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学童保育は資格なしでOK?指導員・放課後児童支援員の違いや資格の取り方

  • #保育士
学童保育で勉強を教わる子供たちのイメージ

「学童保育で働くとき、資格は必要?」と迷う方もいるかもしれません。学童保育施設には無資格でも勤務できますが、放課後児童支援員の資格を取得して働く方法もあります。 この記事では、学童保育で働く際の資格の必要性について解説します。放課後児童支援員の資格取得を検討する方は、研修の受講条件や申し込み方法なども参考にしてみてください。

この記事のまとめ

  • 学童保育には無資格で働く学童指導員と有資格者の放課後児童支援員がいる

  • 放課後児童支援員は、職員の教育や管理を任される可能性がある

  • 保育士や幼稚園教諭は実務経験なしで放課後児童支援員の研修を受けられる

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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学童保育に資格は必要?

学童保育は資格がなくても学童保育指導員として勤務可能ですが、放課後児童支援員という任用資格を取得して働く方法もあります。ここでは、学童保育で働く際の資格についてまとめました。

無資格でも学童指導員として働ける

学童保育は資格がなくても勤務可能で、無資格の方は学童指導員として働きます。一般的に実務未経験の方は、学童指導員として入職し現場で知識やスキルを身につけていくことになるでしょう。なお、学童指導員として実務経験を積み一定条件を満たすと、放課後児童支援員の資格取得を目指せます。

学童保育の配置基準を満たすには資格が必要

放課後児童支援員は、学童保育施設において専門知識に基づく高品質な保育を行うために、2015年度に創設された任用資格です。職業情報提供サイトjob tagの「学童保育指導員新規タブリンク」によると、放課後指導クラブでは、おおむね児童40人につき2名以上の放課後児童支援員を配置することが定められています。なお、人材確保が難しい観点から、2020年度以降からは市町村に人員配置規定の取り扱いが委ねられているようです。

出典

職業情報提供サイトjob tag「学童保育指導員新規タブリンク」(2025年10月20日)

学童保育へ転職するには資格があったほうが良い?

放課後児童支援員の資格がなくても学童保育施設への転職はできますが、取得していると選考で知識やスキルをアピールしやすくなります。保育士や幼稚園教諭などの有資格者は、学童保育での実務経験がなくても放課後児童支援員の資格取得のチャンスがあるため、転職する前に認定研修を受講するのも手です。

なお、学童保育施設の求人によっては、応募条件を「放課後児童支援員 必須」としている施設もあります。特に正社員を目指す場合は、放課後児童支援員の資格取得者や、将来的な資格取得の候補として保育士や教員免許などが有利になるでしょう。

資格の有無で学童保育の仕事内容は変わる?

無資格で働く学童指導員と有資格者の放課後児童支援員で、基本的な仕事内容に大きな違いはありません。学童保育施設で働く学童指導員や放課後支援員の仕事内容は、放課後や長期休暇中の子どもの遊び・活動の見守り、サポートなどです。なお、放課後児童支援員は専門的な知識があるぶん、質の高い支援を実施できる可能性があります。また、職員の教育や管理業務といった仕事を任されるチャンスもあるでしょう。

学童保育で働く場合、資格の有無で給料は変わる?

調査によって給料データが異なるので一概にはいえませんが、放課後児童支援員の給料は無資格の方に比べて高くなる可能性があります。こども家庭庁の「放課後児童クラブの運営状況及び 職員の処遇に関する調査(p.8)新規タブリンク」によると、令和3年度の非常勤を含む月給制の放課後児童支援員の給与は、補助員に比べて高い傾向です。

職種 (基本給×年間勤務量+手当×12+一時金)
放課後児童支援員 273万6,159円
補助員 163万0,322円

また、厚生労働省の「図表1-2-74 放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業新規タブリンク」によると、放課後児童支援員は、勤続年数や研修実績などの条件を満たすと処遇改善が受けられます。無資格の学童指導員が給与アップを目指す場合、まずは放課後児童支援員の資格取得を目指すことになるでしょう。

放課後児童支援員の資格の取り方

放課後児童支援員の資格を取るためには、自治体が主催する研修を受ける必要があります。ここでは、東京都の「令和7年度東京都放課後児童支援員認定資格研修 募集案内新規タブリンク」を参考に、放課後児童支援員の資格の取り方をまとめました。

1.受講対象の条件を確認する

放課後児童支援員になるためには、まず研修の受講条件を満たす必要があります。東京都の例によると、研修の受講対象者は、基準に該当する方で「都内に所在する放課後児童クラブに現に従事している方」または「都内に現住所を有する方で放課後児童クラブに従事しようとする方」です。なお、受講対象者の基準に関しては、資格の有無や学歴によって実務経験の要否が異なり、東京都の例を以下でまとめたので参考にしてみてください。

