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保育理念とは?目標との違いや保育園別の例、保育士が心がける場面

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園児と遊ぶ保育士のイメージ

「保育理念とは、どのようなものなのか」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。保育理念とは、園のコンセプトや価値観のことです。 この記事では、保育理念と保育目標の違い、施設別・アプローチ別の例を紹介します。また、保育理念に基づいた保育士の役割や心がける場面についても解説しますので、見ていきましょう。転職時において、保育理念をもとにした志望動機・面接対策も解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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保育理念とは

保育理念とは、保育園のコンセプトや大切にしている価値観などを表したものです。
保育士は保育理念に基づき指導案を作成したり、子どもを保育したりします。保育理念は、保育園で働く保育士の認識や方向性を統一する指標になるでしょう。

保育理念と保育目標・保育方針・保育指針の違い

通常、保育園では保育理念のほかに保育目標や保育方針、保育指針も掲げられています。ここでは、保育目標・保育方針・保育指針について解説するので、保育理念との違いを把握しておきましょう。

保育目標とは

保育目標では、保育理念より具体的な内容が示されています。たとえば、「自分のことを大切にできる子に育てる」「協調性を養う」など、園が目標とする子どもたちや保育士の姿が表現されているでしょう。なお、園によっては、園全体だけでなく年齢ごとに保育目標が立てられている場合もあるようです。

保育方針とは

保育方針は、保育理念や保育目標を実現するために立てられる、保育の方向性を示すものです。たとえば、「基本的な社会のルールやマナーを集団生活のなかで学ぶ」「五感を使ったさまざまな機会をつくる」など、保育士がどのように保育を実施していくかが示されます。

保育指針とは

保育士指針とは、保育園を運営する基準やガイドラインとなるものです。一般的には、厚生労働省の「保育所保育指針新規タブリンク」が保育園の保育指針になります。保育園は、ほかの施設と保育環境や保育の質に差が出ないように、保育指針をもとに運営する必要があるでしょう。

出典

厚生労働省「保育所保育指針新規タブリンク」(2025年5月21日)

【施設別】保育理念の例

ここでは、施設別に保育理念の例を紹介します。どのような保育理念があるのか、一例として参考にしてください。

公立保育園の保育理念の例

公立保育園では、自治体で統一された保育理念があります。たとえば、東京都江東区の「区立保育園の統一理念新規タブリンク」によると、以下のような「区立保育園統一保育理念」に基づいた保育が実施されています。

  • 子どもの人権や主体性を尊重し、自己肯定感を持てる子に育てます

  • 保護者に寄り添い、子育てを支援します

  • 地域社会との信頼関係を築き、子育ての輪を広げ、共に歩みます

自治体統一の保育理念を前提として、保育園ごとに保育目標や保育方針が立てられていることもあるでしょう。

出典

江東区「区立保育園の統一理念新規タブリンク」(2025年5月21日)

私立保育園の保育理念の例

私立保育園は、園のコンセプトや施設の形態、宗教などをもとにした保育理念が掲げられています。たとえば、以下のような保育理念です。

  • 思いやりと感謝の心を育てる教育

  • ◯◯精神に基づき園児の円満な人格を形成する

  • 一人ひとりの個性や違いを認めてグローバルな心を育てる

私立保育園では、特色ある保育理念を掲げていることもあります。

小規模保育園の保育理念の例

小規模保育園では、少人数制や家庭的な雰囲気である特徴を保育理念で示しているケースがあります。たとえば、「一人ひとりの心を大切にする」「少人数制の家庭的な保育」などです。小規模保育園では、小規模ならではの保育の良さを表現した保育理念が掲げられていることが多いようです。

家庭的保育事業の保育理念の例

家庭的保育事業とは、乳児や幼児などを家庭的保育者の自宅や専用施設などで保育する事業です。家庭的保育事業も小規模保育園と同じく、少人数だったり、家庭的な雰囲気だったりすることを表す保育理念を掲げているケースがあります。 \

