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認可保育園で働く保育士のメリットは?デメリットも合わせて解説
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「認可保育園で働くメリットにはどのようはものがある?」と気になっている保育士もいるでしょう。認可保育園で働くメリットは、「給与が安定しやすい」「スキルアップする環境が整っている」などが挙げられます。 この記事では、認可保育園で働く主なメリットとデメリットについてまとめました。自分に合った認可保育園の求人を探す方法も紹介するので、希望する働き方を見つめ直してみましょう。
目次
認可保育園で働く保育士のメリット
認可保育園で働く保育士のメリットは、「給与や待遇の安定性」や「自治体からの支援」などです。ここでは、認可保育園で働く保育士の主なメリットについて解説します。
給与や待遇が安定している
認可保育園で働くメリットには、給与や待遇が安定していることが挙げられます。認可保育園は、自治体からの補助金によって運営されているため、保育士の給与や昇給、福利厚生などが安定しやすいようです。
認可保育園の運営費は、自治体が保護者から徴収した保育料に、年齢別に決められた額の補助金をプラスして各認可保育園に支給される仕組みになっています。国からの補助金は、認可保育園の運営に加えて、保育士の給与や待遇を安定させる要素になるようです。
自治体から手当や補助を受けられる
認可保育園で働く保育士のメリットは、自治体から手当や補助を受けられることです。たとえば、以下のような手当や補助の対象になる可能性があります。
処遇改善加算:保育士の給与水準を引き上げるための加算
住宅補助:保育士向けの住宅補助制度(保育士宿舎借り上げ支援事業)
就職支援金:新卒保育士や保育士として復職する人向けの就職支援金(保育士修学資金貸付等事業)
自治体による手当や補助は、保育士の生活支援や職場定着率の向上、保育の質の向上などにつながるメリットがあります。なお、支給条件や金額は自治体によって異なるため、職場に確認することが重要です。
出典
こども家庭庁「処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について」(2025年5月14日)
首相官邸「保育士宿舎借り上げ支援事業」(2025年5月14日)
こども家庭庁「令和7年度保育関係予算概算要求の概要(p.11)」(2025年5月14日)
国の認定基準を満たし適切に運営されている
認可保育園で働くメリットは、国の認定基準を満たし適切に運営されていることも挙げられるでしょう。認可外保育園も自治体の基準に則って運営されていますが、認可保育園はより厳しい基準を満たし運営されています。子どもの人数に対して保育室の面積が決まっていたり園庭が設置されていたり、認可保育園は保育環境が整備されているため、働きやすいと感じるかもしれません。
また、保育士の業務負担を考慮し、職員の人数や配置も決められています。こども家庭庁の「令和7年度保育関係予算案関連資料」によると、2024年度から4・5歳児における保育士1人あたりの人数は30人から25人への改正が行われました。2025年度以降には、1歳児における人数の見直しも行われるようです。認可基準は、保育士の業務負担軽減に向けて見直されています。
出典
こども家庭庁「保育対策関係予算の概要」(2025年5月14日)
園児を集める業務負担が軽減される
認可保育園で働く保育士のメリットは、園児を集める業務負担が軽減されることです。認可保育園の園児募集や保護者向けの案内などは、自治体が主体となって実施するため、広報活動の負担が軽減されます。
自治体は、保護者に対し空きのある認可保育園の案内もしてくれるため、園児を集める手助けになってくれるようです。園児を集める広報活動や保護者への案内などの業務負担が減ると、保育士はより保育業務に集中しやすい環境で働けます。
働きやすい環境が整備されている
働きやすい環境整備がされていることも、認可保育園で働く保育士のメリットです。認可保育園では、保育補助の配置やICTの導入に関して自治体から補助金が出ることがあります。補助金の支給条件は自治体によって異なりますが、認可を受けていることを条件にしている場合もあるようです。
こども家庭庁の「令和7年度保育関係予算案の概要(p.10)」によると、保育補助の配置により国や自治体から補助金が出る制度が実施されています。保育補助は保育業務のサポート役となるため、保育士の業務負担軽減が可能です。
