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認可保育園とは?3つの特徴や入園の条件、認可外保育園との違いを解説

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青空の下で手を繋いで一列になる保育園児たちのイメージ

「認可保育園ってどんな施設?」「認可外との違いがよく分からない」と感じている方もいるのではないでしょうか。認可保育園とは、保育士の人数や施設の広さ、安全面など国が定めた厳しい基準をクリアした保育施設のことです。この記事では、認可保育園の詳細や認可外との違いを解説します。認可保育園に向いている保育士の特徴も紹介するので、就職・転職を考えている方も、ぜひお役立てください。

この記事を書いた人

A

「レバウェル保育士」編集部

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認可保育園とは

認可保育園とは、簡単に言うと、国が定めた基準を満たし、都道府県知事などから認可を受けた児童福祉施設です。0歳から小学校入学前までの子どもを預かり、保護者が仕事や病気などで日中の保育ができない場合に利用できます。

認可保育園は、安全基準や保育士の配置数、設備などが厳しく定められています。公的な補助があるため保育料は比較的安価です。入園には自治体への申し込みが必要で、保護者の就労状況などに応じた「保育の必要性」に基づき選考が行われます。

認可保育園の3つの特徴

ここでは、認可保育園の全体像を掴むために、代表的な3つの特徴を解説します。前述の内容を踏まえつつ、さらに理解を深めていきましょう。

1.安全で質の高い保育が期待できる

認可保育園の大きな特徴は、以下のとおり、国が定めた厳しい基準に基づいて運営されているため、安心して子どもを預けられる点です

対象年齢
  • 0歳から小学校就学前まで
保育従事者の資格
  • 全員が有資格者(保育士)
保育士の配置基準
  • 0歳児:子ども3人に保育士1人
  • 1・2歳児:子ども6人に保育士1人
  • 3歳児:子ども15人に保育士1人
  • 4・5歳児:子ども25人に保育士1人
保育室等の広さ
  • 乳児室の面積基準:1.65㎡以上/人(※1)
  • ほふく室の面積基準:3.3㎡以上/人(※1)
  • 保育室または遊戯室の面積基準:1.98㎡以上/人(※2)
  • 屋外遊戯場の面積基準:3.3㎡以上/人(※2)

※1:乳児または満2歳に満たない幼児を入所させる保育所の場合
※2:満2歳以上の幼児を入所させる保育所の場合

保育従事者は、原則として全員が保育士資格を持つ専門家です。子どもたちがのびのびと過ごせるよう、保育室などの広さも細かく定められています(敷地内に屋外遊戯場がない場合は、保育所の近くにある代替地でも可)。

また、認可保育園の中には、国の基準を満たしたうえで、より手厚い保育を提供するために保育補助員をプラスで配置しているところもあります。これにより、子ども一人ひとりに目が届きやすくなり、きめ細やかなサポートが期待できます。

出典

e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準新規タブリンク」(2025年9月19日)

2.運営元は私立と公立に分かれる

認可保育園は運営主体によって「公立」と「私立」に分けられます。公立保育園は、市区町村が運営しているため、自治体の方針に基づいた保育が実践されるのが特徴です。また、正規の保育士として採用されるためには、公務員試験に合格する必要があります。一方、私立保育園の運営元は社会福祉法人や学校法人、NPO法人、株式会社などです。私立は運営主体の理念や方針を反映した保育が行われる傾向があり、個性豊かな保育を展開しています。

3.入園条件が厳しく保育料の負担は少ない

認可保育園は「保育の必要性」が認められた家庭のみが利用できる施設です。保護者が仕事をしている、病気や障がいがある、介護や看護で保育が難しいなどの理由が必要になります。申し込み時には就労証明書などの提出が求められ、点数化された優先順位によって入園の可否が決まります。そのため、自治体によっては、自宅や職場から離れた園になる場合や、選考から外れてしまう可能性もあるでしょう。

保育料は国の幼児教育・保育の無償化制度により、3歳から5歳児は無料です。0歳から2歳児は住民税非課税世帯を除いて保育料がかかりますが、世帯所得に応じた負担額となるため、認可外に比べて家計の負担は軽いのが特徴です。

出典

内閣府・文部科学省・厚生労働省「幼児教育・保育の無償化について新規タブリンク」(2025年9月19日)

