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保育士なのに全体を見れない…視野が狭い原因とクラス全員を見るコツを解説
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「クラス全体をうまく見れない」と悩む保育士の方もいるのではないでしょうか。保育現場では子どもの数に対し職員数が限られるため、なかなか全体を見渡すのが難しいことがあります。この記事では、保育士が「全体を見れない」と悩む原因や現場全体を見る重要性、これから実践できるポイントなどをまとめました。少人数保育への転職という選択肢も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
「クラス全体を見れない」と悩む保育士は珍しくない
現場で活躍する保育士のなかには、「子どもたち全員の動きを見渡せない」「トラブルに気づくのが遅れる」という悩みを抱える方も少なくありません。新任や若手の場合は、自由遊びの時間に死角をカバーできず、不安を感じる場面もあるでしょう。
目の前の子どもに集中しすぎてほかの子の動きを見落とすと、転倒や友だち同士のトラブルに気づくのが遅れ、重大な事故につながりかねません。こうした状況は、子どもの安全管理に直結するため、プレッシャーを感じやすいものです。「全体を見れない」という悩みは多くの保育士が経験する課題であり、経験を積むことで少しずつ克服できます。小さな工夫を積み重ねながら、安心して保育ができるようスキルアップを目指しましょう。
保育士が「全体を見れない」と感じる原因
クラス全体を見渡すことが難しいと感じる背景には、保育士1人あたりが対応する子どもの数や、環境の構造、保育中の多様な業務など、複数の要因があります。ここでは、保育士が「全体を見れない」と感じる原因を見ていきましょう。
保育士1人が見る子どもの数が多い
保育士1人あたりの担当する子どもの人数が多いと、全体を見渡すことが難しくなります。認可保育園における保育士の配置基準を下記にまとめました。
年齢 | 配置基準 |
0歳児 | 子ども3人に保育士1人 |
1~2歳児 | 子ども6人に保育士1人 |
3歳児 | 子ども15人に保育士1人 |
4~5歳児 | 子ども25人に保育士1人 |
認可保育園では年齢ごとに配置基準が定められているものの、実際の保育では体調変化の多い乳児対応や動きが活発な幼児期の見守りなど、年齢によって求められる関わり方が異なります。基準上では人員が足りていても、現場感覚では「全体を見れない」という悩みを抱えてしまうようです。
仕事に追われ全体を見る余裕がない
書類や連絡帳の記入、保護者対応などの業務が積み重なると、目の前のタスクに追われて視野が狭くなりがちです。園の方針で行事や製作活動が多い場合、それらの準備や実施に時間を取られ、子どもたち一人ひとりの様子を丁寧に見守る時間が確保しにくくなることもあります。業務量と保育の質のバランスを取ることは、保育現場全体を見るための課題といえるでしょう。
先を予測せず場当たり的に対応してしまう
子どもたちの動きや1日の流れをしっかりイメージできていないと、思わぬトラブルが起きたときに手一杯になり、ほかの子どもへの目配りが難しくなります。保育の現場では、子どもたちの予測不能な行動が常に起こるため、常に「次に何が起こるか」を予測しながら動かなければなりません。先を見通す視点が不足すると、次々と発生する事態に対応が遅れ、結果として「全体を見れない」と感じてしまうことがあります。
一人ひとりの子ども集中しすぎて視野が狭くなる
子どもの気持ちに寄り添い丁寧に関わることは大切ですが、1人の子どもに深く関わりすぎると、ほかの子どもたちへの目配りがおろそかになる可能性があります。たとえば、泣いている子どもをなだめることに集中するあまり、別の場所で起きている危険な行動に気づかないといったケースが挙げられるでしょう。
支援の必要な子どもや気になる行動をする子どもがいる場合、どうしてもその子に注意が向きがちになってしまいます。新人ほど「まずは目の前の子を理解する」ことに集中する傾向にあるため、こまめな視点移動が不足しやすいのも全体を見れない要因かもしれません。
「全体を見る力」が保育士に必要な理由
ここでは、保育士が「全体を見る力」を求められる理由について解説します。クラス全体を見れないとお悩みの場合は、あらためて周囲を見渡す必要性を確認してみましょう。