また、「同資料(p.14)」によると、ICTを活用した業務システムに対して導入費用の一部が補助される制度もあります。アプリで登園・降園を管理したり保護者と連絡帳のやり取りをしたり、ICTの導入によって事務作業の負担が軽減され、保育士の働きやすさにつながっている認可保育園もあるようです。
出典
こども家庭庁「令和7年度保育関係予算案の概要」(2025年5月14日)
スキルアップする環境が整っている
認可保育園の保育士は、スキルアップする環境が整っていることもメリットです。認可保育園で働く保育士は、各自治体で開催される研修に参加できます。厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」によると、研修では職務分野別リーダーや副主任保育士などの役職に就くために必要な知識を身につけることが可能です。
研修では、乳児保育や障害児保育、食育・アレルギー対応など、専門的な知識を身につけられます。研修で身につけた知識を実務経験で活かせば、保育士としてのスキルアップにつながるはずです。また、研修で身につけたスキルは、転職時のアピール材料にもなるかもしれません。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年5月16日)
キャリアアップを目指せる
認可保育園で働くメリットは、保育士としてキャリアアップを目指せるることです。厚生労働省の「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」によると、保育園におけるリーダー的な職員の育成のため、初任後から中堅までの保育士向けに各自治体で研修が実施されています。
「東京都保育士等キャリアアップ研修」によると、東京都の場合は公設民営や私立の認可保育園で働く保育士の受講料が免除。認可外保育施設で働く保育士は、受講料免除の対象外とされています。保育士としてキャリアアップしたい方や役職に就きたい方は、認可外より認可保育園のほうがキャリアアップする環境が整っていると感じるかもしれません。なお、自治体によって研修の実施要件は異なるので注意が必要です。
出典
厚生労働省「保育士等(民間)のキャリアアップの仕組み・処遇改善のイメージ」(2025年5月14日)
東京都「東京都保育士等キャリアアップ研修」(2025年5月14日)
認可保育園で働く保育士のデメリット
ここでは、認可保育園で働く保育士が直面する可能性のある主なデメリットを解説します。公立保育園への就職の難しさや、業務負担の大きさについて把握しておきましょう。
公立保育園は採用ハードルが高い
公立保育園の公務員保育士を目指す場合は、採用ハードルの高さがデメリットといえます。雇用や待遇が安定している公務員保育士は、自治体ごとに募集人数が限られているため、競争率が高くなることが考えられるでしょう。
公務員保育士になるためには、「保育士資格保有」や「保育士資格取得見込み」の受験資格を満たしたうえで、筆記試験や面接などの公務員採用試験に合格しなければいけません。年齢制限や経験者採用の枠が限られていることもあるため、公務員保育士を目指したい場合は計画的に準備を進めることが重要です。
行事やイベントの業務負担が大きい職場もある
認可保育園によっては行事やイベントの業務負担が大きく、保育士にとってデメリットになることもあります。子どもの定員が多く規模が大きい認可保育園では、準備や運営などの業務負担が増えやすいようです。運動会の装飾や発表会に向けた衣装の準備など、行事前には残業や持ち帰り仕事が発生する可能性もあります。
また、行事は土日に行われることもあるため、休日出勤が必要になるかもしれません。行事の成功へのプレッシャーや、保護者の期待に応えるためのストレスを負担に感じる保育士もいるようです。行事やイベントによる業務負担が気になる場合は、認可保育園のWebサイトや求人情報などで事前に情報収集しておきましょう。
自分に合った認可保育園の求人を探す方法
一口に認可保育園といっても、施設ごとに保育方針や働く環境などは異なるため、自分の希望条件に合った求人を探すことが重要です。ここでは、自分に合った認可保育園の求人を探す方法について解説します。
転職の軸や希望条件を明確にする
認可保育園の保育士求人は、転職の軸や希望条件を明確にしたうえで探しましょう。希望条件を整理し優先順位をつけると、自分にとって譲れない条件と妥協可能な条件が明確になります。年収や通勤時間、園の規模、キャリアアップの機会など、どの条件が譲れないか検討してみましょう。