実務経験が不要な方

東京都では、以下の有資格者や学歴がある方は、実務経験不要で放課後児童支援員の認定資格研修が受けられます

  • 保育士

  • 地域限定保育士

  • 社会福祉士

  • 教員免許

  • 大学や大学院で社会福祉学、心理学、教育学、社会学、芸術学、体育学を専修する学科またはこれらに相当する課程を修めて卒業した者(外国の大学も含む)

保育士資格や幼稚園教諭免許などを持っている方は、学童保育施設で働く前に放課後児童支援員の資格取得を目指すことも可能です。

実務経験が必要な方

東京都の受講要件によると、前述した資格や学歴がない方は、学童保育施設で実務経験を積んだうえで放課後児童支援員を目指す方法もあります。最終学歴別の受講条件は、中卒者の場合、「5年以上放課後児童健全育成事業に従事し、市町村長が適当と認めたもの」です。高卒者の場合は、「2年以上児童福祉事業に従事したもの」または「2年以上放課後児童健全育成事業に類似する事業に従事し、市町村長が適当と認めたもの」です。

実務経験を証明する書類には、従事期間や年数、総勤務時間などを記載します。事業主や市町村などから発行してもらう必要があるため、職場に確認してみましょう。

2.自治体の研修に申し込む

自治体の研修に申し込む際、すでに学童保育施設で働いている方は、職場の指示に従って申し込みしましょう。学童保育施設に勤務していない方は、受講希望者本人が自治体の案内に沿って申し込みます。東京都の場合、受講費用は無料です。

なお、東京都では、「申込者多数の場合は放課後児童クラブに勤務している方を優先とし、先着順となります」といった案内があるため、手続きは早めに済ませましょう。なお、申し込み完了後は、受講決定通知書が届き研修受講の可否が分かります。

3.全科目の研修を受講する

受講決定通知書が届いたら、案内に従って全科目の研修を受講します。研修は、申し込みの際に集合研修とオンデマンド研修を選択することが可能です。東京都では、集合研修の場合、90分×16科目=合計24時間を計4日間で受講します。一方、オンデマンド研修では講義動画を視聴する形式で学習し、指定期間中(約1ヶ月)であれば、いつでも受講可能です。働いている方は、オンデマンドであれば休みの日を利用して資格取得を目指せます。

4.修了証が交付される

全科目を受講し自治体から修了認定されると、修了証が郵送されます。なお、一部科目を修了した方には「一部科目修了証」が交付され、自治体に問い合わせると再受講可能な場合もあるようです。なお、有効期限は、一部科目修了証に記載される発行日より1年間となるため、早めに再受講しましょう。また、オンデマンド研修の場合は、受講形態の性質上、一部科目修了が認められません。

「放課後児童支援員の資格取得後の転職活動は?」「学童保育の求人の探し方は?」と気になる方は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、キャリアアドバイザーが希望条件にあった学童保育施設の求人をご紹介します。放課後児童支援員の資格を取得するか迷っている方や、学童保育施設に転職するか悩んでいる方などのキャリア相談も可能です。

放課後児童支援員認定資格研修の内容

放課後児童支援員認定資格研修では、学童保育施設で働く際に必要な、基本的な考え方や心得、必要最低限の知識・技能を習得します。ここでは、東京都の「令和7年度東京都放課後児童支援員認定資格研修 募集案内新規タブリンク」をもとに、研修の内容をまとめました。

基本的な研修項目・科目

放課後児童支援員認定資格研修の基本的な研修項目・科目は以下のとおりです。

  • 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の理解(3科目)

  • こどもを理解するための基礎知識(4科目)

  • 放課後児童クラブにおけるこどもの育成支援(3科目)

  • 放課後児童クラブにおける保護者・学校・地域との連携・協力(2科目)

  • 放課後児童クラブにおける安全・安心への対応(2科目)

  • 放課後児童支援員として求められる役割・機能(2科目)

すべての項目において、1科目90分の研修を受講します。研修受講後はレポートの記入もあるため、習得した知識や技能はアウトプットできるようにしておきましょう

一部科目免除の条件

保育士や教員免許、社会福祉士の有資格者は、一部科目の免除が可能です。たとえば、保育士の場合は、「こどもを理解するための基礎知識」の4科目を免除できます。ただし、免除科目に関しても積極的な受講が推奨されているため、スケジュールに余裕がある方は知識を深めるために受けてみましょう。なお、「一部科目修了証」を持っている方も、再受講の際に修了している科目の免除が可能です。

学童保育の仕事に役立つその他の資格

特定非営利活動法人日本放課後児童指導員協会の「資格制度新規タブリンク」では、放課後児童支援員資格取得後のさらなるスキルアップを目指す方々に向けて、独自の資格制度を提供しています。ここでは、協会が提供する3つの資格についてまとめました。

