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担当制保育は子どもに深く関われる!保育士が実践するときのポイントも解説

「担当制保育とはどんな保育なんだろう?」と気になる方もいるかもしれません。担当制保育では、保育士が数名の子どもを専属で担当して子ども一人ひとりとじっくり向き合います。決まった保育士がコミュニケーションを取ることで、子どもと深い愛着関係を築きやすいのが特徴です。この記事では、担当制保育の特徴やメリット、取り組む際のポイントを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
担当制保育とは
担当制保育とは、保育士が特定の数名の子どもを担当し、一人ひとりに合わせたきめ細やかな保育を行う方法です。育児担当制とも呼ばれ、乳児や少人数クラスでよく取り入れられています。決まった保育士が日々関わることで子どもの個性を深く理解でき、信頼関係を築きやすいのが特徴です。
一斉保育と担当制保育の違い
一斉保育と担当制保育の違いは、子どもとの関わり方にあります。一斉保育は、保育士がクラス全体の子どもたちをみんなで見守る方法で、生活や活動を全員で一緒に行うため、協調性や社会性を育てやすいのが特徴です。
一方、担当制保育は、保育士が少人数の子どもを専属で担当する方法で、日々じっくりと関わりながら個性や発達段階に合わせたきめ細やかな保育ができます。つまり、一斉保育は「集団で育つ力」を伸ばすのに適しており、担当制保育は「一人ひとりの成長」に寄り添える方法であるといえるでしょう。
担当制保育のねらい
担当制保育には、大きく分けて3つのねらいがあります。下記では、それぞれのねらいについてまとめました。
保育士との愛着形成を深める
担当制保育のねらいの1つは、保育士との愛着形成を深めることです。同じ保育士が継続して子どもを担当するため、毎日顔を合わせ、生活のあらゆる場面に寄り添うことができます。この関わりを通して、子どもは「この先生は自分を大切にしてくれる」「自分を理解してくれている」という安心感を得られます。安定した愛着関係こそが、自己肯定感や社会性の基盤となり、子どもが園生活を安心して過ごせる力につながっていくのです。
生活習慣を身につける
同じ保育士が一貫した声掛けや対応を行うことで、子どもたちは生活のリズムをつかみやすくなります。たとえば「食事の前には手を洗う」「遊びの後は片付けをする」といった流れを毎日繰り返すと、自然と習慣として身についていきます。生活習慣が安定することは、子どもの健康的な成長を支えると同時に、安心して過ごせる環境づくりにもつながっているのです。
保護者との連携を深める
担当制保育では、保護者との連携を深めるというねらいも挙げられます。特定の保育士が子どもを継続的に担当するため、日々の様子や小さな変化も見逃さずに把握できるのが特徴です。そのため、保護者との情報共有がよりスムーズになり、互いに子どもの理解を深め合えるでしょう。保護者にとっても、「子どものことをよく知る先生にいつでも相談できる」という安心感があり、家庭と園が協力して子どもを支える土台を築きやすくなります。
担当制保育での保育士の関わり方
ここでは、登園から遊び、生活の援助、食事、午睡といった流れの中で、保育士がどのように子どもと関わるのかを具体的に紹介します。
登園対応
担当保育士は、自分のグループの子どもたちを笑顔で迎え入れます。その際、保護者から家庭での子どもの様子や体調をしっかりと聞き取るのが大切です。見慣れた保育士の顔を見ることで、子どもたちは安心して園での生活をスタートできます。
遊び
室内や園庭での遊び時間は、担当するグループ単位で活動することが基本です。もちろんクラス全体で遊ぶ場面もありますが、少人数だからこそ子どもの発達段階や興味関心に合わせた遊びを提供できるのが特徴です。遊びをとおして生まれる小さな気づきや成長を観察し、保育士が丁寧に寄り添うことは、子どもの意欲や自信を育むことにつながります。
おむつ交換や着替えなど身の回りのお世話
おむつ交換や着替えといった身の回りのお世話は、基本的に担当保育士が1対1で行います。子ども一人ひとりの排泄や着替えのタイミングを把握し、個々のペースに合わせて対応することで、基本的な生活習慣の自立を促します。また、順番を決めて子どもが待っている間は、クイズや手遊びなどの遊びを取り入れ、楽しく過ごせるように工夫しましょう。
食事の援助
