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保育士の勤務時間の実態は?労働の平均や勤務体制の違いなどを解説
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保育士の勤務時間はどれくらいか知りたい方もいるのではないでしょうか。保育士の勤務時間は、働く園や勤務形態によって異なります。保育士が転職する際には、勤務時間の現状を知り、自分に合った職場を選ぶことが重要です。 この記事では、保育士の平均的な勤務時間や勤務パターンを解説します。保育士の休憩時間の実態や休日も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
保育士の勤務時間とは
厚生労働省の「労働時間・休日」によると、正社員の法定の労働時間は原則1日8時間、1週間に40時間とされています。一般的な職種と同じく、正社員で働く保育士の労働時間も法定に則って原則1日8時間、1週間に40時間です。ただし、保育士の実際の勤務時間は、保育園の運営時間やシフト体制によって異なります。
保育士の勤務時間は、法定内であることが原則ですが、園ごとの運営スタイルによって柔軟に調整されているようです。
出典
厚生労働省「労働時間・休日」(2025年5月7日)
保育士の平均的な勤務時間
政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保育士と民営事業所の産業計の平均的な勤務時間は下記の通りです。
所定内労働時間数 | 超過実労働時間数 | |
保育士 | 162時間 | 3時間 |
民営事業所の産業計 | 160時間 | 11時間 |
所定内労働時間数の平均は、保育士が162時間、民営事業所の産業計が160時間と差は2時間です。超過実労働時間数の平均は、保育士が3時間となっており、民営事業所の産業計の11時間を大きく下回っています。データ上では、保育士の平均的な労働時間は他業種と比較して、過剰な残業が少ない傾向にあるといえるでしょう。
ただし、保育士は持ち帰って仕事をすることも珍しくありません。大分県庁の「保育現場の働き方改革に関するアンケート調査結果について(概要版) (p.11)」によると、現役保育士の約7割が持ち帰り仕事があったと答えています。持ち帰りの仕事があった保育士のうち29%は、月に約10時間〜20時間未満の時間を要したようです。保育士が持ち帰って仕事をするとサービス残業となるため、実際の保育士の平均的な労働時間は決して短くない可能性が高いでしょう。
出典
政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年5月7日)
大分県庁「保育現場の働き方改革」(2025年5月7日)
保育士の勤務パターン
保育士の勤務パターンを大きく分けると、固定勤務制とシフト勤務制があります。ここでは、保育士の勤務パターンごとに、それぞれの特徴をまとめました。
固定勤務制
固定勤務制は、始業時刻と終業時刻が毎日一定である勤務形態です。たとえば、8時30分から17時30分までというような形で、保育施設の開園時間に合わせて保育士の勤務時間が設定されます。固定勤務制は、日々の生活リズムが安定しやすく、家庭やプライベートの予定を立てやすいのが特徴です。
シフト勤務制
保育園で働く保育士は、シフト勤務制が一般的です。保育士は保育園の運営時間に応じて、早番・中番・遅番に分かれて勤務します。保育士はシフトによって、始業時刻と終業時刻が変わるのが特徴です。また、保育士が担当する時間帯によって仕事内容も異なります。
早番
早番は、7時から16時まで勤務するのが一般的です。早番の保育士は、子どもの受け入れ準備や早朝保育を担当します。朝の業務は、保護者とのコミュニケーションや施設内の清掃などを行う園もあるようです。早番を担当する保育士は、朝の忙しい時間帯に多くの保護者と接するため、連絡事項を正確に把握してチームに共有する能力が求められます。
中番
一般的に、中番は9時から18時まで勤務します。中番の保育士は、子どもが登園するピークの時間帯を担当し、日中の保育活動の中心的な役割を果たすようです。この時間帯は、保育業務が多岐にわたるため、シフトでは中番を担当する保育士が多い傾向にあります。
遅番
遅番は、10時から19時まで勤務するのが一般的です。ただし、遅番の保育士は子どもたち全員にお迎えが来てから退勤となるため、退勤時間が延びる可能性もあります。遅番の保育士の仕事内容は、延長保育や閉園準備です。夕方以降は保育園の子どもの人数が少なくなるため、保育士が子どもたち一人ひとりと向き合える時間帯になることも多いようです。遅番の保育士は、保護者がお迎えに来た際に対応するため、保護者とのコミュニケーションが密になるのが特徴です。
公立保育園と私立保育園の保育士の勤務時間の違い
公立保育園の保育士は公務員のため、自治体の定める労働時間になります。公立保育園の保育士の勤務時間は7時間45分、私立保育園の保育士の労働時間は8時間が一般的です。
また、公立保育園の運営時間は7時から19時までが一般的ですが、私立保育園は夜間保育や24時間保育の施設もあります。
公立保育園の保育士の勤務時間は安定しているのがメリットで、私立保育園の保育士の勤務時間は自身のライフスタイルに合った働き方を選びやすいのが魅力でしょう。
保育士の休日
保育士が土日に休んだり、有給休暇を自由に取得したりできるかどうかは、職場や働き方によって変わります。ここでは、保育士の休日を解説します。
保育士は土日に休める?
