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認可保育園と認可外保育園、働くならどっち?違いやメリット・デメリット
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「認可保育園と認可外保育園、働くならどっち?」と迷っている保育士もいるかもしれません。認可と認可外保育園どちらで働くか迷う場合は、ぞれぞれの基本的な特徴を知ったうえで、各園の情報を収集することが大切です。 この記事では、認可保育園と認可外保育園の違いや、働くメリット・デメリットをまとめました。どちらで働きたいか決めたあとに、保育士が求人を探すポイントも紹介します。
この記事のまとめ
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認可保育園は給与の安定性や保育環境が整っていることがメリット
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専門性を磨きたい人は認可外保育園に向いている可能性がある
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求人を探すときは希望条件を明確にしたうえで詳細な情報を収集する
目次
認可保育園と認可外保育園、働くならどっち??
認可保育園と認可外保育園のどちらで働くのが良いかは、個人の希望や適性などによって異なります。保育方針や実現できる働き方は職場によって異なるため、園ごとの情報収集も必要です。なお、業界的な特徴でいうと、認可保育園は国の基準に従って運営されているため、安定した環境で働きたい方や保育士としての基礎的なスキルを身につけたい方などに向いているでしょう。
一方、認可外保育園は運営や保育方針などに特色が出やすいため、特定のスキルを磨きたい方や、24時間・夜間保育施設で働きたい方などに向いている可能性があります。認可保育園と認可外保育園の違いや、向いている保育士の特徴など、この記事を参考にどちらを選択するのが望ましいか検討してみましょう。
認可保育園と認可外保育園の違い

ここでは、認可保育園と認可外保育園の主な違いを紹介します。認可保育園と認可外保育園の施設としての具体的な特徴、働く保育士にとってどのような違いがあるのかをまとめました。
認可保育園とは
認可保育園とは、国が定めた基準を満たし、都道府県知事から認可を受けた児童福祉施設です。基本的に認可保育園では、保護者が仕事や病気などで日中保育できない、0歳〜小学校入学前までの子どもを預かります。子どもの定員に対する保育士の人数や施設設備の面積など、細かい基準を満たし運営されていることが特徴です。詳しくは、「認可保育園とは?3つの特徴や入園の条件、認可外保育園との違いを解説」の記事も参考にしてみてください。
認可外保育園とは
認可外保育園(無認可保育園)とは、児童福祉法に基づく認可を受けていない保育施設のことです。認可外保育園は施設の独自性を保ったり、より幅広い保育ニーズに対応したりするために、あえて認可を受けていない場合もあるでしょう。なお、認可外保育園も指導監督基準によって、職員の資格や配置、保育室の広さなどが決められています。認可外保育園については、「認可外保育園(無認可保育園)とは?認可との違いや保育士の働き方を解説」の記事も参考にしてみてください。
認可保育園で働くメリット
認可保育園で働く保育士のメリットは、給与の安定性や保育環境が整備されていることです。ここでは、認可保育園で働く保育士のメリットを紹介します。
給与や待遇が安定している
認可保育園は、国や自治体からの補助金を受けて運営されているため、保育士の給与や待遇も安定しやすいことがメリットです。自治体が主体となって園児を募集するのが一般的なので、子どもが集まらなくて経営が不安定になる状況も回避しやすくなります。また、公立保育園であれば公務員保育士として働けるため、安定した給与や待遇を得やすいでしょう。安定した収入があると、保育士として長く働き続けられると感じるかもしれません。
職場や保育環境が整備されている
認可保育園は国の基準を満たし適切な運営がされているため、職場や保育環境が整備されていることがメリットです。たとえば、保育室の広さは子どもの定員によって決められているため、スペースが狭くて保育しづらいと感じることは少ないでしょう。屋外遊技場の広さも一定の基準があり、園庭や近隣の公園などを利用した園外の活動も充実させられます。また、子どもの人数に対して保育士の配置人数が定められているので、保育の質を保ちやすいこともメリットです。
