を合わせて準備した行事が成功したときには、大きな満足感を得られるでしょう。子どもたちの言葉や行動に触れることで、自分自身も新たな発見や学びを得ることができるはずです。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「保育士」(2025年4月22日)
「保育士は簡単になれる?」と気になる方によくある質問
ここでは、「保育士は簡単になれる?」と気になる方によくある質問を紹介します。
保育士になるために必要なことは何ですか?
保育士になるためには、指定保育士養成施設を卒業するか、保育士試験(筆記試験と実技試験)に合格して資格を取得する必要があります。保育士試験は、受験資格を満たしていれば、年齢に関係なく誰でも受験することが可能です。詳しくは、この記事の「保育士になるための3つの方法」の部分をご覧ください。
保育士資格は社会人含め誰でも取れるって本当ですか?
保育士資格は誰でも簡単に取れる資格ではありませんが、幅広い方が目指しやすい資格といえます。社会人として働きながら取得する場合は、指定保育士養成施設の通信教育や夜間学部で学んだり、保育士試験に合格したりする方法が一般的です。受験資格を満たしているかどうかは、一般社団法人全国保育士養成協議会の「受験資格」をご確認ください。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「受験資格」(2025年4月22日)
保育士資格を主婦が取得する際、科目はどう勉強すれば良いですか?
主婦の方が保育士資格の取得を目指す場合は、ライフスタイルに合わせて隙間時間をうまく活用することが大切です。動画やアプリも取り入れながら、少しずつ勉強を積み重ねていきましょう。また、保育士試験は複数年に分けて合格を目指すことが可能です。そのため、無理のないペースで計画を立てると継続しやすいかもしれません。
保育士資格の取り方の中で最短のルートはどれですか?
保育士資格を最短で取得するには、保育士試験に合格する方法が最も効率的です。指定保育士養成施設を卒業する場合は資格取得までに最低2年かかりますが、保育士試験の場合はしっかりと準備すれば、数ヶ月の勉強期間で合格・取得できる可能性もあります。保育士試験の内容は、この記事の「保育士試験の概要」をご覧ください。
まとめ
保育士は国家資格であり、専門知識や実践的なスキルが求められる責任の大きな仕事です。保育士になる方法は主に2つありますが、特に独学で保育士試験に合格するには計画的な学習と根気強い努力が欠かせません。受験には年齢制限がなく資格要件を満たせば誰でも挑戦できるものの、決して「簡単になれる職業」ではないことを理解しておきましょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。