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保育士がクレームを受けたらどうする?原因や対応方法、防ぐための手段を解説
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保育士で「クレームを受けたときに上手く対処できない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。保育士が保護者からクレームを受けた際は、相手の話を傾聴し、迅速に問題解決を目指して対応することが重要です。 この記事では、保育園で保護者からのクレームが発生する原因と背景や発生しやすいクレームを解説します。保育士がクレームを受けたときの対応方法や落ち込んだときの対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
保育園で保護者からのクレームが発生する原因と背景
保育園では、どのようなときに保護者からのクレームが発生するのでしょうか。ここでは、保育園で保護者からのクレームが発生する原因と背景を解説します。
保育園の情報やルールが保護者に周知しきれていない
保育園の情報やルールを保護者に共有できていないと、トラブルやクレームの原因となる可能性があります。日々の活動内容、緊急時の対応方針など基本的な情報が保護者に正確に伝わっていない場合、誤解が生じやすくなるでしょう。保育園からの連絡手段が限定的であったり、不定期だったりすると保護者に情報が行きわたらず、クレームの発生につながる可能性があります。
保育園の対応と保護者の期待にズレがある
保育園と保護者の間で保育方針が一致していない場合、不満やクレームにつながる場合があります。たとえば、保護者が「子どもの能力を早く伸ばしてほしい」と考えているのに、保育園は「自然な成長を大切にする」という方針をとっていると不満を抱く可能性があるでしょう。また、保護者の期待が保育園の対応できる範囲を上回っていると、不満やクレームにつながるケースもあります。
保育園で発生しやすいクレームとは
保育園では、保育内容から保育士の髪色などさまざまな原因からクレームが発生する場合があります。ここでは、保育園で発生しやすいクレームを解説します。
保育内容や安全対策に関するクレーム
保育内容や安全対策に関するクレームは、保護者が「子どもが適切な環境で成長しているか」を気にかけているために発生します。子どもの活動内容がわからない場合や、事故やケガが発生した際、保育士の対応に不満を抱く保護者もいるようです。
コミュニケーション不足によるクレーム
保育士と保護者のコミュニケーションが不足すると、保護者に誤解や不安を招く傾向にあります。保育士が忙しさのあまり、保護者への報告や相談が疎かになった場合、「子どもの情報を共有してもらえない」と感じる可能性があります。保育士は忙しいときも多いものです。しかし忙しいからといって保護者から質問があった際に説明が不足していると、園に対して不信感を抱く可能性も。保護者が「ちゃんと対応されない」「ないがしろにされた」と感じると、クレームにつながる場合があるようです。
無理な要求をする理不尽なクレーム
一部の保護者からは、保育園に対して過度な要求が寄せられる場合があります。保護者から「劇の内容を変更してほしい」「保育園で汚した服は洗濯してほしい」など、理不尽な要求やクレームが寄せられるケースもあるようです。保護者からの理不尽なクレームが発生した場合は、保育園のルールや対応できる範囲を明確に伝えることが大切だといえるでしょう。
保育園の行事に関するクレーム
保育園の行事に関しては、行事の準備や日程などが保護者の負担となり、クレームが発生することがあります。たとえば、「行事が平日で仕事を休まなければならないため変更してほしい」「行事の準備が大変」などのクレームです。保護者に行事の日程や内容を周知するのが遅れると、保護者の負担が大きくなり、不満が募りやすくなる場合があります。そのため、行事の日程や内容はできるだけ早めに保護者に伝えるようにしましょう。
保育士の髪色や服装・態度に関してのクレーム