キャリアアップ研修が受けられる
認可保育園で働く保育士は、自治体が主催するキャリアアップ研修を受けられることがメリットです。厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ(p.2)」によると、職場でキャリアアップ研修を受けた分野の役職を任されると、国から処遇改善手当が支給されます。職場によっては、保育士の経験年数が3年以上あると、キャリアアップ研修を受けたうえで職務分野別リーダーになることも可能です。認可保育園では、経験が浅い保育士もスキルアップや専門性を磨くチャンスがあるでしょう。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年10月17日)
認可保育園で働くデメリット
認可保育園は、公立で採用倍率が高かったり、行事の業務負担が大きかったりすることがデメリットに感じるかもしれません。ここでは、認可保育園で働くデメリットを解説します。
公立保育園は入職が難しいこともある
認可保育園のなかでも公立保育園は私立保育園に比べて数が少なく、採用人数が限られ入職が難しいこともあります。また、募集時期も基本的に年1回と入職のチャンスが少ないこともあり、公立保育園は採用倍率が高くなることもあるようです。なお、公立保育園の公務員保育士になるためには、面接に加えて筆記や実技試験が行われる場合もあるため、選考対策が負担になるかもしれません。
行事やイベントの業務負担が大きい職場もある
認可保育園では、行事やイベントの業務負担が大きい職場もあります。特に大規模な園では、子どもの人数が多いぶん行事の準備やイベント運営などの業務負担が大きくなりがちです。また、運動会や発表会など力を入れている行事の前には、残業や持ち帰り仕事が多くなるかもしれません。ただし、保育士の働き方改革として行事に関する業務負担に取り組んでいる園もあるため、認可保育園への転職を考える際は年間行事予定や具体的な仕事内容など、詳細をよく確認することが大切です。
認可外保育園で働くメリット
認可外保育園で働くメリットは、専門性を磨きやすいことや、比較的小規模な園を探しやすいことなどです。ここでは、認可外保育園で働く保育士のメリットを紹介します。
給与や待遇が良い職場もある
認可外保育園によっては、経営が好調で保育士の給与や待遇が良い職場もあります。たとえば、企業内保育所では運営元の経営が好調な場合、保育士の給与やボーナスにも反映される可能性があります。また、病院が運営する院内保育所や病棟保育施設などは、医療従事者と同じ福利厚生が受けられることもあるようです。認可外保育園への転職を考えるときは、運営元や経営状況なども確認しておくと、応募するかの判断材料になるかもしれません。
専門的なスキルを磨ける可能性がある
英語や自然体験など、特色ある保育を実施している認可外保育園では、専門的なスキルを磨けるメリットがあります。たとえば、自然体験に力を入れている認可外保育園では、野菜を育てたり動物と触れ合ったりしながら、子どもたちの発達を促す経験を積めるかもしれません。何か強みを持って保育士として働きたい方は、興味がある保育方針や幼児教育、活動内容などの認可外保育園を選び、スキルを磨く方法もあるでしょう。
園児が少なく働きやすい職場もある
企業保育所や夜間保育施設などの認可外保育園は、園児が少なく働きやすいと感じるかもしれません。子どもの定員が少ないと、一人ひとりとじっくりと関わり手厚い保育を実施しやすいことがメリットです。保護者との密なコミュニケーションで、信頼関係が構築しやすくなる可能性もあります。また、子どもの人数が少ないと、保護者対応や事務作業、行事の準備などの業務負担も軽減しやすくなることもメリットです。
認可外保育園で働くデメリット
認可外保育園によっては、認可保育園とは違った働き方や業務内容が負担になるかもしれません。ここでは、認可外保育園で働くデメリットを紹介します。
夜間や日曜・祝日などに働くこともある
認可外保育園の開園時間や曜日によっては、夜間や日曜・祝日などに働くこともあります。24時間保育施設や夜間保育施設では、夜勤を担当することもあるため、子育てをしている方や日中働きたい方はデメリットに感じるかもしれません。夜勤は生活リズムが崩れやすく、体調管理が難しくなることもあります。また、日曜や祝日などに働く場合は、家族や友達とスケジュールを合わせづらくなることもあるでしょう。
