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保育士の働き方改革は進んでいる?園のICT導入や業務効率化事例を解説
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保育士のなかには、「保育現場で働き方改革は進んでいる?」と疑問に思う方もいるかもしれません。保育施設によっては、ICTシステムの活用や保育補助の配置によって、働き方改革を推進している事例もあります。 この記事では、保育士の働き方改革が必要な理由や、労働環境の改善に取り組んでいる保育施設の特徴をまとめました。保育園やこども園での働き方改革の事例も紹介します。
目次
保育現場で働き方改革は進んでいるの?
保育士が働く職場のなかには、職員の定着や人材確保を目的に「働き方改革」を進めている保育施設もあります。ここでは、働き方改革の概要や保育現場における主な実施内容をまとめました。
そもそも働き方改革とは
厚生労働省の「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~(p.2)」によると、働き方改革とは、働く人が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにすることです。2019年4月から「働き方改革関連法
」が順次施行され、残業時間の上限規制やパート・有期雇用労働者の待遇改善など、働きやすい環境づくりが推進されています。厚生労働省の「働き方が変わります!(p.1)
」によると、働き方改革関連法の主な内容は以下のとおりです。
働き方改革関連法のポイント | 概要 |
時間外労働の上限規制 | 時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的や特別な事情がある場合も年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要がある。 |
年次有給休暇の確実な取得 | 使用者は10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要がある。 |
正社員と非正規社員の間の \ 不合理な待遇差の禁止 | 同一企業内において、正社員と非正規社員(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な待遇差が禁止されている。 |
参照:厚生労働省「働き方が変わります!(p.1)」
上記以外にも、労働時間を調整できる「フレックスタイム制」や労働時間ではなく成果で評価される「高度プロフェッショナル制度」も、働き方改革の方法として提示されています。
出典
厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について」(2025年8月8日)
保育現場で行われている働き方改革
こども家庭庁の「保育政策の新たな方向性~持続可能で質の高い保育を通じたこどもまんなか社会の実現へ~(p.16)」によると、保育士の働きやすい職場環境づくりでは、以下のような取り組みが挙げられています。
保育現場へのICTの導入
保育士のサポートとしての保育補助者の配置
休憩の適切な確保
自己研鑽の時間の確保
保育記録のシステムや連絡帳アプリの導入などは、事務作業の効率化につながります。また、保育補助の配置によって、保育士の保育業務や環境整備などの業務負担軽減に取り組んでいる園もあるでしょう。
出典
「保育政策の新たな方向性~持続可能で質の高い保育を通じたこどもまんなか社会の実現へ~」(2025年8月8日)
保育士に働き方改革が必要な理由
保育業界では人手不足が問題となっているため、働きやすい環境づくりによって離職者を防止したり、新たな人材を確保したりする必要があります。ここでは、保育士に働き方改革が必要な理由をまとめました。
保育業界は人手不足で人材確保が必要だから
保育業界は人手不足が問題となっているため、働きやすい環境づくりによって保育士の仕事の魅力を発信し、人材を確保する必要があります。こども家庭庁の「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」によると、2025年1月の保育士の有効求人倍率は3.78倍で、全職種の1.34倍に比べると数値が高く、人手不足が続いている状況です。
また、こども家庭庁の「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について(p.2)」によると、保育士登録者数のうち約62%は、保育士資格を持っているものの保育現場で働いていない潜在保育士となっています。潜在保育士が復職しない理由は、「労働時間や休暇の取りづらさ」や「業務量の多さ」などが挙げられており、人材を確保するためには、働き方改革による労働環境の改善が重要といえるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」(2025年8月8日)
保育士の仕事内容は幅広く業務負担が大きいから
現役で働いている保育士の離職を防止する観点からも、保育現場の働き方改革が必要となっています。保育士は、保育業務に加えて保育記録の作成や保護者対応、行事の準備などを行うため、業務負担が大きくなりがちです。働き方改革により、残業や持ち帰り仕事が減ると、ワーク・ライフ・バランスの実現につながります。また、働きやすい環境であれば、同じ職場で長く保育士としてのキャリアを積めるでしょう。
