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保育士資格の合格率は?受験資格や試験内容と出題科目、勉強法を解説
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保育士資格の合格率が気になっている方もいるのではないでしょうか。保育士試験の合格率は決して高くないですが、しっかりと対策すれば合格できる可能性が高まります。 この記事では、保育士資格の合格率や低い理由を紹介します。保育士試験の受験資格や出題科目、合格するための勉強法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
保育士資格の合格率は約26.9%
保育士資格は、保育士試験に合格することで取得できます。こども家庭庁の「保育士試験の実施状況(令和5年度)」によると、2023(令和5)年度保育士試験の合格率は26.9%です。保育士試験は簡単なものではありませんが、難易度を正しく理解し、学習計画を立てて勉強すると、合格に近づけるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度」(2025年5月26日)
保育士試験の筆記試験と実技試験の合格率
保育士試験の合格率は、筆記試験と実技試験で大きく差があります。厚生労働省の「保育士試験の概要(p.2)」によると、2014(平成26)年の筆記試験と実技試験の合格率は以下のとおりです。
試験の種類 | 合格率 |
筆記試験 | 21.3% |
実技試験 | 88.7% |
参照:厚生労働省「保育士試験の概要(p.2)」
上記は少し前のデータではありますが、筆記試験の合格率は21.3%と比較的低めで、実技試験の合格率は88.7%と高い水準というのがわかります。実技試験は、筆記試験を突破した人だけが受けられる仕組みです。一定の知識を持った人が実技試験を受験するため、筆記試験との合格率に差が生まれているのかもしれません。
また、実技試験は「保育士としての実践力」が重視され、ゼロから学習が必要な筆記試験に比べると対策がしやすいのが合格率に差がある要因と考えられます。保育士試験は筆記試験のハードルが高いですが、実技試験まで進めば、合格の可能性が見えてくるでしょう。
出典
厚生労働省「第1回保育士養成課程等検討会の資料」(2025年5月26日)
保育士資格の合格率が低い理由
保育士資格の合格率が低い理由として「保育士試験の試験範囲が広い「筆記試験と実技試験に合格する必要がある」という点が挙げられます。ここでは、保育士資格の合格率が低い理由を解説します。
試験範囲が広いため
保育士試験の筆記試験では9科目が出題されるため、効率的な学習計画を立てて試験対策をする必要があります。一般社団法人全国保育士養成協議会の「令和7年試験案内」によると、保育士試験に合格するには、すべての科目で6割以上の得点が必要です。そのため、一部の科目が得意でも、ほかの科目で点数が取れなければ不合格となる可能性があります。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「令和7年試験案内」(2025年5月26日)
筆記試験と実技試験を合格する必要があるため
保育士試験は、筆記試験に合格しても実技試験をクリアする必要があります。実技試験では、保育の実践的な力を求められるため、事前の練習が不可欠です。実技に苦手意識を持つ人にとっては試験対策が負担になりやすく、保育士試験の合格を難しくしている要因となっています。
保育士資格を得るための受験資格
保育士試験を受験するには、学歴や実務経験の条件を満たす必要があります。こども家庭庁の「保育士になるには」によると、保育士試験の受験資格は、おおむね「短期大学卒業程度」です。最終学歴が高等学校卒業の場合は、「児童福祉施設で実務経験2年以上」などの条件を満たせば受験資格を得られます。保育士試験の受験資格の詳細は、一般社団法人全国保育士養成協議会の「受験資格
」を確認しましょう。
保育士試験の内容と出題科目
保育士試験には、筆記試験と実技試験があります。ここでは、それぞれの試験内容と出題科目を解説します。
筆記試験
保育士試験の筆記試験は、9科目あり、幅広い知識が求められます。一般社団法人全国保育士養成協議会の「令和7年試験案内」によると、筆記試験の科目は以下のとおりです。
科目 | 試験時間 | 満点 |
保育原理 | 60分 | 100点 |
教育原理 | 30分 | 50点 |
社会的養護 | 30分 | 50点 |
子ども家庭福祉 | 60分 | 100点 |
社会福祉 | 60分 | 100点 |
保育の心理学 | 60分 | 100点 |
子どもの保健 | 60分 | 100点 |
子どもの食と栄養 | 60分 | 100点 |
保育実習理論 | 60分 | 100点 |
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「令和7年試験案内」
保育士試験の筆記試験では、上記すべての科目に合格する必要があります。一般社団法人全国保育士養成協議会の「免除・一部科目合格の有効期間について」によると、合格した科目は合格した年を含めて3年間有効です。保育士試験が不合格だった場合、期限内に保育士試験を再受験すれば合格した科目が免除されるため、計画的に合格を目指せるでしょう。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験とは」(2025年5月26日)
一般社団法人 全国保育士養成協議会「免除・一部科目合格の有効期間について」(2025年5月26日)
実技試験
一般社団法人全国保育士養成協議会の「実技試験(前期)概要」によると、保育士試験の実技試験は、以下の3つの分野から2つの分野を選択して受験します。
音楽に関する技術
造形に関する技術
言語に関する技術
