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契約社員の保育士は正社員やパートと何が違う?メリットや給料事情を解説
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現場で活躍中の保育士のなかには、契約社員の働き方が気になる人もいるのではないでしょうか?契約社員の保育士は、有期雇用契約を締結して「契約期間内で働く保育士」のことを指します。この記事では、契約社員の保育士がどのような働き方を実現できるのか、正社員やパートとの違いは何かをまとめました。また、気になる収入事情や働くうえでのメリット・デメリットも解説します。
目次
契約社員の保育士とはどんな働き方?
契約社員の保育士は、「有期雇用契約(期間の決まった雇用契約)」で働きます。契約期間は3年以内が基本な傾向にありますが、職場によっては契約を続けることで長く働くことが可能です。求人は1年契約の傾向にあり、契約期間の満了時に更新の有無を判断される仕組みとなっています。
なお、契約社員の保育士として働くには、「保育士資格」が必要です。専門性が問われることから、保育分野での高いスキルや適応力が重視されやすいでしょう。
契約社員の保育士と正社員・パート・派遣との違い
以下では、「契約社員・正社員・パート・派遣社員」の違いをまとめました。表を参考に、契約社員の働き方に対する理解を深めましょう。
契約社員 | 正社員 | パート・
アルバイト | 派遣社員 | |
雇用期間 | 有期
(更新される場合もある) | 無期 | 有期 | 有期
(原則3年以内) |
勤務時間 | 基本フルタイム(契約による) | フルタイム | 短時間~フルタイム | 契約先によって異なる |
業務内容 | 担任以外は正社員と大きな違いがない | 担任や保護者対応など幅広い | サポート業務中心 | 基本は補助的な業務 |
給与形態 | 月給・日給・時給
(契約による) | 月給 | 時給 | 時給が多い |
ボーナス | あり/なし
(契約による) | あり
(園の制度による) | なし | なし |
福利厚生 | 一部あり
(園の規定による) | 法定福利厚生と法定外福利厚生を受けられる | 法定福利厚生のみの場合が多い | 派遣元の会社の規定による |
雇用主 | 直接雇用 | 直接雇用 | 直接雇用 | 派遣会社 |
転勤 | 原則なし | 園によっては異動あり | 原則なし | 原則なし |
契約社員の保育士は、正社員に近い業務範囲と責任を担いながら、雇用期間に定めがあるという働き方が特徴です。待遇面では園の規定に左右されやすいため、働き始める前に契約内容や職場の方針をしっかり確認しておきましょう。
契約社員の保育士の役割と仕事内容とは?
契約社員の保育士は在籍期間がそれほど長くないため、正社員のサポート役という位置づけになっています。とはいえ、基本的には正社員と同じような業務を担うでしょう。契約社員の保育士が携わるのは、子どもたちの見守りや保育計画の実施、保護者対応などです。
担任や行事の企画といった責任の大きな仕事は、正社員が中心となって行う傾向にあります。ただし、人手不足の職場では、担任に近い業務を任されたり行事の準備を担ったりと、契約社員の業務範囲が広がることもあるので注意が必要です。契約社員は園と直接雇用を結んでいるため、シフトの調整をはじめとした柔軟な働き方を求められる場合もあります。
給料はどのくらい?契約社員の保育士の収入事情
契約社員として働く保育士の給与には、正式な統計データがないため、ここではハローワークの求人情報をもとにした実際の相場感を紹介します。ハローワークに掲載されている求人を参考にすると、月給でおおよそ19万円〜31万円前後というのが一つの目安となりそうです。20万円前後の求人が多く見られる一方で、条件が良い職場では月給30万円を超えるケースも確認できます。
ただし、この金額はあくまで一例であり、勤務地や保育園の方針、待遇などによって差が生じるでしょう。契約社員の場合、給与の支払い方法が時給や日給になっている場合もあるため、働き方によっても収入は変わってきます。給料を確認するときは、基本給の金額だけでなく、賞与や手当の有無、勤務時間などもしっかりチェックすることが大切です。
契約社員の保育士として働く4つのメリット
契約社員の働き方は、融通が利きやすいことやブランクがあっても歓迎されやすいことがメリットとして挙げられます。ここでは、契約社員の保育士として働くことで得られる主なメリットを4つ紹介します。
1.月給制の場合パートより収入が安定する
月給制の契約社員の場合、時給制のパートやアルバイトよりも安定した収入を得やすいのがメリットです。月給制の場合は毎月一定の収入を得られるため、公休日が多い月も手取りが減るという状況を避けられるでしょう。ある程度の収入を確保したい方にとっては、安心できる働き方といえるでしょう。
2.勤務時間や休みの条件に融通が利く
