最終更新日:
保育士のキャリアアップ方法は?保育園でのキャリアパスや転職のコツを紹介
- #保育士

保育士のなかには、今後のキャリアについて考える方もいるのではないでしょうか。保育士は、研修を受けたり転職したりするとキャリアアップできる可能性があります。 この記事では、保育士がキャリアアップする方法や保育園でのキャリアパスを解説。保育士が保育園でキャリアアップするメリット・デメリットも紹介します。キャリアアップを叶えるコツも解説するので、保育士の方はぜひ参考にしてください。
目次
保育士がキャリアアップを目指す方法
保育士がキャリアアップを目指す場合は、「勤務先の保育園で役職に就く」「保育士資格を活かして転職する」などの方法があります。ここでは、保育士がキャリアアップを目指す2つの方法を解説します。
勤務先の保育園で役職に就く
若手や中堅の保育士も研修を受けて職務分野別リーダー、専門リーダー、副主任保育士などの役職に就くと、キャリアアップできる場合があります。
これまで保育園では役職が少なく、主任と園長しかありませんでした。しかし、保育士の処遇改善やキャリアパスの構築、専門性を向上するのを目的として、2017年に「保育士等キャリアアップ研修」が制定されました。職務分野別リーダーは概ね3年以上、専門リーダーや副主任保育士は概ね7年以上と、保育士の経験年数に応じた役職を目指せます。役職に就くと、収入がアップする可能性があるでしょう。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年9月17日)
保育士資格を活かして転職する
保育士は資格を活かして転職し、キャリアアップする方法もあります。その場合、ほかの園や異業種に転職する方法があるでしょう。現在の職場で役職に空きがない場合、ほかの園に転職すればキャリアアップできる可能性もあります。
また、保育士資格はベビーシッターや療育施設、子ども向けの商品を扱っている企業など、保育園以外の仕事でも活かせる場合もあるでしょう。保育士として働くなかで興味をもったり専門性を高めたいと思ったりした分野があれば、転職しキャリアアップを目指すのも1つの方法です。
保育士が目指せる6つのキャリアパス
保育士にはクラス担任、職務分野別リーダー、専門リーダー、副主任保育士、主任保育士、園長など6つのキャリアパスがあります。
ここでは、厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」を参考に、保育士が保育園で目指せる6つのキャリアパスを詳しく解説するので、見ていきましょう。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年9月17日)
1.クラス担任
正社員として勤務する保育士の場合、クラス担任を任される場合があります。保育園によって異なりますが、保育士経験が1年以上あればクラス担任になれることもあるようです。早いうちから経験を積むのを重視している場合や人手不足の保育園では、経験が浅い保育士もクラス担任になれる可能性があります。
何歳児のクラスを担当するのかは、園長が主任保育士などと相談し決定します。保育園によっては、何歳児を担当したいか希望を出せる場合もあるでしょう。
クラス担任になると、保育業務に加えて保育指導計画の作成や連絡帳の記入、保護者対応などを任されることが多いようです。クラス担任は主体性や柔軟性、計画力、判断力など多くのスキルが求められます。初めは上手くいかなくても、クラス担任の経験を積むうちに保育士としての専門性が磨かれるでしょう。
2.職務分野別リーダー
職務分野別リーダーとは、厚生労働省が定める「保育士等キャリアアップ研修」を終了し、勤務先から発令を受けると就ける役職です。キャリアアップ研修で受講した分野、たとえば乳児保育や食育・アレルギーなどでリーダーを任され、職場で研修を実施したり相談役になったりします。
なお、職務分野別リーダーになるための要件は、以下のとおりです。
保育士の経験年数がおおむね3年以上
担当する職務分野のキャリアアップの研修を修了
職場から修了した研修分野の職務分野別リーダーとして発令される
以上の要件を満たし職務分野別リーダーになると、役職手当として月額最大5,000円が支給される可能性があります。ただし、支払額は園の事情によって異なるので、上司などに確認するのがおすすめです。
副主任保育士や専門リーダーになるには、職務分野別リーダーを経験している必要があります。そのため、職務分野別リーダーは若手や中堅が保育士としてキャリアアップする第一歩となるでしょう。
3.専門リーダー
専門リーダーは現場のスペシャリストとして、高度な専門性を活かしてほかの保育士に指導や助言を行い、保育の質を高めるのが役割です。専門リーダーになるための要件は、以下のとおりです。
保育士の経験年数がおおむね7年以上
職務分野別リーダーを経験
4つ以上の分野のキャリアアップ研修を修了
職場から専門リーダーとして発令される