保育士の見た目や態度に対するクレームは、「信頼して子どもを預けられない」という背景が考えられます。保育士の髪色や服装が派手だったり、挨拶がなく表情が乏しかったりすると、保護者は「保育士としてきちんと仕事を行っているのか」「子どもの安全を守ってくれるのか」と不安になる場合があるかもしれません。髪色や服装の規定は、園によってさまざまです。「挨拶がない」「表情が乏しい」など、態度に関して改善が必要な点はあるか振り返ってみましょう。
保育園で発生するクレームの事例
近年では、保育園に寄せられる苦情は増加傾向にあるといわれています。ここでは、保育園に寄せられるクレームの事例を紹介するので、対応方法とともに見ていきましょう。
仕事を休めないので行事の日程を変更してほしい
保護者が子どもの成長を楽しみにしており、だからこそ「行事に参加したい」という気持ちがあることに理解を示しましょう。しかし、行事の日程は何ヶ月も前から決められているものであり、「すでにほかの保護者に周知していること」「変更すると、多くの保護者が参加できなくなり、迷惑がかかること」を丁寧に説明する必要があります。
また、今回は変更できない旨を保護者に伝えつつ、理解を促しましょう。最後に「次回行事を開催する際には、できる限り早めに知らせる」と保護者に伝え、こちらができる対策を伝えてください。
担任を変えてほしい
保護者が「担任を変えてほしい」と言う場合、園長や主任に伝えるケースが多いようです。「保護者から担任を変えてほしいというクレームがあった」と聞くと、担任としてかなりショックを受けるでしょう。しかしまずは、「保護者はなぜそう思うのか」理由を聞く必要があります。保護者が激怒し、感情的になっている場合は主任や園長にも同席してもらい、理由を聞きましょう。
「担任を変えてほしい」という思いに至るまでには、いろいろな不満が積み重なっている場合もあります。そこに至るまでに保護者と密にコミュニケーションをとっていれば、クレームが防げる可能性があるかもしれません。保育士の思いがきちんと伝わっていなかったり、保護者が誤解していたりするケースもあります。また、保育士の何気ない言葉や態度に傷つき、保護者が怒っていることも。そのような場合は真摯に謝罪したうえで、「担任を変更するのは難しいが、今後はこちらからコミュニケーションをこまめにとる」など、今後の対策方法を伝えましょう。
保育士が保護者からクレームを受けたときの対応方法
保育士が保護者からクレームを受けたときは、感情的にならずに相手の話を聞き、共感を示すことが大切です。ほかにも、トラブルがあった場合は謝罪してから事情を説明し、問題解決を目指すのも重要だといえます。ここでは、保育士が保護者からクレームを受けたときの対応方法を紹介します。
話を最後まで聞いて相手の気持ちを受け止める
保育士が保護者のクレームに対応する際に重要なのは、話を最後まで聞く姿勢です。保護者が伝えたいことを途中で遮ったり、自分の意見を押し付けたりすると、保護者の不満がさらに高まる可能性があります。保護者の不安や怒りの感情を受け止めようとする姿勢を示すと、「自分の気持ちを理解しようとしてくれている」と感じ、冷静になる場合もあります。保護者の話を真摯に傾聴し終わった後に、自分の意見や説明を述べるのが大切です。
感情的にならず冷静で丁寧な対応を心がける
保護者のクレームに対応する際に保育士が感情的になってしまうと、問題が解決しないどころか、さらに状況が悪化するリスクがあります。保育士は常に冷静さを保ち、丁寧に対応すると、保護者の気持ちが落ち着く場合も。クレーム対応する際は、落ち着いた口調で丁寧な言葉遣いを意識するなど、相手に安心感を与えられるよう心がけましょう。感情的になるのを避けるには、クレーム対応の前に深呼吸して心を落ち着かせるのが効果的だといえます。
トラブルがあった場合は謝罪してから事情を説明する
保護者とのトラブルが発生した場合、最初に謝罪の言葉を伝えることが大切です。保育士が素直に謝罪の気持ちを伝えると、保護者の怒りが収まるケースも。保育士は保護者に謝罪をしたあと、事実関係を説明し、再発防止のための取り組みを具体的に伝えるのが重要です。トラブルが起きた経緯や今後の対策を明確に話すと、保護者の理解を得られる可能性が高まります。
