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こども誰でも通園制度はいつから?実施内容や保育士への影響を解説

元気に遊ぶ保育園児のイメージ

保育士のなかには、「こども誰でも通園制度はいつから始まる?」と気になる方もいるのではないでしょうか。こども誰でも通園制度は、2026年度から本格的に始まる予定です。 この記事では、こども誰でも通園制度の開始時期や実施内容、一時預かりとの違い、保育園に与える影響を解説します。こども誰でも通園制度の課題と対応策もまとめました。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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こども誰でも通園制度はいつから?

こども誰でも通園制度はいつから?に関する画像

こども家庭庁の「こども誰でも通園制度(p.1)新規タブリンク」によると、こども誰でも通園制度とは、子育て家庭の支援強化のために創設された、保護者の就労の有無に関わらず子どもが保育園を利用できる制度です。こども誰でも通園制度は、制度の本格実施を見据え、2024年度から一部の自治体で試験的運用が始まりました。2025年度には、法律で制度化し試験的運用の自治体数を拡大しています。その結果を踏まえて、2026年度からは、全自治体で本格的に始まることになっています

出典

こども家庭庁「こども誰でも通園制度について新規タブリンク」(2025年9月11日)

こども誰でも通園制度の目的

こども家庭庁の「こども誰でも通園制度の実施に関する手引(p.3)新規タブリンク」によると、こども誰でも通園制度は、「すべての子どもの育ちを応援し、子どもの良質な成育環境を整備する」ことを目的としています。保護者が就労していない家庭では、幼稚園に入園する3歳まで同年代の子どもと遊ばせたり、子育ての相談をしたりする機会が少ないこともあるようです。こども誰でも通園制度が実施されれば、社会から孤立している親子が地域とつながるきっかけになるかもしれません。

出典

こども家庭庁「こども誰でも通園制度について新規タブリンク」(2025年9月11日)

こども誰でも通園制度の実施内容

こども誰でも通園制度は、国の基準をもとに、自治体や保育園によって実施内容が決められています。ここでは、こども家庭庁の「こども誰でも通園制度の実施に関する手引新規タブリンク」をもとに、こども誰でも通園制度の実施内容をまとめました。

利用対象者

こども誰でも通園制度の利用対象者は、0歳6ヶ月から満3歳未満の保育園に通っていない子どもです。認可外保育施設に通っている子どもも利用対象となります。一方、企業主導型保育事業所に通っている子どもは、利用対象外です。また、保育園によっては、医療的ケアが必要な子どもや障害のある子どもを受け入れている場合もあります。

利用対象の子どもを受け入れる日数や時間

こども誰でも通園制度では、基本的に子ども1人につき月10時間受け入れます。利用可能な時間は自治体によっても異なりますが、国の補助金の対象となるのは「月10時間」です。1回当たりの利用時間と料金は自治体によって決められており、たとえば、千葉県柏市「こども誰でも通園制度(利用案内)新規タブリンク」では、1回あたり最低1時間から、30分単位で利用でき、1日あたりの利用できる時間は施設によって異なるようです。

出典

千葉県柏市「こども誰でも通園制度(利用案内)新規タブリンク」(2025年9月11日)

実施できる施設

こども誰でも通園制度は、児童福祉法で定める乳児等通園支援事業の認可を受けた施設で実施できます。たとえば、以下のような施設です。

  • 保育所

  • 認定こども園

  • 小規模保育事業所

  • 家庭的保育事業所

  • 幼稚園

  • 地域子育て支援拠点

  • 企業主導型保育施設

  • 認可外保育施設

  • 児童発達支援センター

なお、上記にあてはまるすべての施設で実施されているわけではありません。こども誰でも通園制度を実施している施設は、自治体のWebサイトで確認してみましょう。

実施方式

こども誰でも通園制度の実施方式は、大きく分けて「一般型」と「余裕活用型」の2つです。ここでは、それぞれの実施方式について解説します。

一般型事業

一般型事業とは、こども誰でも通園制度を利用する定員を別に設け、在園児と合同または、専用室で受け入れる方法です。また、一般型の実施方式は以下の3つに分かれます。

  • 在園児合同実施:在園児と一緒に過ごすことを基本とする

  • 専用室独立実施:在園児とは別にこども誰でも通園制度を利用するこども同士で過ごすことを基本とする

  • 独立施設実施:保育所に併設せず、こども誰でも通園制度のみを実施する施設で事業を行う

専用室独立実施であっても、活動内容や時間帯によっては在園児と一緒に過ごすこともあります。独立施設実施の場合は、子どもが充実した経験ができるように工夫したり緊急時に必要な支援が受けられたりするように、連携施設が設けられることがあるかもしれません。

