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男性保育士の割合は?給料や働くメリットも解説
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「男性保育士の割合や現状について詳しく知りたい」という方もいるでしょう。男性保育士の割合は高くありませんが、保育士として活躍することは十分可能です。 この記事では、男性保育士の割合や給料、給与アップを目指す方法を解説します。男性保育士の働くメリット・デメリットや求められるスキルも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
男性保育士の割合は約5%
こども家庭庁の「保育士登録者数等(男女別)」によると、保育士登録している男性の割合は、令和6年4月1日時点で全体の約5%です。保育士登録をしている189万8,019人のうち、男性は9万8,676人と少数であることが分かります。
しかし、近年では幅広い職業で多様な視点や柔軟性が求められており、男性保育士の重要性も認識されています。性別に関わらず、幅広い人材が保育業界に進出すれば、保育の質の向上につながるでしょう。
出典
こども家庭庁「保育」(2025年4月24日)
男性保育士が少ない理由
男性保育士が少ない理由には、保育士の仕事に対するイメージと給与の低さが関連しています。それぞれの理由について詳しく解説します。
女性の仕事というイメージが根強い
男女雇用機会均等法が大幅に改正された1999年以前、保育士という名称は、保母と呼ばれていました。そのため、男性保育士の割合が少ない原因として保育士は女性の仕事というイメージが根強く残っていることがあります。男性が保育士の仕事に興味を持っても、女性が多い職場で自分の働く姿を想像しにくく、保育士を目指すのを辞めてしまうこともあるでしょう。
給与の低さから就業先の選択肢に入れていない
もう1つの男性保育士が少ない大きな理由として、ほかの業界に比べて保育士の給与水準が低いことが挙げられます。男性が保育士の仕事に興味がある場合も、保育士と比較して給与の高い業種で働く決断をするかもしれません。収入面の問題は、男性に限らず、保育士全体の人手不足につながっています。保育士の給与改善が進めば収入面の不安が軽減し、より多くの人が保育士の仕事に魅力を感じるでしょう。
男性保育士の給料
男性保育士の給料はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」より、保育士の男女別の給与を以下の表にしました。
性別 | きまって支給する現金給与額(月額) | 年間賞与その他特別給与額(年額) | 「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」 | 労働者数 |
男性 | 30万6,600円 | 80万6,000円 | 448万5,200円 | 1,816人 |
女性 | 26万8,900円 | 70万5,500円 | 393万2,300円 | 2万5,599人 |
参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別」
男性保育士の平均年収は448万5,200円、女性保育士の平均年収は393万2,300円です。保育士の年収には男女で約55万円の差があり、男性の年収の方が高い傾向にあります。保育士の平均年収に男女差がある原因としては、男性保育士の労働者数が少なく、年収が高い役職者などの保育士が男性の平均年収を引き上げていることが挙げられるでしょう。
出典
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2025年4月24日)
男性保育士が給与アップを目指すには?
