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50歳からの転職で保育士が注意することは?歓迎される条件や職場の探し方
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50歳前後で転職を考えている保育士の中には、「年齢がハンデにならないだろうか?」と不安を感じる方もいるかもしれません。50代の保育士には現場で培った経験や判断力という強みがあります。そのため、自分に合った職場を選べば、転職は十分に可能です。この記事では、50代の保育士の雇用状況や転職成功のポイント、検討したい職場の選択肢を紹介します。今後の働き方に迷っている方は、参考にしてみてください。
目次
50歳からも保育士として転職できる?
50歳を過ぎても保育士として転職することは可能です。保育士の募集は幅広い年齢層を対象としている傾向にあるため、年齢を理由に諦める必要はありません。近年では保育ニーズが多様化しているため、ベテランならではの知識や対応力は重宝されるでしょう。ここでは、50歳からの保育士転職の可能性や転職市場の動向を解説します。
一定の経験があれば即戦力として歓迎されやすい
長年の保育経験を持つ50代の保育士の場合、即戦力として歓迎されやすい傾向にあります。子どもとの関わりや不測の事態への対処はもちろん、保護者とのやり取りや園内の問題解決など、若手には難しい場面で熟練した経験が活かされるためです。また、園内の指導役として若手保育士の育成を担う役割も期待されます。
保育の現場では、年齢よりも信頼関係を築く力や人間性が採用の決め手となりやすいため、周囲の模範となるような存在を目指すことがポイントです。
管理職求人を選べば体力の負担を軽減しやすい
50代で転職を考える場合、体力面の不安を感じる方も多いかもしれません。その際は、直接子どもと関わる保育業務よりも、運営や指導に重きを置いた働き方を選ぶことで身体的な負担を軽減できる可能性があります。主任や園長といった管理職は、現場での肉体労働が比較的少なく、これまでの経験や判断力を活かしやすいポジションです。
カリキュラムの作成や職員のシフト管理、行政とのやり取りなど、管理職ならではの業務に興味がある方は、前向きに検討してみましょう。
再雇用制度があれば65歳まで働ける可能性がある
「もう50代だから…」と、年齢を理由に転職をためらう保育士の方もいるかもしれません。しかし、再雇用制度を導入している職場であれば、定年後も65歳まで働き続けることが可能です。高年齢者雇用安定法の改正によって、70歳までの就業機会の確保が努力義務となるなど、高齢者の雇用を後押しする動きも広がっています。
つまり、50代前半であれば、これから10年以上現場で活躍できるチャンスを見込めるでしょう。再雇用では、正社員からパートへの切り替えや勤務日数・時間の調整が可能な場合もあり、無理のない働き方を選びやすいのが特徴です。
出典
公益社団法人全国保育サービス協会「保育サービス業高齢者の活躍に向けたガイドライン」(2025年5月30日)
未経験だと採用のハードルは高くなる傾向にある
50代で保育士の実務経験がない場合や、これから資格取得を目指す場合は、どうしても採用のハードルが高くなる傾向があります。また、長期間のブランクがある場合も、時代に合った保育方針やICTへの対応力を懸念される可能性があるでしょう。
未経験者やブランクがある方は、パートやアルバイトから始めたり、保育補助として実績を積み徐々にステップアップしていったりする方法がおすすめです。正社員登用制度を設けている園であれば、将来的に正社員として働けるチャンスもあります。
50歳からの転職を保育士が考える5つの理由
ここでは、保育士が50歳を機に転職を考える主な理由を5つ紹介します。転職を視野に入れている方は、自身の状況と照らし合わせてみてください。
1.体力の衰えを感じている
50代の保育士の中には、体力の変化をきっかけに転職を考える人もいます。保育の現場では、園庭での遊びや行事の準備といった立ち仕事が多く、子どもと走り回ったり、抱っこやおんぶを繰り返したりする場面が日常的にあります。
また、年齢を重ねるにつれて、「以前は平気だったことがつらく感じる」「疲れがなかなか取れない」というように、体力の衰えを実感する場面が増えることも。体への負担を減らしつつ、これまでの経験を活かせる別の役割を求めて、転職を考える人も少なくありません。
