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居宅訪問型保育とは?必要な資格や基礎研修の概要、働くメリットを解説
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「居宅訪問型保育とは何か」「仕事内容はどのようなものか」と気になる方もいるのではないでしょうか。居宅訪問型保育とは、障がいや疾病などで集団保育できない子どもや保育所が閉鎖した際に利用される保育事業の1つです。 この記事では、居宅訪問型保育の概要や仕事内容、働く際に必要な資格を解説。居宅訪問型保育で働くメリット・デメリットも紹介します。居宅訪問型保育とベビーシッターとの違いも解説するので、参考にしてください。
目次
居宅訪問型保育とは
居宅訪問型保育とは、家庭的保育者が居宅で乳幼児を保育することを指します。居宅訪問型保育は、障がいや疾病などにより集団保育ができない場合や保育所が閉鎖になったときなどに利用されます。
ここでは、厚生労働省の「居宅訪問型保育事業の概要」をもとに、居宅訪問型保育の対象となる児童や認可基準を解説します。居宅訪問型保育で保育する子どもや職員の配置についても紹介するので、参考にしてください。
出典
厚生労働省「居宅訪問型保育事業の概要」(2025年7月30日)
対象となる児童
認可の居宅訪問型保育は、保育を必要とする原則3歳未満の乳幼児が対象です。加えて、以下のいずれかに該当し、市町村長に認められる必要があります。
障がいや疾病などにより集団保育が著しく困難であると認められる場合
保育所の閉鎖などにより、保育を利用できなくなった場合
入所勧奨などを行ってもなお保育の利用が困難であり、市町村による入所措置の対象となる場合
ひとり親家庭の保護者が夜間・深夜の勤務に従事する場合など、保育の必要の程度および家庭などの状況を勘案し必要な場合
離島そのほかの地域であり、居宅訪問型保育事業以外の地域型保育事業の確保が困難である場合
認可の居宅訪問型保育では、上記のいずれかにあてはまる子どもを保育することになるでしょう。
認可基準
居宅訪問型保育事業で認可を受けるためには、以下の資格や保育時間などを満たす必要があります。
職員配置 | 保育者1人につき乳幼児1人 |
職員の資格 | 必要な研修を修了し、保育士または保育士と同等以上の知識および経験を有すると市町村長から認められた方(家庭的保育者) |
面積基準 | 特になし |
保育の提供 | 原則1日8時間(保育所保育方針に準じた保育の提供) |
連携施設 | 障がいのある子どもを保育する場合、専門的な支援を受けられる施設の確保が必要 |
参照:厚生労働省「居宅訪問型保育事業の概要」
保育士資格がない場合も、研修を受けて自治体が認定している家庭的保育者になれば、居宅訪問型保育で勤務できます。保育士資格を保有している場合も、家庭的保育者になるには自治体が指定する研修を受けなければいけません。研修については後述する「居宅訪問型保育の基礎研修とは?」をご覧ください。
居宅訪問型保育の仕事内容と1日の流れ
居宅訪問型保育の主な仕事内容は、一般的な保育園とほとんど違いがありません。ただし、基本的には一対一で保育するため、子どもとじっくり向き合い遊びの提供や生活のサポートをできる点が特徴といえるでしょう。以下は、居宅訪問型保育における1日の流れと仕事内容の一例です。
時間 | 仕事内容 |
午前8時 | 子どもの居宅へ訪問・保護者と子どもへ挨拶・保育内容や健康状態の確認 |
午前9時 | 遊びの提供(室内や近くの公園で遊ぶ) |
正午 | 保護者が用意した昼食を提供・食事の介助や見守り |
午後1時 | お昼寝の寝かしつけ・午睡チェック(呼吸や体勢を確認)を行い記録する |
午後3時 | 保護者が用意したおやつを提供・おやつの介助や見守り |
午後4時 | 保護者へ1日の保育内容や子どもの様子を伝え、業務終了 |
居宅訪問型保育では、子どもが普段遊んでいるおもちゃなどを使用し、遊びを提供することになるでしょう。また、一般的に昼食やおやつは保護者が用意したものを提供します。
居宅訪問型保育で働くには?