余裕活用型事業

余裕活用型事業とは、保育園や認定こども園、家庭的保育事業などで利用定員に空きがある場合、その空き枠を活用して実施する方式です。たとえば、1歳児クラスの定員が6名なのに対し、現在の利用児童が4名の場合、その空き2名分をこども誰でも通園枠として活用する形になります。

余裕活用型事業のメリットは、既存の施設設備や人員体制を活用できることです。余裕活用型事業であれば、定員割れしている園や年度途中で空きが生じた園などが、柔軟にこども誰でも通園制度を実施しやすくなるでしょう。ただし、定員の充足状況によって受け入れ可能人数が変動するため、安定した供給が難しい面もあります。

職員の配置

一般型事業の職員配置は、乳児3人につき1人、満1歳以上満3歳未満の幼児6人につき1人以上です。従事者の半数以上が保育士で、配置する職員は2人を下回らないことを守る必要があります。余裕活用型事業は、利用定員内での受け入れのため、施設ごとの基準に従う形になります。保育園であれば職員の配置は、0歳児3人につき1人、1・2歳児6人につき1人、3歳児15人につき1人、4・5歳児25人につき1人です。

出典

こども家庭庁「こども誰でも通園制度について新規タブリンク」(2025年9月11日)
e-Gov 法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準新規タブリンク」(2025年9月11日)

こども誰でも通園制度と一時預かりの違い

こども誰でも通園制度と一時預かりの主な違いは、利用対象者と利用可能な時間です。一時預かりは主に緊急や一時的な保育ニーズに対応するサービスで、不定期な利用が中心です。たとえば、保護者の急な用事やリフレッシュ目的などの一時的な保育需要に応えます。一方、こども誰でも通園制度は、月に数回、週に数時間など定期的な利用が可能です。こども家庭庁の「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた 試行的事業実施の在り方に関する検討会における 中間取りまとめ(案)について(p.10)新規タブリンク」によると、こども誰でも通園制度と一時預かりの主な違いは以下のとおりです。

一時預かり事業 こども誰でも通園制度
実施自治体 1,269自治体で実施 すべての自治体で実施
事業の主な目的や内容 緊急や一時的な保育ニーズに対応。保護者のリフレッシュ目的での活用も可能。 すべてのこどもに良質な成育環境を与える。ライフスタイルに関係ない子育て支援の強化。
利用時間 補助事業としての利用時間の定めはない。市町村によって上限時間や日数を設けている。 補助対象になるのは1人当たり月10時間

一時預かりの主な保育内容は、生活全般のサポートや遊びの見守りです。一方、こども誰でも通園制度は、通常の保育に加えて、在園児との交流を促したり一緒に活動したり、教育的活動も目的になっています。

こども誰でも通園制度が保育園に与える影響

こども誰でも通園制度が実施されると、保育園の人員配置や経営状況などに影響が出るかもしれません。ここでは、こども誰でも通園制度が保育園に与える影響を解説します。

人員配置の変更

こども誰でも通園制度の導入により、保育士の人員配置に変更が生じる可能性があります。余裕活用型の場合は、基本的にクラス担任が兼任して在園児とこども誰でも通園制度を利用する子どもを保育することになりますが、保育補助やフリー保育士などが入って一緒に対応することもあるかもしれません。限られた職員の中で新たな業務に対応する必要があるため、シフト調整や業務分担の見直しが課題となります。一方、一般型事業を実施する場合は、専任の保育士配置が必要となるため、新たな採用や既存スタッフの配置転換が必要になるでしょう。

経営状況の変化

こども誰でも通園制度の実施は、保育園の経営状況にも影響を与えるかもしれません。定員割れの保育園では、こども誰でも通園制度によって空き枠が活用できれば、経営状況が安定するかもしれません。また、地域の子育て支援拠点としての役割を果たすことで、園の評判向上や将来的な入所希望者の増加につながる可能性もあります。一方、こども誰でも通園制度実施にあたって人手補充した場合、利用者が途切れたり集まらなかったりすると赤字リスクがある点には注意が必要になるでしょう。