男性保育士が給与を上げるには、公立保育園に就職したり夜勤手当がつく保育施設で勤務したりするのが効果的です。ほかにも、キャリアアップ研修を受講して役職に就いたり、自治体が独自の処遇改善を行っている地域で働いたりするのも収入の増加につながるでしょう。ここでは、男性保育士が給与アップを目指すための方法を紹介します。
公立保育園に就職する
公立保育園では、公務員として勤務するため雇用が安定しており、福利厚生が充実しています。勤続年数により定期的に昇進できる可能性も高く、男性保育士が長く働きやすい環境といえそうです。公立保育園で保育士としての経験やスキルを積むことで、役職に就くチャンスもあり、安定した収入が得られる可能性が高まるでしょう。
夜勤手当が支給される時間帯で働く
夜勤のある保育施設では、通常の時間外にも保育を行うため、夜勤手当が支給されるのが一般的です。夜勤が発生する24時間体制の保育園や、院内保育所で保育士として勤務すれば、夜勤手当を受けられ収入が増加します。夜勤勤務は体力を要するため、夜勤を希望しない保育士もいるようです。男性保育士が夜間に勤務すると、シフトに柔軟に対応できる人材として、保育園の貴重な戦力となるでしょう。男性保育士が夜勤で働くときは、十分に休息をとり体調を整えることが大切です。
保育士等キャリアアップ研修を経て役職に就く
保育士経験が概ね3年以上ある男性保育士は、保育士等キャリアアップ研修を受講して、役職に就くことを目指すのも収入を上げるための1つの手です。
厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ (p.1)」」によると、保育士等キャリアアップ研修を受講して、該当の役職に就けば月額5,000円~月額4万円までの処遇改善を受けられる可能性があります。
役職 | 要件 | 処遇改善の金額 | 上限人数 |
副主任保育士 |
| 最大月額4万円 | 園長・主任保育士を除く保育士等全体の概ね1/3 |
専門リーダー |
| 最大月額4万円 | 園長・主任保育士を除く保育士等全体の概ね1/3 |
職務分野別リーダー |
| 月額5,000円 | 園長・主任保育士を除く保育士等全体の概ね1/5 |
参照:厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」
処遇改善は保育園ごとに上限人数があるため、保育士等キャリアアップ研修を受講すれば、必ず保育士の給与がアップするわけではありません。しかし、保育士等キャリアアップ研修は、男性保育士が保育の知識や専門性を高め、役職に就くチャンスを広げるのに役立つでしょう。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年4月24日)
独自の処遇改善を行っている地域で勤務する
地域によっては保育士の働く環境を整備するために、独自の処遇改善を行っている自治体もあります。自治体が行う保育士の処遇改善では、保育士へ補助金を支給している場合もあるようです。
男性保育士が給与アップを希望する際は、自治体が保育士の処遇改善のための取り組みを積極的に行っている地域で働くのも、1つの選択肢でしょう。自治体が行っている保育士の処遇改善について内容を確認し、待遇の良い地域を探してみるのもおすすめです。
男性保育士のメリット
男性が保育士は、自身や園、子どもや保護者にどのような魅力やメリットがあるのでしょうか。ここでは、男性保育士のメリットを紹介します。
子どもに多様な価値観を教えられる
現在も男性保育士の割合は少ないため、勤務していない保育園も存在します。しかし、男性保育士が保育現場に勤務していると、子どもは家庭以外でも男性と関わる機会があり、新たな学びの場となります。男性保育士は、遊びや活動を通して子どもたちに性別の枠にとらわれないコミュニケーションを促し、子どもたちの社会性を育む役割を担える可能性があります。
体力や力強さを仕事に活かせる
保育士の仕事は、遠足や運動会などの行事で、体力を要する場面があります。男性保育士は、アクティブな活動や重い荷物の運搬などで、体力や力強さを活かすことが可能です。運動が得意な男性保育士は、体力を活かした遊びやスポーツを通して、子どもに体を動かす楽しさを教えられるかもしれません。男性保育士の体力を活かした活動は、子どもの運動能力の向上やストレス発散にも役立つでしょう。
同性の保護者が心を開きやすい
男性保育士は、男性の保護者にとってコミュニケーションをとりやすい点が大きなメリットです。男性の保護者が育児や子育てに関して悩みがある場合、同じ性別である男性保育士が勤務していると、相談しやすいことも多いでしょう。男性の保護者が抱える子どもとの関わり方や自身の役割に関する悩みに対し、男性保育士は自身の保育経験をもとにアドバイスできるかもしれません。男性保育士と男性の保護者が信頼関係を深めることで、子どもにとって安心できる環境づくりにもつながるでしょう。
