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保育士の勤務時間は?早番・中番・遅番の働き方やシフト例を解説
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「保育士の勤務時間は?」と気になる方もいるかもしれません。保育士の勤務時間は、早番・中番・遅番のシフト制で決まるのが一般的です。 この記事では、保育士の基本的な勤務時間や勤務形態について解説します。「保育士の平均労働時間は長い?」「始業時間の何分前に出勤する?」「休憩時間は何分取れる?」といった疑問についても回答します。
この記事のまとめ
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保育士の勤務時間は早番・中番・遅番の3つのシフトに分かれる
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保育士の平均労働時間は、統計上ほかの職種と比べて長くはない
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保育士は月〜土曜日のいずれか1日+日曜日が休みになる
目次
保育士の基本的な勤務時間

一般的な保育園では早朝保育や延長保育に対応するため、保育士の勤務時間が早番・中番・遅番の3つのシフトに分かれます。なお、保育士の基本的な勤務時間は、一般的な労働者と同じく1日8時間・週40時間です。ここでは、早番・中番・遅番の勤務時間や主な業務内容について解説します。
早番
早番は開園時間に合わせて、一般的に出勤時間が7時前後になります。たとえば、8時間勤務+休憩1時間の場合は、勤務時間が午前7時〜午後4時です。早番は、開園時間=始業時間になっている場合や、開園時間の10〜15分前を始業時間に設定している場合などがあるでしょう。早番は、開園準備を進めつつ、登園してくる子どもたちを迎え、健康チェックをしたり保護者から様子を聞いたりします。なお、早朝は子どもの数が少ないこともあるため、クラスごとではなく同じ保育室で遊びを見守ることもあるようです。
中番
中番は子どもが登園するピークの時間帯に合わせて、一般的な出勤時間は午前8時〜午前9時ごろになります。たとえば、8時間勤務+休憩1時間の場合は、「午前8時〜午後5時」や「午前9時〜午後6時」が勤務時間です。中番の場合、担当クラスの保育が中心の業務になります。担当しているクラスの子どもが延長保育になる場合は、遅番の保育士に業務を引き継ぐことになるでしょう。
遅番
遅番は延長保育の対応と閉園時間に合わせて、出勤時間が10時ごろになります。たとえば、8時間勤務+休憩1時間の場合は、「午前10時〜午後7時」「午前10時30分〜午後7時30分」などが勤務時間です。開園時間が近づくにつれ園児の数も少なくなるため、遅番の保育士は延長保育の子どもたちをまとめて見守ることもあるでしょう。また、すべての園児が降園したら、保育室の片づけや施錠などをして業務終了となるようです。
保育士の勤務形態
保育士の勤務形態には、シフト勤務制と固定勤務制があります。ここでは、シフト勤務制と固定勤務制の特徴をまとめました。
シフト制
シフト制とは、勤務する曜日や時間を固定せず、一定の期間ごとに作成される勤務表によって決まる働き方です。たとえば、保育士のシフトは以下のような流れで決まります。
1.毎月15日までに、早番・中番・遅番や休みたい日の希望など翌月のシフトを提出
2.園長や主任保育士などが、希望をもとにシフトを組む
3.25日に翌月のシフトが分かる
シフト提出のルールは、園や契約内容によって異なります。シフト作成には時間がかかることもあるため、月末などぎりぎりまで分からないこともあるようです。
固定勤務制
保育士はパートや契約社員などの非正規雇用の場合、契約内容によっては固定勤務制で働くことがあります。固定勤務制とは、始業時刻と終業時刻が毎日一定である勤務形態です。たとえば、パートの保育士は「月〜金曜日の午前8時〜午後5時」のように勤務時間が設定されることがあります。なお、正社員保育士の場合は、前述したように一般的な勤務形態はシフト制のため、固定勤務制が取り入れられているのは珍しいでしょう。
保育士の1週間のシフト例
シフト制の保育士は、早番の日が続いたり平日に休みがあったり、不規則な働き方になります。ここでは、シフト制で働く保育士の1週間はどのようなスケジュールになるのか紹介するので、一例として参考にしてみてください。
1日8時間・週5日働く場合
保育士が1日8時間、週5日働く場合のシフト例は以下のとおりです。
| 月曜日 | 7時~16時(早番) |
| 火曜日 | 7時~16時(早番) |
| 水曜日 | 8時~17時(中番) |
| 木曜日 | 休み |
| 金曜日 | 10時~19時(遅番) |
| 土曜日 | 8時~17時(中番) |
| 日曜日 | 休み |
シフト制の場合は、日によって始業時間や終業時間が変わるため、プライベートに影響が出ることもあります。子どもの送り迎えや習い事、友人との予定などがある場合は、職場へシフトを提出する際に調整する必要があるでしょう。
繁忙期で勤務時間が長い日がある場合
変形労働時間制を取り入れている職場では、繁忙期に勤務時間が長くなることがあります。変形労働時間制とは、所定労働時間を繁忙期に長く閑散期は短くして、1ヶ月や1年以内で全体の所定労働時間を調整する制度です。たとえば、以下のように、1週間の労働時間の平均が40時間となるように、超過分を相殺するシフトが組まれます。
| 月曜日 | 7時~16時(早番) |
| 火曜日 | 7時~18時(2時間超過) |
| 水曜日 | 8時~17時(中番) |
| 木曜日 | 8時~16時(2時間短縮) |
| 金曜日 | 10時~19時(遅番) |
| 土曜日 | 休み |
| 日曜日 | 休み |
保育園では、年度末や年度初め、行事の前などの繁忙期があるため、変形労働時間制を取り入れている場合もあります。保育士の求人によっては、変形労働時間制を取り入れている旨が記載されていることもあるでしょう。
保育士の平均労働時間は長い?