担当制保育では、グループごとに食事をとることで落ち着いた環境でゆったりと食事の時間を楽しめます。食事の準備や見守り、片付け、午睡の準備などやることが多いため、保育士同士の連携が不可欠です。
例:保育士3名で担当制保育を行う場合
保育士A:食事の準備
保育士B:担当グループの食事介助
保育士C:食事を終えたグループの見守りと午睡の準備
このように、保育士同士が互いにフォローしながらローテーションで進めていくのが一般的です。
午睡対応
午睡の時間は、担当保育士が子どもの寝かしつけを行います。毎回同じ保育士がそばにいることで子どもは安心感を覚え、リラックスして眠りにつきやすくなります。また、日々の寝つきや睡眠時間の変化から、子どもの体調を細かく把握できるのも、担当制保育ならではのメリットです。
担当制保育を行う園で働くメリット
担当制保育では子ども一人ひとりとじっくり向き合えるため、保育士にとってもやりがいやメリットがあります。ここでは、担当制保育ならではのメリットを見ていきましょう。
一人ひとりの子どもを丁寧に保育できる
担当制保育は、十分な時間をかけて一人ひとりの子どもたちと関われるのが強みです。その結果、子どもの発達や個性、体調のちょっとした変化も把握しやすくなります。子どもの特性に合わせた支援を考え、長期的に実行できることは保育士にとって大きなやりがいであり、子どもにとっても安心できる環境につながるといえるでしょう。
子どもの小さな成長に気づける
毎日同じ子どもを継続して見守るため、わずかな変化や新しい一歩を逃さずキャッチできるメリットがあります。初めて言葉を発した瞬間や、着替えを自分でできるようになったときなど、子どもの成長を間近で感じられる機会が多いのは、担当制保育ならではの魅力でしょう。その喜びを保護者と共有できることも、保育士として働くやりがいやモチベーションにつながります。
園児・保護者の両方と信頼関係を築きやすい
悩みや不安を気軽に相談してもらえる関係を築けるのは、担当制保育で働くメリットといえます。子どもにとって、自分を一貫して見守ってくれる保育士は、まるで第二の親のような存在なはずです。安心して甘えられる相手がいることで、子どもは園生活をのびのびと過ごせるようになるでしょう。また、保護者にとっても「我が子をよく理解してくれている先生」がいるのは心強いことです。
担当制保育を行う園で働く大変さ
担当制保育はメリットや魅力も多い一方で、日々の保育の中で大変さや悩みを感じる場面もあります。ここでは、担当制保育を行う大変さを見ていきましょう。
担当以外の子どもたちとの関わりが少ない
担当の子どもを中心に保育を行うため、普段は担当ではない子どもたちと関わる機会がどうしても少なくなります。急なシフト変更などで担当以外の子どもを保育することになった場合、事前情報が少なく対応が難しく感じることもあるでしょう。
また、子どもは担当の保育士に強い信頼を寄せていることが多いため、担当でない保育士が関わると不安になってしまうかもしれません。こうした状況で保育を進めることに、やりづらさを感じる場面があるのも担当制保育の特徴です。
保護者との相性が悪くても担当を代われない
担当制保育では、保護者対応も担当保育士が行うことが基本であり、一斉保育のようにほかの先生に代わってもらうことは簡単ではありません。たとえ保護者との相性が合わない場合でも、すぐに担当を変えることは難しく、悩みやプレッシャーを抱えてしまう恐れがあります。こうした状況が続くと、自信をなくすことや精神的な負担につながることもあるでしょう。
ほかの保育士に仕事を任せづらい
担当制保育では、責任感が強い保育士ほど「自分の担当の子どもだから」とほかの先生に仕事を任せにくく感じたり、休みを取りづらいと感じたりする場合もあるようです。
また、ほかの保育士もそれぞれ自分の担当の子どもに集中していると、声をかけにくい状況が生まれることもあります。その結果、業務に偏りが出て保育の質に影響するかもしれません。。
担当制保育を実践するポイント
担当制保育を効果的に行うには、子ども一人ひとりに寄り添いながらも、園全体の保育の流れを意識することが大切です。ここでは、担当制保育を実践するポイントについて紹介します。
生活の流れを意識して声掛け・時間管理をする
担当制保育では、子どもに基本的な生活習慣を身につけてもらうことが大切です。そのため、園での生活リズムをできるだけ一定に保ち、毎日の声掛けや活動の方法を継続することが重要となります。
