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認定こども園で働く保育士の給料はいくら?平均年収や保育園との違いも解説
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保育士の中には、「認定こども園の給料はどのくらい?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。私立の認定こども園の給料は、保育園や幼稚園と比べて現状では大きな差はありません。しかし、近年の処遇改善の動きを考慮すると、今後給与水準が向上する可能性も考えられます。この記事では、認定こども園の給料について地域や役職による違いを含めて解説します。転職のコツにも触れるので、ぜひお役立てください。
目次
認定こども園(私立・公立)の給料・年収
認定こども園とは、教育と保育を一体的に行う施設で、4つの類型があります。その内、幼保連携型認定こども園で働く職員は「保育教諭」と呼ばれ、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を持っているのが特徴です(経過措置あり)。
こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.13)」によると、認定こども園で働く常勤の保育教諭の平均月給(賞与の1/12を含む)は、私立が33万1,779円、公立が34万6,376円で、わずかに公立のほうが高い傾向にあります。
1人当たり給与月額(賞与込み) | 目安年収(1人当たり給与月額×12ヶ月) | |
私立の認定こども園 | 33万1,779円 | 398万1,348円 |
公立の認定こども園 | 34万6,376円 | 415万6,512円 |
参照:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.13)」
公立の認定こども園に勤める場合は地方公務員扱いとなるため、安定した雇用や充実した福利厚生が期待できます。一方で、私立の認定こども園はそれぞれに独自の教育方針や理念があり、自分の考えに合った職場を選びやすい点がメリットといえるでしょう。
出典
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」(2025年7月31日)
認定こども園の初任給と賞与
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号10」によると、保育教諭の初任給の目安(経験年数0年)は22万7,100円です。この金額には超過労働給与額は含まれていません。また、同調査の「表番号1
」における年間賞与の目安は80万8,100円となっています(役職者も含む)。
これらの金額は、全国の保育教諭と幼稚園教諭を合わせた平均値です。実際の給料は勤務する園の規模や地域、運営母体によって異なるのであくまで参考としてご覧ください。
出典
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2025年7月31日)
認定こども園と保育園・幼稚園の給料の違い
こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.11-13)」によると、認定こども園で働く常勤の保育教諭の平均月給(賞与の1/12を含む)は、私立の場合、保育園や幼稚園と比べて大きな差は見られません。一方、公立では、保育園より約1万9,000円、幼稚園より約5万8,000円低い水準となっています。
施設(職種) | 私立 | 公立 | 私立と公立の差 |
保育所(保育士) | 34万8,119円 | 36万5,542円 | 1万7,423円 |
幼稚園(教諭) | 33万5,387円 | 40万4,537円 | 6万9,150円 |
認定こども園(保育教諭) | 33万1,779円 | 34万6,376円 | 1万4,597円 |
下調べが不十分なまま、給与アップを目的として幼稚園や保育園から認定こども園へ転職した場合、かえって給与が下がる可能性も考えられます。業務範囲が広がるにもかかわらず、給料が下がってしまえば不満につながるかもしれません。教育と保育の両方を実践できる認定こども園は、キャリアアップを目指す方にとって魅力的な環境です。ただし、給与が希望に沿うかどうかは、よく調べておく必要があるでしょう。
出典
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」(2025年7月31日)
認定こども園の給料はエリアや役職でどう変わる?
ここでは、認定こども園で働く保育教諭の給料について、地域や役職による違いを紹介します。将来の住まいや働き方を見直したいと考えている方向けに、押さえておきたい情報をまとめました。
エリアによる違い
認定こども園で働く保育教諭の平均給与は、ほかの保育施設と同様に、地方よりも都市部のほうが高い傾向にあります。
以下の表は、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3」をもとに、各地方から1県ずつ抜粋し、幼稚園教員・保育教諭の月額給与(きまって支給する現金給与額)をまとめたものです。県ごとに勤続年数や平均年齢が異なるため、単純な比較はできないものの、おおまかな地域差を把握できるでしょう。
都道府県 | 幼稚園教員・保育教諭の月額給与 \ (きまって支給する現金給与額) |
北海道 | 28万7,200円 |
青森県 | 24万6,800円 |
東京都 | 30万2,200円 |
新潟県 | 25万1,700円 |
三重県 | 28万4,400円 |
鳥取県 | 27万3,500円 |
徳島県 | 24万5,800円 |
福岡県 | 27万5,600円 |
参照:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3」
地方の給与水準は都市部より低めですが、その分、家賃や生活費などの負担が抑えられるため、生活全体のゆとりは都市部とそれほど変わらないこともあります。転職や就職を検討する際は、給料だけでなく住居費や通勤時間、生活環境なども含めて総合的に判断することが大切です。
出典
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2025年7月31日)
役職による違い
認定こども園では、役職に応じた給与体系が整っており、キャリアアップによって収入の増加が見込めます。こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.13)」によると、役職ごとの平均給与の違いは以下のようになりました。
職種 | 私立 | 公立 |
園長(施設長) | 62万7,105円 | 63万3,585円 |
副園長 | 51万1,666円 | 60万7,930円 |
教頭 | 49万727円 | 59万9,281円 |
主幹保育教諭 | 44万6,610円 | 53万7,659円 |
指導保育教諭 | 40万2,653円 | 47万4,463円 |
保育教諭 | 33万1,779円 | 34万6,376円 |
参照:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.13)」
私立の認定こども園の場合、常勤の保育教諭が指導保育教諭へ昇進すると、平均月給は約7万1,000円増加していることが分かります。また、私立と公立を比較すると、役職が上がるほど給与格差が広がる傾向にあります。これらの金額には、賞与の1/12が含まれるため、あくまで目安としてご覧ください。
出典
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」(2025年7月31日)
認定こども園の保育教諭の給料は今後上がる?
