保育の仕事

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一時保育とは?手続きの流れや保育士の仕事内容、実施施設をご紹介

一時保育を利用する親子と保育士のイメージ

保育士のなかには「一時保育とはどのようなサービスか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。一時保育とは、用事やリフレッシュ目的で子どもを一時的に預かってほしい保護者が利用できる保育サービスです。 この記事では、一時保育が対象の子どもや一時保育の実施施設を解説します。一時保育に携わる保育士の仕事内容や注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

一時保育(一時預かり事業)とは

一時保育(一時預かり事業)とは、保護者が数時間から1日単位で子どもを一時的に預けられるサービスです。ここでは、通常の保育と一時保育の違いや一時保育が対象の子どもを解説します。

通常の保育と一時保育の違い

通常の保育と一時保育の違いは、利用目的と時間です。通常の保育では、保護者の就労状況や特定の条件が求められる場合があります。一方で、一時保育では保護者の就労の有無に関わらず利用できます。通常の保育では、保護者が子どもの保育が困難な場合に定期的かつ長期間にわたり子どもを預かります。一時保育は、保護者の一時的な事情やリフレッシュ目的など、短期間の利用を前提としているのが特徴です。

一時保育が対象の子ども

こども家庭庁の「一時預かり実施要綱(改正後全文)p.3新規タブリンク」によると、主として保育園・幼稚園・認定こども園などに通っていない、または在籍していない乳幼児が一時保育の対象になります。具体的な子どもの年齢範囲は、施設によって異なるようです。

出典

こども家庭庁「通知(平成30年度~令和4年度)新規タブリンク」(2025年9月26日)

一時保育の事業の種類と実施施設とは

こども家庭庁の「子ども・子育て支援新制度ハンドブック(p.23)新規タブリンク」によると、一時保育の事業は、以下の4つの種類に分かれています。

事業の種類 実施施設
一般型 保育園や地域子育て支援拠点など
余裕活用型 利用児童数が定員に達していない保育園や認定こども園など
幼稚園型 幼稚園、認定こども園
訪問型 児童の居宅

事業の種類によって、一時保育を行う施設が異なります。厚生労働省の「多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援(p.3)新規タブリンク」によると、一時保育を実施している施設数の推移は以下のとおりです。

平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度
余裕活用型 427 452 500 585 691
幼稚園型 3,442 4,413 5,293 6,037 5,983
一般型 8,753 9,042 9,232 9,382 9,889

上記の表から、一時保育を実施している施設数は年々増加していることが分かります。とくに、余裕活用型や幼稚園型の増加が顕著であり、保護者の多様なニーズに応じて拡充されているといえそうです。一時保育は多様な形態で展開され、子育て支援の体制が整いつつあることがうかがえます。

出典

一時保育の流れと保育士が携わる仕事内容とは

一時保育と通常の保育では、保育士が行う業務に大きな差はありません。ここでは、一時保育の流れと保育士が携わる仕事内容を詳しく解説します。

手続きと事前準備

一時保育における保育士の仕事は、保護者の手続きや準備から始まります。保護者は子どもを預ける前に一度来園し、登録後に申請書類を記載する必要があります。保育士は申請書類を受け取り、子どもの年齢や体調、アレルギーの有無などの情報を確認します。

保護者との面談や書類提出を通じて、登録が完了したら保護者から予約を受け付けます。このとき、一時保育の利用日や時間、特別な配慮が必要な事項を調整し、保育当日に備えることが重要です。保育士は保護者との信頼関係を構築し、安心して一時保育を利用してもらえるよう努める必要があるでしょう。

子どもの受け入れ

保育当日は子どもの受け入れからスタートします。保育士は保護者に当日の様子や子どもの体調、特別な注意事項をヒアリングし、その情報を基に柔軟に対応します。初めて一時保育を利用する子どもには、緊張を和らげるために優しく声をかけましょう。子どもの持ち物を確認し、必要な物品を管理して、紛失を防ぐことも大切です。

一時保育中の保育業務

一時保育中の保育士の役割は、通常の保育業務と大きな違いはありません。子どもの年齢や興味に合わせた活動を企画し、感性や社会性を育むサポートを行います。また、保育中は子どもの体調や情緒の変化に目を配り、安全管理を徹底することも重要です。

施設によっては、在園児と一時保育中の子どもが交流できる機会を設けることもあります。一時保育を担当する保育士は、限られた時間で子どもが心地よく過ごせるよう、一人ひとりにあったケアが求められるでしょう。

保育士が一時保育をする際の3つ注意点とは

保育士が一時保育を担当するときは、子どもの情報を正確に把握することや、子どもが安心して過ごせる環境づくりが大切です。また、子どもの状態を常に気にかけておくことも重要でしょう。ここでは、保育士が一時保育をする際の3つの注意点を解説します。

