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保育園で子どもが怪我をしたら?保育士向けの対応方法や予防策を紹介

怪我をした子供の画像

保育園で子どもが怪我したら、どのように対応すればいいの?」と不安な保育士もいるのではないでしょうか。子どもが怪我した場合、保育士は適切に対応して保護者に報告する必要があります。 この記事では、保育園で子どもが怪我する原因を解説。また、子どもが怪我したときに、保育士に求められる対応や保護者への報告方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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保育園で起きる子どもの怪我とは

こども家庭庁の「令和6年教育・保育施設等における事故報告集計の公表について (p.4)新規タブリンク」より、保育施設における子どもが負傷した事故の件数を以下にまとめました。

負傷した内容 認定こども園・幼稚園・認可保育所などで起きた事故の報告件数
意識不明 13
骨折 2,537
火傷 10
その他 627
合計 3,190

このように、保育施設で子どもが怪我をするのは珍しくありません。保育士が注意していても、子どもが怪我をするのを完全になくすのは難しいでしょう。しかし、保育士が十分な安全管理を行うことで、リスクを最小限に抑えられます。
万が一、子どもがケガをした場合、保育士は迅速かつ適切に対応する必要があります。保育園は安全対策と誠実な対応に注力し、安心できる保育環境を提供することが求められるでしょう。

出典

こども家庭庁「教育・保育施設等における事故報告集計新規タブリンク」(2025年8月21日)

保育園で子どもが怪我する原因

保育園ではどういったときに子どもは怪我をするのでしょうか。ここでは、保育園で子どもが怪我をする原因をご紹介します。

活動中の転倒や衝突

子どもは園庭や室内での活動中に走ったり、飛んだりしながら遊ぶことがあり、転倒や衝突によって怪我が発生しやすくなります。子どもが転倒する原因は、足元の段差や滑りやすい床、急な動作などが挙げられるでしょう。また、子どもは遊ぶことに夢中になり過ぎると周囲への注意が散漫になり、友だちや物にぶつかる場合もあります。

子ども同士のトラブル

子どもは言葉で上手く表現できない場合もあり、遊びの中で思いどおりにならないことがあると手が出てしまうことも。なかにはおもちゃの取り合いや順番をめぐる争いなどが原因となり、引っ張る・押す・叩くなどの行動が見られる場合もあるようです。こうした子ども同士のトラブルにおいて、相手を押して転倒させてしまったり、爪で引っかいてしまったりすることが子どもの怪我につながる可能性があります。

遊具・設備の使用ミスや不具合

保育園にあるブランコやすべり台などの遊具は正しく使うと楽しい遊び場になります。しかし、誤った使い方をすると子どもが怪我をするリスクが高まるケースも。たとえば、遊具の高い場所から飛び下りる、順番を守らずに無理に遊具に乗るなど子どもの行動が怪我につながる可能性もあります。また、園の遊具や設備の老朽化にも注意が必要です。経年劣化による遊具や設備のひび割れやボルトの緩みなどが原因で子どもが手を切ったり、ぐらついた遊具から転倒するという事故が起きるケースも考えられます。

保育園で子どもが怪我をした際の保育士の対応マニュアル

保育士は万が一に備えて、日頃から子どもが怪我をした際の対応を把握しておくことが大切です。ここでは、保育園で子どもが怪我をした際の対応方法を解説します。

状況を確認し子どもの安全を確保する

保育園で子どもが怪我をした際、保育士は何が起こったのかを冷静に把握することが大切です。子どもが怪我をしたときの詳しい状況や、どこにどの程度の怪我をしたのかを素早く確認する必要があります。怪我をした子どもが動けない場合は無理に移動させず、安全な姿勢を保って次の対応に備えましょう。子どもは怪我をすると驚いたり、怖がったりするため、保育士は優しく声をかけて安心させるように努めてください。

応急措置を行う

保育士は子どもの怪我の程度に応じて、応急措置を行います。軽い擦り傷や切り傷の場合は、清潔な水で傷口を洗い流してから消毒し、絆創膏を使用して処置します。怪我の具合によっては、病院を受診したり救急車を呼んだりするなどの対応が必要です。頭や腹部を強く打った場合は時間が経ってから異変が現れる場合もあるため、安易に大丈夫と判断せず、慎重に対応することが大切です。

園の責任者に報告する

手当を行った後、保育士は速やかに園の責任者に子どもが怪我をしたことを伝えます。報告する際は「いつ」「どこで」「誰が」「どういった怪我をしたか」など、子どもが怪我をしたときの状況を詳しく伝えるとスムーズです。病院への受診が必要かどうか、保護者に連絡するタイミングなどは、園の方針に基づいて判断する必要があります。そのため、子どもの怪我が軽傷の場合も自分の判断だけで対応せず、園の責任者の指示を仰いでください。