保育士の休日は週休2日制で、シフトによって休日の曜日が異なるのが一般的です。保育園は、月曜日から土曜日まで運営しており、日曜日は休みの傾向にあります。シフト制の保育士は土曜日に出勤することもありますが、園の方針によって隔週出勤やシフト調整が行われる場合もあるようです。保育士の勤務体制は、保育園の運営体制によって異なるため、土日に休めるかどうかは勤務先の方針によります。
保育士は有給休暇を取得できる?
保育士は労働基準法にもとづき、有給休暇を取得する権利があります。厚生労働省の「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」によると、使用者は労働者の勤務年数に応じて一定の日数の有給休暇を付与しなければいけません。
保育士は入社から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に10日の有給休暇が付与されます。勤務年数に対して、付与される有給休暇の日数は、以下の通りです。
継続勤務年数(年) | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
付与日数(日) | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
参照:厚生労働省「労働基準関係リーフレット」
厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得 (p.5)」によると、2019年4月から、年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象として、年5日の有給休暇を取得させることが使用者の義務となりました。しかし、保育園の勤務形態やシフトの状況によっては、保育士が有給休暇を取りにくい場合も考えられます。
人手不足の園や行事前の時期は、保育士の希望どおりに有給休暇を取得するのが難しい場合もありますが、有給休暇の取得を促進する取り組みを行っている園もあるようです。保育士が勤務する保育園を選ぶ際には、保育士の有給休暇の取得実績を確認しておくと安心でしょう。
出典
厚生労働省「労働基準関係リーフレット」(2025年5月7日)
保育士の勤務時間に関してよくある質問
保育士の勤務時間に関してよくある質問に、Q&A形式でお答えします。
「保育士は勤務時間が長い」と思われている理由とは?
「保育士の勤務時間が長い」と思われている要因の1つに、保育園の開園時間が長いことが挙げられます。保育園は7時から19時まで開園しているのが一般的です。延長保育を含めると、開園時間はさらに長くなる場合もあるでしょう。保育園によっては、勤務時間外に行事準備や書類作成を求められることがあるのも、「保育士の勤務時間が長い」と感じられる原因かもしれません。
東京都福祉局の「保育士実態調査概要 (p.3)」によると、職場を選択する際に「勤務時間・交代制の融通がきく」を重視した保育士は44.7%です。保育士の勤務時間は長いというイメージから、自分に合う勤務形態の保育園を慎重に選ぶ保育士が多いといえるでしょう。
出典
東京都福祉局「保育士実態調査結果の概要(中間のまとめ)等」(2025年5月7日)
パートの保育士の勤務時間はどれくらい?
パートの保育士の勤務時間は、保育園の運営状況や個々の契約内容によって異なります。
週に2日~5日、1日3時間から勤務するパートの保育士が多いようです。パートの保育士は午前のみや午後のみの勤務など、自分の家庭やライフスタイルに合わせて働く時間を選びやすいのが特徴になります。なかには、パートの保育士も8時間勤務する園もあるようです。
保育士がシフト制で勤務するのはきつい?
保育士がシフト制で勤務すると始業時刻と終業時刻が毎日異なり、生活リズムが乱れやすいというデメリットがあります。早番や遅番のシフトが続くと睡眠リズムが不安定になり、体調管理が難しく、きついと感じる保育士もいるでしょう。シフト制の勤務は、休日が不規則になることもあり、保育士に適応力や体力が求められます。保育士がシフト制で勤務するときには、きちんと健康管理を行ったり、時間の使い方を工夫したりすることが大切です。
保育士の勤務形態を詳しく知りたい方は、本記事の「保育士の勤務パターン」をチェックしてください。
まとめ
保育士の勤務時間は、保育園の方針や勤務形態によって異なります。また、保育士が公立保育園と私立保育園のどちらで勤務するかによっても、勤務時間が変わることもあるでしょう。保育士は長時間勤務や不規則なシフトで負担が大きい場合もありますが、自分に合った勤務体系や職場環境を選ぶことで働きやすい環境を整えられます。
保育士として長く働き続けるためには、保育園での勤務時間やシフトのバランスが自分の生活に合っているかが重要です。現在の勤務時間に不満や不安がある保育士は、新しい環境への転職を検討するのも1つの選択肢でしょう。
「レバウェル保育士」は、取材訪問を通じて、勤務時間や運営方針、職場の雰囲気などの情報を収集しています。入職後のアンケートから、働いている人の声をお届けするので、職場のリアルな雰囲気がわかり、安心です。さらに、「レバウェル保育士」は条件ヒアリングから模擬面接まで、あなたの転職をトータルでサポートします。求人情報をLINEやメールでお届けするので、自分のペースで転職活動が可能です。サービスは無料なので、ぜひお気軽にご登録ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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