【アプローチ別】保育理念の例

ここでは、アプローチ別に保育理念の例を紹介します。保育理念には、保育のかたちを示したりスローガン形式で表したり、さまざまなアプローチ方法があるでしょう。

保育のかたちを示した保育理念の例

保育理念では、保育園の雰囲気や子どもとの関わり方など、保育のかたちを示すことがあります。たとえば、「家庭的であたたかい保育園を目指す」「子どもと保護者に寄り添う保育」などです。保育のかたちは、保育園が注力していることや教育方針などから決められるでしょう。

子どもの姿を示した保育理念の例

保育園では、保育をするうえでの想いや願いとして、子どもの姿を示した保育理念を掲げることがあります。たとえば、「自己肯定感の高い子どもを育む」「思いやりの心を養う」などです。理想とする子どもの姿や行動をもとに、保育理念が掲げられているでしょう。

スローガン形式で表した保育理念の例

「笑顔があふれる保育園」「やさしくかしこくたくましく」など、スローガン形式で保育理念を示すこともあります。スローガン形式の保育理念は、短い言葉で表現されるため覚えやすいでしょう。また、印象に残りやすく、保育士や保護者に発信、浸透しやすいといえます。

意欲を示す保育理念の例

意欲を示す保育理念は、たとえば、「子どもが安心して過ごせる保育環境を目指す」「地域の子育て支援として、頼りになる保育園を志す」などです。意欲を示す保育理念は言葉に対して強さが感じられることが多いでしょう。

保育理念に基づいた保育士の役割

保育士は、保育理念に基づいた保育を実施する役割を担っています。保育理念をもとに保育士が業務に取り組むと、保育園がまとまり保育の質が向上するでしょう。

また、保育理念をもとに保育が実施されていれば、保護者からの信頼も得やすくなります。保育士は保育理念に沿った行動がとれているか考えながら、業務に取り組むことが大切です。

保育士が保育理念を心がける場面

ここでは、保育士が保育理念を心がける場面や意識するタイミングについて紹介します。保育理念は勤務しているときだけでなく、転職活動時にも意識する必要があるでしょう。

子どもの保育で悩んだとき

保育士が子どもの保育で悩んだときは、保育理念に基づいた解決策や対処法を検討することが大切です。保育理念では、保育のかたちや子どもの姿を示しているため、どのように関わったら良いか方向性を決めやすくなります。保育理念に基づいて方向性が決まれば、具体的な子どもとの関わり方や対応方法なども検討しやすくなるでしょう。

保護者と関わるとき

保育士は、保護者との関わりにおいても、保育理念を意識する必要があります。保育士の言動が保育理念に基づいていれば、子どもに対する思いや対応に一貫性が出て、保護者からの信頼感を得られるためです。保育理念は、入園説明会や入園式などで保育園全体に周知されるため、保護者と関わる際にも大事にしましょう。

職員間で意見や認識をすり合わせるとき

職員間で意見や認識をすり合わせるときにも、保育理念を心がけることが重要です。保育士間での会議や話し合いでは、保育観のズレから意見が食い違うこともあるでしょう。個々の保育観や意見も大事ですが、優先度が高いのは保育園の保育理念です。職場の保育理念に基づいた意見や認識をすり合わせていけば、それぞれの保育観を持っていたとしても同じ方向を向いて働けるでしょう。

就職・転職活動のとき

就職・転職活動において、応募先の保育理念を意識しながら、応募書類を作成したり、面接対策を行ったりすると有効です。転職先の保育理念と自分の保育観が合っているか、共感できるかなどを検討すればミスマッチを防げるでしょう。また、保育理念に強く共感した場合は、志望動機に記載すると好印象につながる可能性があります。

転職時の保育理念をもとにした志望動機・面接対策

ここでは、保育理念をもとにした志望動機の例文や面接の回答例を紹介します。転職を検討している保育士の方は、参考にしてみてください。

保育理念をもとにした履歴書の志望動機における例文

履歴書の志望動機においては、以下のように保育理念への共感を示し、求める人物像に合っていることをアピールしましょう

私が貴園を志望した理由は、保育理念の「一人ひとりに寄り添う保育」に共感したからです。私は前職の認可保育園で3歳児クラスを担任していました。一人ひとりとじっくり向き合い話したり成長を見守ったりすることで、子どもへの理解を深めていきました。