以上の要件を満たし専門リーダーになると、月額最大4万円が支給され、収入アップが期待できます。ただし、職務分野別リーダーと同じく保育士への支給額は園によって異なります。
専門リーダーになると、より多くの専門知識を身につけられるため、キャリアアップにもつながりやすくなるでしょう。
4.副主任保育士
副主任保育士は園長や主任保育士を補佐し、現場の橋渡し役を行います。園長や主任保育士の指示を現場に伝えたり、保育士の意見をまとめて管理職に知らせたりする場合もあります。副主任保育士になるための要件は、以下のとおりです。
保育士の経験年数おおむね7年以上
職務分野別リーダーを経験
マネジメント+3つ以上の分野のキャリアアップ研修を修了
職場から副主任保育士に発令される
副主任保育士は、前述した専門リーダーと経験年数の要件は同じです。ただし、一般的に副主任保育士はライン職、専門リーダーはスタッフ職という違いがあります。副主任保育士は管理職のサポートを行いますが、専門リーダーはスペシャリストとして若手を育成し、保育の質を向上する役割を担います。
副主任保育士になると、専門リーダーと同じく月額最大4万円が支給される可能性があります。ただし、同様に支給額は園によって異なるため、事前に上司などに確認しましょう。
5.主任保育士
主任保育士は、保育現場をまとめる責任者です。保育士が働きやすい環境を整備し、調整します。また、職員の配置やシフトの作成、外部機関とのやりとりなどを行うのも主任保育士の仕事といえるでしょう。
厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」によると、主任保育士の平均勤続年数は21年とされています。主任保育士になるためには、経験や勤続年数の長さが求められるのが分かるでしょう。
6.園長
園長は保育園代表であり、運営、管理を行います。行政とのやり取りやトラブル発生時の保護者対応、人事採用など、保育園の責任者として業務は多岐にわたります。
厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」によると、園長の平均勤続年数は24年とされています。園長になるには、主任保育士からキャリアアップする場合もありますが、園によって異なるようです。
園長になるためには保育現場で多くの経験を積んだり、マネジメントスキルを磨いたりする必要があります。なお、公立保育園で園長になるためには勤続年数の要件を満たしたうえで、昇格試験に合格しなければいけません。
保育士が保育園でキャリアアップを目指すメリット
保育士がキャリアアップを目指すメリットは収入アップが期待でき、専門性を高められることだといえます。保育士が保育園でキャリアアップを目指すメリットを2つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
キャリアアップ研修により処遇が改善されることがある
前述しましたが、保育士はキャリアアップ研修を受けると、役職手当が支払われる可能性があります。こども家庭庁の「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について (p5)」によると、処遇改善等加算区分3の仕組みによって副主任保育士・専門リーダーは最大で月額4万円、職務分野別リーダーは最大で月額5,000円が加算されます。
このように、職務分野別リーダーを経て副主任保育士や専門リーダーになると、支給額は月額最大で5,000円から4万円となります。役職が上がるにつれて手当が増える傾向にあり、さらなる収入アップが期待できるのはメリットといえるでしょう。
出典
こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(2025年9月17日)
保育士の専門性を高められる
保育士がキャリアアップを目指す場合、研修などにより新たな知識を身につけられるため、専門性を高められるのもメリットといえます。また、研修で学んだ知識を活かして現場で活用すれば、より子ども一人ひとりに合った保育を行えるようになり、同僚や上司、保護者から信頼されるきっかけになる可能性もあります。
ほかにも、研修で学んだことをほかの保育士に共有すると、保育の質を向上し、園に貢献できる場合があるのもメリットの1つといえます。
保育士が保育園でキャリアアップを目指すデメリット
一般的な企業と比較すると、保育園は役職の数が少ないために、キャリアアップしにくいと感じる方もいるようです。ここでは、保育士が保育園でキャリアアップを目指すデメリットを2つ紹介します。
役職数が少なく空きが出にくいことがある
一般的な企業に比べると、保育園は役職の数が少なく、空きが出ないために園によっては昇格できない場合もあります。一般的な企業では主任や係長、課長、次長、部長などと役職が細かく分けられていたり、部署ごとに役職が設けられたりします。しかし、保育園では園長や主任保育士は1人ずつと限られている傾向にあります。