認定こども園で働く保育教諭の給料は、今後上がっていく可能性があると考えられます。政府は保育人材の確保に向けて「処遇改善等加算」の拡充を進めており、今後も継続的な賃上げ策が講じられる見通しです。
実際に、こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.4)」によると、認定こども園の保育教諭の月給(賞与の1/12を含む)は、2019年から2024年の5年間で5万2,000円増加しています。この上昇幅は、すべての保育施設の中で最も大きいものです。共働き世帯の増加などにより、認定こども園の需要は拡大しており、今後さらなる待遇改善が期待されます。
出典
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」(2025年7月31日)
希望給与がもらえる認定こども園へ転職するには
保育士が認定こども園でより高い給与を目指したい場合は、幼稚園教諭免許状を取得したり、保育士専門の転職エージェントを利用したりするのが効果的です。以下でそれぞれのポイントを参考にしてみてください。
幼稚園教諭免許状を取得して選択肢を増やす
認定こども園でより良い条件の職場を目指すなら、幼稚園教諭免許状の取得がカギとなります。前述のとおり、幼保連携型の認定こども園で保育教諭として働くには、原則として幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方が必要です(2025年現在は経過措置が設けられており、どちらか一方の免許・資格があれば保育教諭として勤務できます)。
文部科学省の「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」によると、特例制度の期日は2030年3月31日までです。取得にかかる負担が軽減されているので、もし片方の資格しか持っていない場合は、経過措置期間内に挑戦するのも選択肢の1つといえるでしょう。ダブルライセンスになることで、雇用の安定性が高まり、給与交渉で有利に働く可能性もあります。
出典
文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」(2025年7月31日)
保育士専門の転職エージェントに相談する
認定こども園への転職で希望する給与を実現したい場合は、保育士専門の転職エージェントを活用するのがおすすめです。
エージェントを通じて転職活動を行うと、事前に園へ年収の目安を確認してもらえたり、過去の採用実績をもとに想定される給与額を教えてもらえたりします。自分の経験年数やスキルでどの程度の収入が期待できるのか、応募前に把握することが可能です。的を絞って応募することで面接の回数も最小限に抑えられるため、効率的に転職活動を進められるでしょう。
認定こども園に関して保育士からよくある質問
ここでは、認定こども園に関して保育士からよくある質問を紹介します。
認定こども園で勤務するために必要な資格は何ですか?
こども家庭庁の「認定こども園概要」によると、認定こども園には以下の4つのタイプがあります。
幼保連携型
幼稚園型
保育所型
地方裁量型
幼保連携型は原則として幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方が必要とされています(経過措置あり)。詳しくは、この記事の「幼稚園教諭免許状を取得して選択肢を増やす」をご覧ください。そのほかの認定こども園では、満3歳以上の場合は「両免許・資格の併有が望ましい」、満3歳未満の場合は「保育士資格が必要」となっています。
出典
こども家庭庁「認定こども園概要」(2025年7月31日)
認定こども園の仕事内容は保育園・幼稚園とどう違いますか?
認定こども園の仕事内容の特徴は、保育と教育の両面から子どもの成長をサポートする点です。保育園と幼稚園の両方の機能を兼ね備えているため、保護者との関わり方や支援方法の幅が広がりやすいといえるでしょう。保護者の就労の有無にかかわらず子どもを受け入れるので、各家庭の事情に応じた柔軟な対応が求められる傾向にあります。
認定こども園で働くメリット・デメリットを教えてください
認定こども園のメリットは、幼稚園と保育園の両方の機能を備えており、幅広い経験とスキルを身につけられる点です。将来のキャリアの選択肢が広がるため、保育士と幼稚園教諭、それぞれの仕事に関心がある人におすすめの環境といえます。デメリットは、園の運営形態によって職員の業務負担が大きくなる可能性がある点です。また、保護者のニーズが多様なため、その都度適切な対応が求められます。
まとめ
こども家庭庁の調査によると、認定こども園で働く常勤の保育教諭の給与月額(賞与の1/12を含む)は、私立が33万1,779円、公立が34万6,376円となっています。保育園や幼稚園と比べると、私立の場合は大きな差は見られませんが、公立の場合はやや低い水準です。認定こども園の給料は近年上昇傾向にあるため、今後もさらなる待遇改善が期待されています。幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を取得すれば、幼保連携型の施設で活躍できる可能性も高まるので、給料アップを目指す方は視野に入れるのも手といえるでしょう。
保育士が認定こども園への転職を考える際は、給料だけでなく、働き方や園の方針、自身のキャリアプランなども考慮し、長く働き続けられる環境を選ぶことが大切です。保育業界に特化した転職エージェントサービスのレバウェル保育士では、希望の給与額に合った求人の紹介はもちろん、求人票だけでは得られない内部事情もしっかりとお伝えするため、納得のいく職場選びが可能です。サービスはすべて無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。