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保育園の引き継ぎシートの書き方・例文を転職する保育士向けに解説!

転職する保育士のなかには、「保育園の引継ぎシートの書き方や例文を知りたい」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、保育園の引き継ぎシートを書く理由や記入する項目を、例文とあわせて解説します。ほかにも、引継ぎシートを簡単に作成する方法や注意点もまとめました。 「スムーズに引き継ぎ業務が進むように書き方のコツを知りたい」という保育士は、参考にしてください。
目次
転職する保育士が保育園へ引き継ぎシートを書く理由
転職する保育士が保育園へ引き継ぎシートを書く理由には、「情報を共有する」「時間を短縮する」「トラブルを防止する」「情報を残しておく」などがあります。引き継ぎシートがあると、後任の保育士が事前に引き継ぎ内容の概要を理解できます。引き継ぎの時間では、分からない点に絞って質問できるため、効率的です。
ほかには、必要な情報を引き継ぎ、トラブルを防止するという目的もあります。たとえば、子どものアレルギーや持病を後任の保育士に引き継いでいない場合、トラブルに発展する可能性も考えられます。
引き継ぎシートで情報を残しておくと、対応に悩んだときに立ち戻って確認できるのもメリットといえます。また、退職日までに後任が決まらない場合、情報があればそれを見て業務を行えるという利点もあるでしょう。
保育園の引き継ぎシートに記入する項目
保育園の引き継ぎシートには、子どもの情報・保護者の情報・特記事項をそれぞれ箇条書きで記載します。下記は、引き継ぎシートに記入する項目をまとめたものです。
子どもの情報 |
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保護者の情報 |
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特記事項 |
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園ごとに細かな項目は異なるかもしれませんが、基本的には子どもの園での様子や健康面、保護者の情報などを記載します。
子どもの情報の書き方
子どもの情報では、特に「性格や遊びの様子」「友だちとの関わり方や交友関係」を記載するのが重要です。ここでは具体例を挙げ、子どもの情報の書き方を解説します。
子どもの性格や遊びの引き継ぎ例文
性格や遊びの様子
・母親役を演じておままごとをして遊ぶことが多い。年下の子のお世話をするのが好き
・優しく正義感の強い性格
「母親役を演じておままごとをして遊ぶ」「年下の子のお世話をするのが好き」など、日常のなかで子どもがよくする遊びや性格を表す具体的なエピソードを記載します。これにより、後任の保育士がどのように子どもと接すれば良いか、把握しやすくなるでしょう。
友だちとの関わり方・交友関係の引き継ぎ例文
友だちとの関わり方・交友関係
・1人でいる子を遊びに誘ってあげることが多い
・A君と仲が良い
「1人でいる子を遊びに誘ってあげることが多い」など、友達と普段どのように関わっているかを表す具体的なエピソードや交友関係(よく一緒に遊んでいる子ども)を記載します。後任の保育士が現状を理解しておくと、友だちとの関わり方や交友関係が変化したときに気づく助けとなるかもしれません。
保護者の情報の書き方
保護者の情報では、「家庭環境」「日々の送迎担当」「保護者の性格・交友関係」を記載します。ここでは、各項目について具体例を挙げ、詳細を解説します。
家庭環境
・ひとり親家庭
・1つ上の兄が年長クラスに在籍
子どもと保護者を理解し、適切なサポートを行うために、保育士はきちんと家庭環境を把握する必要があります。そのため、引き継ぎシートにはひとり親家庭などの家庭環境のほか、兄弟姉妹など同居している家族を記載してください。
日々の送迎担当
・普段はお母さん
・忙しい場合は祖父母
保育士は安全かつ確実に子供を引き渡す必要があるため、日々の送迎担当者を引継ぎシートに記載してください。保護者が仕事などで忙しい場合、祖父母など代わりの人がお迎えに来る場合はそれも書いておきます。
保護者の性格・交友関係
・心配性のため、園の様子は丁寧にお伝えする