また、役職に就いている方が定年まで働く場合や離職率が低い保育園では空きが出にくく、若手保育士がキャリアアップしにくいこともあるようです。
昇格には勤続年数を求められることがある
保育園によっては、スキルや働きよりも勤続年数を重視し、役職に就くまで時間がかかる場合もあります。役職に就くまで時間がかかると、仕事へのモチベーションが下がる可能性もあるでしょう。そのため、年功序列を重視していたり、評価制度が明確ではない保育園では、若手保育士のキャリアアップが難しいケースもあります。
保育士がキャリアアップを叶える3つのコツ
保育士はキャリアアップ研修を受けたり、転職したりするとキャリアアップを叶えられる可能性があるでしょう。ここでは、保育士がキャリアアップを叶えるコツを3つ紹介します。
1.キャリアアップ研修を受ける
保育士としてのキャリアを築く第一歩は、キャリアアップ研修を受けることです。保育士経験が概ね3年以上あると、厚生労働省が定めるキャリアアップ研修の対象となり、職務分野別リーダーの要件を満たします。キャリアアップ研修を受け、職務分野別リーダーとして発令されると役職手当が付き、収入がアップする可能性があります。新人保育士の場合、まずは3年ほど経験を積み、職務分野別リーダーを目指しましょう。
2.保育に活かせる資格を取得する
保育に活かせる資格を取得すると、専門的な知識やスキルが評価されてキャリアアップにつながることもあります。たとえば、運動保育士や絵本専門士、医療保育専門士などの資格は保育で活かせる可能性があるでしょう。
資格は知識やスキルを保有している客観的な証明になり、専門分野のリーダーやまとめ役を任されるきっかけになる場合もあるようです。転職時にも役立つため、興味がある資格取得を検討してみましょう。
3.保育専門のエージェントに相談して転職する
保育士がキャリアアップを叶えるためには、ほかの園に転職するのも選択肢の1つです。転職先でスキルや経験が評価されれば、キャリアアップが叶えられる可能性もあります。現状のスキルや経験で転職し、キャリアアップできるかは、保育専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。保育専門の転職エージェントを利用すれば、キャリアアップについての悩みや不安をアドバイザーに相談しながら転職活動を進められます。
保育業界専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」では、地域に特化した専任のアドバイザーによる求人紹介や選考対策が受けられます。サービスはすべて無料で利用可能。保育士で「転職してキャリアアップを叶えたい」「キャリアを活かせる求人を探したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
保育士のキャリアに関するよくある質問
ここでは、保育士のキャリアに関するよくある質問にQ&A形式で回答します。キャリアアップ研修について回答しているので、参考にしてください。
保育士等キャリアアップ研修を受けないとどうなる?
保育士が保育士等キャリアアップ研修を受けないと、勤務先で役職に就けなかったり、転職時の選考で評価が下がったりする可能性があります。また、研修の受講者が規定に到達しない場合、園が加算対象とならない場合もあるようです。
役職により適用される時期は異なりますが、2023年度より段階的に受講が義務化されました。保育士経験が3年以上の方は上司に相談し、早めにキャリアアップ研修を受講するのがおすすめです。
出典
東京都福祉局「東京都保育士等キャリアアップ研修に関すること」(2025年9月17日)
保育士等キャリアアップ研修は無料?
保育士等キャリアアップ研修の受講料は無料です。ただし、テキスト代は自己負担になる場合もあります。なお、受講料以外のキャリアアップ研修にかかる費用は、自治体や研修を受ける先によって異なるため、事前に確認しましょう。
まとめ
保育士がキャリアアップを目指す場合は、「勤務先の保育園で役職に就く」「保育士資格を活かして転職する」などの方法があります。保育士は厚生労働省が定める保育士等キャリアアップ研修を受講し、職場より発令を受けると、職務分野別リーダーや専門リーダー、副主任保育士の役職に就ける可能性があります。また、スキルや経験を活かして転職すると、キャリアアップを叶えられる場合もあるでしょう。
保育士がキャリアアップを目指すと、給与が上がったり、専門性を高められたりするメリットがあります。一方、役職に空きが出ない保育園では、若手保育士のキャリアアップが難しい場合もあるようです。
保育士がキャリアアップを叶えるためには、保育士等キャリアアップ研修を受けたり保育に活かせる資格を取得したりするなどの方法があります。ほかにも、保育専門のエージェントに相談し、転職によりキャリアアップを目指すのも1つの選択でしょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。