ここでは、居宅訪問型保育で働くにはどのような資格が必要なのかを紹介します。また、居宅訪問型保育の求人の探し方も解説するので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
居宅訪問型保育で働く際に必要な資格
居宅訪問型保育で働く際には、家庭的保育者の資格が必要です。家庭的保育者とは、自治体の研修を受講したうえで、市町村によって保育士同等の知識・経験を有すると認められた方を指します。研修はオンラインで受講でき、40時間程度で受講できます。
保育士資格がない場合も、研修を受講して自治体が認定している家庭的保育者になると、居宅訪問型保育で勤務できます。保育士資格を保有していても、それだけでは家庭的保育者にはなれません。保育士資格の保有者でも、家庭的保育者になるには自治体が指定する研修を受ける必要があります。
出典
厚生労働省「居宅訪問型保育事業の概要」「認可外の居宅訪問型保育事業者の基準等の現状等
」(2025年7月30日)
居宅訪問型保育の求人の探し方
居宅訪問型保育の求人は、求人サイトやハローワーク、就職・転職エージェントで探します。ほかにも、保育業界専門の求人サイトや就職・転職エージェントを利用すると、探しやすいケースもあります。求人サイトで探す際は、ベビーシッターと同じ括りであったり、病児専門の居宅訪問型保育だったりする場合もあるため、運営方法や保育内容はしっかりと確認しましょう。
自分で居宅訪問型保育事業を立ち上げる場合は、認可基準や自治体の規定に沿って体制を整えたうえで、届け出る必要があります。詳細は、都道府県や市町村などの自治体の情報を確認しましょう。
居宅訪問型保育の基礎研修とは
居宅訪問型保育の基礎研修とは、居宅訪問型保育で働く保育士や家庭的保育者などを対象とした研修です。認可の居宅訪問型保育事業で働くためには、自治体が開催する基礎研修を受ける必要があります。
基礎研修の内容は自治体によって異なりますが、以下のような項目について講義や演習、実技をとおして学ぶようです。
乳幼児の生活と遊び
小児保健
心肺蘇生法
居宅訪問型保育の保育内容
安全の確保とリスクマネジメント
居宅訪問型保育における保護者への対応
特別に配慮を要する子どもへの対応
認可外の居宅訪問型保育事業で働く場合も、自治体によっては基礎研修を受講する必要があるようです。基礎研修では、居宅訪問型保育ならではの保育内容や安全対策などの知識・スキルが身につくでしょう。
居宅訪問型保育で働くメリット
居宅訪問型保育で働くメリットは、子どもとじっくり向き合い保育できたり、専門的な知識を身につけられたりする点が挙げられるでしょう。ここでは、居宅訪問型保育で働くメリットを2つ紹介します。
子どもとじっくり向き合い保育できる
居宅訪問型保育は一般的に一対一で実施されるため、子どもとじっくり向き合い保育できるでしょう。居宅訪問型保育では、小さな変化や成長を見つけられたり細かな配慮ができたりなど手厚く保育できる可能性があります。子どもから信頼されたり必要とされたりする存在になり、やりがいを感じられる場面も。また、子どもだけでなく保護者との関わりも深くなり、成長を一緒に喜べることもあるようです。
専門的な知識やスキルを身につけられる
居宅訪問型保育で働くと、障がいのある子どものサポートや医療的ケアなどの専門知識を身につけられる場合もあります。厚生労働省の「喀痰吸引等の制度(全体像) p.5」によると、一定の研修を受けると、保育士もたんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが可能です。
居宅訪問型保育では、障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもを預かる場合もあり、研修や実務経験をとおして専門性を高められるでしょう。
出典
厚生労働省「喀痰吸引等の制度(全体像)」(2025年7月30日)
居宅訪問型保育で働くデメリット
居宅訪問型保育は基本的に1人で対応するため、責任の重さやスキルの習得が負担になるケースもあるようです。ここでは、居宅訪問型保育で働く際に大変に感じる可能性があるデメリットを2つ紹介します。
