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主任保育士の給料はいくら?平均年収やキャリアアップの流れも解説
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保育士として働く中で、「主任になると給料はどれくらい上がるの?」と気になっている方もいるかもしれません。こども家庭庁の調査によると、主任保育士の平均月給は施設形態によって異なり、一般の保育士と比較して最大で20万円ほど高くなっています。この記事では、主任保育士の給料や年収の実態、主任保育士になる方法を解説します。キャリアアップや収入アップを目指す方はぜひ参考にしてください。
目次
主任保育士の給料
主任保育士とは、園長を補佐しながら保育現場の管理や指導を担う管理職です。主任保育士の給料は、勤務先の運営形態(公立・私立)や施設規模、地域などによって異なります。
こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.11-17)」によると、常勤の主任保育士の平均月給は公立保育園が最も高く、一般の保育士と比較して約20万円の差がありました。次いで私立保育園、小規模・事業所内保育事業の順に給与が高くなっています。
施設種類 | 主任保育士 | 保育士 |
保育所(公立) | 56万4,357円 | 36万5,542円 |
保育所(私立) | 47万3,532円 | 34万8,119円 |
小規模保育事業(A型) | 34万7,477円 | 29万3,827円 |
小規模保育事業(B型) | 32万9,958円 | 29万9,793円 |
事業所内保育事業(A型適用) | 32万5,745円 | 28万2,122円 |
事業所内保育事業(B型適用) | 37万7,499円 | 27万8,631円 |
事業所内保育事業(20人以上) | 38万8,939円 | 30万1,171円 |
公立保育園の主任保育士は地方公務員に該当するため、安定した給与体系が魅力です。一方、私立保育園は施設ごとの裁量によって給与が決まるため、待遇に差が出やすい傾向があります。施設の規模や立地によっては、公立保育園に近い水準の待遇を受けられる場合もあるでしょう。
上記の金額には賞与の1/12が含まれるため、あくまで目安ではあるものの、一般の保育士と比べて大幅な収入アップが期待できる立場にあることが分かります。
出典
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」(2025年7月29日)
主任保育士の年収
全国保育協議会の「全国保育協議会 会員の実態調査2021 報告書(p.61)」によると、主任保育士・主幹保育教諭の平均年収は509万8,000円となっています。この金額には残業代や深夜手当、休日出勤手当などは含まれておらず、また公設公営の施設も対象外となっているため、あくまで参考値としてご覧ください。
施設種類 | 平均賃金(年額) |
全体 | 509万8,000円 |
認可保育所 | 518万円 |
幼保連携型認定こども園 | 494万6,000円 |
保育所型認定こども園 | 502万7,000円 |
小規模保育事業 | 379万8,000円 |
参照:社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国保育協議会「全国保育協議会 会員の実態調査2021 報告書(p.61)」
主任保育士の平均年収は、一般的に利用定員の多い施設ほど高くなる傾向があります。ただし、年収には勤続年数やキャリアといった個人の経験も影響するため、単純に比較することはできません。
実際に、「同調査(p.45)」によると、認可保育所や認定こども園の平均勤続年数は19.3年~21.0年と長いのに対し、小規模保育事業は13.1年と短めです。こうした勤続年数の違いも年収を比較するうえで考慮する必要があるでしょう。
出典
社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国保育協議会「全国保育協議会 会員の実態調査2021 報告書」(2025年7月29日)
主任保育士の役職手当の相場
主任手当とは、主任保育士としての責任の重さや業務負担に対して支給される手当です。主任手当の金額は施設ごとに異なり、月額3万円〜5万円程度が相場とされています。
主任保育士を目指す際は、勤務先や応募先の施設で役職手当が支給されるか、また金額がどの程度かを事前に確認しておくことが重要です。施設によっては業務量に対して手当が十分でないと感じる可能性もあるため、バランスが適切かどうかを見極めましょう。
保育士が主任になれるのは何年目?
主任保育士への昇進に必要な年数について、明確な基準や法律上の決まりはありません。ただし、保育業界では一般的に、一定の実務経験を積んだベテランの保育士が主任を任される傾向にあります。全国保育協議会の「全国保育協議会 会員の実態調査2021 報告書(p.44)」によると、主任保育士・主幹保育教諭の平均勤続年数(※)は20.5年です。
参照:社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国保育協議会「全国保育協議会 会員の実態調査2021 報告書(p.44)」
とはいえ、主任保育士になるために必ずしも20年近く勤務する必要があるわけではありません。同調査では、勤続年数10年未満で主任に就いている人も約13%おり、比較的早い段階で昇進している例も見受けられます。前述のとおり小規模保育園などでは、人員体制の都合から早期に主任へ抜擢される可能性もあるでしょう。
※ここでの勤続年数とは、現在の運営法人等における在籍年数を指します。公立施設の場合は、同じ自治体内の在籍年数(別の施設での勤務も含む)として集計されています。
出典
社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国保育協議会「全国保育協議会 会員の実態調査2021 報告書」(2025年7月29日)
主任保育士になるには?条件はある?
