保育の仕事

最終更新日:

なぜ保育士は忙しい?激務になりがちな理由と仕事の負担を軽くする方法

  • #悩み
  • #保育士
疲れている保育士のイメージ

多忙な毎日を送る保育士の中には、「私だけがこんなに忙しいのだろうか」「想像以上に大変でつらい」と感じる方もいるかもしれません。保育士の仕事は忙しい傾向にありますが、職場によって求められる労力や業務量には差があります。この記事では、保育士が忙しくなる4つの理由や日々の業務負担を軽減する方法を解説します。毎日の忙しさを少しでも和らげたい場合や、心身の疲れが蓄積しているときにお役立てください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士のお仕事探しならレバウェル保育士 登録する バナー

保育士が忙しいのは普通のこと?

保育士の仕事は多岐にわたるため、確かに忙しい職種ではあります。人手不足の園では最低限の人員で運営しており、「急な対応で手が回らない」「休みたくても休めない」といった状況が起こりやすいでしょう。実際に、厚生労働省の「保育分野における人材不足の原因・理由②新規タブリンク」では、保育士として就業を希望しない理由として、37.0%が「休暇が少ない・休暇が取りにくい」と回答しています。

しかし、すべての保育園が同じように過酷な環境というわけではありません。中には業務効率化に力を入れ、サービス残業や持ち帰り仕事をなくすよう努めている園もあります。国も保育士の負担軽減に向けた環境改善を推進しており、状況は少しずつ変化しています。

出典

厚生労働省「保育分野における人材不足の現状①新規タブリンク」(2025年6月10日)

保育士が忙しい4つの理由とは?

保育士の仕事が忙しいといわれる背景には、主に4つの理由があります。現在、仕事の忙しさに悩んでいる方は、自身の状況と照らし合わせてみてください。

1.業務量が多く勤務時間内に終わらない

保育士の仕事は、子どもと直接関わる「保育」だけではありません。保育日誌といった記録作成や保護者対応、職員会議の出席など業務は幅広くあります。しかし、保育中は子どもから目を離せないため、事務作業に集中できる時間はどうしても限られてしまうでしょう。忙しさから勤務時間内に業務が終わらないと、残業や持ち帰り仕事が発生しやすくなります。

保育の質を維持しながら、限られた時間の中ですべての業務をこなすのは容易ではありません。「もっと丁寧に関わりたい」「成長をじっくり見守りたい」と、もどかしさやジレンマを抱える保育士も少なくないのが現状です。

2.行事やイベントの準備に追われる

保育園での行事の規模や頻度は園によって異なりますが、行事が多い園では通常業務に加えて準備を進めなければならず、保育士の負担が大きくなりがちです。打ち合わせや練習、制作物の準備など当日が近づくにつれて業務量は一気に膨らみます。

子どもたちが主役となる行事では、一人ひとりの発達段階や個性に合わせた配慮も必要です。保護者の期待に応えようとするプレッシャーも加わることで、保育士の忙しさや負担はより一層増していきます。

3.正解がなく仕事に区切りがつけにくい

保育の仕事には、明確なゴールがありません。常に改善の余地があるため、どこで区切りをつけるかの判断が難しく、つい勤務時間を超えてしまうこともあります。保育環境の整備や教材準備、掲示物の作成など、「もっと子どもが喜ぶものを作りたい」「もっと学びにつながる環境にしたい」と思えば思うほど、どこまでも手をかけたくなるでしょう。

仕事に熱心な保育士ほど、100%の力を注いで自分の時間を削ってしまいがちです。経験の浅い時期は、どの業務にどれだけ時間をかけるべきかの判断が難しく、力の入れどころに迷うこともあるかもしれません。

4.常にスキルアップが求められる

子どもの発達や教育に関する研究は日々進んでおり、保育士には常に新しい知識の習得が求められます。こうした自己研鑽にかかる時間や労力も、保育士が忙しいと感じる要因の1つです。定時後や土日に外部の勉強会や研修が実施されることもあり、プライベートの時間が削られてしまう保育士も少なくありません。

また、保育士には、保護者対応や特別な配慮が必要な子どもへの支援、ICTツールの活用などのスキルも求められます。これらに対応するためには、日々の忙しい業務の合間を縫って学習時間を確保する必要があるのです。

保育士が特に忙しい時間帯・時期

保育士は特定の時間帯や時期に業務が集中しやすい傾向にあります。以下で具体的な内容を見ていきましょう。

1日の中で保育士が忙しい時間帯

保育士の1日で特に忙しいのは、登園時と降園時です。登園時には、子どもを迎え入れながら保護者からの連絡事項を聞き取り、健康状態の観察を行わなければなりません。降園時には、子どもを安全に保護者へ引き渡しながら、1日の様子を丁寧に伝える必要があります。複数の保護者が同時に来園する状況では、個別対応と安全確認を並行して行うため、業務の負担が大きくなりがちです。

また、給食も慌ただしい時間帯です。食事の介助やアレルギー対応、後片付けなど、事故のないよう細心の注意を払いながら進める必要があります。子どものお昼寝の時間は、保育日誌や連絡帳といった事務作業を進めなければならず、ほっと一息つく間もなかなか取れないのが実情です。