音楽に関する技術は、課題曲をピアノまたはギターを弾きながら歌う試験です。この試験を演奏のみや歌うのみで進めた場合は採点対象外となるため、歌を歌いながら演奏する練習をしておきましょう。音楽に関する技術は、高い演奏技術や歌唱力を求められている訳ではなく、子どもが楽しめるような表現力や笑顔で演奏することが評価されやすいようです。
造形に関する技術は、保育の場面をテーマにした絵を制限時間内に描く試験です。試験で描く絵のテーマは当日に示されます。造形の試験では、人物の描き分けやカラフルで温かみのある色使いをするのが大切です。何をしている絵かがわかるように、背景や道具を描き込むことも重要でしょう。絵の全体的なバランスを意識して、余白なく絵を描けるよう練習するのも効果的です。
言語に関する技術は、課題の中から指定されたお題を「3歳児クラスの子どもに3分間お話しする」想定で実施します。お話しする際は、子どもに語りかけるように感情をこめて話すのが大切です。3歳児クラスの子どもにお話しするという想定の試験のため、声の大きさや抑揚を意識したり、ジェスチャーを交えたりして子どもが飽きないように工夫するのがポイントです。
保育士試験の実技試験では、求められているスキルを理解し、対策する必要があります。実技試験は技術の完璧さよりも、子どもに伝わる表現力が求められる傾向にあるので、過度に緊張し過ぎず落ち着いて最後までやり切りましょう。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「実技試験(前期)概要」(2025年5月26日)
保育士試験に合格するための勉強法
保育士試験に向けた勉強方法には、独学や専門学校、通信講座があります。ここでは、保育士試験に合格するための勉強法を解説します。
独学
独学で保育士試験の対策を行う場合、費用を抑えて自分のペースで学習できるのがメリットです。独学は、市販の保育士試験の問題集や参考書を活用しながら、試験に必要な知識を身につけます。保育士試験は試験範囲が広いため、スケジュールを立て計画的に学習を進めることが大切です。
また、参考書だけでなく保育士試験の過去の試験問題から出題傾向をつかむのも効果的でしょう。独学は自己管理が得意な人に向いている学習方法のため、不安がある場合はほかの学習方法と併用するのもおすすめです。
専門学校
専門学校は仕事に直結する実践的な知識や技術を習得できるのがメリットといえます。専門学校で学習すると、わからない点を講師に質問できる点が魅力です。また、専門学校によっては実技対策もできるため、授業内で実技のアドバイスをもらえるのもメリットでしょう。指定保育士養成施設として認められている専門学校であれば、保育士試験を受験せずに保育士資格を取得できるため、専門学校を決める際はよく検討してください。
通信講座
通信講座は、教材を使って自宅で学習を進める方法です。オンライン授業やサポートが充実している講座もあり、専門的な解説や添削指導が受けられる場合もあります。通信講座は学習カリキュラムが組まれているため、計画的に学習を進めやすい傾向にあります。通信講座での学習は、独学に不安がある人や隙間時間を活用して学びたい人におすすめの勉強法です。
保育士資格の合格率に関する質問
保育士資格の合格率に関する質問に、Q&A形式で回答します。
保育士試験に一発合格できるのはすごい?
保育士試験は出題範囲が広く簡単な試験ではないため、一発合格できるのはすごいといえるでしょう。一般社団法人全国保育士養成協議会の「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究 (p.35)」によると、保育士試験の受験回数は以下のとおりです。
1回目 | 15.0% |
2回目 | 32.9% |
3回目 | 22.1% |
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究(p.35)」
保育士試験を受験するのが初めての人が15.0%、2回目の人が32.9%となっており、複数回試験を受けている人が多いのがわかります。保育士試験を一発で合格できるのはすごいことですが、保育士試験の筆記試験には合格科目の免除もあるため、焦らず自分のペースで合格を目指しましょう。保育士試験の合格率を知りたい方は、本記事の「保育士資格の合格率は26.9%」をご確認ください。
出典
一般社団法人全国保育士養成協議会「調査研究事業」(2025年5月26日)
保育士試験は前期と後期のどちらが難しい?
こども家庭庁の「令和5年保育士試験実施結果」によると、2023(令和5)年度の保育士試験前期の受験申請者数は3万4,380人のうち合格者が9,612人。後期の受験申請者数が2万8,683人のうち合格者数が7,553人でした。
それぞれの合格率を計算すると、前期が約28%、後期が約26%です。この数値からみると、保育士試験の前期と後期で合格率や難易度は変わらないといえるでしょう。そのため、自分のスケジュールや学習ペースを考慮して受験時期を選択するのがおすすめです。
出典
こども家庭庁「令和5年保育士試験実施結果」(2025年5月26日)
まとめ
保育士試験の合格率は決して高くなく、試験対策が不可欠です。保育士試験は筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。保育士試験の筆記試験は9科目と範囲が広く、計画的に学習を進めることが大切です。
筆記試験で1度合格した科目は3年間有効となるため、複数回に分けて受験すると合格の可能性を高められるでしょう。実技試験では、求められているスキルを正しく理解し、本番と同じ条件で練習しておくのがポイントです。保育士試験の合格率に不安を感じるかもしれませんが、自分に合った勉強法で着実に学習すると合格への道が開けるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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