2.人間関係に疲弊している
長年同じ保育園で働いていると、職場での人間関係が徐々に負担に感じられることがあります。特に若手職員が多い職場では、世代間の価値観の違いや保育方針をめぐって意見がぶつかることもあるかもしれません。
勤務年数を重ねてリーダーや主任といった立場になると、上司と現場の保育士の間で板挟みになり、ストレスが蓄積することも。そのため、「新しい環境で心機一転したい」と考え、転職を決意する50代の保育士もいるようです。
3.仕事と介護の両立が難しい
50代の保育士の中には、親の介護と仕事の両立が難しく、「勤務時間の調整がしやすい職場」や「短時間勤務が可能な職場」を求めて転職を考える人もいるでしょう。保育士の仕事は勤務時間が固定されており、急な休みを取りにくい傾向にあります。
介護のための通院付き添いや緊急時の対応が必要になった場合、現在の勤務体制では対応しきれずに悩むこともあるでしょう。正社員として働いている場合は、役職や責任が重くなるほど、休みづらいと感じるかもしれません。
4.新たなキャリアを模索している
現在とは異なる場所で新たなやりがいを見つけたいと考える50代の保育士もいます。現職でキャリアアップのチャンスが限られている場合、園長や主任のポジションを求めて転職を考えることもあるでしょう。子育て支援センターや児童福祉施設など保育園以外の施設で長年の経験を活かしたいと考える保育士もいます。
また、これまで育児との両立を優先してパート勤務を選んでいた保育士であれば、ライフスタイルの変化をきっかけに正社員としての働き方を目指すこともあるかもしれません。
5.仕事の責任にプレッシャーを感じる
50代の保育士の中には、豊富な経験があるからこそ寄せられる期待や責任が精神的な負担となり、転職を考える人もいます。若手保育士の指導や保護者対応、行事の企画・運営など、あらゆる場面でリーダーシップを求められやすく、重圧を感じることもあるでしょう。
近年は保護者対応が複雑化していたり、保育の質や安全への意識が高まりを見せたりしているため、ベテランであればあるほど高い水準での対応が求められることも。こうしたプレッシャーから解放されたいという思いや、もう少し肩の力を抜いて働きたいという願望から転職を検討する人もいるようです。
50歳からの転職で保育士が選択肢に入れる職場
ここでは、50代の保育士が検討したい職場の候補を紹介します。保育士資格を活かせる職場は保育園だけに限りません。視野を広げて考えることで、無理のない働き方を見つけやすくなります。
保育園
50代の保育士が保育園を転職先として考える場合は、小規模保育園や企業主導型保育園など、柔軟な働き方をしやすい園を検討するのがおすすめです。大規模園で体力的な負担を感じていた方も、小規模な園であれば、アットホームな雰囲気の中で無理なく働ける可能性があります。
また、公立保育園に比べて私立保育園は年齢に対して寛容な傾向にあるため、経験豊富な保育士を歓迎するところも少なくありません。勤務形態も正社員やパート、短時間の勤務など幅広く、自分の体力や家庭の状況に応じた働き方を選びやすいでしょう。
託児所
企業内保育所や商業施設内の一時預かり施設なども、50代の保育士にとって働きやすい職場といえます。一般的な保育園に比べて行事にかける時間や預かり時間も短めなため、比較的ゆとりを持って働けるのが特徴です。
また、企業内保育所によっては、一般社員と同じように福利厚生を受けられる場合もあります。特に、大手企業が運営する施設では、安定した雇用条件や待遇が期待できるかもしれません。
保育ママ
保育ママ(家庭的保育事業)は、自宅や専用スペースで少人数(通常3人まで)の子どもを預かる仕事です。一人ひとりの子どもと丁寧に関われるため、落ち着いた環境で保育をしたい50代の保育士に向いている働き方といえるでしょう。自宅を活用する場合は通勤の必要がなく、体力的な負担も抑えられます。
ただし、運営の状況次第では、保育園勤務に比べて収入が不安定になる場合があるため、生活設計とのバランスを考えて検討することが大切です。
出典
東京都福祉局「家庭的保育事業(いわゆる『保育ママ』制度)について」(2025年5月30日)
ベビーシッター
