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預かり保育とはどのような仕事?必要な資格やメリット・デメリットを解説

預かり保育について知りたい方もいるのではないでしょうか。預かり保育とは、幼稚園や認定こども園などで通常の保育時間外に子どもを預かる制度のことです。共働き家庭やひとり親家庭が増えている現代において、需要が高まっている傾向にあり、長時間勤務や急な用事に対応できる柔軟性を持っているのが特徴です。 この記事では、預かり保育の仕事内容をはじめ、必要な資格やそのメリット・デメリットについて詳しく解説します。預かり保育の仕事に興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
預かり保育とは?
預かり保育とは、幼稚園や認定こども園などで通常の保育時間外に子どもを預かる制度を指します。通常、幼稚園の保育時間は午前9時〜午後2時ごろまでが一般的ですが、預かり保育ではその前後や土日、長期休暇中にも利用できるのが特徴です。
また、国が実施する一時預かり事業でも預かり保育を実施しています。これは、家庭での保育が一時的に困難になった乳幼児を対象に、施設で短期間預かる仕組みです。
こども家庭庁の「子ども・子育て支援新制度ハンドブック (p.1)」によると、一時預かりには以下の種類があります。
一般型:保育所や幼稚園、地域施設などで実施される幅広い一時預かり
余裕活用型:定員に余裕のある保育所などで行う
幼稚園型:幼稚園や認定こども園で実施し、主に満3歳以上の園児が対象
訪問型:障害や夜間勤務など、特別な事情がある場合に自宅で行われる一時預かり
文部科学省が行った「令和5年度幼児教育実態調査 (p.38)」によると、現在預かり保育を実施している幼稚園は全体の約91.0%に達し、私立で97.1%、公立で77.4%と高い割合を占めています。共働き家庭やひとり親家庭の増加に伴い、需要は引き続き高まると予想されるでしょう。
出典
文部科学省「令和5年度幼児教育実態調査」(2025年9月25日)
預かり保育の仕事内容
預かり保育は、子どもたちが安全で楽しく過ごせるようにサポートすることが中心。子ども一人ひとりに配慮した対応も重要です。ここでは預かり保育の仕事内容について解説します。
預かり保育で行われる主な活動
預かり保育では、語学やスポーツ、音楽といった教育的プログラムを取り入れ、楽しみながら学びの機会を提供する施設もあるようです。預かり保育では異年齢保育(縦割り保育)が行われることが多く、年齢の異なる子どもたちが一緒に過ごすことで、年長児がリーダーシップを発揮したり、年少児が上の子から学んだりと、社会性やコミュニケーション能力の向上が期待されます。
預かり保育の1日の流れ
預かり保育の1日の流れは、施設によって活動内容や時間帯が異なりますが、以下のようなスケジュールが一般的です。
時間帯 | 活動内容 | 詳細 |
午前7時30~午前8時 | 早朝保育 | ・保護者の通勤時間に合わせて子どもの受け入れ
・絵本の読み聞かせや自由遊び |
午前8時~午後2時 | 通常の保育・幼児教育 | ・制作や運動、歌やダンスなど
・昼食やお昼寝時間を含む場合も |
午後2時~午後3時半 | 午後の預かり保育 | ・通常保育終了後、遊びやリラックスタイム
・異年齢保育(縦割り保育) |
午後3時半
~午後4時 | おやつタイム | 軽食を提供する |
午後4時~午後6時 | 延長保育 | ・保護者の帰宅時間に合わせた預かり
・外遊びやお片付け、絵本タイムなど |
施設によっては、土日や長期休暇中にも預かり保育を提供している場合があります。とくに長期休暇中は、1日の活動が保育園のように変化に富んだ内容となるケースもあるようです。
預かり保育と一時保育の違い
預かり保育と一時保育は、どちらも子どもを一時的に預かる制度ですが、対象となる子どもや利用条件、預かり時間に違いがあります。それぞれの特徴を以下の表でわかりやすくまとめました。
預かり保育 | 一時保育 | |
実施施設 | 幼稚園・認定こども園 | 保育園・幼稚園・認定こども園
地域子育て支援拠点・駅周辺施設 |
利用対象 | 在園している子ども(主に3歳以上) | 在籍の有無を問わない(施設による規定あり) |
利用時間 | 保育終了後から閉園時間まで | 利用者の申し込み日時による(施設ごとに異なる) |
預ける理由 | 共働きなどで通常保育時間内に迎えに行けない場合 | 急な用事、リフレッシュ、短期パート、引っ越しなど |
