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保育士の男女比の最新データ!実は男性が増えている?女性が多い理由も解説
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「保育士の男女比はどれくらい?」と気になっていませんか?実際に保育士として働いている人の約93%が女性で、男性は約7%にとどまっているのが現状です。しかし、少しずつではありますが、男性保育士の割合は増加傾向にあります。 この記事では、保育士の男女比や、女性が多く男性が少ない理由を解説します。ほかにも、男性保育士が増えるメリットも紹介するので、ぜひチェックしてください。
目次
保育士の男女比
保育士の割合に男女差はどれくらいあるのでしょうか。ここでは、保育士の登録者数と実際に働いている保育士の人数の両面から、男女比を解説します。
保育士登録者数による保育士の男女比
こども家庭庁の「保育士登録者数等(男女別)」によると、令和6年度4月1日時点の保育士登録者数は男性が9万8,676人、女性が179万9,343人と女性が圧倒的に多い状況です。
平成26年4月1日時点のデータを見ても、保育士登録者数の男女差に大きな差は見られず、現在に至るまで割合はほぼ変わっていません。ただし、これは保育士の登録者数であり、実際に保育士として働いている人数とは異なります。保育士の登録段階においては、女性中心の構成になっているといえるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育」(2025年4月28日)
賃金構造基本統計調査による保育士の男女比
政府統計の総合窓口(e-Stat)の「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種」によると、令和6年度時点で実際に保育士として働いている男性保育士が2万980人、女性保育士が29万6,620人です。男性保育士が全体の6.6%、女性保育士が94.9%を占めています。
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組(p.39)」によると、令和元年賃金構造基本統計調査における保育士の男女比は、男性5.1%、女性94.9%となっています。男性保育士の割合は依然として低いものの、少しずつ増加傾向が見られるのが特徴です。
調査年度 | 男性(割合) | 女性(割合) | 合計 |
令和6年度 | 2万980人(約7%) | 29万6,620人(約93%) | 31万7,600人 |
令和5年度 | 1万8,160人(約7%) | 25万5,990人(約93%) | 27万4,160人 |
令和4年度 | 1万6,320人(約6%) | 26万7,870人(約94%) | 28万4,200人 |
参照:政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査」「令和5年賃金構造基本統計調査
」「令和4年賃金構造基本統計調査
」
政府統計の総合窓口e-Statの「令和4年賃金構造基本統計調査」から「令和6年賃金構造基本統計調査
」までのデータを比較すると、男性保育士の割合が緩やかに増加していることが確認できます。
出典
厚生労働省「保育の現場・職業の魅力向上検討会(第5回)資料」(2025年4月28日)
政府統計の総合窓口e-Stat「賃金構造基本統計調査(2025年4月28日)
保育士の男女比で女性が多く男性が少ない理由
なぜ保育現場には男性が少ないのでしょうか。ここでは、保育士の割合が女性に偏っている理由を解説します。
女性が就く職業のイメージが拭えないから
「児童福祉法」の改正以前は、保育士は「保母」と呼ばれていました。「保母」という名称から、保育の仕事は「女性が就く職業」というイメージが強く根付いていたことが分かります。
法改正によって男女共通の「保育士」という呼び方になったものの、依然として昔のイメージが社会に残っており、男性が保育士を目指すのに抵抗を感じる場合があるようです。そのような先入観が、男性の保育現場への参入を妨げる要因となっているのかもしれません。
出典
e-GOV法令検索「児童福祉法」(2025年4月28日)
給料の面で懸念されることがあるから
保育士の給料は職場によって異なりますが、ほかの職種に比べて低いイメージがあるようです。政府統計の総合窓口e-Statの「令和6年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」と「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
」より、男女別に保育士と全職種の「きまって支給する現金給与額」を以下の表にまとめました。
職種 | 男性 | 女性 | 男女計 |
保育士 | 29万9,600円 | 27万5,600円 | 27万7,200円 |
全職種 | 39万8,600円 | 29万3,900円 | 35万9,600円 |
参照:政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」・「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
」
男女別の「きまって支給する現金給与額」を比較すると、保育士は全職種に比べて男女差が少ないことが伺えます。男性の「きまって支給する現金給与額」を見ると、全職種が保育士を大きく上回っているのが分かるでしょう。パートナーや家族を支えることを考えている男性にとって、給与面が保育士として働く際の懸念点になる場合があります。
出典
政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年4月28日)
男性保育士は女性に比べ偏見をもたれやすいから
男性保育士は、女性に比べて偏見を受けやすいのが課題です。メディアやSNSで男性保育士による不適切な保育が取り上げられたことにより、保護者の中には男性保育士に不信感を抱く人もいます。
