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子育て支援員とは?保育士との違い、仕事内容や資格取得の方法を解説
- #働き方

子育て支援員とは何か知りたい方もいるのではないでしょうか。子育て支援員は、保育施設や学童保育などで子どもたちと接しながらサポート業務を行う重要な役割を担う職業です。 この記事では、子育て支援員の役割や保育士との違いを解説。ほかにも、子育て支援員が担う主な仕事内容、資格取得方法、メリットやデメリット、向いている人の特徴も紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
子育て支援員とは
子育て支援員とは、地域の子育てニーズに対応しながら、保育士などのサポートをする役割を担う存在です。子育て支援員は、都道府県など自治体の研修を修了して認定を受け、保育施設や地域の子育て支援の場で活躍します。
ここでは、子育て支援員の具体的な役目や保育士との違いについて詳しくみていきましょう。
子育て支援員の役目
子育て支援員は保育施設や学童保育、地域の子育て支援の場において、保育士をサポートしながら子どもたちの成長を支える役割を担います。保育補助や見守り、食事の介助やおむつ替えなど、日常の保育業務を手助けするほか、親子の交流の場を提供する子育て支援センターなどで育児相談やイベント運営をサポートする場合もあります。保護者と子どもが安心して過ごせる環境づくりに貢献する重要な存在です。
保育士との役割の違い
保育士は国家資格を持ち、子どもの発達や指導計画の立案・実施に責任を持つ専門職です。保育士資格を取得するには試験に合格するか、指定保育士養成施設を卒業する必要があります**。
一方、子育て支援員は都道府県など自治体が認定する民間資格であり、研修を受講して認定される必要があり、主に保育士の補助やサポートを担当します**。
保育士はお絵描きや歌、運動遊びなどのプログラムを組み、子ども一人ひとりに合わせた保育を行います。また、保護者との連携を深め、子どもの成長や発達について相談に乗ることも大切な業務の1つとされています。
一方、子育て支援員は、保育士のサポートや保育補助が主な業務です。保育園ではクラス担任を受け持つことはなく、食事の介助やおむつ替え、遊びの見守りなどを行う場合が多いようです。また、地域の子育て支援センターなどで育児相談や親子の交流の場をサポートするケースもあります。
このように、保育士は指導計画を作成して子どもの成長を総合的に支えるのが仕事です。
一方で、子育て支援員は現場のサポート役として保育士の負担を軽減しながら、子どもと保護者が安心できる環境づくりを支援する役割を担っています。
子育て支援員が担う6つの仕事内容とは
子育て支援員は、子どもたちが安心して過ごせるように日々の保育活動を支えながら、保育士の負担を軽減する役割を担います。
ここでは保育園を例として、子育て支援員の具体的な業務を6つの項目に分けて紹介します。
1.登降園時の見守り
登園・降園時には、子育て支援員は子どもたちが安全に過ごせるよう細やかに見守ります。朝は不安そうな子どもに寄り添いながらスムーズに保育室へ入れるようサポートし、帰りは保護者の迎えを待つ間、安全に過ごせるよう注意を払います。子育て支援員は保育士と連携し、安心できる環境を整え、園全体のスムーズな運営を支える重要な仕事です。
2.子どもたちとの散歩
子育て支援員は保育士とともに、子どもたちを公園や園庭へ連れて行き、屋外活動のサポートを行います。散歩中は、子どもたちが安全に過ごせるよう注意を払いながら、道路の横断や遊び場での見守りを担当します。保育士だけでは目が届きにくい部分をフォローし、子どもたちが楽しく過ごせる環境を整える役割があります。
3.食事のサポート
子どもたちが給食やおやつを食べる際、食事の準備や片付け、食事の介助を行うのも子育て支援員の仕事です。特に低年齢の子どもたちは、自分で上手に食べられないことも多いため、スプーンの使い方を教えたり、こぼしてしまった際にフォローするも子育て支援員の大切な役割といえます。食事の時間が楽しくなるよう、子どもたちと会話をしながら食事の介助などを行います。
4.着脱衣の援助やトイレの介助
子育て支援員は子どもたちの成長に合わせて、着替えの援助やトイレの介助を行います。特に乳幼児クラスでは、おむつ交換やトイレの介助が必要な場面が多い傾向にあります。
また、遊びの後やお昼寝の時間には、子どもたちが自分で衣服を脱ぎ着できるよう援助しながら、身の回りのことを少しずつ自分でできるよう促します。
5.室内の清掃・整理整頓
子どもたちが快適に過ごせるように、保育室の清掃や整理整頓も子育て支援員の業務です。おもちゃや遊具の片付け、床の掃除、机や椅子を消毒するなど衛生的な環境を保ちます。また、季節に応じた環境整備や装飾の手伝いを行い、子どもたちが楽しく過ごせるよう工夫するのも大切な仕事です。