保育士を目指す男性のロールモデルになれる
男性保育士は、今後、保育士を目指す男性にとって大切なロールモデルとなる存在です。保育士業界の現状は、女性保育士が多数を占めています。しかし、活躍する男性保育士が増えると性別に関係なく保育士を目指す人が増える可能性があるでしょう。男性保育士が経験を積んで、保育士としてのキャリアを積むことで、保育士を目指す人に安心感と希望を与えられるかもしれません。多様な人材が保育士になると、子どもたちにより質の高い保育を提供できるのもメリットといえます。
男性保育士のデメリット
男性保育士のデメリットとは何でしょうか。ここでは男性保育士のデメリットを紹介します。
女性の多い職場で肩身が狭いと感じやすい
保育園は女性の職員が多いため、男性保育士は肩身が狭いと感じる場合があるようです。特に、男性保育士として勤務したてのころは感じやすいかもしれません。男性保育士が積極的に職場の保育士とコミュニケーションをとり、互いに理解を深めることで職場に溶け込みやすくなるでしょう。保育士は、チームワークが大切な仕事のため、性別を超えて協力し合うことが大切です。
男性用の設備が整っていないケースも
女性の多い職場の課題点としては、保育園のトイレや更衣室などの設備が女性用しかない場合があることが挙げられます。男性保育士が男性用の設備が整っていない園で働くと、着替えや休憩の場面で不便を感じる場面があるかもしれません。男性保育士が求人を探すをする際は、志望先の保育園の設備を確認するのがおすすめです。
男性保育士を不安に思う保護者もいる
過去に発生した事件の影響により、中には男性保育士を警戒している保護者もいます。良い男性保育士であっても、最初は偏見の目で見られることがあるかもしれません。保護者の不安を和らげるためには、男性保育士は保護者と蜜にコミュ二ケーションをとることが大切です。男性保育士に限りませんが、子どもの性格や成長段階に合わせて、慎重に接する必要があります。すべての保育士は、子どもが安心できる適切な距離感でスキンシップをとることを心がけましょう。
男性保育士に求められている役割
男性保育士には、どのような役割が求められるのでしょうか。ここでは、男性保育士に求められる3つの役割をご紹介します。
1.多様な視点を育む
個人の資質もあるため、一概にはいえませんが、男性保育士は男性ならではの意見やアイデアを出し、子どもが多様な視点を育むサポートができるかもしれません。男性保育士と女性保育士が話しているのを見て、子どもがコミュニケーションの仕方を学べる場面もあるでしょう。また、男性保育士が男の子が好きな遊びや世界観を女性保育士に伝えてサポートできる可能性もあります。
2.体力を活かしたサポート
保育士の仕事は、長時間子どもを抱っこしたり、走り回って遊んだりと、体力が必要な場面が多くあります。男性保育士ならではの体力を保育に活かせれば、アクティブな活動を通して充実した時間を子どもたちに提供できます。男性保育士が体力を活かして業務に携わると、チーム全体の体力的な負担が軽減し、より良い保育環境を築けるでしょう。
3.女性が苦手な男の子への支援
中には女の子と話すのが苦手な男の子もいますが、同性の男性保育士ならば話しやすいケースも多いでしょう。同性ならではの話しやすさを活かしながら、女の子ともコミュニケーションがとれるようにサポートできるのが男性保育士の強みといえます。また、散歩や遠足など園外保育において、男子トイレに同行して男の子のトイレ介助に対応するのも役割として期待されるでしょう。
男性保育士が働きやすい職場の特徴
男性保育士にとって、求人に「男性保育士歓迎」と記載されている園や実際に男性保育士が勤務している園、風通しの良い社風の園が働きやすい傾向にありそうです。ここでは、男性保育士が働きやすい職場の特徴を解説します。
求人に「男性保育士歓迎」という記載がある
保育園の求人情報に「男性保育士歓迎」と明記されている場合は、性別に関わらず多様な人材を積極的に受け入れる姿勢がある園といえそうです。男性保育士歓迎と記載されていれば、男性保育士が安心してその保育園に応募でき、入職後は職場にスムーズになじみやすいでしょう。こうした職場は、男性保育士の意見や視点を積極的に取り入れ、職員間でも多様性が尊重される環境が整っている傾向にあります。
実際に活躍する男性保育士がいる
実際に男性保育士が保育園に在籍している園は、新しい男性保育士も安心して働ける環境が整っていることが多いでしょう。先輩として男性保育士が働いていれば、子どもとの関わり方や保育業務の進め方を参考にできます。保育園の文化として男性保育士が活躍しているため、性別に関わらず意見が尊重されやすい風土ができている職場の可能性が高いです。