怪我の経過を確認する

怪我の処置が終わったあとも、保育士は子どもの様子を注意深く観察し、経過を確認します。怪我をした子どもは痛みや不安を抱えていることもあるため、保育士はこまめに声をかけて安心させることが大切です。保育士は「痛くない?」「気分は大丈夫?」と子どもに優しく確認し、必要に応じて休息をとらせるなど配慮します。自分の痛みを上手く伝えられない子もいるため、表情や動作の変化にも注意を払いましょう。怪我をした翌日以降も腫れや痛みが続く場合は、保育士と保護者で連携しながら適切に処置します。

保育園で子どもが怪我をした際の保護者対応

保育園で子どもが怪我をした際、保護者にどのように伝えようかと悩む保育士もいるでしょう。ここでは、保育園で子どもが怪我をした際の保護者対応を解説します。

子どもが怪我をしたことを報告する

子どもが怪我をした際には、保育士はその状況を保護者に伝える必要があります。保護者に報告するタイミングは園の方針によりますが、軽い擦り傷のような場合はお迎えのときに直接伝えるのが一般的です。保育士は、行った応急措置や子どもの様子を詳しく説明し、保護者が安心できるよう配慮することが重要といえるでしょう。出血の多い怪我をした場合や腫れがひどい場合などは、すぐに保護者へ電話で連絡し、病院に受診する必要があるかどうかという判断を共有します。必要であれば、園が子どもを病院へ連れて行きます。いずれの場合も、保育士は保護者に適切な情報を提供するのが大切なポイントといえるでしょう。

子どもが怪我をした経緯を説明する

保護者に子どもの怪我を報告する際は、どのような状況で起こったのかを詳しく伝えることが重要です。たとえば、「友だちとかけっこをしていて転んだ」「すべり台から下りる際に足を滑らせた」など、できるだけ客観的な状況を伝えます。その際には自分の憶測や主観ではなく、目撃した事実や子ども本人が話してくれたことを基に説明します。子どもが怪我をしたあとに泣いていたり、不安そうにしていたりした場合は感情の変化も共有し、保護者が家庭でのケアに役立てられるよう配慮します。

お詫びの言葉と具体的な再発防止策を伝える

保育中の子どもに怪我をさせてしまったことに関して、保護者に誠意をもってお詫びの言葉を伝えることが大切です。ただし、ひたすらに謝るのではなく、子どもが同じような怪我をしないよう、具体的な再発防止策を説明すると、保護者の不安は和らぐでしょう。また、子どもや保育士個人の責任にするのではなく、園全体で今後どのように再発防止に取り組むのかを伝える必要があります。

保育園で子どもに怪我をさせないための対策

保育園で子どもが怪我をしないようにするには、どういった対策が効果的なのでしょうか。ここでは、保育園で子どもに怪我をさせないための対策を紹介します。

環境面での安全対策に注力する

保育園で子どもが安全に過ごすためには、環境を整えることが重要です。たとえば、柱やテーブルの角にクッション性のあるコーナーガードを取り付けるなど、子どもが衝突したときの衝撃を和らげる対策を行います。床には滑り止めのマットを敷くと、子どもが走った際に転倒するリスクを軽減できるでしょう。

また、保育園の遊具や設備の安全点検も欠かせません。園庭の遊具は定期的にチェックし、破損や劣化が見られた場合は早急に修理・交換します。室内には子どもが誤って口に入れたり、誤飲・窒息の恐れがある小さな部品が落ちていたりしないか、日々の点検に注力する必要があります。子どもに提供するおもちゃは、年齢に合ったものを選択し、安全に遊べる環境を整えます。あらかじめ、事故が発生する要因を排除し、子どもが怪我をするリスクを最小限に抑えましょう。

危険な行動をしないよう子どもに指導する

子どもが危険な行動をとると、怪我のリスクが高まります。子どもが怪我につながるようなことをしている場合、その都度声をかけて注意し、安全に対する意識を高めていきます。たとえば、「椅子の上に立たない」「おもちゃを投げない」など、基本的なルールを子どもの年齢に応じた伝え方で教える必要があります。なぜその行動が危険なのかを具体的に説明し、子どもが納得してルールを守れるように促します。保育士が安全な行動を繰り返し伝えると、子どもの理解が深まるでしょう。