保育士はマルチタスクで忙しいですが、一人ひとりの子どもに寄り添う姿勢が安心できる環境作りや信頼関係につながると感じています。そのため、貴園であれば、一人ひとりに寄り添う保育理念に基づき、大事にしている保育観が実現できると思ったため志望しました。

上記のように、保育理念に共感した理由は具体的なエピソードを交えながら伝えると説得力が増すのでおすすめです。

保育理念をもとにした面接における回答例

ここでは、面接において保育理念に関する質問をされた際の回答例を紹介します。

「保育理念をどう思うか」への回答例

保育園の採用面接では、保育理念について聞かれる可能性があります。以下は、「家庭的であたたかい保育園を目指す」という保育理念に対する回答例です。

子どもが安心して過ごせる保育環境をつくるには、貴園の保育理念である「家庭的であたたかい保育園を目指す」ことが重要だと感じています。
また、私は保育士として働くうえで、笑顔で明るい雰囲気づくりを大事にしているため、自分の保育観と貴園の保育理念が一致していると思いました。

面接では、保育園への理解度を判断するために、保育理念について聞かれる可能性もあります。そのため、事前にホームページなどで保育理念を確認し、どのように感じたかをまとめておきましょう。

「保育観」を質問されたときの回答例

保育園の保育理念や求める人物像とマッチしているか確認するために、保育観について質問されることもあります。保育観とは、保育士が保育するうえで大事にしている価値観のことです。たとえば、「思いやりの心を養う」という保育理念を掲げている場合の回答例は、以下のとおりです。

私は、保育するうえで、「子ども同士の関わりから成長を促す」ことを大事にしています。子どもたちだけで考えたり協力していたりする場面では、必要以上に介入せずに見守ると、互いを思いやる心が養われるからです。貴園においても、「思いやりの心を養う」保育理念が掲げられているため、自身の保育観に通じると共感しています。

自身の保育観を質問されたときには、園の保育理念とズレないように注意するのがポイントです。保育理念と保育観の共通点を見つけ、共感している点を示すと好印象につながるでしょう。

「自身の保育観に合った保育理念を掲げる園を探したい」という方は、保育業界専門の転職支援サービス「レバウェル保育士」へご相談ください。「レバウェル保育士」では、プロのアドバイザーがあなたに合った求人をご紹介します。

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保育理念に関するよくある質問

ここでは、保育理念に関するよくある質問にQ&A形式で答えます。

保育理念の作り方は?

保育理念は、保育園のコンセプトや方針をもとに作ります。園長や主任保育士だけでなく、現場の保育士を交えて意見を出し考えることもあるようです。また、保育理念は保育園のブランディングに関わるため、広告会社やコピーライターなどにアドバイスをもらい作る場合もあります。

転職時に保育理念への共感をアピールする方法は?

面接において、保育理念への共感を示すと好印象につながる可能性が高いでしょう。保育理念についてどう思うか質問される可能性もあるため、事前に園のホームページなどで確認して感じたことをまとめておきましょう。志望動機や面接の回答で保育理念への共感をアピールする具体的な方法は、この記事の「転職時の保育理念をもとにした志望動機・面接対策」を参考にしてください。

まとめ

保育理念とは、保育園のコンセプトや大切にしている価値観などを表したものです。保育士は保育理念に基づき指導案を作成したり、子どもを保育したりします。
保育園では、園のコンセプトや施設の形態、宗教などをもとに保育理念が掲げられています。保育士は、保育理念に基づいた保育を実施します。保育理念をもとに保育士が業務に取り組めば、保育園がまとまり保育の質が向上するでしょう。

保育理念は勤務しているときだけでなく、転職活動時にも意識する必要があります。転職先の保育理念と自分の保育観が合っているか、共感できるかなどを検討すればミスマッチを防げるでしょう。また、保育理念に強く共感した場合は、志望動機に活用すると好印象につながる可能性があります。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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