1人で対応するため責任が重い
居宅訪問型保育は一般的に1人で対応するため、責任の重さを感じる可能性があるでしょう。子どもの体調が悪くなったりケガをしたりした際も、基本的にすべて1人で対応する必要があります。
保育園では、ほかの保育士と協力したり保育補助がいたりしますが、居宅訪問型保育では基本的にすべて1人で対応しなければいけないため、責任の重さを感じる場合もあるようです。また、障害があったり医療的ケアが必要だったりする子どもを預かる場合は、より細かい配慮が求められプレッシャーを感じる方もいるでしょう。
研修や独学で知識・スキルを身につける必要がある
居宅訪問型保育で働く場合、研修を受けたり専門的な知識を身につけたりしなければいけない点が負担になる場合もあります。認可の居宅訪問型保育で働く場合、保育士資格を保有していても基礎研修を受ける必要があるためすぐには働けない可能性があります。
また、医療的ケアが必要な子どもを預かる場合は、さらに一定の研修を受ける必要があります。居宅訪問型保育は一般的に1人で対応するため、幅広い知識やスキルを自ら身につけていく必要があるでしょう。
居宅訪問型保育とベビーシッターの違い
居宅訪問型保育とベビーシッターはどちらも利用者の居宅で保育する点は同じですが、対象年齢や保育の提供時間などは違います。以下のように、ベビーシッターのほうが対応可能な範囲は広いでしょう。
居宅訪問型保育(認可) | ベビーシッター(認可外) | |
対象年齢 | 3歳未満の乳幼児 | 0~12歳程度 |
受け入れ可能な子ども |
| 通常の保育だけでなく、障がい児保育や病児保育、医療的ケアが必要な子どもを受け入れているサービスもある |
保育の提供時間 | 原則1日8時間 | 一般的には利用者に合わせて対応(夜間や深夜、24時間保育を実施しているサービスもある) |
居宅訪問型保育は、一般的な保育園で受け入れ不可になったり、保育園自体が閉鎖したりした場合に利用される傾向にあります。一方、ベビーシッターは保護者のニーズに合わせて、幅広いサービスを展開している点が特徴です。
居宅訪問型保育に関するよくある質問
ここでは、居宅訪問型保育に関するよくある質問に、Q&A形式で答えます。居宅訪問型保育の特徴や基礎研修の費用について、ぜひ参考にしてください。
居宅訪問型保育の特徴は?
居宅訪問型保育の特徴は、一対一で保育し子どもとじっくり向き合えることです。保育園とは保育環境が異なり、子どもの居宅で遊びを提供したり、生活をサポートしたりする点も特徴といえます。居宅訪問型保育では、集団保育ができない障がいや疾病のある子どもを預かる点も特徴です。
居宅訪問型保育基礎研修を受けるときの費用は?
認可の居宅訪問型保育で働く場合、基本的に基礎研修への参加費用は無料です。ただし、研修で使用するテキスト代は自己負担になる場合もあります。基礎研修の費用は自治体によって異なったり、職場が補助してくれたりする場合もあるため、自治体のホームページや求人情報などで確認しましょう。
まとめ
居宅訪問型保育とは、家庭的保育者が乳幼児の居宅で保育を実施することです。認可の居宅訪問型保育事業は、障がいや疾病などにより集団保育ができない場合や保育所が閉鎖になったときなどに利用されます。
居宅訪問型保育の主な仕事内容は一般的な保育園とほぼ同じですが、基本的に一対一で保育するため、子どもとじっくり向き合い遊びの提供や生活をサポートできる点が特徴です。また、保育する子どもによっては医療的ケアが必要な場合もあるでしょう。
居宅訪問型保育で働くには、一般的に居宅訪問事業を展開している事業所に入職する必要があります。認可の居宅訪問型保育で働く場合は、基礎研修を受け知識やスキルを習得します。認可外の場合も、研修を受講するケースもあるようです。
居宅訪問型保育で働くメリットは、子どもとじっくり関われる点や専門的な知識・スキルを身につけられることです。一方、居宅訪問型保育は基本的に1人で保育するため、責任が重いと感じる場合もあるでしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。