1年間の中で保育士が忙しい時期

保育士の業務が特に忙しくなるのは、大きな行事の前や年度末・新年度といった節目の時期です。以下では、年間行事のスケジュールとあわせて、保育士が多忙になる時期について解説します。

大きな行事の前後

保育園では、年間を通して幅広い行事が行われます。以下の表はその一例であり、準備や当日の対応に追われる保育士の忙しさがイメージできるでしょう。中でも、運動会や発表会といった大きな行事の前後は、業務が集中しやすく、忙しさが増す時期といえます

4月~5月
  • 入園式
  • 進級式
  • 親子遠足
  • 母の日
6月~8月
  • 保育参観
  • 父の日
  • プール遊び
  • 七夕
  • 夏祭り
  • お泊まり保育
9月~11月
  • 運動会
  • お芋掘り
  • 敬老の日
12月~3月
  • クリスマス会
  • お正月遊び
  • 節分
  • ひな祭り
  • 卒園式

行事に向けては、早くて開催の数か月前から準備が始まります。子どもたちの練習に加え、衣装作りやプログラムの作成など、さまざまな業務を並行して進めなければなりません。行事後も片付けや反省会、次の行事の準備などが控えているため、ゆっくり休む間も取りにくいでしょう。

年度末・新年度

年度末から新年度にかけても、保育士にとって忙しい時期です。3月は、進級・卒園に向けた行事の準備や記念品の作成、小学校への提出書類の作成など多くの業務に追われます。次年度の担任への引き継ぎや教材の準備、新しく入園する子どもたちの受け入れ準備も並行して進めなければなりません。

4月に入ると新入園児の受け入れが始まり、不安を抱える子どもや保護者との関係作りにも力を入れる必要があります。子どもたちが新しい環境に慣れるまでは予期せぬトラブルが起きやすく、気の抜けない日々が続くでしょう。

忙しい保育士が抱えやすい悩み

忙しい日々を送る保育士は以下のような悩みを抱えがちです。持ち帰り仕事や休日出勤が日常化している職場では、自分の時間を確保できず、趣味や家族との団らん、自己成長に向けた時間などが犠牲になりやすいでしょう。

  • 心に余裕がなくプライベートを楽しめない

  • 自分のケアをする時間が取れない

  • 疲れが溜まって仕事と家庭の両立が難しい

心身の疲れが積み重なると、体調を崩したり作業効率が落ちてしまったりと、悪循環に陥ることも少なくありません。「毎日が忙し過ぎて自分の健康にまで気が回らない」という方は、厚生労働省が提供する「こころの耳新規タブリンク」の疲労蓄積度セルフチェックを活用し、自身の状態を客観視するのがおすすめです。つらさを感じる場合は、無理をせず上司に相談したり、「こころの耳新規タブリンク」で紹介されている相談窓口を利用したりしましょう。

出典

厚生労働省「こころの耳新規タブリンク」(2025年6月10日)

忙しい保育士が仕事の負担を軽減する方法

「忙しさに追われて余裕がない」「やることが多過ぎて息つく暇もない」という保育士は、日々の業務に少し工夫を加えることで、負担を軽くできるかもしれません。無理のない範囲で以下の方法を試してみてください。

業務の優先順位を可視化する

複数の業務が重なる時期は、すべてを一度にこなそうとせず優先順位をつけて取り組むことが大切です。「今日中に必ず終わらせる業務」「明日に回しても問題ない業務」「ほかの職員に依頼できる業務」などを整理すると、効率良く仕事を進められます。作業ごとのおおよその所要時間を見積もっておくのもポイントです。

また、ToDoリストやスケジュール表を活用し、業務を日・週・月単位で可視化することで、次に何をすべきか悩む時間も減らせます。

書類作成を効率化して時間短縮を図る

書類作成に時間がかかり過ぎていると感じる保育士は、作業の進め方に工夫の余地があるかもしれません。たとえば、よく使うフォーマットや文章をテンプレート化しておけば、必要な部分を修正するだけで済みます。過去の書類を参考にすれば、一から作成する手間も省けるでしょう。手書きよりもタイピングのほうが速い場合は、パソコンやタブレットを積極的に活用するのも効果的です。

これまでのやり方を見直すのは少し勇気がいるかもしれませんが、作業の簡素化は手抜きではなく、時間を有効に使うための前向きな工夫です。書類作成の時間を短縮できれば、子どもたちと向き合う時間やほかの業務にも余裕が生まれるでしょう。

職員間の連携を強化する

職場の連携が弱いと感じたら、保育士同士のコミュニケーションを増やし、お互いの状況を理解し合いましょう。定期的にミーティングを開いて情報共有をすれば、チーム全体の効率が上がり、忙しさの軽減が期待できます。また、ミーティングで出た意見や気付きを主任や園長に相談することで、園全体の業務改善につながる可能性もあるでしょう。

役割分担を行う際は、制作が得意な人や書類作成が速い人、保護者対応が上手な人など、それぞれの強みを活かすのも有効です。新人とベテランのペア制度を取り入れれば、経験の共有や相互サポートにもつながります。