保育士の平均労働時間は、統計上ほかの職種と比べて長くはありません。ここでは、保育士の平均労働時間や残業について解説します。
統計上は保育士の労働時間は長くない
政府統計の総合窓口の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、ほかの業種と比べて、保育士の平均的労働時間に大きな差はなく、残業時間は少ない傾向にあるといえます。データは、以下のとおりです。
| 所定内労働時間数(就業規則や雇用契約書などで定められた、休憩時間を除く始業~終業時刻までの時間) | 超過実労働時間数(所定内労働時間数以外に働いた時間) | |
| 保育士 | 162時間 | 3時間 |
| 民営事業所の産業計 | 160時間 | 11時間 |
参照:令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者「職種」「産業大分類
」・厚生労働省「賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明
」
所定内労働時間数の平均において、保育士と民営事業所の産業計の差は2時間です。超過実労働時間数の平均は、保育士が3時間となっており、民営事業所の産業計の11時間を大きく下回っています。
出典
政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年10月7日)
厚生労働省「賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明」(2025年10月7日)
サービス残業を含めると労働時間は長い傾向
保育士は持ち帰り仕事により、見えない労働時間が長くなっていることもあるようです。大分県庁の「保育現場の働き方改革に関するアンケート調査結果について(概要版)(p.11)」によると、現役保育士の約7割が持ち帰り仕事があったと答えています。また、持ち帰りの仕事があった保育士のうち29%は、月に約10時間〜20時間未満の時間を要したようです。保育士が持ち帰って仕事をするとサービス残業となるため、実際の保育士の平均的な労働時間は決して短いとはいえない可能性もあるでしょう。
出典
大分県庁「保育現場の働き方改革」(2025年10月7日)
繁忙期やトラブル対応時は残業が増えやすい
保育士の仕事は、年度初めに向けて入園の受け入れ準備をしたり、運動会前に会場を設営したり、残業が増えやすい繁忙期があります。また、子どものケガや病気、保護者のお迎え時間が遅れるなど、イレギュラーな対応により残業することもあるでしょう。ただし、GWやお盆、年末年始で連休に入る子どもが多くなると、定時に帰れたり休みが取りやすくなったりすることもあるようです。保育士の残業時間について詳しくは、「保育士の残業時間の実態は?平均の数値や減らすためにできる工夫を解説」の記事も参考にしてみてください。
パートで働く保育士の勤務時間
パートで働く保育士の勤務時間は、契約内容によって決まります。たとえば、1日4時間と短時間勤務の方もいれば、正社員と同じく8時間勤務する方もいるようです。パートの場合、求人で「遅番対応が可能な保育士さんを募集しています」のように、特定の時間帯に勤務できる人材を募集していることもあります。「週2、3日からOK」といった求人もあるため、フルタイムで働けない場合は、パートとして保育士の仕事を続ける選択肢もあるでしょう。
公立保育園と私立保育園の保育士の勤務時間の違い
公立保育園の保育士は公務員のため、自治体の定める労働時間になります。公立保育園の保育士の勤務時間は7時間45分、私立保育園の保育士の労働時間は8時間が一般的です。また、公立保育園の運営時間は7時から19時までが一般的ですが、私立保育園は夜間保育や24時間保育の施設もあります。公立保育園の保育士の勤務時間は安定しているのがメリットで、私立保育園の保育士の勤務時間は自身のライフスタイルに合った働き方を選びやすいのが魅力になるでしょう。
保育士は始業時間の何分前に出勤する?
保育士は職場の雰囲気や慣習によって、始業時間の何分前に出勤するか決まるようです。基本的には、始業時間の10〜15分前くらいに出勤しておくと、着替えやトイレなどを済ませたうえで仕事に取り掛かれるでしょう。ただし、職場によっては、暗黙の了解で始業時間の30分前に到着する必要があったり、先輩より早く出勤して保育室を準備したりするかもしれません。出勤時間前の朝礼や掃除が強制されているにも関わらず、労働時間としてみなされていない(賃金が発生していない)場合は法令違反となるため、職場環境が良いとはいえないでしょう。
保育士は休憩時間を何分取れる?