・急いでいることが多くあまり話せないが、連絡帳で家での様子を細かく伝えてくれる
・〇〇ちゃんの母と仲良し
保護者の性格を把握したうえで適切に対応すると、トラブルやクレームに発展する可能性を軽減できます。保護者の性格に合わせて適切に対応できるよう、普段のコミュニケーションで注意していたことや心配している点などを記載しておきましょう。
また、保護者に仲の良い人がいる場合、引継ぎシートに書いておくとトラブルやクレームを予防したり、発生した際に対応しやすくなるケースもあります。
特記事項の書き方
特記事項ではアレルギーや持病のほか、相談歴(トラブルやクレーム含む)を記載し、問題を未然に防ぐのを目的としています。
特記事項
1.アレルギーや持病について
・〇歳のとき蜂に刺された。次に刺されたらアナフィラキシーショックになる可能性あり
・蚊に刺されるとひどく腫れ上がるため、夏に外遊びをする際は持参してくるラッシュガードを必ず着用させる必要あり
2.相談歴(トラブルやクレーム含む)
・××××年×月△日に「子どもの夜泣きがひどく悩んでいる」と相談され、「日中に散歩して活動量を増やしてみては」とアドバイスした
・××××年×月△日に帰宅後、子どもの膝に擦り傷があるのを見つけたとクレームがあった。お迎え時に伝え忘れた点を謝罪し、保育士間の連携を強化し防止していくとお伝えした
3.その他
・偏食で平均体重を下回っている。〇ヶ月ごとに区役所へ行き保健師さんに相談している
アレルギーや持病は命にかかわる可能性があるので、必ず記載しましょう。また、空欄だと書き忘れか「なし」なのか判断できません。そのため、アレルギーや持病がない場合も「なし」と記載する必要があります。
相談歴(トラブルやクレーム含む)も重要な項目です。保育士が同じミスを繰り返した場合、さらなるトラブルやクレームに発展する場合もあります。そのため、発生した時期やどのように対応したのか、防止策を含めて忘れずに記載しましょう。記載しておくと、後任が「その後はいかがですか」など保護者をフォローしやすいという利点もあります。ない場合も空欄にせず、「なし」と記載してください。
その他は身長・体重についてだけではなく、発達で気になることは重要なポイントとなるので、詳細を記載します。普段の保育で困っていることや保護者の理解、日常の様子、役所や療育センターとの連携段階、加配が必要かどうか(誰か先生がついていたほうが良いかどうか)などは、後任が分かるように細かく記載してください。
年度途中に転職する保育士に必要な引き継ぎ項目
保育士が年度途中で退職する場合、担当をしていたクラスや係、行事について引継ぎする必要があります。ここでは担当をしていたクラスや係、行事に関する引継ぎ項目を解説するので、一緒に見ていきましょう。
担任をしていたクラスに関する情報
担当をしていたクラスに関して着手中の業務がある場合、忘れずに引き継ぎを行います。たとえば「××××年〇月△日にBちゃんとCちゃんがおもちゃの取り合いでケンカし、経過を観察中」など、対応中のトラブルがある場合も忘れずに記載する必要があります。
ほかにも、「お片付けの歌を歌ったらおもちゃを片付ける」など、クラスのルールやルーティンがある際はあわせて記載してください。保育士が年度途中で退職して担任が変わった場合、後任がクラスのルールやルーティンを変更しても問題ありません。しかし、子どもに「これからはこのようにしよう」のように、きちんと説明する必要があります。現状のルールを後任者が確実に把握できるよう、丁寧に申し送りを行いましょう。
引き継ぎ書を作成したら、分かりにくい箇所がないか数名の保育士に確認してもらうのがおすすめです。年度途中に退職する場合、引継ぎする時間が限られているかもしれません。しかし、時間が限られているからこそ、できる限り丁寧に引き継ぎ書を作成し、口頭でも丁寧にフォロー・説明する必要があります。
担当していた係や行事に関する情報
防災用品や体育、楽器を管理する係を設けている園もあるでしょう。その場合は、引継ぎシートに担当していた係名と役割を記載します。
行事を実施する前の場合、「どこまで準備が終わっているか」「残っているタスクには何があるのか」などを分かるように記載します。
担当した行事がすでに終わっている場合は、反省点や次年度以降も継続した方が良い点などをまとめ、次の担当者や新人が活用できる資料として残しておくと親切です。
保育園の引き継ぎシートを簡単に作成するには?