園児集めの業務が負担になることがある
認可外保育園は自ら園児を集めて運営する必要があり、保護者に向けた広報活動が保育士の業務負担になることもあるようです。たとえば、保育士が広報活動として、SNSで保育の様子や園の情報を発信している園もあります。親子向けのイベントの開催や園見学の対応を任されると、業務負担が増えて保育業務に影響が出たり残業が増えたりするかもしれません。また、「上手くアピールして園児を集めなきゃ」と広報活動がプレッシャーに感じることもあるでしょう。
認可保育園に向いている保育士の特徴
認可保育園は、安定志向の強い人や幅広い子どもたちと関わりたい人に向いている可能性があります。ここでは、認可保育園に向いている保育士の特徴をまとめました。
安定志向の強い人
認可保育園は、安定した働き方を叶えたい人に向いている可能性があります。認可保育園は国からの補助金によって保育士の給与や待遇が安定しやすいだけでなく、自治体の住宅手当や就職支援金の対象となる場合もあります。手当や補助の対象となれば、生活面での負担を減らせるでしょう。また、公立保育園の公務員保育士として働けば、雇用や給与、福利厚生の安定性がより高まる可能性があります。
着実に経験を積んで役職を目指したい人
着実に経験を積んで役職を目指したい人は、認可保育園で働く保育士に向いているでしょう。認可保育園の保育士は、国の指標「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」をもとに役職を目指せる環境があります。
研修の受講条件は各自治体で決められており、「東京都保育士等キャリアアップ研修」のように、認可されていることを受講料免除の条件にしている場合もあるようです。認可保育園の保育士は、自治体の研修を受けたうえで役職に就けるため、知識やスキルを着実に身につけたうえでキャリアアップできるでしょう。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年10月17日)
東京都「東京都保育士等キャリアアップ研修」(2025年10月17日)
幅広い子どもたちと関わたい人
認可保育園は、多様な家庭環境や文化的背景を持つ子どもと関わりたい人にも向いている可能性があります。認可保育園で受け入れている子どもの共通点は、基本的に「保育が必要」ということだけです。施設にもよりますが、認可保育園では0歳から就学前まで、幅広い年齢層の子どもたちと関われるでしょう。
また、認可保育園によっては、障がいのある子どもを受け入れている場合もあります。多様な性格や発達状況、興味関心をもつ子どもを保育するため、保育士の経験値をアップしやすくなるでしょう。
認可外保育園に向いている保育士の特徴
認可外保育園は、高い収入を得たい人や少人数保育をしたい人に向いている可能性があります。ここでは、認可外保育園に向いている保育士の特徴をまとめました。
高い収入を得たい人
より高い収入を得たい人は、経営が好調だったり夜勤を担当できたりする認可外保育園に向いているでしょう。経営が好調な企業内保育所であれば、人手不足を補うために保育士の給与やボーナスなど待遇の良さをアピールして求人募集している場合もあります。また、夜間保育施設や24時間保育施設で夜勤に入ると、深夜の割増賃金や夜勤手当によって、日勤で働くより給料が高くなります。ただし、給料の高さだけに捉われて選ぶとミスマッチを起こしやすくなるため、保育方針や職場環境なども含めて選ぶことが大切です。
専門的なスキルを磨きたい分野がある人
「モンテッソーリ教育を学びたい」「リトミック指導者になりたい」のように、専門的なスキルを磨きたい分野がある人は、認可外保育園の保育士に向いているかもしれません。認可外保育園ではターゲットを絞り、特定の幼児教育や保育内容に力を入れていることがあります。保育観が合っていたり専門的なスキルが磨けたりする認可外保育園であれば、働くモチベーションも保ちやすくなるでしょう。
少人数保育をしたい人
認可外保育園のなかには、10人以下など子どもの定員が少ない園もあるため、少人数保育をしたい人に向いているかもしれません。また、認可外保育施設のなかには、居宅訪問型保育事業者、いわゆるベビーシッター業もあります。ベビーシッターであれば、基本的には1対1や兄弟などを保育することになるため、子どもとじっくり関わることが可能です。少人数保育をしたい人は、園や自治体のWebサイトにて認可外保育園で受け入れている子どもの定員を調べてみましょう。
##どちらで働きたいか決まったら?
