保育の仕事

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保育士ってどんな仕事?業務内容や年収、資格の取り方について解説!

  • #保育士
シャボン玉をする幼児と保育士のイメージ

保育や子どもに関心がある人の中には、「保育士とはどんな仕事なの?」と気になっている方もいるかもしれません。保育士とは、主に0歳から就学前までの子どもを保育する専門職のことです。この記事では、保育士の仕事内容や役割、資格の取り方、働く場所など役立つ情報を紹介します。また、保育士の給与や待遇、将来性についても触れているので、今後のキャリアを検討する際にお役立てください。

保育士とは?

保育士とは、乳幼児から就学前の子どもたちの成長と発達を支える専門職です。子どもの身の回りの世話をするだけでなく、心身の発達を促し社会性を育みます。また、保護者との連携や支援も行い、子育て全般に渡るサポートを提供するのが特徴です。

保育士の定義

保育士は、児童福祉法に基づいた国家資格です。e-Gov法令検索の「児童福祉法(第18条の4)新規タブリンク」によると、保育士は専門的な知識と技能を活かして、子どもの保育や保護者への指導を行う仕事であるとされています。

もともと保育士は「保母」や「保父」と呼ばれ、民間の資格として位置づけられていました。しかし、男女雇用機会均等法の影響により「保育士」に名称が改められ、2003年の児童福祉法改正によって国家資格として制度化された経緯があります。

出典

e-Gov法令検索「児童福祉法新規タブリンク」(2025年5月7日)
全国保育士会「保育士の仕事について新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士の仕事内容

保育士は子どもたちの成長を総合的に支援する役割を担っています。主な仕事内容は以下のとおりです。

子どもの保育

保育士の基本的な仕事は、子どもたちの日常的な保育を行うことです。具体的には、食事・排泄・睡眠といった基本的な生活習慣のサポートに加え、遊びを通じた学びや成長を促す活動も含まれます。

保育士は、子どもの年齢や発達段階に応じて適切な遊びや活動を計画・実施し、健康管理にも気を配ります。また、集団生活の中で一人ひとりの個性を尊重しながら、社会性やコミュニケーション能力を育てることも大切な役割です。

保護者との連携・相談対応

保育士の仕事は、子どもたちの保育だけでなく、保護者との連携も欠かせません。子どもの様子を丁寧に伝えたり、家庭での様子を聞いたりして、双方向のコミュニケーションを行います。

また、保護者からの子育ての悩みや相談に耳を傾け、適切なアドバイスやサポートを行うことも重要です。保護者会や個別面談を通して信頼関係を築き、子どもの成長を一緒に見守り支える体制をつくっていきます。

書類作成や行事の企画

保育士の仕事には、書類作成や記録といった事務作業も含まれます。日々の保育記録や指導計画は、子どもの成長を適切に把握し、保育の質を高めるために欠かせません。また、季節の行事や誕生会、運動会などの企画・準備も保育士の大切な仕事です。子どもたちにとって行事は、楽しい思い出になるだけでなく、成長や学びのきっかけにもなります。

保育士の職場の種類

保育士が活躍できる職場には、以下のとおりさまざまな種類があります。一般的なのは、0歳から小学校就学前の子どもを対象とする保育所です

  • 保育所

  • 認定こども園

  • 児童養護施設

  • 母子生活支援施設

  • 乳児院

  • 障害児施設

  • 児童館

  • 児童自立支援施設

認定こども園は、幼稚園と保育所の両方の機能をあわせ持つ施設で、教育と保育を一体的に提供するのが特徴です。児童養護施設では、家庭での養育が困難な子どもたちに対して、日常生活のケアや心のサポートを行います。ほかにも、病気や回復期の子どもを一時的に預かる病児保育施設など、保育士の専門性が活かせる場は多岐に渡ります。

出典

職業情報提供サイトjobtag「保育士新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士の1日の流れ

保育園ではシフト制が採用されている傾向にあるため、保育士の1日のスケジュールは日によって異なるのが一般的です。早番の場合は朝7時頃に出勤し、16時30分頃までの勤務になることもあります。

7時00分 出勤、準備、早朝保育
9時45分 朝の会、クラス別保育
11時30分 お昼ご飯、お昼寝
15時00分 おやつ、自由遊び
17時00分 お見送り、延長保育
19時00分 清掃、翌日の準備、退勤

保育士は1日を通して、子どもたちの安全を見守りながら、体調や様子をよく観察し、必要に応じて適切に対応します。また、園児がお昼寝をしている時間には、連絡帳の記入や保育日誌の作成といった事務作業も並行して進めます。

保育士の休日・休暇

保育士の休日は、完全週休2日制や週休2日制など勤務形態によって異なります。日曜日や祝日に出勤した場合は、代休をもらえるのが一般的です。また、施設によっては夏季休暇や年末年始休暇として数日間の休みが設けられていることもあります。