こども誰でも通園制度に関する保育士のメリット

保育士がこども誰でも通園制度に携わることで、スキルアップできたりやりがいを感じたりするメリットがあります。ここでは、こども誰でも通園制度に関する保育士のメリットをまとめました。

スキルアップの機会になる

こども誰でも通園制度では、通常保育とは異なる形態の保育に携われるため、多様な保育ニーズに対応する力を養えます。短時間利用の子どもたちと関わったり、在園児と交流する機会を作ったり、通常の保育とは異なるスキルが身につくかもしれません。また、在宅で子育てをしている保護者との関わりを通して、相談支援スキルや子育てアドバイスの力が磨かれる可能性があります。こども誰でも通園制度では、より多様な背景を持つ子どもと関われるため、幅広いケースに対応していくうちに保育士としての経験値がアップするでしょう。

保育の質向上につながる

こども誰でも通園制度を実施している保育園では、子どもたち同士の交流促進や保育士のスキルアップによって、保育の質向上につながる可能性があります。在園児とこども誰でも通園制度の利用児が一緒に活動する場面では、子どもたち同士の新たな関わりが生まれ、社会性や協調性の発達を促せるでしょう。また、地域の保育ニーズをより深く理解し運営に反映させれば、園全体の保育の質向上につながる好循環が期待できます。

地域貢献のやりがいを感じる

こども誰でも通園制度では、これまで保育サービスを利用できなかった家庭を支援することで、社会的意義のある仕事に携わっているという実感を得られるでしょう。家庭で子育てをしている親子の孤立防止や、子どもの健やかな成長発達をサポートすることは、保育士としての専門性を地域に還元する機会になります。在宅で子育てをする保護者からの感謝の言葉や、子どもたちの成長を目の当たりにすることで、保育士としてのやりがいや誇りを再認識できるかもしれません。

こども誰でも通園制度に関する保育士のデメリット

こども誰でも通園制度は、受け入れ体制を整える仕事が負担になったり、在園児の保育に影響が出たりすることもあるようです。ここでは、こども誰でも通園制度に関する保育士のデメリットを解説します。

受け入れ体制を整える仕事が発生する

こども誰でも通園制度の実施にあたっては、受け入れ体制を整えるために新たな業務が発生するでしょう。利用者との事前面談や利用スケジュールの調整など、事務的な業務が増加するかもしれません。また、保育室の整備や保育プログラムの作成など、子どもの受け入れ準備が必要になります。制度開始初期は、試行錯誤しながらの運営となるため、通常業務に加えた受け入れ準備の負担が大きく感じることもあるでしょう。

業務が増えたり煩雑になったりする

こども誰でも通園制度の導入により、保育士の事務作業が増加したり、保育業務が煩雑になったりする可能性があります。兼任する場合は担当する子どもの数が増え、連絡帳の記入や記録作成の負担も増加するでしょう。こども誰でも通園制度により利用パターンが多様化すると、子どもたちの登降園時間が分散し、受け入れや見送りの対応が複雑になります。保護者との連絡や情報共有の方法も、通常の連絡帳とは別の仕組みが必要になるかもしれません。

在園児の保育に影響が出る

こども誰でも通園制度を利用する子どもと在園児が一緒に活動する場面では、それぞれへの配慮が必要になります。慣れない子どもの受け入れにより、クラス全体の落ち着きがなくなったり、活動の流れが乱れたりする可能性もあるでしょう。また、保育室や園庭、遊具などの共有スペースが混雑したり、使用時間の調整が必要になったりすると、従来の保育活動がスムーズに行えなくなることもあるかもしれません。

配慮が必要な子どもや、環境の変化に敏感な子どもにとっては、新しい子どもの出入りが負担となる場合があります。こども誰でも通園制度の導入にあたっては、在園児への影響を最小限に抑えるための工夫や配慮が、保育士にとっての課題になるかもしれません。

こども誰でも通園制度の課題と対応策

こども誰でも通園制度は本格始動に向けて、試行的事業が実施されており検証結果や課題、対応策などが共有されています。ここでは、こども誰でも通園制度の課題と対応策について解説するので、参考にしてみてください。

人手不足の課題と対応策

こども誰でも通園制度を実施するうえでは、人手不足が課題になる保育園もあります。こども誰でも通園制度で受け入れる子どもは、利用時間が短いため園に慣れるまでに時間が掛りやすく個別対応が必要になると、人手不足を感じるかもしれません。

