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派遣保育士の時給が高い理由は?給料の相場や働くメリットも解説
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保育士のなかには、「派遣保育士の時給が高い理由は?」と気になる方もいるかもしれません。派遣保育士は、人材の確保が重視されていることや、ボーナスが支給されないことから時給が高く設定される傾向にあります。 この記事では、派遣保育士の時給が高めである主な理由をまとめました。時給が高い派遣保育士として働くメリットとデメリット、適性のある人物像についても解説しているので、参考にしてみてください。
目次
派遣保育士の時給が高い理由
派遣社員として働く保育士の時給が高い理由には、人手不足や人件費の調整などが挙げられます。高時給は魅力的ですが、その背景にある事情を理解することが重要です。ここでは、派遣保育士の時給が高く設定される主な理由を解説します。
保育士の人手が不足しているから
保育士の人手不足は、派遣保育士の時給が高くなる理由の一つです。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」によると、共働き世帯は年々増加傾向となっています。少子化が進む一方で、共働き家庭の増加により保育需要は高まっているといえます。そのため、迅速に人材を確保する必要がある保育施設では、派遣会社を通じて保育士を雇用することもあるでしょう。
人材確保の重要性から、派遣会社は保育士を集めるために高い時給を提示することが考えられます。また、保育士資格を持つ人材は限られているため、優秀な方を確保する必要があり競争が激しいこともあるようです。需要と供給のバランスが取れていない状況は、派遣保育士の時給を押し上げる理由につながります。
出典
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」(2025年5月13日)
社会保険料や教育などの人件費が抑えられるから
派遣保育士の時給が高く設定される理由の1つに、雇用主側のコスト削減があります。直接雇用の場合、雇用主は給与以外にも社会保険料や福利厚生費、教育研修費など、さまざまな人件費の負担が必要です。しかし、派遣社員の場合、これらの費用の多くは派遣会社が負担します。そのため、派遣の保育士を採用すれば、保育園は総合的な人件費を抑えつつ、時給を高く設定することが可能です。
また、派遣社員は必要な期間だけ雇用できるため、長期的な人件費の負担を軽減できます。スキルを持った人材を即戦力として活用でき、教育にかかるコストと時間を抑えることも可能です。これらのコスト削減分が時給に上乗せされ、魅力的な条件になるといえます。
ボーナスがないから
一般的に派遣社員にはボーナスが支給されないため、その分を月々の給与に上乗せする形で時給に反映させていることがあります。たとえば、年間の総支給額を12ヶ月で割った場合、正社員の保育士に比べボーナスのない派遣保育士のほうが月額でみると高くなることがあるようです。
ただし、ボーナスの支給額分が派遣保育士の時給にすべて反映されるわけではないため、一般的に正社員のほうが年収は高くなります。派遣保育士の時給は高く見えがちですが、年間を通しての収入を考慮することが重要です。
雇用が不安定というリスクが考慮されるから
派遣保育士は、正社員のように長期的な雇用が見込めないために、時給が高く設定されることがあります。一般的に派遣社員は契約期間が定められており、雇用が不安定です。また、派遣先の事情により、契約期間中でも突然の契約終了や勤務日数の減少などのリスクがあります。
さらに、派遣社員は正社員と比べて昇給や昇進の機会が限られていることも多く、将来的なキャリアアップの可能性が低いことの代わりに、時給が高く設定されることもあるようです。好条件な職場に勤務できても、長期的に安定した収入やキャリアを保証されるわけではないので注意しましょう。
派遣保育士の時給は高い?