トラブルや事故を未然に防ぐため
保育士の全体を見渡す力は、子どもの危険な行動や状況を察知し、トラブルや事故を未然に防ぐために必要です。子どもたちの健康状態を把握するときも全体を見る力があれば、普段と様子が違う子や元気がない子にいち早く気づき、適切な対応を取れるでしょう。
また、いじめや仲間はずれといった人間関係のトラブルも、早期発見・早期対応が重要に努められます。クラス全体の様子に目を配り、子ども同士の関係性の変化にも敏感になれると、深刻な問題に発展する前に対処することが可能です。
保育士同士が連携して仕事を進めるため
保育士に全体を見る力が備わっていれば、ほかの職員の動きも把握でき、チームとして効率的に仕事を進められます。たとえば、子どもの着替えを手伝っているときに、ほかの保育士が別の子のトラブル対応をしていたら、残りの子どもたちの様子を見守るといった行動を取れるでしょう。クラス全体の動きを掴めていれば、お互いに声を掛け合ったり、手が空いたタイミングでサポートに入ったりと、スムーズな連携を実現できます。
子ども一人ひとりの気持ちに寄り添うため
保育士の全体を見る力は、一人ひとりの子どもに深く関わるためにも必要です。クラス全体の様子を確認できるようになれば、個別の対応にも適切なタイミングで入れるようになります。
日頃から全体を見る習慣が身についていると、、いつも元気な子が大人しかったり、普段は積極的に製作活動する子が興味を示さなかったりする場合も、その日ごとの気持ちの変化に気つけるでしょう。全体を見ながらも一人ひとりを大切にする保育は、子どもたち全員が安心して自分らしく過ごせる環境づくりにつながります。
新人保育士も取り組める!クラス全体を見守る5つの工夫
クラス全体を見渡す力は、経験を重ねて少しずつ身につくものですが、ちょっとした工夫で磨きをかけることが可能です。ここでは、視野を広げて安全に子どもたちを見守るための5つのポイントを紹介します。
1.壁際に立ち子どもたち全体を視界に収める
保育活動中は部屋の中央にいると死角が増えやすいため、壁際や出入口付近に立つことで、自然とクラス全体が視界に入りやすくなります。場所を固定せず、移動しながら幅広い角度から保育室を見渡すと、状況を掴みやすくなるでしょう。自由時間のように、子どもたちが散らばって活動する場面では、全体が見える位置に立つよう意識しましょう。
2.危険が起きやすい場所を予測して対策する
「全体をうまく見れないからトラブルが不安」という保育士は、事故が起こりやすい場所をあらかじめ認識しておくことが大切です。具体的には、大型遊具の周辺やブロック遊びのコーナー、砂場、棚の裏側などが挙げられます。
子どもたちが集まるところはトラブルが起きやすいため、定期的に確認する習慣をつけましょう。危険な角には緩衝材を取り付ける」「遊具は人数制限をする」というように、事前に対策を考えておくと精神的な負担を減らせます。
3.ほかの保育士の動きを見て手薄なところに入る
全体を見れないと悩む保育士は、ペアの先生やフリー保育士の立ち位置を踏まえ、視線が届きにくい場所を積極的にカバーしましょう。協力して全体を見守ることで、子どもたちの安全を確保できるようになります。
たとえば、同僚が1人の子どもの対応に集中している場合、自分はほかの子どもたちの様子を見る、または注意が必要な場所に立つなどの配慮をすることが大事です。別の行動を取るときは、「今から〇〇の対応をするので、ほかの子たちを見ていてください」と声かけをしておくと、連携が崩れるのを避けられるでしょう。また、ベテラン保育士の動きをよく観察し、どのようなタイミングでどこに立ち、何に注目しているかを学ぶことも、全体を見る力を養うために役立ちます。
4.子どもたちの性格や行動の特徴を把握する
クラス全体を見守るときは、子ども一人ひとりの性格や行動パターンを知っておくと、思わぬトラブルを防ぎやすくなります。たとえば、「外遊びで行動範囲が広がりやすい子」「好奇心が強く夢中になると周りが見えなくなる子」「疲れると噛んだり押したりしやすい子」など、保育活動を通じてそれぞれの特性を把握します。日常のなかで収集した情報は、活動中の立ち位置や声かけのタイミングを考えるうえで役立てることが可能です。メモや簡単なチェック表、アプリなどを活用して定期的に内容を更新し、クラス全体の安全や安心につなげましょう。