契約社員は、あらかじめ労働条件を話し合ってから働き始めるため、勤務時間や休みの条件に融通が利きやすいのがメリットです。たとえば、「子どもを保育園に預けてから出勤したい」「夕方は家事や介護があるので早めに退勤したい」「土日は必ず休みたい」などの希望を事前に伝えられ、その内容が勤務契約に反映されやすい傾向にあります。
また、正社員と比べてフルタイムの拘束が少ないため、週3〜4日勤務や時短勤務など、ライフスタイルに合わせた働き方も可能です。家庭やプライベートと両立したい人にとって、柔軟な働き方ができるのは大きな魅力といえるでしょう。
3.正社員登用につながることがある
契約社員の保育士求人で正社員登用制度が導入されている場合、正社員を目指せるチャンスが広がることもメリットです。正社員に向けて何度も面接を受けるよりも、契約社員として入社して実績を残すことで、結果的に正規雇用への近道になる可能性もあります。
また、実際に契約社員として働いてみることで、園の雰囲気や自分との相性を確かめながら判断できるのもメリットの1つです。「長く働ける職場かどうか」を見極めつつ、将来的に安定した働き方へつなげていきたい人にとって、おすすめの選択肢といえるでしょう。
4.未経験の方やブランクがある方も挑戦しやすい
契約社員の保育士求人は、採用のハードルがやや低めに設定されている場合もあります。園によっては「まずは期間を区切って働いてほしい」という意図で契約社員を募集していることもあるようです。保育士資格のある業務未経験者や子育てなどで現場を離れていた方にとっても、挑戦しやすい働き方といえるでしょう。
契約社員の保育士にみられる4つのデメリット
契約社員の保育士として働く際は、メリットだけでなくデメリットも存在します。ここでは、注意しておきたい4つのデメリットを解説するので、自分が納得できるかどうかを検討してみましょう。
1.正社員より給料が少なめになりやすい
契約社員は、正社員と比べて月給がやや低めに設定されている傾向にあります。業務内容や勤務時間が大きく変わらない場合であっても、給与面では差が出やすいのが現実です。また、福利厚生や各種手当などが正社員のみに適用されると、年収に差がつくこともあります。
2.昇給や昇進のチャンスが限られやすい
契約社員は、契約期間ごとに更新される雇用形態であるため、長期的なキャリアアップを前提とした「昇給」や「役職への昇進」の機会が少ない傾向にあります。保育園によっては定期的な昇給制度が設けられていますが、正社員ほどの評価体制が整っていないことがあるようです。将来的にキャリアアップを目指すなら、正社員登用制度の有無などもチェックしておくのが望ましいでしょう。
3.雇用が不安定になりやすい
契約社員の契約期間が終了すると、次の契約が更新されるかどうかは保育園側の判断次第です。たとえ仕事と真摯に向き合っていても、園の経営状況や人員体制の変化などによって契約が打ち切られる可能性もあります。
雇用の安定性を重視する方にとっては、やや不安を感じやすい働き方ともいえるでしょう。契約が切れた場合には、すぐに次の職場を探さなければならないことも想定しておく必要があります。
4.ボーナスや退職金が出ないこともある
契約社員として働く場合、ボーナスや退職金がもらえない傾向にあります。支給している園もありますが、正社員に比べると金額が少ないのが一般的です。
頑張りに応じたボーナスを得られないと、働き方に不満を感じてしまう可能性もあります。長く働いたあとの退職を考えている人にとっては、退職金の有無が将来の計画に影響することもあるでしょう。
こんな人におすすめ!保育士の契約社員という働き方
契約社員という選択肢は、ライフスタイルや働き方の希望に合わせて柔軟に働きたい方におすすめです。ここでは、契約社員としての働き方が合っている人の特徴を紹介します。
半年~1年で期間を決めて働きたい人
「今は長く働けないけど、保育士としての仕事には関わりたい」「実際に働きながら、保育士への適性を判断したい」という希望のある方は、契約社員の働き方に向いています。契約社員は雇用期間が決まっているため、満了後の計画を立てやすいでしょう。期間を区切って働きたい人や、次のキャリアに向けて行動したい人におすすめです。
勤務時間や休日を固定して働きたい人
「毎日決まった時間に働きたい」「曜日を固定して休みたい」など、働く時間や曜日の希望がある人にも、契約社員は向いています。正社員と比べると、契約社員は勤務条件について園側と相談しやすい傾向にあるので、土日休みや時間固定などの希望が通りやすいかもしれません。
子育て中の場合も勤務時間が固定されることで、保育園の送迎や家事との両立がしやすくなります。プライベートの時間を大切にしたい人にとっては、働きやすい環境といえるでしょう。
幅広い園で保育を経験したい人
1つの職場に限定せず、複数の保育園を経験して視野を広げたい方にも、契約社員の働き方はおすすめです。契約社員は期間を区切って働けるため、園を移りながら自分に合った職場の傾向を見つけられます。また、異なる保育方針や運営スタイルを実際に体験できるので、保育士としてのスキルや対応力を高めたい人にもぴったりです。