パートやアルバイトに比べると、派遣保育士の時給は高くなる可能性があります。厚生労働省の「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(p.9)」を基に、派遣保育士含む社会福祉専門職業従事者の日給を時給に換算すると、約1,400円という結果でした。地域や職場によって異なりますが、おおよそ1,200〜1,800円と考えて良いでしょう。
こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査(p.11)」によると、私立保育園における保育士の給与月額(賞与込み)と時給相場は以下のようになっています。
保育士 | 給与月額(賞与込み) | 時給(1日8時間・月20日勤務の場合) |
常勤 | 348,119円 | 約2,175円 |
非常勤 | 243,404円 | 約1,521円 |
参照:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査(p.11)」
派遣保育士の時給と正社員の給与を時給換算した額を比較すると、賞与がない派遣保育士の方が低い傾向にあります。また、職業情報提供サイト(job tag)の「保育士」を参考に、一般労働者と短時間労働者の時給をまとめました。
保育士 | 時給 |
一般労働者(残業代、賞与を含む) | 1,946円 |
短時間労働者(残業代、賞与を含まない) | 1,317円 |
参照:職業情報提供サイト(job tag)「保育士」
派遣保育士は、一般労働者の時給より低いものの、残業代や賞与を含まないパートやアルバイトの保育士と比較すると、高めなことが分かります。なお、上記はあくまで平均的なデータであるため、参考程度に抑えておきましょう。
出典
厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について」(2025年5月1日)
こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」(2025年5月1日)
職業情報提供サイト(job tag)「保育士」(2025年5月1日)
時給が高い派遣保育士として働くメリット
派遣保育士の高い時給は、短時間勤務でも一定の収入を得られることがメリットです。育児や介護などプライベートの事情により働ける時間が限られている方は、高い時給のほうが効率よく働けるといえます。高収入を得て金銭面で余裕を持てれば、スキルアップのために自己投資することも可能です。また、保育関連の研修や資格取得のための費用を捻出しやすくなり、キャリアアップにつながります。
派遣保育士として短期間で集中的に働いて、貯蓄することも可能です。たとえば、将来の進路変更や起業のための資金作りなどにも活用できます。派遣保育士は時給の高さを活かしつつ、プライベートや将来設計に合わせた働き方を選択することが大切です。
時給が高い派遣保育士として働くデメリット
派遣保育士の高い時給は魅力的ですが、雇用の不安定さはデメリットです。派遣保育士は契約期間が限られており更新が保証されないため、長期的な収入の安定性に欠けます。ボーナスや昇給がないこともあり、年収ベースでは正社員より低くなるようです。
派遣保育士は福利厚生面でも、デメリットに感じることがあります。有給休暇や社会保険の適用が限定的であったり、家賃補助が対象外になったりすることもあるようです。手当や家賃補助などの福利厚生によっては生活費の負担を抑えられるため、職場によっては派遣保育士にデメリットを感じるかもしれません。
また、派遣保育士は役職に就く機会が少ないため、キャリアアップによる昇給のチャンスがない点もデメリットです。派遣保育士になるかは時給だけでなく、福利厚生やキャリアプランも考慮して検討する必要があります。
時給が高い派遣保育士に向いている人
時給が高い派遣保育士の仕事は、柔軟な働き方を求める人に向いています。育児や介護、学業との両立を希望する人にとって、高時給で短時間勤務が可能な派遣は魅力的な働き方です。
また、派遣保育士は、高時給を活かして資格の取得や引っ越し、住宅の購入といった将来の計画のために貯蓄したい方にも適しています。長期的な安定よりも短期的な高収入を重視している人、そして派遣という立場でのキャリア形成に前向きな人に向いているでしょう。
時給が高い派遣保育士に向いていない人
長期的な雇用安定性を重視する人には、時給が高い派遣保育士に向いていない可能性があります。派遣は基本的に短期契約であり雇用の継続が保証されないため、1つの職場で安定した収入を求める人には不向きです。
また、福利厚生や社会保障を重視する人、ボーナスや手当などの付加的な収入を期待する人にも向いていません。一般的に福利厚生やボーナスなどの待遇は、派遣保育士に比べ正社員の保育士のほうが充実しています。
時給や給料を条件に保育士求人を探すコツ
