保育の資格

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学童保育に必要な資格とは?仕事内容や放課後児童支援員の取得方法も解説

  • #保育士
学童保育で勉強を教わる子供たちのイメージ

「学童保育で働くにはどんな資格が必要なのか」と、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。学童保育の指導員として働くために必須の資格はありませんが、保育士や教員免許、放課後児童支援員などの資格を持っていると、採用やキャリアアップにおいて有利になることがあります。 この記事では、学童保育の仕事内容から、関連する資格や取得方法についてわかりやすく解説します。資格を活かして学童保育で活躍したい方は、ぜひ参考にしてください。

学童保育に資格は必要?

学童保育で指導員として働くために特別な資格は必須ではありません。そのため、未経験の方でも学童保育での仕事をスタートできます。しかし、厚生労働省の「放課後児童クラブの施策と認定資格研修 (p.24)新規タブリンク」によると、2015年に子ども・子育て支援新制度が施行され、放課後児童支援員という専門資格が創設されました。現在では、学童保育に最低2名以上の支援員を配置することが義務付けられています。放課後児童支援員を有していると、転職や就職の際に有利になる可能性もあるでしょう。

放課後児童クラブでは、2名以上の放課後児童支援員を配置することが義務付けられているため、専門資格を持つことは重要なアピールポイントとなるでしょう。

出典

厚生労働省「放課後児童クラブの施策と認定資格研修新規タブリンク」(2025年5月8日)

学童保育の仕事内容とは

学童保育では、放課後や長期休暇中に小学生を預かり、安全で安心できる環境を提供します。ここでは、学童保育の仕事内容について詳しく解説します。

子どもの見守りとサポート

学童保育の指導員の主な役割は、子どもが安全で楽しく過ごせるように見守り、必要なサポートを行うことです。放課後や長期休暇中に、子どもたちがリラックスできる環境を整えながら、遊びや活動を通じて子どもと信頼関係を築きます。

また、宿題の見守りも重要な業務の1つですが、学校の先生とは違い、学びを教えるというよりも、自主的に取り組む習慣を促すサポートを行うのが仕事です。学童保育は、子どもたちの自主性・社会性を育む場であり、指導員は「親でも先生でもない信頼できる大人」として、子どもの心の支えになることを目指します。

保護者対応

学童保育の指導員にとって、保護者対応は重要な業務の1つです。子どもの様子や日々の活動内容を保護者に共有することで、信頼関係を築きます。連絡帳を使って子どもの体調や行動の変化を記録し、適切な情報を伝えます。また、子どもの成長や課題について相談を受けたり、家庭でのサポート方法について話し合ったりすることもあるでしょう。

ほかにも、学童保育で行われる行事やイベントの案内、保護者会の開催など、家庭と施設をつなぐ役割も担います。保護者と協力しながら、子どもが安心して過ごせる環境を提供することが、指導員の大切な仕事です。

施設運営の補助

施設内の安全性を保つための環境整備や、備品の管理も施設運営の補助も大切な役割の1つです。遊具や教材の点検、消毒、壊れた設備の修理依頼など、子どもが安心して過ごせる環境づくりを支えます。また、施設の運営に関わる事務作業も仕事に含まれ、利用者リストの管理、活動記録の作成などのデータ整理、行政への報告書作成、予算に関する補助業務も行います。

イベント企画など

日々の活動に加えて、子どもたちが楽しめるイベントの企画や運営も大切な仕事です。夏祭りやクリスマス会といった季節ごとの行事や特別なイベントや調理体験、工作教室など子どもたちに新しい体験や学びの機会を提供します。これらのイベントを通じて、子どもたちに楽しい思い出を作るだけでなく、協調性や創造性を育むことができます。

学童保育指導員と放課後児童支援員の違いとは

学童保育指導員と放課後児童支援員は、どちらも学童保育施設で子どもたちを支援する職員ですが、その違いは資格の有無にあります。前述しましたが、2015年に放課後児童支援員という資格が創設され、学童保育の質の向上が図られました。放課後児童支援員は一定の実務経験や研修の受講が必要で、資格取得者は学童保育施設での支援をより専門的に行う役割を担っています。

一方で、学童保育指導員は資格を持たずに働く職員を指します。ただし、仕事内容に大きな違いはなく、どちらも子どもの遊びの見守りや学びのサポート、安全確保といった日々の業務に携わります。そのため、学童保育指導員も経験を積むことで、放課後児童支援員の資格取得を目指すことが可能です。

このように、学童保育施設での役割自体に違いはないものの、資格の有無が名称やキャリアの選択肢に影響する点が両者の違いといえるでしょう。

放課後児童支援員の資格を取得する方法

放課後児童支援員の資格を取得するには、一定の実務経験や研修の受講が必要です。ここでは、放課後児童支援員の資格取得方法について詳しく解説します。

放課後児童支援員認定資格研修の修了が必須

放課後児童支援員の資格を取得するためには、各都道府県が実施する「放課後児童支援員認定資格研修」を修了する必要があります。この研修の受講対象者は、以下の条件に当てはまる人です。

【実務経験が不要な場合】

  • 保育士資格、社会福祉士資格、教員免許(小学校、中学校、高校)を持っている

  • 大学や大学院で社会福祉学、心理学、教育学、社会学、芸術学、体育学などの専門課程を修了している

【実務経験が必要な場合】

  • 高卒以上で児童福祉事業(保育所や児童養護施設など)で2年以上の実務経験がある

  • 高卒以上で放課後児童健全育成事業に類似する事業(放課後子ども教室など)で2年以上の実務経験があり、市区町村長が適当と認める場合

研修の内容や条件は各都道府県によって異なるため、事前に確認すると安心でしょう。具体的な研修内容や受講条件については、各都道府県の判断により異なるため、各都道府県の福祉担当部署や公式サイトを通じて、申し込み前に詳細を確認することをおすすめします。