認可保育園と認可外保育園の違い

認可外保育園とは、都道府県知事などの認可を受けていない保育園のことです。運営費は主に保護者からの保育料でまかなわれており、無認可保育園とも呼ばれます。ここでは、認可保育園と認可外保育園の違いやポイントを解説します。

運営・設置基準の違い

認可保育園と認可外保育園の最大の違いは、正式な認可を受けているかどうかにあります。認可保育園は、児童福祉法に基づいた厳しい運営基準を満たしており、都道府県知事などから認可された施設です。一方、認可外保育園は「認可外保育施設指導監督基準」に沿って運営されており、認可保育園に比べて求められる要件が緩やかなのが特徴です。

たとえば、認可保育園ではすべての保育従事者が保育士である必要がありますが、認可外保育園では保育士または看護師が全体の3分の1以上いれば基準を満たすとされています。

とはいえ、認可外保育園にも良質な保育を提供している園は多くあるので、認可の有無だけで判断せず、各施設の保育方針や環境を丁寧に見極めることが大切です。

申込方法と料金の違い

認可外保育園は、認可保育園のように市区町村を介さず、各園と直接やり取りして手続きを進めます。空きがあればすぐに入園できることが多く、保護者の就労状況にかかわらず預けられるのが特徴です。

保育料は施設ごとに異なりますが、認可外保育園であっても保育の必要性が認められれば、一部が無償化の対象となります。ただし、無償化の対象となるのは指導監督基準を満たした施設に限られるため、事前に確認が必要です。無償化の上限額は、3歳から5歳児が月額3万7,000円、0歳から2歳児は住民税非課税世帯に限り月額4万2,000円です。

出典

こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要新規タブリンク」(2025年9月19日)

施設の種類の違い

認可保育施設と認可外保育施設には、それぞれどのような種類があるのでしょうか。代表的な施設は以下のとおりです。

認可保育施設 認可外保育施設
  • 認可保育所
  • 地域型保育事業(家庭的保育/保育ママ、小規模保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業)
  • 認定こども園
  • 企業主導型保育施設
  • 院内保育施設
  • 認定保育園(認証保育所)
  • 託児所(一時預かり、ベビーホテル)
  • ベビーシッター
  • その他の認可外保育園など

認可保育施設には、一般的な認可保育園のほか、「小規模保育事業」や「事業所内保育事業」など地域のニーズに合わせた地域型保育事業も含まれます

一方、認可外保育施設には、企業主導型保育施設や託児所、病院内や隣接した区域に設置される院内保育施設など多様な形態があります。また、東京都の認証保育所のように、都独自の設置基準を満たした施設も含まれます。施設の規模や開所時間などが幅広く、多様性に富んでいるのが特徴です。

出典

こども家庭庁「子ども・子育て支援新制度(H27.4.1施行)のポイント新規タブリンク」(2025年9月19日)
東京都福祉局「よい保育施設の選び方(東京都版)新規タブリンク」(2025年9月19日)

保育内容の特色の違い

認可保育園と認可外保育園では、保育内容の自由度に違いがあります。認可保育園は保育所保育指針に基づいて運営されるため、保育内容が一定の水準に保たれています。園による違いはあるものの、全体として大きな差が出にくいのが特徴です。

一方、認可外保育園は制度の枠組みに縛られにくく、園の個性が反映されやすい傾向にあります。モンテッソーリ教育やリトミック、英語・音楽など特定分野に特化したプログラムを導入する園もあり、家庭の価値観や教育方針に合った保育を望む方にとっては有力な選択肢となるでしょう。中には、独自の保育理念を大切にし、あえて認可を受けずに独自路線を選ぶ園も見られます。

認可保育園に向いている保育士の特徴

保育士の中には、「認可保育園と認可外保育園、どちらで働くべきか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ここでは、認可保育園に向いている保育士の特徴を紹介するので、自身の価値観と照らし合わせてみてください。

大規模な行事やイベントに携わりたい

運動会や発表会など、大規模な行事の運営に積極的に関わりたい保育士には、認可保育園が向いています。園児数が多い認可保育園では、規模の大きな行事を経験できる機会が多く、企画力やマネジメント能力を実践の中で身につけられます。

また、行事を成功させるためには職員同士の連携が欠かせません。そのため、チームで動くことが好きな人や、仲間と力を合わせて目標を達成することにやりがいを感じる人にもおすすめです。一方で、子ども一人ひとりと丁寧に向き合いたい人や、自身の専門性を活かした保育を実践したい人には、認可外保育園のほうが合う可能性もあります。