ここでは、時給や給料を条件に保育士求人を探すコツを3つ紹介します。待遇面が充実した保育士求人を探すためには、働き方を検討したり福利厚生を確認したりしましょう。
朝番・遅番・夜勤などの働き方を検討する
時給が高い保育士求人を探すためには、朝番・遅番・夜勤などの働き方を検討するのがコツです。早朝や夜間の勤務は、日中勤務よりも高い時給が設定されていることがあります。
また、24時間保育を行う施設で22時〜5時までの間に勤務した場合、厚生労働省の「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」によると、25%の割増賃金が支給されるため夜勤により時給が高くなるようです。なお、働く時間帯によっては不規則な生活になるため、体力や健康面も考慮して検討しましょう。
出典
厚生労働省「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」(2025年5月13日)
手当や福利厚生も確認する
保育士の求人を探す際、時給や基本給だけでなく、各種手当や福利厚生も重要な検討材料です。これらは実質的な収入や労働環境に大きく影響するため、慎重に確認する必要があります。主な手当や福利厚生は、通勤手当、住宅手当、扶養手当、処遇改善手当など。求人情報をみる際は、手当や福利厚生を含めた総合的な待遇を考慮して検討するのがコツです。
保育士専門の派遣会社に相談する
時給や給料を条件に保育士求人を探すコツは、保育士専門や保育業界に強い派遣会社に相談することです。保育士向けの派遣会社は、保育業界における最新の給与相場や求人動向に精通しており、スキルや経験に見合った適切な条件の求人を紹介してくれます。
また、派遣会社のアドバイザーは、単に高時給の求人を紹介するだけではありません。キャリアプランや生活スタイルを考慮して、総合的に最適な職場を提案してくれます。派遣会社によってサービス内容や得意分野が異なるため、複数の会社を比較検討しましょう。
「派遣保育士の時給が高い理由」に関するよくある質問
ここでは、「派遣保育士の時給が高い理由」について、よく聞かれる質問に回答します。派遣保育士の待遇や職場環境について、より深く理解するための参考にしてください。
派遣保育士は嫌われる?
「派遣保育士である」という理由だけで、職場で嫌われることは基本的にないでしょう。ただし、正社員との給料や業務範囲、残業時間の差により、後ろめたい気持ちになることも。、派遣保育士は特定の業務のみを担当することが多く、負担の大きい業務は正社員が担う傾向にあります。正社員は残業することも多いため、その中で好待遇な派遣保育士は不満を持たれやすいかもしれません。。
職場で円滑な人間関係を築くためには、相互理解と良好なコミュニケーションを心掛けることが大切です。
派遣保育士にボーナスはある?
派遣保育士は短期的な雇用契約や時給制であることから、ボーナスは支給されないのが一般的です。ボーナスがない代わりに、派遣保育士の時給は通常高く設定される傾向にあります。また、派遣会社独自の制度として、勤務成績や継続勤務期間に応じて報奨金が支給されることもあるようです。なお、正社員への転換を前提とした紹介予定派遣では、正社員登用後にボーナスが支給される可能性があるので、事前に確認しましょう。
派遣保育士は処遇改善手当の対象になる?
派遣保育士も認可保育園で働いている場合、条件を満たすと処遇改善手当の対象になります。厚生労働省の「公的価格の制度について (p.11)」によると、処遇改善等加算Ⅰは「1日6時間以上かつ月20日以上勤務する非常勤職員」を含むすべての職員が対象です。自身の働き方が処遇改善手当の対象に該当するかは、派遣会社に相談してみてください。
出典
厚生労働省「公的価格の制度について」(2025年5月7日)
まとめ
派遣保育士の時給が高い理由は、保育士の人手不足や勤務先の人件費の調整などです。人材確保が目的の採用のため、派遣会社は保育士を集めるために高い時給を提示することが考えられます。また、派遣保育士は人材育成のコストが削減できたり、ボーナスがなかったりすることから、時給が高く設定されることもあるようです。
時給が高い派遣保育士のメリットは、短時間で効率よく働けることです。育児や介護、学業との両立などで働ける時間が限られている場合、高い時給のほうが短時間勤務でも一定の収入を得られます。一方で、ボーナスや手当、福利厚生といった待遇面や雇用の不安定さはデメリットに感じることもあるようです。
働ける期間が限定されている方や貯蓄のために短期集中で働きたい方は、派遣保育士がおすすめです。派遣保育士は正社員と異なった特徴があるので、検討している方は時給だけでなく、キャリアプランや希望する働き方など総合的に考えて決めましょう。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。