ベビーシッターは、依頼を受けた家庭を訪問し、子どもの世話を行う仕事です。これまでに培ってきた保育の知識や経験を直接活かせるため、経験豊富な保育士にとってはやりがいを感じやすい選択肢といえるでしょう。勤務時間や日数を自分のライフスタイルに合わせて調整できる点も魅力の1つです。
働き方には、ベビーシッターを派遣する会社に登録して仕事を紹介してもらう方法と、自ら依頼を受けて個人で活動する方法があります。未経験で始める場合は、会社を通じて仕事を得るほうが安心かもしれません。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)JobTag「ベビーシッター」(2025年5月30日)
児童館
児童館とは、子どもたちが自由に遊べる屋内型の児童福祉施設です。対象は18歳未満の児童で、年齢によっては保護者が付き添うこともあります。仕事内容は創作活動や遊びのサポートが中心で、保育園に比べて体力を使う業務や事務作業が少ないのが特徴です。
夕方までの固定勤務が基本のため、生活リズムを整えやすく、50代の保育士にとっても無理なく働ける職場といえるでしょう。
出典
こども家庭庁「児童館について」(2025年5月30日)
乳児院
乳児院は、家庭での養育が困難な0〜2歳ほどの乳幼児を預かる児童福祉施設です。24時間体制で子どもを見守る必要があるため、基本的にはシフト制での勤務となります。
乳児と接する際には、子どもが安心して心を開ける信頼関係を築くことが大切です。経験豊富な50代の保育士は落ち着いて子どもと関われるため、職場で頼りにされる存在となるでしょう。若手職員の指導も任されやすく、長年の経験を活かせる職場といえます。
出典
全国乳児福祉協議会「乳児院とは」(2025年5月30日)
児童発達支援センター
児童発達支援センターは、発達に課題のある子どもたちを対象に療育・支援を行う施設です。発達支援に関心があり、一人ひとりの子どもと丁寧に関わりたい50代の保育士に適した職場といえるでしょう。
専門的知識が必要な仕事ではありますが、その分、子どもの成長を継続的に支えられるやりがいもあります。勤務時間は平日の日中が中心のため、早朝や延長保育のある保育園に比べて規則的な生活を送りやすいでしょう。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障がいのある子どもたちが学校の放課後や長期休暇中に利用する福祉施設です。平日は午後からの勤務が中心となるため、朝の時間にゆとりを持てるのが特徴です。対象は主に学齢期の子どもたちで、抱っこやおむつ替えといった身体的な負担が少なく50代の保育士にとっても働きやすい環境といえるでしょう。
施設内では、支援計画に基づいて宿題のサポートや生活スキルの練習、遊びを通じた学びなどを行い子どもの自立を支援します。これまでに培ってきた保育経験を活かし、子どもの特性に応じた対応ができるベテラン保育士は、現場でも頼りにされるはずです。
出典
厚生労働省「放課後等デイサービスの現状と課題について」(2025年5月30日)
子育て支援センター
子育て支援センターは、地域の子育て家庭が交流したり、育児の悩みを相談したりできる場として設けられた施設です。子どもだけでなく保護者とも深く関わるため、コミュニケーション能力や長年の保育経験から得た知識を活かしやすい職場といえるでしょう。
勤務は平日の日中が中心のため、ワーク・ライフ・バランスを重視したい方にも向いています。フルタイムだけでなく、短時間の勤務もしやすい傾向にあるようです。
50歳からの転職を保育士が成功させるコツ
ここでは、保育士が50歳からの転職を成功させるための具体的なコツを解説します。どのような点に注意して転職活動を進めるのが望ましいか、実践的なポイントをまとめました。
体力や生活スタイルに合った働き方を選ぶ
50歳からの転職で重要なのは、自分の体力や生活状況に合った働き方を選ぶことです。正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣など雇用形態に幅を持たせることで、長く続けられる環境を見つけやすくなります。
親の介護が必要な場合は、「急な休みに対応してもらえる」「通勤時間が短い」「早朝・夕方の勤務を避けられる」といった職場を優先的に探すのがおすすめです。また、保育補助を選べば、担任業務に比べて体力的な負担が軽くなることもあります。