経営や給与の安定性を重視したい

「安定した環境で長く働きたい」「収入面での安心感を得たい」と考える保育士にも、認可保育園が適しているでしょう。認可保育園は運営費補助を受けているため、経営が安定しやすく、給与や福利厚生の水準が一定に保たれている傾向があります。また、国の制度による処遇改善等加算は、基本的に認可保育園で働く保育士のみが対象です。

とはいえ、認可外保育園も経営手腕によっては高い収益を上げることが可能です。園によっては認可保育園以上の給与や待遇を提供している場合もあり、必ずしも「認可外=給与が低い」というわけではありません。

広々とした環境で保育を実践したい

子どもたちに、広い場所でのびのびと体を動かしてほしいと願う人にも、認可保育園がおすすめです。認可保育園は、設置基準によって一定の敷地面積を確保することが義務づけられているため、屋外での遊びや体を使った活動など、空間を活かした多様な保育がしやすいのが特徴です。

一方で、認可外保育園は少人数・小規模で運営されている園が多く、園庭がなかったり、保育スペースが限られていたりする場合もあります。そのため、広さよりも家庭的な雰囲気や、一人ひとりとじっくり関わる保育を重視したい人にとっては、選択肢の1つとなるでしょう。

保育士が認可保育園に就職・転職する際のポイント

認可保育園への就職・転職を検討する際は、「認可だから安心」と安易に判断せず、各園の実態や特色をしっかり見極めることが重要です。国の基準を満たしている認可保育園ですが、保育士の配置基準は最低限の内容に留まっています。そのため、現場によっては職員数が不足し、日々の業務に追われる可能性があります。また、経営の安定性は期待できるものの、給与水準や待遇の良さに直結するとは限りません。

このように、認可という枠組みだけで園の実態を判断することは難しいため、園ごとの環境や労働条件を事前にしっかり確認することが求められます。情報収集が難しいと感じる場合は、保育士専門の転職エージェントの活用もおすすめです。

認可保育園(認可保育所)についてよくある質問

ここでは、「認可保育園とは?」と疑問を持つ人によくある質問を紹介します。

認可保育園とは分かりやすく言うとどのような施設ですか?

認可保育園は、分かりやすく言うと「国の基準をクリアした公的に認められた保育施設」です。保育士の数や設備の広さ、安全基準などが細かく定められており、定期的な監査も行われています。公立(市区町村が運営)と私立(社会福祉法人や株式会社などが運営)があり、利用するには自治体に申し込みをして保育の必要性の認定を受ける必要があります。

認可保育園に子どもを預ける際のメリットとデメリットは何ですか?

認可保育園のメリットは、国が定めた基準に基づいて運営されており、保育の質や安全面が一定水準で保たれていることです。また、保育料が世帯所得に応じて決まるほか、公的補助があるため経済的に利用しやすいのも利点といえます。一方、デメリットは、自治体が点数制で審査するため、必ずしも希望どおりに入園できるとは限らない点です。

認可保育園と認証保育園・認定保育園の違いは何ですか?

認証保育園と認定保育園は、どちらも「認可外保育施設」に分類されます。認証保育園は東京都独自の制度であり、都が定めた基準を満たす保育施設です。また、認定保育園は各自治体が独自に設けている制度で、名称や基準は地域によって異なります。保育環境や園の行事などにも違いがあるので、転職を検討している保育士はキャリアプランや勤務条件に合った求人を選びましょう。

認可保育園と認定こども園の違いとは何ですか?

認可保育園は児童福祉法に基づく施設で、保護者が仕事や病気などの理由で保育が難しい場合に利用できる「保育に欠ける子ども」のための保育施設です。一方、認定こども園は幼稚園と保育園の機能を併せ持った施設で、保護者の就労の有無にかかわらず利用できます。また、相談活動といった地域の子育て支援を行うことも認定こども園の役割の1つです。

まとめ

認可保育園とは、国の基準を満たし、都道府県知事などの認可を受けて設置された保育施設です。公立と私立の両方があり、どちらも保育所保育指針に沿った保育を行います。利用には自治体を通じた申し込みが必要で、保育の必要性が認められた家庭のみ対象となります。「経営や給与の安定性を重視したい」「大規模な行事に関わりたい」「広々とした施設で保育をしたい」と考える保育士にとっては、魅力ある選択肢といえるでしょう。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

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