共感を示す言葉を選ぶ
保護者のクレームに対して、保育士は共感を示す言葉を選ぶと効果的です。保育士が「それはご心配でしたね」「お気持ちはよくわかります」など共感の表現を用いると、保護者は理解してもらえたと感じやすくなります。
保育士が保護者に共感を示す際は、共感と問題の解決策を混同しないよう注意しましょう。共感の言葉は保護者の感情を受け止めるものであり、問題解決には具体的な対応が必要です。保育士は保護者に共感を示し、保護者の心を和らげると、建設的な話し合いができる土台を作れるでしょう。
問題を放置せず迅速な解決を目指す
保護者から保育士にクレームが寄せられた場合、対応を先延ばしにすると、保護者の不満はさらに大きくなる可能性があります。保護者からのクレームが発生した場合、保育士は迅速に状況を把握し、解決策を提示するのが重要です。ただし問題の規模によっては、園全体で共有し、適切な対応を協議する必要があるケースも。
そのまま保護者を待たせてしまうと、さらにトラブルが発生する可能性があります。その場合は「園で対応を協議してご連絡を差し上げます」と保護者に伝えましょう。対応の方針が決まったら、保育士は保護者に経過や結果を伝え、問題を明確に解決することが大切です。
保育士がクレームを受けて落ち込んだときの対処法
保育士がクレームを受けて落ち込んだときは、自分を責め過ぎないことが大切です。また、同僚や上司に相談したり、自己成長の機会と捉えたりするのも効果的でしょう。ここでは、保育士がクレームを受けて落ち込んだときの対処法を解説します。
同僚や上司に相談する
保育士がクレーム対応で落ち込んだときは、同僚や上司に相談するのがおすすめです。1人で悩みを抱え込むと、視野が狭くなり、さらに思い詰めてしまう可能性があります。同じ職場で働く仲間に話すと、状況を客観的に捉えたり具体的な解決策やアドバイスを得られる場合もあるでしょう。
上司に相談すると園全体の対応方針が明確になり、自分1人の責任ではないと実感して心が軽くなるケースも。保育士がクレームを受けて抱えた悩みを同僚や上司に共有するのは、保育園の保育環境をより良くするための行動でもあります。積極的に相談して保育士としての自信を取り戻しましょう。
自分を責め過ぎない
クレームを受けると、保育士としての責任感から「自分のせいだ」と強く思い込んでしまう場合もあるでしょう。しかし、自分を過度に責めると心身の負担を増やし、日々の保育にも悪影響を及ぼしかねません。クレームには誤解やすれ違い、園全体の課題など保育士1人ではどうにもならない要素も含まれているケースもあります。クレームが起きた状況を冷静に振り返り、自分にどの程度の責任があるのかを客観的に判断するのが大切です。
自分の失敗を受け入れたあとは、気持ちを切り替える必要があります。自分を過剰に責めるよりも、「次に同じクレームが起きたときにどう改善できるか」に目を向けると、前向きに対処できるかもしれません。
自己成長の機会と捉える
保育士がクレームを受けたとき、それを自己成長のきっかけと捉えると、前向きに対処できる可能性があります。保護者からのクレームは厳しい意見や要望である一方、保育園や保育士の改善すべきポイントを教えてくれるフィードバックでもあります。なぜそのクレームが発生したのか、自分の行動や保育園の仕組みに改善点はないかを振り返り、次に活かす姿勢が重要だといえるでしょう。
保育士がクレーム対応を経験すると、対応力や保育の質が向上し、保護者との信頼関係を深められる場合もあります。クレームを受けたときは、成長のチャンスと捉えポジティブに行動すると、保育士としての自信や経験値が確実に積み重なるでしょう。
保護者からのクレームを未然に防ぐ方法
保育士は、日頃から保護者とのコミュニケーションを大切にしたり、髪色などの見た目や態度に気をつけると、クレームを防ぎやすくなります。ここでは、保育士がクレームを未然に防ぐための方法を解説します。
保護者とのコミュニケーションを大切にする
保護者との日常的なコミュニケーションを大切にするのは、クレームを未然に防ぐうえで重要な方法の1つです。お迎えの際などに日頃から子どもの様子を伝えると、保護者との信頼関係を築けるでしょう。子どもに関する些細な変化や園でのエピソードを共有すると、保護者は安心感を持ちやすくなる傾向にあります。