6.保護者の対応
基本的に連絡帳の記入や保護者対応は保育士が担当します。しかし、登降園時に子育て支援員が保護者とコミュニケーションを取る場合もあるようです。特に、子育て経験がある子育て支援員は頼られる場面も多いでしょう。園全体の一員として、保護者と信頼関係を築くのも、子育て支援員の大切な役割です。
子育て支援員の資格を取得する方法とは
子育て支援員として働くには、都道府県など自治体が実施する研修を受講する必要があります。ここでは、子育て支援員の資格を取得するための具体的な流れについて詳しく解説します。
研修の受講対象者
子育て支援員研修は、地域型保育や小規模保育、家庭的保育などの事業に関心がある方や、子育て経験を活かして働きたいと考えている方が受講の対象となります。なお、研修の実施は自治体ごとに異なるため、事前に確認するのがおすすめです。
研修に必要な費用
子育て支援員研修の受講料は、自治体によって異なります。たとえば、東京都では原則無料(テキスト代や交通費は自己負担)ですが、大阪市では5,000〜5,500円程度の受講料がかかる場合も。費用や補助制度の有無は自治体ごとに異なるため、受講を検討する際は、公式ホームページや窓口で最新の情報を確認しましょう。
基本研修
まずは、基本研修を受講します。基本研修では、子育て支援員として働くための基礎的な知識やスキルを学び、主に子どもの発達や安全管理、保育現場での役割について理解を深める内容が中心です。研修は8科目8時間にわたり、子育て支援員としての自覚を持ち、専門研修を受講するための基礎を築くことを目的としています。
専門研修
専門研修は、子育て支援員が従事する事業ごとの4つに分かれており、より実践的な知識を習得します。受講するコースによって研修内容や時間が異なるため、自分が働きたい分野に合ったコースを選びましょう。また、同じコースでも、自治体によって異なる場合があります。
1.地域子育て支援コース
地域子育て支援拠点(公共施設などで子育て中の親子の交流や育児相談、情報提供を行う)や利用者支援事業(子育てひろばや子供家庭支援センターなどで支援)で勤務する方向けのコースです。保護者の相談支援や情報提供、地域との連携を行う役割を担うため、保育の実践だけでなく、ソーシャルワークに関する知識も必須とされます。研修は5〜9科目、13.5時間〜24時間と幅広く、事業内容に応じたカリキュラムが組まれています。また、見学実習も1日あります。
2.放課後児童コース
主に放課後児童クラブでの支援を行うためのコースです。研修は6科目17時間にわたって実施され、子どもの発達や安全管理、遊びを通じた学びの促進について学びます。学童保育の現場では、子どもたちが安心して過ごせる環境を作ることが重要なため、支援員としての基本的な心構えや対応方法を身につけます。
3.地域保育コース
家庭的保育(保育ママ)や小規模保育、一時預かり事業などに従事するためのコースです。基本研修と併せて11科目、オンライン講義などを含めて30時間と見学実習が2日間あります。原則として、見学実習先は自分で確保する必要があります。子ども一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな保育を提供するための実践的な知識を学びます。
4.社会的養護コース
児童養護施設や乳児院などで働くためのコースです。虐待を受けた子どもや保護者への支援、施設での生活支援の方法について学びます。社会的養護に関する基本的な知識を身につけることが目的であり、研修は9科目19時間にわたり、子どもたちの心のケアや生活支援を行うため、専門的な対応力が求められます。
子育て支援員として働くメリットとは
子どもが好きな方や保育に関わる仕事に興味がある方にとって、子育て支援員は貴重な経験を積むチャンスといえるでしょう。
ここでは子育て支援員として働くメリットについて紹介します。
子どもと接することができる
子育て支援員として働く魅力の1つは、子どもと直接関わる機会が多いことです。保育園では子どもたちと一緒に遊んだり、食事の介助などを行ったりする中で信頼関係を築くことができるでしょう。
また、放課後児童クラブ(学童保育)では、遊びや学習をサポートし、安全で楽しい環境を子どもたちに提供する役割を担います。子どもたちの成長を間近で見守り、一緒に喜びを分かち合えるのは、大きなやりがいにつながるでしょう。
保育の経験を積むチャンスがある
子育て支援員は、将来的に保育関連の資格を取得したいと考えている方にとって実務経験が積める貴重な機会といえます。たとえば、子育て支援員として経験を積み、放課後児童支援員を目指すこともできるでしょう。
また、保育士資格の取得を考えている方にとって、現場での経験は大きな強みになるでしょう。実際に子どもと接しながら、保育の現場で求められるスキルや知識を身につけると、仕事に対する不安を軽減できる可能性があります。子どもとの関わりを深めながら、実践的な経験を積める点は、子育て支援員として働くメリットの1つです。