シフトや勤務時間の柔軟性をアピールする
土日勤務や早番・遅番のシフトに対応できる50代の保育士は、転職活動の際に「シフトの融通が利く」という点を積極的にアピールしましょう。保育施設の中には、若手職員の子育てを支援するためにシフト調整に苦労しているところも少なくありません。そのため、柔軟に働ける人材は貴重です。
急な欠員が出たときの代替要員として動けることや、行事前の準備で残業ができることなども伝えておくと採用担当者の印象に残りやすくなります。あくまで無理のない範囲で、自身の働ける条件を前向きに伝えることが大切です。
年齢不問・経験者優遇の求人を狙う
50歳からの転職では、「年齢不問」「経験者歓迎」「ベテラン優遇」などのキーワードのある求人に注目するのがおすすめです。このような記載のある求人では、年齢よりもこれまでの経験や人柄が重視される傾向にあります。
また、新設園や開園して間もない園では、保育の質を安定させるために、経験豊富な保育士を求めていることも少なくありません。面接の際は、若手職員の指導経験や保護者対応の実績といった自身の強みを具体的に伝えることで、好印象を与えられるでしょう。
募集要項や職場環境を入念に確認する
50代の保育士が転職先を選ぶ際は、募集要項をしっかり確認することが大切です。可能であれば職場見学を行い、実際の保育環境や職員の年齢層をチェックしましょう。50代以上の保育士が活躍している園であれば、年齢に対する理解や配慮が期待できます。
面接の際には、園の保育方針だけでなく、残業の頻度や持ち帰り仕事の有無、行事の規模なども確認しておくと安心です。また、転職エージェントを活用すれば、面接では聞きづらい細かな情報も把握できるため、入職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
50歳からの転職を考える保育士によくある質問
ここでは、50歳からの転職を考える保育士によくある質問に回答します。
保育士が50歳から正社員になることは可能ですか?
50歳の保育士も正社員として採用されることは可能です。ただし、求人票に「体力に自信のある方」「若手が活躍中」といった表現がある場合は、50代にはやや厳しい環境の可能性もあります。一方で、「経験を活かせる環境」「ベテラン保育士も多数在籍」などの記載がある求人は、年齢に理解があり50代も働きやすい職場と考えられるでしょう。
50代の保育士ですがパートとして働くのがしんどいです
50代の保育士がパート勤務をしんどいと感じる場合は、勤務条件の見直しや職場環境の変更を検討してみましょう。勤務日数を週3日から週2日に減らしたり、1日の勤務時間を短くしたりすることで、体力的・精神的な負担が軽くなることもあります。また、児童館や子育て支援センターなど、保育園以外の選択肢を視野に入れるのも1つの手です。
未経験で50代から保育士になるのは大変ですか?
50代から保育士を目指すのは簡単ではありませんが、やる気と努力があれば実現可能でしょう。求人を探す際はいきなりフルタイムで働くのではなく、短い勤務時間からスタートして少しずつ仕事に慣れていくことをおすすめします。小規模な保育施設やアットホームな雰囲気の園を選ぶと、未経験の保育士も受け入れてもらいやすいかもしれません。
まとめ
保育現場では人材不足が続いており、経験豊富な保育士のニーズが高まっています。そのため、50歳からの転職も十分に可能です。判断力や対応力が求められる管理職では、50代の保育士が即戦力として歓迎されることも少なくありません。無理のない転職を実現するためには、体力や生活スタイルに合った働き方を選ぶことが重要です。正社員だけでなく、パートや派遣など多様な雇用形態を検討することで、自分に合った職場を見つけやすくなるでしょう。
保育業界専門の転職支援サービスであるレバウェル保育士では、キャリアアドバイザーを通じて実際に働いている保育士の生の声を聞くことが可能です。同世代の保育士がいるかどうかも確認できるため、職場の雰囲気を具体的にイメージしやすくなりますよ。求人のご紹介はもちろん、書類作成や事業所とのやり取りも含めてトータルサポートするので、どうぞお気軽にご活用ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。