主な利用日 | 通常の保育時間が終了した後や土曜、長期休暇中など | 施設によるが柔軟に対応 |
預かり保育は施設に在園している子どもを対象としており、主に保護者の就労などやむを得ない理由で利用されることが多い傾向にあります。一方、一時保育は在籍の有無に関わらず、短期間のみ子どもを預けることができるため、柔軟に利用可能です。
預かり保育で働くメリットとは
預かり保育は、通常の保育とは異なる時間帯や業務内容に特化している傾向にあります。そのため、保育士として勤務する場合、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った働き方を実現しやすいのも魅力の1つといえます。ここでは、預かり保育で働く際の主なメリットについて詳しく紹介します。
仕事とプライベートの両立がしやすい
預かり保育で保育士として働く場合、午後2時〜午後6時といった短時間の勤務が中心になるため、仕事とプライベートを両立しやすいのが特徴です。「パートタイムで働きたい」「仕事とプライベートを両立したい」と考える方にとって、預かり保育は適している可能性があります。
子どもと深く向き合う時間がある
預かり保育では、通常の保育時間よりも子どもが少ないため、一人ひとりの子どもとじっくり向き合い、個性や成長に合わせた細やかな保育を行えるでしょう。少人数の場合が多いため子どもと信頼関係を築きやすく、保育士としてのやりがいを感じられる場面が多いのもメリットの1つといえるでしょう。
預かり保育で働くデメリットとは
預かり保育で勤務する場合のデメリットとして、人によってはやりがいを感じにくく、待遇や条件に不満を感じる方がいるかもしれません。以下で詳しく解説します。
やりがいを感じにくい場合がある
預かり保育は少人数のケースが多いため、多くの子どもたちと関わり担任としての役割を求めている方にとっては物足りなさを感じることもあるようです。その場合、ほかの園に転職するのも1つの方法でしょう。パートで預かり保育に携わっている場合は、正社員への転職を検討してみるのもおすすめです。
待遇や条件に不満を感じることがある
預かり保育は、短時間勤務で時給制が多いため、十分な収入を得ることが難しいと感じる方もいるようです。園によって時給は異なりますが、1,200円〜1,300円程度とされています。求人に応募する際には、交通費が支給されるかなども合わせて確認しましょう。
預かり保育で働く際に必要な資格や研修
預かり保育で働く際には、基本的に保育士資格や幼稚園教諭免許状を保有していることが求められます。しかし、文部科学省の「幼児教育課資料 (p.309)」によると、平成28年4月より資格要件が緩和され、3分の1以上の職員が資格を保有している場合、残りは市町村長などが行う研修を修了していれば勤務可能となりました。
保育士資格や幼稚園教諭免許状がなくても、市町村長などの研修を受けると預かり保育に従事できるケースもあります。しかし、具体的な条件や必要な資格、研修内容は施設によって異なる可能性も。預かり保育に携わりたい場合は求人情報を確認し、施設の要件に合わせて準備を進めましょう。
出典
文部科学省「幼児教育課資料」(2025年9月25日)
保育士資格
前述しましたが、預かり保育を行うために必要な資格として、保育士資格が挙げられます。保育士資格を取得するには、厚生労働省が指定する養成学校を修了するか、保育士試験に合格するか、2つの方法があります。園によっては、2歳児を預かり保育の一環として受け入れている場合があり、その際は必ず保育士資格を持った職員を配置する必要があります。
幼稚園教諭免許状
こちらも先で述べましたが、預かり保育に携わる場合、基本的に幼稚園教諭免許状が必要とされています。幼稚園教諭免許状を習得するには、文部科学省が指定する養成施設を卒業する必要があります。大学は一種免許状、短大・専門学校は二種免許状、大学院は専修免許状と、卒業する学校により取得できる免許状が異なります。
市町村長等が行う研修の修了
預かり保育に従事するためには、必ずしも保育士資格や幼稚園教諭免許状が必要ではありません。市町村長が実施する研修を修了すると、職員として働けます。この研修には、一時預かり事業や地域型保育の専門研修が含まれており、これを受けることで資格を得ることが可能です。
預かり保育で働くときのポイント
預かり保育で働く際には、子どもの心に寄り添う姿勢や保護者との連携が欠かせません。ここでは、子どもや保護者に対して心掛けるべきポイントについて紹介します。