たとえば、朝の登園時や食事、排泄、着替えなどのタイミングで、担当の子どもに合わせた声掛けを行うことで、できなかったことができるようになる場面が増えていくでしょう。また、子どもの排泄のリズムを把握しておけば、トイレトレーニングにも役立ちます。
職員同士の連携を深める
子どもたちが安心して過ごすためには、保育士同士のチームワークが欠かせません。担当制保育では、担当の子どもに集中するあまり、クラス全体の状況が見えにくくなることがあります。しかし、人手が足りない場面では互いに助け合い、「手伝ってほしい」と素直に声をかけ合うことで、スムーズな保育につながります。保育士が協力し合って業務を分担すれば、安心して保育に集中できる環境が整い、結果としてクラス全体の雰囲気が良くなるでしょう。
担当している子ども以外の情報も把握する
自分の担当している子どもを深く理解することはもちろん大切ですが、担当以外のクラスの子どもたちの情報も積極的に把握するようにしましょう。ほかの保育士と情報を共有する機会を設け、発達や健康に関する悩みがあれば相談することで、クラス全体の子どもたちへの理解が深まります。担当は決まっていても、子どもたち全員を「チームで育てる」という意識を持つことが、担当制保育を実践するうえで大切なポイントになります。
担当制保育を行う保育園に転職するには?
担当制保育を導入している保育園の求人を効率良く探すなら、転職エージェントを利用するのがおすすめです。転職エージェントは、各保育園に担当制保育を取り入れているかを直接確認し、希望に合った求人情報を絞り込んで紹介してくれます。
また、自分で一つひとつ調べる手間が省けるだけでなく、保育方針、働き方、給与など、気になる情報を一度に確認できるメリットもあります。レバウェル保育士は、保育士専門の転職エージェントです。就職する園の選び方に迷っている方は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
担当制保育に関してよくある質問
ここでは、担当制保育に関してよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
担当制保育の担当の決め方は?
担当制保育の担当は、子どもの年齢や発達、保育士の経験や得意分野などを考慮して決められるのが一般的です。これは、子ども一人ひとりに合ったきめ細やかな保育を提供するためです。乳児クラスでは、同じ保育士が継続的に担当することで、子どもは安心感を得て情緒が安定しやすくなります。一方で、保育士全員が多様な経験を積めるように、数ヶ月ごとに担当を交代する園もあります。いずれの方法も、子どもが安心して過ごせることと、保育士の負担のバランスが最も大切にされています。
担当制保育がうまくいかない原因は?
担当制保育がうまくいかない原因は、保育士同士の連携不足が大きく関係しています。各自が自分の担当の子どもに集中しすぎると、クラス全体の状況が見えにくくなり、情報共有が不十分になったり、業務の分担が難しくなったりするかもしれません。
この課題を解決するためには、各々が積極的にコミュニケーションを取り、困ったときには助けを求めるなど、チームで保育を行う意識を持つことが重要です。詳しくは「担当制保育を実践するポイント」で解説していますので、参考にしてください。
まとめ
担当制保育は子ども一人ひとりに寄り添い、きめ細やかなサポートを行う保育方法です。保育士が少人数の子どもを専属で担当するため、日々の関わりをとおして成長に合わせた丁寧な援助が可能になります。
また、保護者との信頼関係も深まりやすく、家庭と園が協力して子育てを進められるのも特徴です。一方で、担当以外の子どもとの関わりが少なくなったり、保育士同士の連携が難しくなったりする課題もあるため、チーム全体で支え合う体制づくりが欠かせません。子どもの成長を一番近くで支え、保護者とともに喜びを分かち合えることが、担当制保育に携わるやりがいといえるでしょう。
「担当制保育を実践できる園で働きたい」「子どもとじっくり関わる保育をしたい」という方は、ぜひレバウェル保育士にご相談ください。保育業界に特化した転職エージェントのレバウェル保育士では、担当制保育を導入している園や、働きやすい職場環境が整った求人を紹介することが可能です。専任アドバイザーが一人ひとりのキャリアをサポートしますので、少しでも興味のある方はお気軽にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。