風通しが良く多様性を尊重する社風がある
風通しの良い保育園は、保育士間で意見や要望を伝えやすく、連携がスムーズで働きやすい環境が整っています。性別に関係なく、多様な考え方や意見を尊重する社風がある園の場合、男性保育士は自身の強みを活かして活躍しやすいでしょう。すべての保育士が安心して意見を言い合える保育園では、男性保育士の長期的なキャリア形成がしやすくなります。
男性保育士の将来性
前述しましたが、男性保育士の割合は約5%と少ないのが現状です。現在、保育士は不足しています。多様な視点を育み、体力を活かしたサポートをできる男性保育士の需要は今後さらに高まる可能性があります。こども家庭庁「処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について (p.2)」によると、国は近年の深刻な保育士不足を解消すべく、2013(平成25)年以降、累計23%の給与改善および別途月額最大4万円の給与改善を行ってきました。
最近では男性保育士のYouTuberやインフルエンサーも増え、認知され始めています。男性保育士が勤務していると、外遊びやイベントなどの場面で助かることも多いでしょう。
男性保育士が保育士としてのスキルや専門性を磨き、リーダーシップやマネジメント力を身につけると、キャリアアップできる可能性も高まります。自身のスキルを活かしたキャリア形成ができれば、男性保育士の活躍の場が広がっていきそうです。
出典
こども家庭庁「第8回子ども・子育て支援等分科会」(2025年4月28日)
男性保育士によくある質問
ここでは、男性保育士が抱えるよくある悩みや質問に、Q&A形式でお答えします。
男性がセカンドキャリアとして保育士を選ぶことは可能?
男性がセカンドキャリアとして、保育士を選択することは可能です。保育業界は人手が不足しており、保育士のニーズは高まっています。ただし、保育士になるためには保育士資格が必要なため、資格を持っていない男性は取得が必要です。
厚生労働省の「保育人材の確保」によると、都道府県において、保育士資格を取得するためにかかる就学資金の貸付や受講費の支援を行っています。保育士資格がない男性は、資格取得のための支援制度を利用するのも1つの選択肢です。
男性がセカンドキャリアとして保育士を選択すると、これまでの経験や職業で培ったリーダーシップやコミュニケーション能力などのスキルが、保育現場でも強みとなるでしょう。男性保育士に求められている役割について、詳しく知りたい方は、本記事の「男性保育士に求められている役割」をチェックしてください。
出典
厚生労働省「保育人材の確保」(2025年4月24日)
男性保育士のあるあるを知りたい
男性保育士は同僚や子どもたちから体力やパワーを期待される場面が多いといえます。運搬などの力仕事や高いところを掃除するなどの業務が発生した場合、男性保育士は同僚から頼りにされる傾向にあるようです。男性保育士は、クリスマス会のサンタ役や節分の鬼役など、イベントでの役割を任される可能性があるでしょう。また、男性保育士は子どもたちに外遊びなどの体を使った遊びを求められることもあるようです。
男性保育士も勤務中にエプロンを着用する?
男性保育士もエプロンを着用して勤務するのが一般的です。保育士のエプロンは、保育中の衣服の汚れを防止するほか、ポケットに文房具などを収納しておくのに役立ちます。保育士の仕事は、子どものおむつ替えや食事の介助など衣服が汚れやすい場面が多いため、エプロンを着用することで安心して活動することが可能です。
また、男性保育士がエプロンを着用すると、子どもや保護者が一目で保育士と認識できるというメリットもあります。保育園の規定に従うことを前提に、エプロンはサイズやポケットの数などの機能面を考慮して選びましょう。子どもが喜びそうなデザインを重視するのもおすすめです。
まとめ
現在、男性保育士の割合は全体の約5%と少数派ですが、保育現場に多様性をもたらし、男性保育士の強みを活かして活躍しています。ほかの業界と比較すると男性保育士の給与水準は高いとはいえませんが、公立保育園で勤務したり、キャリアアップ研修を修了して役職に就いたりすると給与アップが目指せそうです。男性保育士が働く職場を検討する際は、男性保育士を歓迎している施設や男性保育士が活躍している保育園を選ぶと、働きやすい環境の可能性が高くて安心でしょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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