子育て支援員として働くデメリット・大変だと感じること
子育て支援員として働くやりがいは多いものの、実際に働く上ではデメリットや大変だと感じることも。ここでは、子育て支援員として働く際に注意しておきたいポイントなどを紹介します。
補助的な業務が多い
子育て支援員の主な役割は、保育士などのサポート業務です。そのため、子どもと関わる仕事だけでなく、おもちゃの消毒や片付け、清掃、環境整備などの裏方業務も多く含まれます。保育の現場を支える大切な仕事ではありますが、想像していたよりも直接子どもと関わる機会が少ないと感じる場合もあるかもしれません。子どもと積極的に遊んだり、教育的な活動を行うのを期待していた場合は、ギャップを感じる可能性があるでしょう。
雇用形態が安定しにくい
子育て支援員の多くはパートやアルバイトなど非常勤雇用が多く、正職員と比較すると収入が低い傾向にあります。また、施設によっては資格を取得してもすぐに常勤職へ移行できるとは限らず、将来的なキャリアプランが見えにくいのもデメリットの1つといえるかもしれません。そのため、長期的に安定して働きたいと考えている場合は、常勤登用の可能性がある職場を選ぶなど、事前に雇用条件を確認することが重要です。
子育て支援員に向いている人の特徴とは
子育て支援員は子どもが好きで関わりたい方、育児経験がある方に向いている可能性があります。以下では、子育て支援員に向いている人の特徴を詳しく紹介します。
子どもが好きで、関わることに喜びを感じる人
育児経験を活かして働きたい人
誰かを支えることにやりがいを感じる人
体力があり、活動的に子どもと過ごせる人
保育の仕事に興味があり、将来的に資格取得を考えている人
コミュニケーションが得意で、子どもや保護者と円滑に関われる人
臨機応変に動くのが得意で、サポート業務を苦にしない人
このように、子どもと関わることが好きな方、子育て経験を活かしたい方、誰かを支えることが得意な方にとって、子育て支援員の仕事は魅力的な選択肢となるでしょう。
子育て支援員に関してよくある質問
ここでは、子育て支援員に関してよくある質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
子育て支援員が勤務できる場所とは?
以下は、子育て支援員が勤務できる施設の例です。
保育園・認定こども園
放課後児童クラブ(学童保育)
地域子育て支援センター
一時預かり施設
ファミリーサポートセンター
業務内容は勤務場所によって異なるため、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
子育て支援員の給料や待遇は?
子育て支援員の給料は施設や雇用形態によって異なりますが、時給1,000円〜1,300円程度であり、多くはパートやアルバイト勤務として、扶養内で働けるシフト制の求人が多いようです。
また、社会保険や交通費支給などの福利厚生が整っている施設もありますが、保育士資格を保有する場合と比較すると、給与は低い傾向にあります。それでも、子育て支援員は未経験から目指しやすい点はメリットといえるでしょう。
子育て支援員研修に落ちることはある?
子育て支援員研修に落ちることはほとんどないようです。研修は主に講義と実習で構成されており、研修を修了すれば資格を取得できます。しかし、研修に出席する必要があるため、欠席が多かったり、規定の実習時間を満たしていなかったりする場合は、修了できない可能性もあります。また、研修が定員に達すると受講できないため、早めに申し込みするのがおすすめです。
子育て支援員の求人はどう探せば良い?
子育て支援員の求人は、自治体の公式サイトや子育て支援センター、ハローワークや保育専門の就職・転職エージェントで探せます。施設によっては非公開求人があるため、直接問い合わせてみるのも1つの方法です。地域によって求人数に差があるため、複数の方法を活用して求人を探すと、自分に合った職場を見つけやすくなります。
まとめ
子育て支援員は、保育施設や学童保育、地域の子育て支援の場において保育士のサポートを行います。保育士は国家資格ですが、子育て支援員は民間資格であるのが違いです。また、保育士は試験に合格するか、指定保育士養成施設を卒業する必要があります。一方、子育て支援員は、都道府県など自治体が実施する研修を受けると認定されます。
子育て支援員は原則として研修を受ければ認定を受けられるため、未経験から目指しやすいのがメリットといえます。しかし、求人はパートやアルバイトなど非正規雇用が多い傾向にあるのは、デメリットといえるかもしれません。
子育て支援員として勤務できる場所は、保育園・認定こども園や放課後児童クラブ(学童保育)、地域子育て支援センターなどさまざまな施設があるため、自分に合った職場を見つけましょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。