5.自身の苦手なことや癖を理解する
保育士が全体を見る力を伸ばすには、自分の視野が狭くなりやすい場面や苦手なことを知ることが大切です。気がつくと特定の子どもへ付きっきりになったり、製作準備に集中しすぎてしまったりするなど、自分の癖をメモしておきましょう。1日の終わりに「どこで全体が見えていなかったか」「関わりが偏った子は誰か」を振り返るだけでも傾向が見えてきます。
自分の傾向を理解した上で、意識的に視野を広げる練習をしましょう。たとえば、「1人の子どもと関わりながらも定期的に顔を上げて全体を見渡す」「時計を見ながら5分おきに全体確認をする」など、具体的な目標を設定するのもおすすめです。
全体を見れない悩みは少人数保育への転職で解決するかも
「全体を見る力」を鍛えることは大切ですが、現状に手一杯でなかなか改善できないという場合は、根本的な解決策として少人数保育の園への転職を検討するのも1つの方法です。小規模保育園や企業主導型保育園、認可外施設などは、認可保育園に比べて子どもの人数が少なく、一人ひとりに丁寧な関わりができる環境が整っている傾向にあるでしょう。
0〜2歳児を対象とした小規模保育園では、定員が19名以下と少なく、保育士1人あたりの担当人数も少なめに設定されています。このような環境であれば、クラス全体を把握する負担が軽くなり、落ち着いた保育がしやすいかもしれません。
少人数でも保育の責任や工夫は必要ですが、「大人数を同時に見守るのが不安」という保育士にとっては働きやすい選択肢といえます。自分の性格や保育観に合う園を探してみましょう。
全体を見れないと悩む保育士によくある質問
ここでは、全体を見れないと悩む保育士に関する質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
保育士なのに臨機応変に動けない自分が嫌になります
臨機応変に動けないと悩むときは、「安全を優先する」「迷ったら先輩に確認する」といった基本を意識するようにしましょう。保育の現場では予想外のことが次々と起こるため、すべての物事に理想的な対応をするのは、ベテラン保育士であっても難しいといえます。想定される場面を事前にシミュレーションして対応策をメモしたり、先輩保育士の動きを観察したりと、焦らず少しずつ自信を育てていきましょう。
保育士の同僚に手が回っていないのに動かない人がいます…
同僚の動きに不満を感じるときは、相手を責めずに協力をお願いする姿勢を心がけましょう。「ケガの処置をするのでほかの子を見てもらえますか?」というように、具体的な声かけをすると、チームワークを強化することが可能です。直接の対話が難しい場合は、主任やリーダーに「どうすれば連携しやすいか」という伝え方で相談すると、的確なアドバイスをもらえる可能性があります。
周りの目が気になって自分で判断できないことが多いです
自分の判断に自信がもてないときは、現場での基準を先に決めておくのも手です。「安全>健康>活動進行」のような基準を定め、迷ったら安全第一で動けるようにすると、自分で判断がしやすくなります。小さな状況判断から練習をし、「自分がなぜこの行動を取ったのか」を説明できるようにすると、徐々に迷いが減るでしょう。また、先輩に具体的な場面を挙げて相談し、判断のコツを学ぶのもおすすめです。
まとめ
「クラス全体を見れない…」という悩みは珍しくなく、特に新人・若手の保育士さんに見られやすいようです。保育士の全体を見る力は、トラブルを未然に防いだり、職員同士の連携を強化したりするのに役立ちます。日々の保育の中で、「壁際や出入口から視野を確保する」「危険な場所を先読みする」「子ども一人ひとりの傾向を知る」などの対策を取り、経験を積み重ねることで気づける範囲が広がるでしょう。
大人数を同時に見ることがどうしても不安なら、小規模園や企業主導型のように少人数保育の環境へ転職するのも選択肢として挙げられます。「クラス全体をうまく見れない」「もっと少人数で落ち着いた環境で働きたい」と感じている方は、レバウェル保育士にご相談ください。
レバウェル保育士では、少人数で子ども一人ひとりと向き合える職場の求人を多数取り扱っています。さらに、応募書類の添削や面接対策もサポートするので、転職が初めての方も安心です。一人で抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。