保育士の働き方改革が進んでいる職場の特徴
ここでは、保育士の働き方改革が進んでいる職場の特徴を紹介します。職場の働き方改革が進んでいるのか疑問に思っている方は、具体的な実施内容を参考にしてみてください。
ICTシステムを活用している
働き方改革が進んでいる保育施設では、ICTシステムを積極的に活用しています。園児の登園管理システムや保育記録アプリなど、ICTシステムを導入すると書類作成や情報共有の効率化を図ることが可能です。たとえば、保護者連絡アプリを使用すれば、電話による連絡受付の手間を省けます。シフト管理アプリやICカードによる勤怠管理システムを導入し、適切な労働時間管理や残業削減への取り組みを進めている保育園もあるでしょう。
就業規則をもとに休暇を取得できる
働き方改革が進んでいる保育施設では、明確な就業規則のもと、計画的な休暇取得が可能になっています。まとまった長期休暇や1時間単位での休暇が取得できる環境は、職員同士が協力し合い交代で休みを取れることから、働き方改革が進んでいる傾向が見られるでしょう。
また、園長や主任などが積極的に休暇制度を活用したり利用を促したりして、休みを取りやすい雰囲気づくりに取り組んでいる職場もあるようです。保育補助やフリー保育士の配置などにより、クラス担任の保育士が休める環境づくりを実施している保育園もあるでしょう。
保育園における働き方改革の事例
ここでは、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」をもとに、保育施設における働き方改革の事例を紹介します。働き方改革の実施内容に加えて、どのような結果が出ているかも参考にしてみてください。
事務作業に集中できるノンコンタクトタイムの確保
「愛媛県のとあるこども園の事例」では、勤務時間内に事務作業の時間を取れるようにノンコンタクトタイムを促進し、残業時間削減に取り組んでいます。ノンコンタクトタイムとは、保育士が保育業務や保護者対応から離れて、事務作業に集中できる時間のことです。保育補助に保育業務に入ってもらったり、午睡中の見守りを当番制したりと、保育士の配置を工夫しノンコンタクトタイムを確保している保育園もあります。
ITシステム導入によるシフト管理
保育施設の働き方改革においては、ITシステムの導入により事務作業の多くを自動化対応した「静岡県のこども園の事例」もあります。職員の勤怠管理や保護者との連絡アプリなどの導入は、残業時間の削減や勤務間インターバル(11時間)の目標達成につながっているようです。また、業務管理システムを導入したことにより、保育士の残業削減や勤務間インターバル確保の意識が高まり、時間外労働がほぼない状況まで働き方改革が進んでいます。
キャリアパスシートによるスキルの明文化
保育施設のなかには、人事評価制度の改善を働き方改革の1つとして推進している事例もあります。「茨城県にある保育園の事例」では、人事評価の判断基準を明文化するために、キャリアパスシートを導入。キャリアパスシートにより、保育士はリーダーや管理職など、次のステージにキャリアアップするために必要なスキルや経験が明確になりました。キャリアアップすると基本給やボーナスなどが上がるため、必要なスキルを身につけたり経験を積んだりする意識が高まりやすくなるでしょう。
清掃や食事配膳専門の職員を雇用
保育士をサポートする職員を雇用して、業務負担軽減に取り組んでいる保育施設もあります。「愛媛県にある保育施設の事例」では、保育士の労働時間削減と業務負担軽減を目的に、清掃や食事の配膳などの専門スタッフを雇用。ICTシステムを導入による業務負担軽減にも取り組んでおり、令和2年度には月平均約2時間の時間外労働の削減につながりました。掃除や食事の配膳時間をサポートしてくれる職員がいると、保育業務や事務作業、保護者対応など優先順位が高い仕事に集中しやすくなるでしょう。
出典
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」(2025年8月14日)
働き方改革が進んでいる保育園で働くメリット
働き方改革が進んでいる保育園で働くと、質の高い保育ができたり残業が少なくなったりするメリットがあります。ここでは、働き方改革が進んでいる保育園で働く主なメリットを解説します。
質の高い保育ができる
働き方改革が進んでいる保育園では、子どもとの関わりに集中できる環境が整備されているため、質の高い保育を実施しやすくなるでしょう。連絡帳の記入や保育の記録作成などがICTシステムによって効率化できていれば、子どもをよく観察したりじっくり話を聞いたりと、きめ細かい保育を実施しやすくなります。また、保育士自身が心にゆとりを持って子どもと関われることは、安全確保や事務作業のミスを防ぐことにもつながります。
持ち帰り仕事や残業が少ない
働き方改革が進んでいる保育園では、業務の効率化や職員配置などにより、持ち帰り仕事や残業が少なくなりやすいメリットがあります。たとえば、ICTの活用により事務作業が効率化されると、持ち帰り仕事になりやすい行事や製作の準備などを勤務時間内に対応する余裕が生まれるでしょう。また、残業が少なくなると、休息やプライベートの時間が増えることもメリットです。家族との時間や趣味を楽しむ時間が増えれば、仕事を頑張るモチベーションが高まりやすくなります。
長く働くことでキャリアアップしやすくなる
働き方改革が進んでいる保育園では長く働き続けやすいため、着実に経験を積みキャリアアップできる点がメリットです。勤続年数が長くなると、リーダーや管理職などにステップアップできる可能性が高まります。また、勤続年数や役職手当により昇給が見込めることも、働き方改革が進む職場で活躍するポイントといえるでしょう。