周囲からの偏見により、男性保育士はストレスやプレッシャーを感じ、職場で肩身の狭い思いをする場合も少なくないようです。自分自身が問題を抱えていなくても、「男性保育士」という理由で疑念を掛けられる可能性があり、働きにくさを感じる場面があるかもしれません。男子保育士は心理的な負担から離職を余儀なくされたり、保育士を目指すのを諦めてしまったりすることもあるでしょう。
男性保育士の勤続年数は短いから
男性保育士は女性保育士と比べて勤続年数が短い傾向にあります。政府統計の総合窓口e-Statの「令和6年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、男女別の保育士の平均勤続年数は以下のとおりです。
性別 | 勤続年数 |
男性 | 7.4年 |
女性 | 8.7年 |
男女計 | 8.6年 |
参照:政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
女性保育士より男性保育士の勤続年数が短いのは、偏見による働きにくさや給料面での不安など、これまでに挙げてきた理由によって転職や離職を選択する男性が一定数いるためでしょう。保育士として働き始めても長く続けにくい環境が男性の定着を妨げており、保育士全体としての男性の割合の低さに繋がっていると考えられます。
出典
政府統計の総合窓口e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年4月30日)
【保育士の男女比】男性保育士が増えるメリット
男性保育士が増えることで、力仕事や防犯面での安心感、男性保護者と円滑なコミュニケーションがとれるといったメリットがあります。また、男性保育士がいると、多様な視点を活かした保育の実現が期待できます。ここでは、男性保育士が増えると得られるメリットをまとめました。
力仕事で頼りになる
保育現場では、子どもの抱き上げや荷物の運搬など、力を要する場面があります。力仕事が発生したとき、体力に自信のある男性保育士がいると、効率的に業務を進めることが可能です。園内の高い場所に飾りつけをする際は、背が高い保育士が活躍する場合もあります。
職場に力仕事が得意な人がいるという安心感は、職員間の協力体制を築くうえでも大切な要素です。保育士は、性別を問わずそれぞれの特性を活かしたチーム作りが求められます。男性保育士がいることで、保育園全体の業務バランスが整いやすくなるでしょう。
防犯面で安心感がある
保育園では、不審者による侵入や犯罪行為など、外部からのリスクを想定しなければならない場合があります。子どもや女性を標的とするような事件が起きる可能性もあるため、防犯が重要です。
女性保育士だけでなく、男性保育士も園にいることで、防犯面において抑止力に繋がるでしょう。男性保育士も含めた多様な人材が保育現場にいると、安全管理の視点が広がり、子どもたちにとって安心できる保育環境が整えられます。
多様な視点を取り入れられる
保育士の性別や年齢、経験が多様であるほど、子どもの発達や個性に寄り添った支援が可能になります。男性保育士が園に加わることで、子どもとの関わり方やアイデアの幅が広がるかもしれません。保育士間の意見交換においても、多角的な視点があると、より柔軟で創造的な保育が実現しやすくなります。
保育士が男女ともに協力し合うことが、保育の質の向上やスムーズな園の運営に繋がるでしょう。
男性の保護者との関わりで活躍できる
男性の保護者の中には、女性保育士に悩みを相談しにくいと感じる人もいるようです。育児や家庭の話題は、同性の保育士の方が話しやすいと考える人も少なくありません。
男性保育士がいると、男性保護者が育児の悩みを打ち明けやすくなり、園と家庭との連携がよりスムーズになります。男性保育士は、父親としての育児の悩みに共感できたり、実体験を基にアドバイスできたりする点も強みです。男女両方の視点で子育てをサポートできる体制は、保護者の安心感にも繋がります。
保育士の転職や勤務条件に男女差はない
法令検索e-Govの「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」によると、性別を理由に採用や勤務条件に差を設けることは、法律により禁じられています。保育士としての就職や転職も性別ではなく、能力や資質を基に判断されるのが原則です。
保育士は性別にかかわらず、公平な条件で働けます。また、雇用条件が同じであれば、男女ともに同等の給与を受け取ることも可能です。平均給与を見ると女性が低く見える場合がありますが、男女で勤務形態の割合に違いがある点が影響していると考えられるでしょう。
出典
法令検索e-Gov「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(2025年4月30日)
保育士の男女比に関するよくある質問
ここでは、保育士の男女比に関する質問を、Q&A形式でお答えします。
男性保育士の割合は?
政府統計の総合窓口e-Statの「令和6年賃金構造統計基本調査 一般労働者 職種」によると、男性保育士として働いている人の割合は約7%です。少なく感じるかもしれませんが、着実に増加傾向にあるため需要のある仕事ともいえます。保育士として働いている人の男女比を知りたい方は、本記事の「賃金構造基本統計調査による保育士の男女比」で詳しく解説しているので、ぜひご確認ください。
男性保育士が多い保育園はある?
男女平等やジェンダーレスな職場環境を目指し、男性保育士を積極的に採用している園もあります。男性が保育士として職場を探す際は、「男性保育士歓迎」と募集している求人がおすすめです。男性保育士を募集している園の場合、性別問わず働きやすい環境が整っている可能性が高まります。
まとめ
保育士は、依然として女性の割合が高く、男性が働きにくさを感じる場合があるのが現状です。男性の割合が少ない背景には、「保育士は女性の仕事」という昔ながらのイメージや給与面での懸念、男性保育士に対する偏ったイメージなどがあります。男性保育士は女性保育士と比べて勤続年数が短い傾向にあり、定着率が良くない点も課題です。
しかし、男性保育士がいることで、力仕事での活躍や防犯面での期待、多様な視点を活かした保育が実現できるといったメリットがあります。法律上、性別による採用や待遇の差はなく、就職や転職も男女関係なく公平に行われるのが原則です。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。