無理なく働ける職場に転職する

どんなに工夫しても忙しさが改善されない場合は、余裕をもって働ける環境へ転職するのも選択肢の1つです。求人を探す際は、ギリギリの人数ではなく余裕のある職員配置がされているか、また、休暇の取りやすさや目安の残業時間も確認しましょう。

職場見学が可能であれば、保育士の表情や子どもたちとの関わり方など、現場の雰囲気を直接確認するのがおすすめです。毎日の忙しさで保育の楽しさを見失いそうになっている方も、環境を変えることでモチベーションが再び湧いてくるかもしれません。

忙しい保育士におすすめの保育園の特徴

ここでは、ワーク・ライフ・バランスを大切にしたい方におすすめの保育園の特徴を紹介します。転職を考えている方は、求人を選ぶ際の参考にしてみてください。

ICT化が進んでいる

忙しい保育士にとって、ICT(情報通信技術)の活用は事務作業の負担を減らす助けになります。たとえば、指導計画書のデジタル化では、園の方針に合わせて帳票をカスタマイズしたり、作成に役立つ文章検索や引用が可能になったりするシステムもあるようです。また、書類をシステム上で一元管理すれば、必要な情報を探す手間も省けるでしょう。

このように、ICT化が進んでいる園では、書類作成・管理にかかる時間の短縮が期待できます。デジタル機器の操作に不安がある方は、研修やサポート体制が整っている園を選ぶと心強いかもしれません。

パートの保育士や保育補助が多い

正規職員に加えて、パート保育士や保育補助が多く配置されている園では、業務を分担しやすく、一人ひとりの負担が軽減される傾向があります。たとえば、連絡帳の記入や記録をパート職員が担えば、正規職員は保育の計画立案に集中しやすくなるかもしれません。

また、保育補助が掃除や片付け、行事の準備などを担当することで、保育士は子どもとの関わりや保護者対応に時間を使えます。特に食事や排泄に人手が必要な未満児クラスでは、補助者の存在が支えになるでしょう。

行事の数が少ない

保育園で行われる行事の数や内容は、園の規模や運営方針によって異なります。そのため、心身にゆとりを持ちたい保育士は行事の少ない園を選ぶのも有効な方法です

保育園の中には、行事の目的や意義を見直して必要最小限に絞っているところや、大規模行事の実施回数を抑えて日常の保育を重視しているところもあります。転職活動を行う際は、年間スケジュールを確認し、無理なく働き続けられるかを見極めるようにしましょう。

保育士の忙しさに関してよくある質問

ここでは、保育士の忙しさに関してよくある質問を紹介します。

保育士は年末にどのくらい忙しくなりますか?

12月はクリスマス会をはじめとした行事や大掃除をする傾向にあるため、保育士にとって多忙な時期といえます。年末の忙しさを乗り切るには、事前の計画と職員間の協力が欠かせません。保護者ボランティアの協力を得られる園であれば、大掃除や環境整備を共同で行うことで、保育士の負担軽減につながるでしょう。

保育士が4月に忙しいのはどの園も同じですか?

園の規模や新入園児の数によって忙しさの度合いが異なりますが、4月はほとんどの保育園で慌ただしくなる時期といえます。新入園児が多い園では、慣らし保育や保護者対応に時間と労力が必要となるでしょう。進級した子どもたちも新しいクラスや担任に慣れる段階のため、きめ細やかな関わりが求められます。

保育士が運動会の忙しさを乗り越えるコツはありますか?

保育士が運動会の忙しさを乗り越えるには、役割分担を明確にして、直前の追い込みを防ぐことが大切です。用具の準備や会場設営、プログラム作成などそれぞれの得意分野に応じて分担し、チーム全体で進めましょう。保護者の協力を得られそうな場面では、無理のない範囲でサポートをお願いするのも1つの方法です。また、過度な演出や複雑な競技を避けるのも負担を軽減するポイントといえます。

まとめ

保育士の仕事が忙しいのは、子どもと関わる保育業務に加えて、書類作成や行事の準備など多くの業務を担っているためです。また、保育には明確なゴールがなく、常に学び続ける姿勢が求められる点も忙しさの一因となっています。負担を軽減するためには、「業務の優先順位を可視化する」「書類作成を効率化する」「職員間の連携を強化する」などの方法が有効です。それでも忙しさが改善されない場合は、無理をせず転職を検討するのも1つの選択肢といえるでしょう。

保育業界専門の転職支援サービスであるレバウェル保育士では、キャリアアドバイザーが行事の規模や頻度、職員配置など各園の特徴を詳しくお伝えします。保育方針や職場の体制によって保育士の忙しさは異なるため、自分に合った園を選ぶことでワーク・ライフ・バランスが整うかもしれません。一人で抱え込まず、ぜひプロの視点も活用してより良い職場を見つけてみてください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Xでポストする
  • LINEで送る
  • はてなブックマークでブックマークする

保育士・幼稚園教諭の転職なら

レバウェル保育士
  • 非公開
    求人あり

  • LINEで
    気軽に相談

  • 面接対策
    ・条件交渉

転職サポートを受けてみる