保育士の見守りを強化する

子どもの怪我を防止するには、保育士が子どもの行動をしっかりと見守るのも大切です。遊びの時間は、子ども同士の衝突や転倒などによる怪我が発生しやすくなるため、保育士が十分に目を配る必要があります。子どもの見守りを強化するには、保育士が複数人で連携しながら、死角が生まれないように配置を工夫します。保育士同士で役割を分担して、遊具付近や活動スペースなど注意が必要なエリアを重点的に見守ると、より安全な環境を作れるでしょう。

保育園で子どもが怪我をした際の注意点

保育園で子どもが怪我をしたときには、職員間で情報を共有することが大切です。また、子どもが怪我をした原因を考え、再発防止に注力する必要があります。ここでは、保育園で子どもが怪我をした際の保育士の注意点を解説します。

子どもの怪我が軽傷に見えてもよく確認する

子どもが怪我をした際、軽い擦り傷や打撲に見えても、慎重に確認する必要があります。怪我をしてすぐは異常がなくても、強くぶつけた部位が腫れてきたり、具合が悪くなったりする場合もあります。保育士は子どもを観察し、痛みの有無や動かしたときの違和感、顔色の変化を見逃さないよう注意しましょう。子どもは痛みや症状を正確に伝えられない場合もあるため、保育士は優しく声をかけながら様子をうかがい、動作に不自然さがないか確認しましょう。

子どもが怪我をしたことを園全体に共有する

子どもが怪我をした場合、園全体で情報を共有することが重要です。どの場所で子どもが怪我する可能性が高いのか、どのような状況で事故が起こりやすいのかを職員間で共有すると、全員が注意を払いやすくなります。たとえば「園庭のこのエリアで転倒した」「この遊具は使用方法を誤ると怪我をする」など、具体的な情報を職員全員が把握できると、再発を防止できる可能性が高まるでしょう。

子どもが怪我をした原因を振り返る

子どもが怪我をした場合、保育士は原因を振り返り、再発防止につなげることが大切です。「室内で走っていた」「おもちゃの取り合いをしていた」など当時の状況を具体的に思い出し、怪我が発生した原因を分析すると、再発を防止する対策が見えてきます。

また、保育士の声かけや見守りのタイミングが適切だったかを振り返るのも重要です。たとえば、「走らないよう注意しておいたら防げたかもしれない」「早めに仲裁に入れば良かったかもしれない」などの気づきを今後の保育に活かせるでしょう。個々のケースを振り返り、保育園全体で安全管理の意識を高めていく姿勢が必要です。

保育園で起きる子どもの怪我に関してよくある質問

ここでは、保育園で起きる子どもの怪我に関してよくある質問に、Q&A形式で回答します。

「保育園で子どもが怪我をした」というクレームが来たらどうする?

保護者から「保育園で子どもが怪我をした」ことに関して保育園にクレームが来た場合、まずは冷静に話を聞く必要があります。保育士は保護者の不安や怒りに寄り添いながら、事実を冷静かつ具体的に説明します。クレームの内容によっては、事故発生時の状況や保育士の対応、応急措置の方法などを詳しく伝える必要があるでしょう。
ただし、保護者からのクレーム対応は1人で判断せず、上司や園長に相談して判断を仰ぐことが大切です。園全体で対応を統一すると、信頼の維持につながります。保護者へのクレーム対応は単に謝罪するだけではなく、園の安全意識を高める機会と捉えましょう。保護者対応の流れは、本記事の「保育園で子どもが怪我をした際の保護者対応」で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

保育園で子どもが顔を怪我したときの対応は?

保育園で子どもが顔を怪我した場合、保育士は傷の状態を確認し、適切な処置を行います。顔はデリケートな部分が多く、軽傷に見えても重大な問題につながる可能性があるため、慎重に判断しなければなりません。特に、目の怪我には注意が必要です。目の場合は傷が見えなくても、あとから視力に影響したり、悪化したりする可能性も考えられます。顔を怪我した場合も自己判断せず、上司や園長に相談して対応を決めましょう。
また、顔の怪我は目立ちやすい場合もあるため、保護者への説明はより慎重に行う必要があります。怪我の状況や経緯、今後の対応を丁寧に伝え、保護者の不安を和らげるよう努めましょう。

まとめ

子どもの怪我は、保育士がどれだけ注意していても完全に防ぐのは難しいものです。しかし、保育環境を整えたり、保育士間で連携して見守りを強化したりすると、子どもが怪我をするリスクを軽減できます。保育園で子どもが怪我をしたときは、冷静に状況を確認し、速やかに適切な処置を行うことが大切です。保護者には、誠意をもって謝罪しましょう。子どもが怪我をした状況や具体的な再発防止策を丁寧に伝え、保護者の不安を和らげるように心がける必要があります。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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