休憩時間は「労働基準法 第三十四条」によって、「6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間」と決められています。ただし、体調不良の子どもが出たり保護者との連絡対応があったりするときは、休憩時間を十分に取れないこともあるかもしれません。保育士は交代で休憩に入ることになりますが、緊急性が高い状況であれば、途中でも業務に入ることはやむを得ないでしょう。保育士の休憩時間について詳しくは、「保育士は休憩時間を取れないって本当?不満を抱える理由や確保の方法を解説」の記事でもまとめているので、参考にしてみてください。
出典
e-GOV法令検索「労働基準法」(2025年10月7日)
保育士の休日
保育士が土日に休んだり、有給休暇を自由に取得したりできるかどうかは、職場や働き方によって変わるかもしれません。ここでは、保育士の休日について解説します。
保育士は土日に休める?
月〜土曜日に開園している保育園で週休2日制の場合、シフトによって休日の曜日が決まるため、毎週土日休みにはならないのが一般的です。月〜土曜日のいずれか1日+日曜日が休みになります。一般的に土曜日は園児が少なくなるため、保育士は交代で出勤することになるようです。園によっては、土曜日の出勤は「隔週」や「月1、2回」などのルールが設けられ、シフトが調整されるでしょう。パートや契約社員などの非正規雇用であれば、土日休みで契約されることもあります。
保育士は有給休暇を取得できる?
保育士は労働基準法にもとづき、有給休暇を取得する権利があります。独立行政法人福祉医療機構の「2020年度「保育人材」に関するアンケート調査(p.72)」によると、保育人材の平均有給消化率で最も多いのは、40%以上60%未満で34.0%の人が回答しています。です。ただし、人手不足だったり休みを取りづらい雰囲気がある園では、有給取得率が低くなることもあるでしょう。
なお、厚生労働省の「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」によると、入職から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合は10日の有給休暇が付与されます。勤続年数に対して、付与される有給休暇の日数は、以下のとおりです。
| 継続勤務年数(年) | 付与日数(日) |
| 0.5年 | 10日 |
| 1.5年 | 11日 |
| 2.5年 | 12日 |
| 3.5年 | 14日 |
| 4.5年 | 16日 |
| 5.5年 | 18日 |
| 6.5年以上 | 20日 |
参照:厚生労働省「労働基準関係リーフレット」
厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得(p.5)」によると、2019年4月から、年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象として、年5日の有給休暇を取得させることが雇用主の義務となりました。保育士求人によっては有給取得率は公開していることもあるため、比較検討してみるのも手です。
出典
独立行政法人福祉医療機構「2020年度「保育人材」に関するアンケート調査」(2025年10月7日)
厚生労働省「労働基準関係リーフレット」(2025年10月7日)
保育士は産休・育休を取得できる?
産前産後休業は、「労働基準法 第六十五条」で定められており、雇用形態や勤務年数に関わらず出産を控えているすべての女性労働者が取得可能です。育休は、正社員であれば取得できます。一方、「育児介護休業法 第6条1項
」によると、パートや契約社員などの有期雇用で働いている方で入社1年未満の場合、育休の対象から除外する内容の労使協定が締結されていると対象外になるかもしれません。
産休や育休を取得する際は、契約書や職場の就業規則を確認し、取得の流れや手続きの方法を把握しておくことが大切です。
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保育士の勤務時間に関してよくある質問
ここでは、保育士の勤務時間に関してよくある質問に答えます。シフト制での勤務や時短勤務についてまとめました。
保育士がシフト制で勤務するのはきつい?
早番と遅番が交互に組まれたり、遅番で帰る時間が遅くなったりすると、生活リズムが崩れ体力的にきついと感じるかもしれません。日によって出勤や帰宅時間が異なると、睡眠リズムが不安定になり体調管理が難しくなることもあるようです。また、シフト制での勤務は休日も不規則になるため、時間の使い方を工夫してリフレッシュや身体を休める時間をつくる必要があるでしょう。
保育士は時短勤務できる?
育児や介護をしている人は、条件を満たすと時短勤務できます。たとえば、厚生労働省の「育児休業、短時間勤務制度(p.30)」によると、育児の場合は、「3歳に満たない子どもを養育している」「1日の所定労働時間が6時間以上である」などの条件があります。雇用形態や契約内容によっても時短勤務できるかは異なるため、雇用契約書や就業規則などを確認してみましょう。保育士の時短勤務については、「保育士の時短勤務とは?制度の条件やメリット、1日のスケジュールを解説」の記事も参考にしてみてください。
出典
厚生労働省「育児休業、短時間勤務制度」(2025年10月8日)
まとめ
保育士の勤務時間は、一般的に早番・中番・遅番の3つのシフトに分かれており、基本的な勤務時間は1日8時間・週40時間です。早番は午前7時ごろからで、中番は午前8〜9時ごろから、遅番は午前10時ごろからの勤務になります。統計上での残業時間は月平均3時間と、ほかの職種と比べて少なめですが、持ち帰り仕事をしている保育士は全体の約7割にのぼり、職場によっては実際の労働時間が長くなるかもしれません。
休憩時間は労働基準法で定められた45分〜1時間を確保する必要がありますが、子どもの体調不良や保護者対応などで十分に取れないこともあります。休日は、シフト制のため毎週土日休みとは限らず、月〜土曜日のいずれか1日+日曜日が休みとなるのが一般的です。より働きやすい環境を探している保育士の方は、保育専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。
