ここでは、主任保育士になるための3つのポイントを紹介します。主任保育士への昇進に特別な資格や明確な条件はありません。以下の内容を参考にしながら、自分に合った方法でキャリアアップを目指してみてください。
研修を受講してスキルアップを目指す
主任保育士になるには、保育現場を支えるための専門的な知識や技術を身につけることが大切です。各自治体や保育団体が開催する研修や講座に参加すれば、スキルの向上につながるでしょう。保育の専門性を高め、運営に関する理解を深めることで、園内での評価アップにも期待できます。なお、職場によっては主任保育士に昇進する際に、独自のルールや試験が設けられている場合もあるため、あらかじめ規定を確認しておくと安心です。
リーダーから順番にキャリアアップする
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」によると、保育現場では主任保育士のほかに「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という3つの役職があり、段階的にキャリアを積める仕組みが整っています。
そのため、まずはリーダー職として責任のある仕事を経験しながら、順を追って主任保育士を目指すのも1つの方法です。研修を修了すると処遇改善手当が支給されるので、スキルアップと同時に給与アップも期待できます。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年7月29日)
今の役割から先に進めない場合は転職する
現在の職場で主任への昇進が見込めない場合は、転職を検討するのも選択肢の1つです。主任保育士の配置基準は国や地方自治体で決まっていないため、長く同じ園に勤めていても評価が見合わなかったり、主任のポストが空かなかったりする場合があります。
転職先を探す際は、規模の小さい私立園や新設園に目を向けると、即戦力として主任ポジションでの採用を検討してもらえる可能性も。また、年功序列を重視しない園や主任候補が不足している園もチャンスが広がりやすいでしょう。保育士専門の転職エージェントを利用すれば、園の内部事情を詳しく教えてもらえるため、今後のキャリアを踏まえて向き不向きを判断できます。
主任保育士の給料に関してよくある質問
ここでは、主任保育士の給料に関してよくある質問を紹介します。
主任保育士は処遇改善等加算の対象ですか?
処遇改善加算のうち、役職に応じて手当が支給される「処遇改善加算Ⅱ」は、原則として対象外です。ただし、こども家庭庁の「技能・経験に応じた追加的な処遇改善(処遇改善等加算Ⅱ)に関するFAQ(よくある質問)No.1-14」によると、施設内の給与バランスなどを考慮したうえで必要がある場合には、主任保育士にも加算額を配分することが可能とされています。
出典
こども家庭庁「技能・経験に応じた追加的な処遇改善(処遇改善等加算Ⅱ)に関するFAQ(よくある質問)」(2025年7月29日)
主任保育士の手取りは保育士とどのくらい違いますか?
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>(p.11)」によると、私立保育園に勤務する常勤の主任保育士の平均月給(賞与込み)は47万3,532円、保育士は34万8,119円となっています。この金額を手取りの目安である80%で換算すると、主任保育士は約38万円、保育士は約28万円となり、およそ10万円の差があります。あくまでも概算ですので、参考程度にご確認ください。
出典
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」(2025年7月29日)
主任保育士が給料アップを目指す際に必要なことは何ですか?
主任保育士が給料アップを目指すには、条件の良い職場への転職が有効な選択肢です。たとえば、主任手当と基本給が高い園や給与水準の高い都市部の園に転職すれば、今よりも高い収入が期待できるでしょう。これまでの実績が評価されれば、さらに上位の役職で採用される可能性もあります。この記事の「主任保育士の給料」では、施設種類別の給料の違いを紹介しているので、転職を考える際の参考にしてみてください。
まとめ
主任保育士の給料は、勤務先の種類や施設規模によって差があります。こども家庭庁の調査によると、主任保育士(常勤)の平均月給が高いのは、上から順に「公立保育園」「私立保育園」「小規模・事業所内保育事業」です。主任保育士を目指すには、段階的にキャリアを積んだり、研修に参加してスキルを磨いたりするのが有効です。また、現在の職場で昇進のチャンスが少なかったり、待遇が見合っていないと感じたりする場合は、転職を視野に入れるのも手といえるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。