ただし、保育の現場では慢性的な人手不足が課題となっており、希望どおりに休みを取るのが難しい場合もあります。職場を選ぶ際は、休暇制度の有無だけでなく、実際にどのように運用されているかもしっかりと確認しましょう。

保育士の給料・年収

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1新規タブリンク」によると、保育士の平均的な給料やボーナス、年収は以下のとおりです。

決まって支給する現金給与額 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
27万7,200円 27万300円 74万1,700円 406万8,100円

※企業規模計(10人以上)を参照
※平均年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月分+「年間賞与その他特別給与額」で算出

保育士の給料や年収は、勤務先の種類や経験年数、地域によって異なります。そのため、上記の情報はあくまで参考程度にご覧ください。国による保育士の処遇改善も進められているため、保育士の給料は引き続き上がることが期待されています。

出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査新規タブリンク」(2025年5月7日)
こども家庭庁「処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士の福利厚生・待遇

保育士が受けられる主な福利厚生には、「住宅手当」「通勤手当」「昼食代補助」「研修制度」「退職金制度」などがあります

住宅手当がある保育園では、家賃の一部を補助してもらえる場合があるでしょう。また、勤務中の給食費を一部または全額補助する食事補助制度を設けている園もあります。スキルアップを目指す人には、研修制度が整っている職場を選ぶのもおすすめです。

福利厚生は、長く安心して働き続けられるかどうかに関わる大切な要素といえます。施設ごとに内容や制度の充実度には差があるため、職場を選ぶ際は給与だけでなく、福利厚生もしっかりと確認するようにしましょう。

保育士のやりがい

保育士の仕事の魅力は、子どもたちの成長を間近で見守れることです。初めて歩いた瞬間や、新しい言葉を覚えたときなど、感動的な場面に立ち会える喜びがあります。子どもからの一言や笑顔は、保育士にとって何よりの励みです。保護者からの感謝の言葉も、自分の働きが誰かの役に立っているという実感につながるでしょう。

また、保育士は、次世代を担う子どもたちの健やかな成長を支援するという点で、社会貢献につながる仕事です。その意義の大きさを感じながら働けることは、保育士としての誇りになるはずです。

保育士の大変なこと

保育士の仕事は、体力的にも精神的にも大きな負担を伴うことがあります。子どもたちの命を預かる責任の重い仕事のため、事故やけがの防止に細心の注意を払う必要があるほか、子どもと一日中関わりながら体を動かす体力も求められます。保護者とのやりとりや職場の人間関係でストレスを感じることもあるでしょう。

また、延長保育や行事対応で勤務が長引いたり、持ち帰りの仕事が発生したりする場合もあり、ワーク・ライフ・バランスの確保が難しいと感じる場面も少なくありません。

保育士に向いている人の特徴

保育士には、以下のような性格や資質を持つ人が適しているといわれています。

  • 子どもと関わることが好き

  • 対人関係を大切にできる

  • 柔軟で観察力に優れている

  • 前向きに学び続けられる

  • 創造的で体力に自信がある

子どもの成長には時間がかかるため、根気強く寄り添える人が適しています。また、子どもの様子や変化に気付き、状況に応じて柔軟に対応する力も重要です。職場ではほかの保育士や職員と協力して働くだけでなく、保護者との円滑なコミュニケーションも求められます。

これらの能力は経験を積みながら少しずつ身に付いていくものです。子どもと関わることを楽しみ、子どもの発達や最新の保育知識について学び続けたいという前向きな姿勢があれば、保育士として活躍できるでしょう。

保育士の需要・将来性

保育士の需要は地域差はあるものの、全国的に高い水準にあり、今後もこの傾向は続くと考えられるでしょう。今日、女性の社会進出により共働きの世帯が増え、保育サービスを必要とする家庭も増加しています。

加えて、延長保育や病児保育、休日保育など、保護者の多様なニーズに対応する柔軟なサービスも求められています。これらの要因から、保育士は社会に必要とされる職業として、将来性に期待できるでしょう。

出典

厚生労働省「保育を取り巻く状況について新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士のキャリアパス

保育士は、現場で経験を重ねながらさまざまなキャリアの選択肢を広げられます。一般的なキャリアパスとしては、保育園内で主任保育士から副園長、園長へと段階的にステップアップしていく道です。厚生労働省が行っている「保育士等キャリアアップ研修制度」に基づき研修を受けることで給与水準の向上も期待できるでしょう。

また、障害児保育や乳児保育、食育など特定の分野で専門性を高めてスペシャリストとして活躍する方法もあります。ほかにも、子育て支援専門員や、自治体の児童福祉課といった公的機関で働く道もあります。

保育士と幼稚園教諭の違い

保育士と幼稚園教諭は似ている部分もありますが、以下のような違いがあります。

保育士 幼稚園教諭
資格 国家資格(厚生労働省管轄) 教員免許(文部科学省管轄)
対象年齢 0歳~就学前が基本 満3歳~就学前が基本
勤務時間 交替で時差勤務を行う傾向 午前中~午後が一般的
休日 シフト制が一般的 土日祝日、長期休暇ありが一般的