保育士がいまの働き方を改善する方法
保育現場の働き方改革は園全体で取り組むものですが、保育士個人で取り組めることもあります。ここでは、保育士が自分自身の働き方を改善するための方法をまとめました。
園長や上司に現場の課題を共有する
仕事で困っていることや業務改善に向けた提案がある場合は、園長や上司に相談してみましょう。課題になっている内容によっては、園全体の取り組みとして改善に向けて動いてくれる可能性もあります。
「園だよりを手書きで作成すると時間が掛かるため、パソコンで作成したい」「欠席連絡の電話対応で、毎日15分程度時間が取られている」など、具体的な課題とその影響を冷静に伝えましょう。課題を共有する際は単なる不満ではなく、保育の質向上という目標に向けた建設的な対話を心掛けることが大切です。
希望の働き方に合った雇用形態へ変更する
いまの働き方が合っていない場合は、雇用形態の変更を検討するのも1つの方法です。育児や介護などと両立したい場合、正社員からパートに雇用形態を変更すれば、勤務時間や仕事内容が変わり働きやすくなるかもしれません。
正社員からパートになると、給料が下がったり福利厚生が受けられなくなったりするため慎重に検討する必要はありますが、ブランクを空けずに保育士を続けられることはメリットです。職場によっては、雇用形態の変更に対応してくれることもあるため、自分の状況や希望を明確に伝え、園側に相談してみましょう。
働き方改革が進んでいる保育園へ転職する
いまの職場で労働環境の改善が難しい場合は、働き方改革が進んでいる保育園への転職を検討するのも選択肢の1つです。ICTシステムの活用や人員配置の余裕度など、働き方で改善したい希望条件をもとに転職先を探す方法もあります。転職を検討する際は、保育士専門の転職エージェントを活用すると、詳細な情報を得ることが可能です。保育園のWebサイトや求人情報だけでは分からない、リアルな労働環境や職場の雰囲気などを教えてもらえるでしょう。
「働き方改革が進んでいる保育園に転職したい」という方は、保育士専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」にご相談ください。レバウェル保育士では、保育業界に詳しいプロのアドバイザーが希望条件を丁寧にヒアリングし、幅広い選択肢のなかからあなたにぴったりの求人を紹介します。扱っている求人は取材訪問をしているため、働き方や職場の雰囲気など詳しい情報をお伝えすることが可能です。転職するかどうか迷っている段階での相談も受け付けているので、お気軽にお問い合わせください。
保育士の働き方改革に関するよくある質問
ここでは、保育士の働き方改革に関するよくある質問にQ&A形式で答えます。保育士の働きやすい環境づくりや、労働環境の改善で実施されていることをまとめました。
保育士が働きやすい環境づくりのために実施されていることは?
保育施設では、保育記録のデジタル化や保護者連絡アプリの活用など、ICTシステムの導入による業務の効率化で保育士の業務負担軽減に取り組んでいます。保育補助やフリー保育士の配置により、保育士のサポート体制を整えている保育園もあるでしょう。保育施設で実施されている働きやすい環境づくりについては、この記事の「保育園における働き方改革の事例」も参考にしてみてください。
幼稚園における働き方改革の事例は?
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」の事例によると、山梨県のとある私立幼稚園では休憩の取得の徹底やノー残業デー制度により、働き方改革が実施されています。フリー職員の配置により、職員室で集中して事務作業に集中できる環境づくりにも取り組んでいるようです。働き方改革の推進により、「プライベートの時間を有効に使えるようになってうれしい」というような職員の感想も述べられています。
出典
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」(2025年8月14日)
保育士の労働環境で改善されていることは?
厚生労働省の「保育士の働く環境は?3つの改善」によると、保育士は国からの処遇改善手当により給与アップの見直しが行われています。保育補助配置の雇用支援やICTシステム導入の補助金などにより、業務の効率化に関する支援が受けられることもあるでしょう。なお、人材確保に向けて住宅手当や資格取得の支援など、自治体や保育施設独自で保育士の労働環境改善が実施されている場合もあります。
出典
厚生労働省「保育士の働く環境は?3つの改善」(2025年8月14日)
まとめ
保育現場での働き方改革では、ICTシステムの導入や保育補助者の配置などが実施されています。保育記録の作成や保護者対応などの業務負担軽減は、保育士の残業や持ち帰り仕事削減につながるでしょう。また、明確な就業規則のもと計画的な休暇取得ができたり、ノンコンタクトタイムを確保したりする保育園もあります。
働き方改革が進んでいる保育園では、残業や持ち帰り仕事が少なく、プライベートの時間も確保しやすいことがメリットです。自分らしく働ける環境なら、子どもを見守る余裕が生まれ、より質の高い保育の実現にもつながります。現在の働き方を改善したい保育士は、より良い労働環境が整備されている保育施設へ転職するのも手です。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。