認可保育園と認可外保育園のどちらで働きたいか決めたあとは、希望条件を明確にしたうえで求人を探しましょう。保育士が求人を探す方法を解説しているのでチェックしてみてください。
希望条件を明確にしたうえで求人を探す
自分に合った保育士求人を探すためには、まず希望条件を明確にすることが大切です。たとえば、以下のような希望条件を挙げてみましょう。
| 希望条件 | 決める内容 |
| 勤務地 | 片道や往復何分以内であれば通勤可能か・電車や車などの通勤手段 |
| 給与 | 年収〇万円以上や給与体系(月給制、時給制など) |
| 勤務時間 | 勤務時間帯や残業の許容範囲 |
| 休日・休暇 | 土日や祝日など休みたい曜日はあるか・年間休日数 |
| 園の規模 | 大規模か小規模 |
| 保育方針 | 自分の保育観から「行事に力を入れている」「家庭的な雰囲気を大事にする」など |
| 福利厚生 | 社会保険や退職金、住宅手当、通勤手当など |
| キャリアアップの機会 | 「役職を目指したいから評価制度が整っていたほうが良い」「キャリアアップ研修を受けたい」など |
| 職場の雰囲気 | チームワークを重視する、若手が活躍しているなど |
希望条件を挙げたら、優先順位を付けておくと求人選びの判断材料になります。また、絶対に譲れない条件と妥協できる条件に分けておくのも手です。
求人や保育園のWebサイトで情報収集する
希望条件が決まったら、求人サイトや保育園のWebサイトで採用情報を確認しましょう。保育士向けの求人サイトを利用すると、検索条件が絞りやすく、詳しい情報が得られます。働きたい地域や気になる保育園があれば、園のWebサイトに採用情報がないか見てみるのも手です。また、保護者向けにはなりますが、保育園の施設情報や子どもの定員は自治体のWebサイトに載っていることもあります。
保育士向けの転職エージェントに相談する
保育士向けの転職エージェントに相談すれば、プロから求人紹介が受けられます。求人票には載っていない、職場の雰囲気や具体的な仕事内容など、詳しい情報を教えてもらいながら応募するか検討できるでしょう。また、応募書類の添削や模擬面接なども受けられるため、安心して転職活動を進められます。
「認可保育園と認可外保育園、どちらで働くか迷っている」という方は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、希望条件を丁寧にヒアリングしたうえで、求人をご紹介します。保育士としてのキャリア相談も可能なため、お気軽にお問い合わせください。
認可外保育園について保育士からよくある質問
ここでは、認可外保育園についてよくある質問に答えます。認可外保育園で働くときに必要な資格や職員の配置基準についてまとめました。
認可外保育園で働くのはやめたほうがいい?
認可外保育園で働くのをやめたほうが良いかは、希望条件や向いているかによって異なります。専門的なスキルを磨きたい方や夜勤で働きたい方は、認可外保育園のほうがマッチした職場を探せるかもしれません。一方、安定志向が強い方や着実に経験を積んで役職を目指したい方は、認可外保育園より認可保育園のほうが合っている可能性があります。認可保育園と認可外保育園それぞれの主な特徴や園ごとの情報を確認したうえで、検討することが大切です。
認可外保育園は保育士資格なしで働ける?
認可外保育園では、無資格で働ける求人を出している可能性があります。認可外保育園の職員配置に関する決まりは、「保育に従事する職員の1/3以上が保育士または看護師」です。保育士資格を持っていない場合は、認可外保育園の求人のなかでもパートや契約社員など、非正規雇用で探すと見つかりやすくなるかもしれません。
認可外保育園の保育士の配置基準は?
文部科学省の「認可外保育施設指導監督基準(p.2)」によると、認可外保育園の保育士の配置基準は、児童福祉施設最低基準第三十三条2項に規定する数とされています。「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第三十三条 2項
」によると、保育士1人に対する子どもの数は、乳児は3人、満1歳以上満3歳に満たない幼児は6人、満3歳以上満4歳に満たない幼児は15人、満3歳以上の幼児は25人です。
出典
文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」(2025年10月17日)
e-GOV法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(2025年10月17日)
まとめ
保育士が認可保育園と認可外保育園、どちらで働くかの選び方は、個人の希望や優先したい条件によって変わってきます。認可保育園は国の基準に沿って運営されており、給与や待遇が安定していることが特徴です。キャリアアップ研修も充実しており、着実にスキルを磨きたい方に向いています。
一方、認可外保育園は、英語教育や自然体験など特色のある保育を実践できる職場があり、専門性を磨きたい方に向いているでしょう。また、認可外保育園のなかでも企業内保育所や院内保育所などは、経営が好調な場合、保育士の給与やボーナスに反映されるかもしれません。どちらを選ぶにしても給与や勤務時間、保育方針など、自分の希望条件を明確にしたうえで慎重に職場を選ぶことが大切です。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。