参照:職業情報提供サイトjobtag「保育士新規タブリンク」「幼稚園教員新規タブリンク

保育士の主な役割は「保育」ですが、幼稚園教諭は主に幼稚園に勤務し、「教育」を中心とするのが特徴です。また、近年は、認定こども園の普及により、両方の資格を持つ保育教諭の需要も高まりを見せています。

出典

職業情報提供サイトjobtag「保育士新規タブリンク」「幼稚園教員新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士になるには

保育士資格を取得するためには、指定保育士養成施設で必要な科目を修めるか、保育士試験に合格する必要があります。どちらの方法を選ぶかは個人の状況や目標によって異なるため、自分に適した方法を選択しましょう。

指定保育士養成施設を卒業する

指定保育士養成施設とは、厚生労働大臣が定めた大学や短期大学、専門学校のことを指します。指定科目を履修し保育実習を行うことで、卒業と同時に保育士資格を取得することが可能です。

2年以上の修学期間が必要で学費もかかりますが、実践的な経験を積みながら保育に必要な知識やスキルを身に付けられます。養成施設によっては保育士資格だけでなく幼稚園教諭免許も取得できる場合があるため、就職先の幅が広がるでしょう。

出典

厚生労働省「保育士になるには?新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士試験を受験して合格する

保育士資格を取得する方法として、「保育士試験に合格する」というルートもあります。学習の進め方次第では、短期間での取得を目指すことが可能です。指定保育士養成施設に通う場合と比べて費用も抑えられるため、挑戦しやすい取得方法といえるでしょう。

試験は年に2回行われ、筆記試験のすべての科目に合格すると実技試験に進めます。なお、保育士試験の合格率は26.9%(2023年度試験)とやや低めの傾向にあります。試験対策は独学が中心となるため、効率的に勉強を進める工夫が必要です。

出典

厚生労働省「保育士になるには?新規タブリンク」(2025年5月7日)
こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度)新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士の求人を探す方法

保育士の求人を探すには、主に以下の方法があります。可能であれば複数の手段を組み合わせて、幅広く情報を集めましょう

  • ハローワーク

  • 転職サイト

  • 転職エージェント

  • 自治体や保育所の公式サイト

公的機関であるハローワークや保育士に特化した転職サイトでは、全国の求人情報を確認でき、希望条件に合った仕事を効率よく探せます。転職エージェントでは、求人の紹介だけでなく、保育業界に詳しいキャリアアドバイザーから個別のサポートも受けられるため、履歴書の添削や面接対策を相談したい方にもおすすめです。

また、公立保育園で働きたい場合は、各自治体の公式サイトを確認すると、募集情報が掲載されていることがあります。加えて、気になる保育園がある場合は、SNSをフォローして求人情報を確認したり、直接問い合わせてみたりするのも有効です。

保育士の仕事や資格に関してよくある質問

ここでは、保育士の仕事や資格に関してよくある質問を紹介します。

保育士の配置基準にはどのような決まりがありますか?

保育士の配置基準は、「0歳児:子ども3人につき保育士1人」「1〜2歳児:子ども6人につき保育士1人」「3歳児:子ども15人につき保育士1人」「4~5歳児:子ども25人につき保育士1人」です。2024年度に76年ぶりとなる見直しが行われました。

出典

e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準新規タブリンク」(2025年5月7日)
子ども家庭庁「1歳児の職員配置の改善新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士の実技試験は選択制ですか?

保育士試験の実技試験は選択制です。音楽・造形・言語の3つの技術から、2分野を選択して受験します。音楽に関する技術では課題曲の弾き歌い、造形に関する技術では絵画での表現、言語に関する技術では3分間の素話を行うのが特徴です。

出典

一般社団法人全国保育士養成協議会「実技試験(前期)概要新規タブリンク」(2025年5月7日)

保育士の就職や転職は難しいですか?

保育士の就職・転職の難易度は地域や経験によって異なりますが、保育士不足が続いていることもあり、そこまで高くはないでしょう。保育士資格に加えて幼稚園教諭免許も持っていると、選べる職場の幅が広がって有利になることがあります。ただし、希望条件に合う職場を見つけるには十分な準備と情報収集が必要です。

まとめ

保育士は子どもたちの心身の発達や社会性を育む職業です。保育だけでなく、保護者への対応や書類作成を行うなど、業務は多岐にわたります。資格を取得するには養成施設で学ぶ方法と保育士試験に合格する方法の2通りがあり、状況に応じて選ぶことが可能です。

保育士は全国的に需要が高く、働く場やキャリアの選択肢も豊富です。ただし、給与水準や労働時間に課題もあるため、就職や転職を考える際には、自身の希望や適性を見極め、複数の情報を比較しながら選びましょう。

レバウェル保育士は、保育業界に特化した転職支援サービスです。プロのアドバイザーがあなたの職場選びをトータルサポートするため、「給与や待遇が自分に合っているか不安」という方も安心して求人を探せますよ。少しでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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