また、一方的な意見でなく、保護者の意見や質問にも耳を傾けると、相互に理解を深められるでしょう。こうした保育士と保護者の日常的なやり取りは、万が一、園でトラブルが発生した際にも建設的な話し合いの土台を築く役割を果たす可能性があります。
髪色などの見た目や態度に気をつける
保育士の髪色や服装、態度などの要素は保護者に大きな印象を与えます。派手な髪色やだらしない服装をしていると、保護者に保育士としてのプロ意識が欠如していると思われる可能性も。
また、爪の長い保育士は、衛生面や安全面が問題視される場合もあります。子どもを傷つけるリスクがあるため、保育士は爪を短く清潔に保つことが求められるでしょう。保育士は日々の態度も重要だといえます。子どもや保護者に対して常に笑顔を心がけ、敬意を持って接すると、信頼を得られるでしょう。
安全な保育環境を整備し、保護者に情報共有する
保育士が安全な保育環境を整えることは、保護者の信頼を得るだけでなく、クレームを未然に防ぐためにも欠かせません。施設の設備を定期的に点検して危険な場所がないか、遊具の状態や門扉の施錠状況など、常に確認する必要があります。
安全対策を記載したお便りや、保護者向けの説明会を実施するのも効果的です。安全対策を保護者にわかりやすく共有すると、「子どもの安全を最優先にしている」という園の姿勢を伝えられるでしょう。保護者が安全に関する取り組みを正しく理解すると、安心感が生まれて不要なクレームの発生を防ぐことにつながります。
保育士が受けるクレームに関してよくある質問
保育士が受けるクレームに関してよくある質問に、Q&A形式で紹介します。
保育士が保護者を怒らせてしまったときの対応は?
保育士が保護者を怒らせてしまったときは、落ち着いて状況を把握し、誠意を持った対応を心がけましょう。まずは保護者の話を聞いて、相手の怒りや不満を受け止めることが大切です。クレームの事実確認を行い、ミスがあった場合は真摯に謝罪しましょう。
誤解が原因でクレームが発生した場合は、保護者を責めるのではなく、誤解を解くために丁寧に説明する必要があります。問題が解決したら、再発防止策を伝えると保護者の怒りを鎮め、信頼関係を取り戻せる可能性が高まります。保育士のクレームの対応方法に関しては、本記事の「保育士が保護者からクレームを受けたときの対応方法」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
クレーム対応が大変で保育士を辞めたいときはどうする?
クレーム対応が負担となり、保育士を辞めたいと感じたときは、その気持ちを周りの人に共有することが大切です。同僚や上司に相談すると、クレーム対応に対する不安が和らぎ、新たな視点が見つかる場合もあります。
保育士を辞める前に有給休暇を利用して一時的に休むなど、気持ちをリセットする時間を持つことも有効です。気持ちを切り替える時間を持つと、保育士のやりがいや魅力、役割を見直せる可能性があります。どうしても保育士を辞めたい気持ちが変わらない場合は、転職を検討するのも1つの手です。自分の心身の健康を最優先に考え、行動しましょう。
まとめ
保育士として働くなかで、保護者からのクレームは避けられない場面もあります。保育士は保護者からのクレームの原因を理解し、適切な対応を心がけると、トラブルを最小限に抑えられる可能性が高まります。日頃から保護者とこまめにコミュニケーションをとったり、保育環境を整備して安全管理を徹底すると、クレームが発生するのを未然に防げるでしょう。クレームを受けて落ち込んだときは、職場の仲間に相談したり、保育士として成長の糧にしたりするのが効果的です。それでも、クレーム対応が心身の負担となり保育士を続けるのが難しいと感じる場合は、新しい職場で再スタートするのも1つの選択肢でしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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