子どもの心に寄り添う姿勢を大切にする
預かり保育では、早朝から夕方までの長時間、保護者と離れて過ごす子どもたちも少なくありません。そのため、寂しさや不安を抱える子どもの気持ちに寄り添うことが重要です。とくに、入園当初や進級直後は緊張感が強くなる時期であるため、子どもの様子を注意深く見守る必要があるでしょう。
保護者との連携を深める
預かり保育を長時間利用する場合、保護者は園で過ごす子どもの様子を把握しにくい場合も。そのため、保育士は園での様子を保護者に丁寧に伝え、緊密に連携する必要があります。情報共有をこまめに行うと、保護者が安心できるでしょう。
安全第一を考えた環境づくりを心掛ける
預かり保育では、子どもが安全に過ごせる環境を整えることが何よりも重要です。長時間保育では、子どもが疲れてケガをしやすくなる可能性もあります。そのため、遊ぶ際にはルールをしっかり伝え、危険がないように配慮しましょう。
また、遊具や設備の安全点検を定期的に行い、事故を未然に防ぐことも大切です。緊急時の対応については園内での職員間の協力体制を整え、適切な対応が取れる準備をしておくと安心でしょう。
預かり保育の求人情報の傾向と探し方
預かり保育の求人は、短時間勤務の募集が多い傾向にあります。主に昼過ぎから夕方にかけて4時間程度のシフトが多く、扶養内のパートとしても働きやすいのが特徴です。
保育士や幼稚園教諭の資格が必要とされる場合が多いものの、資格取得見込みの方や無資格でも応募可能な求人もあるようです。また、保育の現場経験が浅い方には、働きながらスキルを積むチャンスになるでしょう。
一方で、正社員として働く場合は預かり保育に加え、通常の保育業務も含まれることが多いため、条件をしっかり確認する必要があります。
預かり保育の求人を探す際には、保育業界に特化した転職サービスを活用すると効率的です。保育業界に特化した転職エージェント「レバウェル保育士」は、経験豊富なアドバイザーが面接対策や求人選びのサポートを行うため、安心です。サービスはすべて無料で利用可能。転職を検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
預かり保育に関するよくある質問
ここでは、預かり保育に関するよくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
預かり保育と延長保育の違いとは?
預かり保育と延長保育の違いは、主に利用する施設と対象となる子どもにあります。
預かり保育とは、幼稚園や認定こども園(1号認定)に通う子どもが対象で、通常の保育時間外に預かりを行い、幼稚園のカリキュラムに基づく活動を中心に保育が行われます。
一方、延長保育とは、保育園や認定こども園(2号・3号認定)に通う子どもが対象で、通常の保育時間を過ぎて時間外に預かりを行います。主に共働き家庭など、長時間の保育が必要な場合に利用される違いがあります。
預かり保育での勤務時間はどのようになっていますか?
預かり保育は通常、午後から夕方にかけての短時間勤務が多く、一般的な勤務時間帯は、昼過ぎから午後6時までの4〜5時間程度が多いようです。パートやアルバイトなど非正規で募集されていることも多いため、柔軟な勤務時間を求める方にとっては、働きやすい環境です。ただし、早朝や長期休暇中に勤務する施設もあるため、求人票を確認してください。
まとめ
預かり保育とは、幼稚園や認定こども園などで通常の保育時間外に子どもを預かる制度のことです。預かり保育では、語学やスポーツ、音楽などユニークな教育的プログラムを取り入れている園もあるようです。
保育士として勤務する場合、基本的には保育士資格や幼稚園教諭免許状が必要ですが、市町村長が実施する研修を修了すると、勤務できます。預かり保育では4時間ほどの短時間勤務が中心となるため、仕事とプライベートを両立しやすいのがメリットです。ほかにも、少人数の場合が多く、一人ひとりの子どもとじっくり向き合えるのも魅力といえるでしょう。一方で、担任として多くの子どもたちと関わりたい方は、物足りなさを感じる場合もあるようです。
預かり保育の求人は数が限られているため、転職エージェントに相談するとスムーズに転職できる可能性が高まります。預かり保育で勤務するメリット・デメリットを把握したうえで、転職を検討しましょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。