1.子どもの情報を正確に把握する

保育士が一時保育を実施する際には、事前に子どもの正確な情報を把握することが重要です。子どもにアレルギーや持病がある場合、保育士はその内容や対応方法を細かく確認し、緊急時の対応も把握しておく必要があります。また、子どもの性格や特性を知ることも大切です。人見知りをする場合には穏やかに声をかけ、活動的な子どもには体を動かせる時間を取り入れるなど、一人ひとりに適した対応が求められるでしょう。

保育士は保護者との面談や申請書類を通じて、子どもの普段の生活リズムや好きな遊び、苦手なものを具体的に聞き取り、その情報をもとに保育計画を立てることが大切です。保育士が情報を正確に把握し、子どもに合わせた柔軟な対応をすると、安心して過ごせるでしょう。

2.子どもが安心できる環境をつくる

一時保育を利用する子どもは、慣れない場所や初対面の保育士に対して不安を感じることがありますそのため、保育士は子どもが安心できる環境づくりをすることが重要といえるでしょう。保育士は子どもに親しみやすい言葉や表情で接し、緊張しないよう配慮する必要があります。保護者と離れることに抵抗を感じている子どもには、焦らずに時間をかけて馴染めるようサポートしましょう。子どもが落ち着ける空間や温かな雰囲気を提供することで、子どもが安心して過ごせる環境を整えるのも保育士の大切な役割です。

3.子どもの観察を怠らない

保育士は、一時保育中の子どもの健康状態や行動を細かく観察し、安全を確保することが求められます。一時保育中は慣れない環境で体調を崩す場合もあるため、子どもの様子に異変が見られたら迅速な対応が必要です。保育士は子どもの安全管理をすることも重要といえます。遊具の使用や子どもの動きに目を配り、事故やケガを未然に防ぐ工夫をしましょう。
また、子ども同士でトラブルが発生しないよう、適切な声かけやフォローを行うのも保育士の仕事です。

一時保育に関してよくある質問

ここでは、一時保育に関してよくある質問に、Q&A形式でお答えします。

一時保育で働く保育士に需要はありますか?

一時保育で働く保育士の需要は高まっているといえます。厚生労働省の「多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援(p.3)新規タブリンク」によると、一時保育の延べ利用児童数は以下のとおりです。

平成26年度 令和元年度
一般型 422万2,172人 452万3,198人
余裕活用型 8,865人 4万5,822人

上記の表から、一時保育の利用者数が年々増加しており、需要が拡大していることが分かります。一時保育の需要の高まりに伴い、それに対応できる保育士の役割が重要視されており、即戦力となる保育士は重宝される可能性が高いでしょう。

一時保育の仕事は子どもへ良い影響を与えられますか?

保育士は一時保育の仕事を通じて、子どもに良い影響を与えられる可能性があります。厚生労働省の「すべての子育て家庭に対する支援について(p.9)新規タブリンク」によると、一時保育を行う施設に対して子どもにとってプラスになることを尋ねた結果、「集団保育を体験できる」「遊びの体験ができる」という回答が多くありました。

ほかにも、「友達ができる」「親がリフレッシュして、親子関係がよくなる」という回答も寄せられています。普段家庭で過ごす時間が長い子どもにとって、同年代の友達と交流しながら遊ぶ機会は、社会性やコミュニケーション能力を育む重要な体験となる場合も。一時保育を通じ、保育士は子どもの成長と親子関係の支援に貢献できるでしょう。

出典

厚生労働省「社会保障審議会(少子化対策特別部会)新規タブリンク」(2025年9月26日)

一時保育中、保育士が緊急で対応するときは?

一時保育中に保育士が緊急対応を求められる場面として、子どもの体調不良やケガ、施設内での災害などが挙げられます。このような状況では、保育士に迅速かつ適切な判断と対応が求められるでしょう。子どもの体調が急変した場合は、保育士は保護者に速やかに連絡をとり、必要に応じて医療機関にも連絡します。子どもがケガをした場合は、保育士は必要に応じて応急措置を行い、保護者への報告が必要です。

一時保育中に災害や事故が起きた際、保育士は子どもの安全確保を優先し、保護者との連絡を円滑に行うことが求められます。一時保育中の子どもの安全を守るため、緊急対応の手順を日頃から確認し、落ち着いて行動できるよう準備することが大切です。ほかにも、保育士が一時保育中に気をつけた方が良いことを知りたい方は、本記事の「保育士が一時保育をする際の3つ注意点とは」をご確認ください。

まとめ

一時保育は、数時間から1日単位で子どもを一時的に預けられるサービスです。保育士として一時保育に携わる際には、子どもの情報を正確に把握し、安心して過ごせる環境を整えることが求められるでしょう。また、保育士は子どもの年齢や興味に応じた活動を提供し、子どもの健康状態や安全管理を徹底することも大切です。一時保育における保育士は、子ども一人ひとりに寄り添いながら、安心・安全で充実した時間を提供する役割があります。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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