保育園の引き継ぎシートを簡単に作成するには、「気づいたことを日頃から記録しておく」「テンプレートを用意する」などの方法があります。ここでは、保育園の引き継ぎシートを簡単に作成する方法を解説します。
気づいたことを日頃から記録しておく
日々忙しい保育士が多いため、具体的なエピソードなどを忘れてしまう可能性があります。引き継ぎ書を書くときには「忘れてしまった」というケースも考えられます。そのため、気づいたことは日頃からメモをするなどして、残しておきましょう。
テンプレートを用意する
保育園の引き継ぎシートを作成する際は、テンプレートを用意すると書きやすいのでおすすめです。保育園に引き継ぎ用のテンプレートがない場合、WordやExcel、Googleドキュメントやスプレッドシートなど、保育園で使用しているパソコン環境に応じてテンプレートを作るのも、1つの方法といえます。
保育園で引き継ぎシートを作成する際の注意点
保育園向けに引継ぎシートを作成する際には、読みやすさを意識してネガティブな表現は避ける必要があります。以下に注意点をまとめました。
ネガティブな表現は使用しない
文章は読みやすく簡潔に書く
誤字脱字を確認する
引き継ぎ書にネガティブな表現を使用するのは避けましょう。たとえば「遊具を取り合いケンカした」という場合、「遊具を取り合いになったが、使いたいという意思を相手に伝えて一緒に遊ぶことで解決した」など、ポジティブな文章を意識して書くようにしてください。
また、引き継ぎシートは後任の保育士に子どもや保護者の情報を伝えるのが目的であるため、文章は読みやすく、簡潔に書くようにします。引き継ぎシートに誤字脱字があると読みにくく、情報の信頼性を損なう可能性があるので注意してください。引き継ぎシートが完成した後、「時間を置いて見直す」「音読する」などを行い、誤字脱字を防ぎましょう。
保育園の引き継ぎシート書き方に関するよくある質問
ここでは、保育園の引き継ぎシート書き方に関してよくある質問にQA形式で回答し、疑問を解決します。
保育園の引き継ぎシートを書くコツ・ポイントは?
保育園向けの引継ぎシートを書くコツやポイントは、「一文を短くすること」「簡潔に書くこと」「具体的に記載すること」です。一文が長いと分かりにくくなる傾向があるので、短く簡潔に書くことを意識しましょう。子供の性格を表すエピソード、クレーム・トラブルの内容や対処法は具体的に記載する必要があります。また、引き継ぎ書が伝わるかどうか、ほかの保育士に読んでもらうのがおすすめです。
詳しくはこの記事の「保育園の引き継ぎシートに記入する項目」や「保育園で引き継ぎシートを作成する際の注意点」をご覧ください。
保育園から小学校への引き継ぎはどのように行うのですか?
保育園から小学校への引継ぎは、「保育所児童保育要録」を使用します。保育所児童保育要録とは、子どもの発達状況や特性、留意することを記載したもので、主に年長クラス担当者が作成します。
様式は「入所に関する記録」「保育に関する記録」の2つがあります。「入所に関する記録」には、子どもの名前・生年月日・保護者名・住所・就業先・保育園名&住所などを記載します。「保育に関する記録」は下記の5項目に分かれています。
最終年度の重点(1年間のねらい:指導計画の年間目標を参考にする)
個人の重点(1年間重視して子どもに指導した点)
保育の展開と子どもの育ち(入所から最終年までを年齢別に記載)
特に配慮すべき事項(アレルギーや既往歴など)
最終年度に至るまでの育ちに関する事項
前述しましたが、年長クラスの担当になった保育士は最後に「保育所児童保育要録」を書く必要があります。日頃から子どもの様子をメモなどで書き留めておきましょう。
出典
こども家庭庁「保育所児童保育要録関係 別紙(様式の参考例)」(2025年10月8日)
まとめ
保育園向けの引き継ぎシートには、子供や保護者の情報、特記事項を記載します。これは、保育士が子どもや保護者に対して適切な保育やサポートを行うためです。特記事項にはアレルギーや持病、相談歴(トラブルやクレーム含む)などを書いて問題が発生するのを防ぐ目的があります。ほかにも、子どもの発達状況や普段の保育で課題と感じていることなどを記載する必要があるでしょう。
引き継ぎシートを簡単に作成するには、「気づいたことを日頃から記録しておく」「テンプレートを用意する」などがポイントです。
保育園向けに引き継ぎシートを作成する際には、「文章は読みやすく簡潔に書く」「ネガティブな表現は使用しない」などを心掛けてください。また、ほかの保育士に読んでもらい、客観的に判断してもらいましょう。
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執筆者

「レバウェル保育士」編集部
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