千葉市の「令和6年度こども誰でも通園制度試行的事業検証結果報告書(p.28)新規タブリンク」によると、保育従事者から「4~5月は時間・人数を制限すべき」「午前のみの利用が理想的」といった、こども誰でも通園制度の改善点が挙げられています。人手に余裕がある時期や時間帯に受け入れるなど、こども誰でも通園制度の実施内容については園の状況に合わせた工夫が必要になるかもしれません。

保護者対応の課題と対応策

こども誰でも通園制度は、利用回数が少なかったり時間が短かったりするため、保護者とのコミュニケーションや信頼関係構築において課題が出ることもあるようです。子ども家庭庁の「こども誰でも通園制度の 本格実施を見据えた試行的事業の 実施に関する調査研究 概要版(p.32)新規タブリンク」によると、保護者対応においては、以下のような工夫をした事例が挙げられています。

  • 保護者に任意で「お話メモ」を書いてもらい、育児での悩みに寄り添うことを意識している

  • 保護者に安心感を持ってもらえるように、園での子どもの様子を写真や動画などで具体的に伝えている

  • 学期中にも保護者面談を行い、家庭の様子をヒアリングする

こども誰でも通園制度を利用する保護者のなかには、子どもを預けることに慣れていなかったり不安に思ったりする方もいるため、保育士はきめ細やかな対応で安心感を与える必要があるでしょう。

事務作業の課題と対応策

こども誰でも通園制度の実施にあたっては、保育記録の作成や保護者との連絡など、事務作業の負担が課題になることもあります。保育園によっては、次回利用時に活かせるように、子どもの様子や興味のあること、好きな遊びなどを細かく記録している場合もあるようです。そのため、通常の保育と兼任している場合は、保育の記録や連絡帳の記入の負担が増えるかもしれません。

子ども家庭庁の「こども誰でも通園制度の 本格実施を見据えた試行的事業の 実施に関する調査研究 概要版(p.33)新規タブリンク」によると、チャット機能での情報共有の負担を軽減している園もあります。事務作業負担軽減に向けては通常の業務だけでなく、こども誰でも通園制度においてもアプリの導入やチャット機能など、ICTの活用が必要になるかもしれません。

こども誰でも通園制度の開始に向けて、不安や戸惑いを感じている保育士の方は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、制度変更に伴う業務内容の変化や、新たな職場環境への適応について、保育業界に精通したキャリアアドバイザーが親身になってアドバイスします。保育現場での実務経験が豊富なアドバイザーが、あなたの経験やスキル、希望する働き方に合わせて、新制度導入後のキャリアプランもご提案しますので、お気軽にご相談ください。

こども誰でも通園制度に関するよくある質問

ここでは、こども誰でも通園制度に関するよくある質問に答えます。反対される理由や試行的事業についてまとめたので、参考にしてみてください。

こども誰でも通園制度が反対される理由は?

こども誰でも通園制度は、保育士の業務負担増加や保育の質低下などから反対されることもあるようです。保育現場は人手不足が問題となっているため、新たな業務が加わることに対して不安になることがあるかもしれません。また、保育士の負担増加により、保育の質が低下することを心配する方もいるようです。こども誰でも通園制度の本格実施に向けては、ICTの導入や利用に関するルールの整備などにより、保育士の業務負担軽減が求められるでしょう。

こども誰でも通園制度の試行的事業はいつから?

こども誰でも通園制度は、2024年4月から試行的事業が始まっています。子ども家庭庁の「こども誰でも通園制度の本格実施を見据えた試行的事業実施状況速報新規タブリンク」によると、2024年11月30日時点での開始事業所数は801ヶ所です。試行的事業は認可保育園での実施が多く269ヶ所。実施方式は定員の空き枠を利用した余裕活用型が多くなっています。

まとめ

こども誰でも通園制度は、2024年度から一部自治体で試験的に始まり、2026年度から全国で本格実施される予定の新しい制度です。保護者の就労に関係なく、0歳6ヶ月から3歳未満の子どもが月10時間まで保育園や認定こども園などの保育施設を利用できる仕組みとなっています。

保育士にとっては新たな業務負担が増える一方で、専門性を活かした地域貢献やスキルアップのチャンスにもなるでしょう。ただし、人手不足や事務作業の増加、在園児への影響など課題もあるため、各園の状況に応じた工夫や対応が求められるようです。こども誰でも通園制度は、試行的事業の検証結果を踏まえ、子どもの支援強化と保育士の負担軽減に向けた改善策や実施内容が検討されています。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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