放課後児童支援員認定資格研修の内容

「放課後児童支援員認定資格研修」は、学童保育施設で働くために必要な知識や技能を身につけるためのプログラムです。この研修は、主に6つの分野に分かれた16科目から構成され、全体で24時間の講義と演習を受けることになります。研修の内容は、以下のような主要分野に分かれています。

1.放課後児童健全育成事業の理解

  • 放課後児童健全育成事業の目的及び制度内容

  • 放課後児童健全育成事業の一般原則と権利擁護

  • 子ども家庭福祉施策と放課後児童クラブ

2.子どもを理解するための基礎知識

  • 子どもの発達理解

  • 児童期(6歳~12歳)の生活と発達

  • 障害のある子どもの理解

  • 特に配慮を必要とする子どもの理解

3.放課後児童クラブでの育成支援

  • 放課後児童クラブに通う子どもの育成支援

  • 子どもの遊びの理解と支援

  • 障害のある子どもの育成支援

4.保護者・学校・地域との連携

  • 保護者との連携・協力と相談支援

  • 学校・地域との連携

5.安全・安心への対応

  • 子どもの生活面における対応

  • 安全対策・緊急時対応

6.放課後児童支援員として求められる役割

  • 放課後児童支援員の仕事内容

  • 放課後児童クラブの運営管理と運営主体の法令の遵守

研修には、受講資格に応じて免除される科目もあるため、事前に自身の資格取得状況に合わせて確認しておきましょう。研修自体の受講料は無料ですが、教材費や交通費、昼食代などの実費は自己負担となります。

学童保育の仕事でキャリアアップを目指す際におすすめの資格

特定非営利活動法人日本放課後児童指導員協会新規タブリンク」は、放課後児童支援員資格取得後のさらなるスキルアップを目指す方々に向けて、独自の資格制度を提供しています。ここでは、協会が提供する3つのおすすめの資格について詳しく解説します。

1.放課後児童育成支援師(R)

「放課後児童育成支援師(R)」は、放課後児童支援員の資格を有する方が、さらに深い知識と技能を身につけたい場合に最適な資格です。この資格は、次のステップである放課後児童専門育成支援師や放課後児童高度育成支援師を目指すための必須資格とされています。資格取得には、4科目24時間の講義を受ける必要があり、学童保育の専門家として、より高度な支援ができるようになるための第一歩となるでしょう。

2.放課後児童専門育成支援師

「放課後児童専門育成支援師」は、放課後児童育成支援師(R)の上位資格で、子どもたちの育成支援に関する専門的な知識を深めることができます。資格取得には、放課後児童支援員や放課後児童育成支援師(R)、または放課後児童指導員としての資格が必要です。学童保育の現場でより専門的な知識や技能を活かして、子どもたちに質の高い支援を提供できるようになるための重要なステップになるでしょう。

3.放課後児童高度育成支援師

「放課後児童高度育成支援師」は、3つの中で最も専門性が高い資格です。特定非営利活動法人日本放課後児童指導員協会「放課後児童高度育成支援師新規タブリンク」によると、この資格は学童保育の現場での実務経験を積みながら、さらに専門的な知識を深めることを求められます。

資格を取得するためには、資格申請時に本協会の登録会員であることが条件です。ほかにも、放課後児童育成支援師(R)の資格取得者(見込含む)、学童保育施設で通算600日以上の指導員としての実務経験が必要です。その上で、約3時間のセミナーで座学を学び、個別面談指導に合格して初めて資格を得ることができます。

出典

特定非営利活動法人日本放課後児童指導員協会「資格制度新規タブリンク」(2025年5月8日)

学童保育の資格に関する質問

ここでは、学童保育の資格についてよくある質問を紹介します。ぜひ参考にしてください。

自宅で学童保育をする場合に必要な資格は?

自宅で学童保育を開設するには、放課後児童支援員の資格が必要です。この資格は、地方自治体が実施する研修を受講して取得するもので、主に子どもの発達や保育に関する知識を学びます。また、資格を取得するには、保育士資格や教員免許の所持、児童福祉や学童保育の実務経験、高卒以上の学歴など、いずれかの条件を満たしている必要があります。

放課後児童支援員の取得に有利となる資格はある?

放課後児童支援員の資格取得に有利な資格として、保育士資格、社会福祉士資格、教員免許が挙げられます。これらの資格を持っていると、研修科目の一部が免除される場合もあるでしょう。

特に、保育士資格は子どもの安全や健全な成長を見守るスキルがあり、学童保育での役割と共通点が多い資格といえます。これらの資格を活用すれば、支援員の役割をより専門的にこなしやすく、研修を効率的に進めることも可能です。

資格なしの場合、学童保育の正社員は目指せますか?

無資格でも学童保育で正社員を目指すことは可能ですが、施設によってはパートやアルバイト採用が主流になる場合があります。正社員を目指すためには、実務経験を積む、面接で熱意をアピールする、また必要に応じて放課後児童支援員の資格を取得を検討することで、採用の可能性を高められるでしょう。

まとめ

学童保育士として働くための資格は不要ですが、正規雇用を目指す場合やキャリアアップをしたい場合には、放課後児童支援員の資格を取得するのがおすすめです。学童保育士や放課後児童支援員は、子どもの成長を支える重要な役割を担うやりがいのある仕事です。学童保育の現場で活躍できるスキルを磨きながら資格を取得し、さらなるキャリアアップを目指しましょう。

また、保育士資格を持っていると、学童保育でのキャリアアップや正社員として採用されやすくなる可能性があるなど、メリットがあります。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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