転職の軸や希望条件は、面接時に質問される可能性もあります。定期的に自己分析を行い、キャリアの各段階で自分の希望条件を見直すことも大切です。
保育方針や職員体制など園の特徴を把握する
自分に合った認可保育園の保育士求人を見つけるには、各園の保育方針や職員体制といった特徴を把握することが重要です。以下のような内容は、認可保育園のWebサイトや求人情報に掲載されている可能性があるため、確認しておきましょう。
保育理念や方針:園が大切にしている価値観や教育方針
保育カリキュラム:日々の保育活動の内容や特色ある教育プログラム
行事の頻度と規模:年間行事の予定や内容
園の設備:園庭の有無や保育室の環境、ICT機器の導入状況
職員体制:保育士の人数や年齢構成、男女比
研修制度:研修の実施状況やキャリアアップの機会
働き方:平均残業時間や有給取得率
可能であれば園見学をさせてもらい、実際の雰囲気を肌で感じるのも手です。各園の特徴を情報収集すれば、自分の価値観と合致する園を見つけられたり、ミスマッチを防げたりします。
転職エージェントに求人紹介してもらう
認可保育園の求人は、保育士向けの転職エージェントに紹介してもらう方法もあります。保育士向けの転職エージェントでは、保育業界の転職事情に詳しいプロから自分に合った求人を紹介してもらうことが可能です。また、最新の保育業界の傾向や求人状況について、詳しい情報を得られます。経験やスキル、将来のキャリアプランに基づいたアドバイスや、応募書類の添削や模擬面接など選考対策が受けられることもメリットです。
給与や勤務条件の交渉は、エージェントが代行してくれることもあります。転職エージェントからのアドバイスを積極的に取り入れ、視野を広げることで、より良い転職先を見つけられる可能性が高まるでしょう。
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認可保育園で働く保育士に関するよくある質問
ここでは、認可保育園で働く保育士に関する質問について、Q&A形式で答えます。「保育士資格の必要性」「認可外保育園や認証保育所との違い」などについてまとめました。
認可保育園は保育士資格なしで働ける?
保育補助であれば、保育士資格なしで働ける可能性があります。保育補助は、保育士のサポート役として子どもの遊びの見守りや食事のサポート、保育室の片付けなど、保育業務全般を担当する仕事です。保育士資格の有無による明確な業務の線引きはないため、休みの保育士に代わって、保護者対応や事務作業を担当する場合もあります。
認可外保育園と比較した際の認可保育園のメリットは?
認可保育園は認可外保育園より厳しい基準を満たし運営されているため、保育環境や職員の配置などが整いやすいことがメリットです。また、キャリアアップに向けた研修も実施されているため、役職に就くための知識を身につけられる可能性があります。認可外保育園のメリットの詳細は、この記事の「認可保育園で働く保育士のメリット」を参考にしてみてください。
認可保育園と認証保育所の違いは?
認可保育園と認証保育所の違いは、運営の基準です。認可保育園は、国が決めた認可基準(児童福祉法)に沿って運営されています。一方、認証保育園における運営の基準は各自治体です。
東京都の「認証保育所について」によると、認可保育園だけでは応えきれていないニーズに対応するため、都独自の基準をもとに認証保育園が設置されています。「退社の遅い人にも対応してほしい」「送り迎えが便利な場所で預かってほしい」など保護者の声に合わせて、認可保育園より運営や設置の基準を緩和して、開園時間を長くしたり駅前に設置したりするようです。
出典
東京都「認証保育所について」(2025年5月15日)
まとめ
認可保育園で働く保育士のメリットは、「給与や待遇が安定している」「園児を集める負担が軽減される」「働きやすい環境が整備されている」などです。認可保育園は国の基準に基づき自治体からの補助金によって運営されるため、保育士の待遇や働く環境が整いやすくなります。一方、公務員保育士を目指す場合はハードルが高かったり、行事の負担が大きくなったりするデメリットを感じることもあるようです。
認可保育園の保育士として働くメリット・デメリットは園の運営方針や特色、職場環境によっても異なります。認可保育園の保育士求人を探す場合は、転職の軸や希望条件を明確にしたうえで、各園のWebサイトや園見学により情報収集することが重要です。1人で求人を探したり選んだりするのが不安な方は、保育士向けの転職エージェントであるレバウェル保育士にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。