保育士が契約社員として働く前に確認したいポイント
「思っていた働き方と違った」「詳細を知らなかった」などのミスマッチを防ぐためにも、契約社員として働く前に抑えておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、雇用条件・給与・勤務時間・正社員登用制度に関する注意点を解説します。
雇用期間や契約更新の条件
契約社員の雇用は「期間付き」であることが一般的です。「6ヶ月契約」や「年度末まで」のように、あらかじめ契約期間が決まっており、契約満了時に更新があるかどうかは園ごとの判断になります。契約社員の保育士を検討する際は、「契約期間がいつからいつまでなのか」「更新の可能性があるのか」などを事前に確認しておくことが大切です。
また、契約が自動更新なのか、それとも都度面談や評価があるのかによっても、働くうえでの安心感が変わってきます。「引き続き働きたいのに契約終了」とならないためにも、条件面は見落とさないようにしましょう。
給与・賞与・手当の詳細
契約社員の場合、月給・日給・時給などの給与形態が園によって異なります。求人情報を見るときは、自分が希望する給与形態かどうかも照らし合わせておきましょう。あわせて、通勤手当、処遇改善手当、住宅手当、扶養手当などの有無や支給条件も細かく調べておくと安心です。
ボーナスがある求人に関しては、契約社員向けの評価基準がどのようになっているのか、年に何回支給されるのかも確認しておきましょう。
勤務時間・残業の有無・シフトの柔軟性
契約社員の保育士として働くときは勤務時間やシフトの柔軟性にも目を向ける必要があります。勤務の開始・終了時刻、1日あたりの労働時間、週の勤務日数、休憩時間など、気になる求人のスケジュールと自分のライフスタイルがマッチするかどうかを検討しましょう。
また、残業が発生する可能性についても、採用面接で確認しておくのがおすすめです。疑問や不安があるときはあいまいな部分をそのままにせず、失礼のないよう質問すれば、納得したうえで選考に進めるでしょう。
正社員登用制度の有無と実績
将来的に正社員として働くことを視野に入れている方は、正社員登用制度の実績がある職場を選ぶことが重要です。制度があるという事実だけでなく、実際にどれくらいの人が正社員に登用されているのかを確認しましょう。
また、正社員登用に向けた具体的な流れについても確認しておくと安心です。たとえば、「勤続〇年以上が条件」「園長推薦が必要」「面接・筆記試験あり」など、登用までのステップが園ごとに定められている場合があります。このような情報を事前に知っておけば、働きながらの対策がしやすくなるかもしれません。
契約社員の保育士に関してよくある質問
ここでは、契約社員の保育士についてよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
契約社員の保育士求人にはどんなものがある?
契約社員の保育士求人には、働き方や仕事内容に幅広い選択肢があります。たとえば、以下のような求人が見られます。
【児童発達支援施設でのサポート業務】
・発達に不安のある子どもへの遊び・学習支援や送迎業務。正社員登用制度あり、未経験OK。
【少人数保育での保護者支援重視の施設】
・読み聞かせや制作活動を通じて子どもと密に関わり、保護者の相談にも対応。OJTで安心スタート。
【認可保育園での保育士業務】
・月給25万円以上・年休125日など好条件。ブランク歓迎、Wワークも相談可能。
契約社員でも勤務形態や待遇、職場環境はさまざまなため、自分に合った働き方ができる職場を選びましょう。
契約社員から無期雇用に切り替えることができますか?
契約社員として同じ職場で5年以上働き、契約を更新し続けた場合、自分から申し出れば「無期雇用」に切り替えられます。無期雇用になると契約期間に期限がなくなり、雇用が安定するのがメリットです。ただし、正社員になるわけではなく、あくまで契約期間がなくなるだけなので、待遇は職場ごとに異なります。長く働く予定がある方は、こうした制度があるかどうかを事前に確認しておくと安心です。
まとめ
保育士の契約社員は、正社員と比べて雇用期間に定めがあるものの、勤務時間や仕事内容が大きく変わらないことから、ある程度の収入確保や経験を積むチャンスがあります。手当や福利厚生が充実しているケースもあり、「フルタイムで働きたいけれど正社員ほど縛られたくない」「一定期間だけ働きたい」という方には、契約社員という働き方が合っているかもしれません。
働き方や条件は園によって異なるため、自分の希望に合った職場を見つけることが大切です。「もっと条件の良い働き方をしたい」「今の環境を見直したい」と感じている方には、「レバウェル保育士」の利用もおすすめです。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。