放課後児童育成支援師(R)

放課後児童育成支援師(R)新規タブリンク」は、放課後児童支援員の資格を有する方が、より実践的な知識や技能を身につけられる資格です。また、次のステップである「放課後児童専門育成支援師」や「放課後児童高度育成支援師」を目指すための必須資格とされています。資格取得には、4科目24時間の講義を受ける必要があり、学童保育の専門家として、より高度な支援ができるようになるための第一歩となるでしょう。

放課後児童専門育成支援師

放課後児童専門育成支援師新規タブリンク」は、放課後児童育成支援師(R)の上位資格で、子どもたちの遊びや生活指導など、育成支援に関する専門的な知識を深められます。資格取得には、放課後児童支援員や協会が認定する放課後児童育成支援師(R)または放課後児童指導員の資格が必要です。放課後児童専門育成支援師の資格取得は、子どもたちにより質の高い支援を提供するための重要なステップになるでしょう。

放課後児童高度育成支援師

放課後児童高度育成支援師新規タブリンク」は、3つの中で最も専門性が高い資格です。資格取得時には、子どもたちの育成支援の質向上や職員研修の企画・実施に求められる実践的な能力を身につけます。放課後児童高度育成支援師のカリキュラムは、セミナーを履修した後、実践研修と報告書の提出に合格すると、研究発表が実施される流れです。

放課後児童高度育成支援師の資格を取得するためには、申請時に本協会の登録会員であることが条件となります。ほかにも、放課後児童育成支援師(R)の資格取得者(見込含む)、学童保育施設で通算600日以上の指導員としての実務経験が必要です。

出典

特定非営利活動法人日本放課後児童指導員協会「資格制度新規タブリンク」(2025年10月21日)

学童保育の仕事や資格に関する質問

ここでは、学童保育の働き方に関する質問にQ&A形式で答えます。仕事内容や求人を探す方法について参考にしてみてください。

学童保育の仕事内容とは?

学童保育施設の仕事内容は、放課後や長期休暇中などに子どもの遊びや宿題を見守り、成長をサポートすることです。夏祭りやクリスマス会、課外活動など、新しい体験や学びの機会を提供することもあります。また、保護者から子どもの発達や日々の様子に関する相談を受け、話し合ったり相談先を案内したりすることもあるようです。詳しくは、「学童保育士とは?放課後の児童を支える仕事内容や必要資格を解説」の記事も参考にしてみてください。

学童保育の求人を探す方法は?

学童保育施設の求人は、保育業界専門の求人サイトや転職エージェントで探せます。保育業界専門の求人サイトは、職種や資格の有無など希望条件が絞りやすいことが特徴です。また、保育業界専門の転職エージェントでは、求人票に載っていない職場の雰囲気や具体的な仕事内容など詳しい情報が得られます。キャリアアドバイザーから求人選びや選考対策などのアドバイスも受けられるため、安心して転職活動を進められるでしょう。

資格なしの場合、学童保育の正社員は目指せますか?

無資格でも学童保育施設の正社員を目指すことは可能ですが、実務未経験者はパートやアルバイト採用になる場合があります。パートやアルバイトで実務経験を積めば、スキルや熱意が評価され正社員になれる可能性は高まるでしょう。また、実務経験を積んだ後、放課後児童支援員の資格を取得すれば、知識や技能が評価されやすくなります。なお、保育士や教員免許、社会福祉士の有資格者は、実務経験がなくても放課後児童支援員の研修を受けられるため、正社員として入職する際に資格取得の意思を示すのも手です。

学童保育の指導員が続かない理由は?

学童保育の指導員は、子どもの命を預かる責任が重い、給料が低い、人間関係合わないなどの理由から続かないこともあるようです。ただし、これらの退職理由は、一般的な企業や保育業界で働く人によくある悩みともいえるため、学童保育の仕事自体に問題があるわけではありません。長く働き続けるためには、職場環境の詳細な情報を収集したうえで、自分の希望条件に合った職場を探すことが大切です。

まとめ

学童保育は無資格でも指導員として働けますが、より良い待遇や専門的な支援を目指すなら放課後児童支援員の資格取得がおすすめです。放課後児童支援員の資格は、保育士や教員免許などの有資格者は実務経験なしで取得でき、学歴の条件を満たさない方や無資格の方は実務経験を積んでから目指すことになります。資格取得には自治体が主催する研修を受講する必要があり、集合研修かオンデマンド研修を選ぶことが可能です。

将来のキャリアアップを考える方は、まずは指導員として経験を積みながら、放課後児童支援員の資格取得を検討してみましょう。学童保育施設の求人を探す際は、保育業界専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」にご相談ください。保育士や幼稚園教諭などの資格を活かして、学童保育施設に転職する方法もアドバイスします。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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