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ヨコミネ式教育法とは?特徴や導入している園で働くメリット・デメリット

ヨコミネ式教育法について、気になっている保育士もいるのではないでしょうか。ヨコミネ式教育法は「すべての子どもは天才である」という理念のもと、子どもの自立心と能力を引き出す教育法です。 この記事では、ヨコミネ式教育法の特徴や保育内容を解説します。ヨコミネ式教育法を導入する保育園で保育士として働く際のメリット・デメリットもまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
目次
ヨコミネ式教育法とは
ヨコミネ式教育法は、鹿児島県で保育施設の運営に携わっている横峯吉文氏が考案した教育法で、子どもの自主的な行動を大切にするという考え方が根幹にあります。すべての子どもに才能や天命があると考え、その子どもが持つ能力を十分に伸ばすことを目指しているのが特徴です。
ヨコミネ式教育法では、「すべての子どもが天才である。ダメな子どもなんて一人もいない。」という理念を掲げています。そのため、保育者は子どもが自分で考えて判断し、行動・実践できるようサポートすることが大切です。現在では、全国の幅広い幼稚園・保育園でヨコミネ式教育法が採用されるようになりました。
ヨコミネ式教育法の特徴
ヨコミネ式教育法は、子どもの特性に基づいた「4つのスイッチ」を意図的に活用し、「才能開花の法則」によって自ら学ぶ意欲と能力を伸ばすのが特徴です。ここでは、ヨコミネ式教育法の「4つのスイッチ」と「才能開花の法則」を解説します。
子どものやる気を引き出す4つのスイッチ
ヨコミネ式教育法では、子どもの生まれ持った才能を伸ばすため、子どもの特性を活かした4つのスイッチを活用して自発的な意欲を促します。ここでは、4つのスイッチをまとめました。
子どもは競争したがる
ヨコミネ式教育法は子どもたちの間に適度な競争意識を持たせ、学ぶ楽しさや、挑戦する意欲を喚起します。子どもたちが「自分も勝ちたい。できるようになりたい。」という気持ちになるよう、順位をつけたり、勝ち負けを明確にしたりするのが特徴です。なかなか勝てない子どもには、条件を緩めて挑戦させ、勝利する体験をさせる場合もあります。
子どもは真似したがる
子どもは、本能的に大人やほかの子どもの行動を真似したがります。ヨコミネ式教育法では、保育者がやって見せたり、上手な子どもを観察させたりして、子どものチャレンジ精神をかき立てるようです。大人が教えるのではなく、子どもに真似させることで、学習意欲を自然と高められます。
子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる
子どもは、自分の能力よりも少し難しいことに挑戦したいという気持ちを持っています。ヨコミネ式教育法では、「ちょっとだけ難しい」と感じる課題を段階的に用意し、子どもたちが自ら挑戦したくなる環境を作るのが特徴です。少し難しい課題をクリアしたときの達成感が、次の挑戦への意欲につながります。
子どもは認められたがる
子どもは、自分の行動や成果を大人に認めてもらいたいという気持ちを持っています。保育者は子どもの小さな進歩や努力を見逃さず、具体的に褒めることが大切です。ヨコミネ式教育法では、子どもを赤ちゃん扱いし過ぎず、一人の人間として接します。
「才能開花の法則」で子どもが自ら学ぶ力を伸ばす
ヨコミネ式教育法では、「才能開花の法則」を重視しています。これは、「子どもたちは全員できるようになる」という考えのもと、本来持っている力を覚醒させる指導法です。子どもは小さな成功体験を積み重ねると、どんどん挑戦したくなります。才能開花の法則は、以下のサイクルを繰り返して子どもの成長を促します。
できることは面白い
面白いから練習する
練習すると上手になる
上手になると大好きになる
そして次の段階に行きたくなる
子どもは一度「できる」という成功体験を得ると自ら進んで練習する傾向にあるので、結果として能力が向上し、最終的にその活動を好きになります。ヨコミネ式教育法は才能開花の法則を活かして、子どもの意欲と能力をスパイラル状に高め、潜在的な才能を呼び覚ますことを目指しているのです。
ヨコミネ式教育法で育む自立に必要な3つの力
ヨコミネ式教育法は、子どもの自立を目的とし、「心の力」「体の力」「学ぶ力」という3つの力をバランス良く育むことを重視しています。ここでは、それぞれの力の特徴を見ていきましょう。
心の力
心の力とは、社会でたくましく生きていくために必要な精神的な強さを指します。ヨコミネ式教育法では、子どもを過度に甘やかすのではなく、幼少期から難しい課題に自らチャレンジさせることで、心の力を育てるのが特徴です。子どもの潜在的な道徳心や正義感、忍耐力などを、5歳までに養います。
日々の生活や学習の中で、失敗から立ち直る経験を積ませると、へこたれない強い心と他人を思いやれる優しい心を育めます。
体の力
体の力とは、健康的な身体と高い運動能力のことです。ヨコミネ式教育法では、6歳までに運動神経がほとんど決まるという知見に基づき、乳幼児期の体操や運動に注力しています。毎日の活動を通じて、基礎体力や柔軟性、持久力などを総合的に高めていくのがポイントです。側転や倒立などの運動や、水泳に挑戦し習得していく過程は、子どもの自己肯定感や挑戦意欲といった心の力も同時に育む効果があります。
学ぶ力
学ぶ力とは、「読み・書き・計算」を通じて自学自習する力のことです。ヨコミネ式教育法では、3〜4歳の時期から基礎学習を始めます。大人から強制的に知識を詰め込むのではなく、子どもの自発的な興味と「できることは面白い」という感情を引き出す環境を整える学習法です。
子どもたちは自学自習によって、物事の本質を見抜く洞察力や問題を解決するための理解力、思考力など、生涯にわたって社会で活きる力を身につけられます。
ヨコミネ式教育法の保育内容
ヨコミネ式教育法を導入している園では、子どもの「心の力」「体の力」「学ぶ力」という3つの力をバランス良く育むため、独自のカリキュラムと環境設定に基づいた活動を展開しています。ここでは、ヨコミネ式教育法の保育内容をまとめました。
体を動かす活動
先述したようにヨコミネ式教育法では、運動神経が6歳までに決まるという考えなので、乳幼児期から体を動かす活動に特に力を入れています。柔軟運動やストレッチで体をほぐすことから始め、基礎体力を養っていくのが特徴です。具体的には、以下のような活動を行います。
ストレッチ
壁倒立
ブリッジ
逆立ち歩き
マット運動
跳び箱
スイミング
指導するうえでのポイントは、単に厳しく教え込むのではなく、子どもが自分で考えて練習するように促すことです。子どもたちは練習によって「できること」が増えるたびに達成感を得られ、次の挑戦へのやる気につながる、という好循環を生み出します。
音楽活動
ヨコミネ式教育法では、ドレミ体操や季節の歌を歌うことで、自然とリズム感や音感を養います。聴音や聴唱といった本格的な訓練を通じて、絶対音感の習得を目指すようです。楽器演奏にも力を入れており、鍵盤ハーモニカの合奏を通して演奏する楽しさを学びます。
ときには、音楽に対する幅広い興味を引き出すために、ドラムやキーボードなどの演奏にも挑戦させることもあるようです。子どものころから音楽に触れると、聴覚の発達に良い影響を与えると考えられています。
学習活動
学習活動では、読み・書き・計算といった基礎学力を身につけ、自学自習の習慣を確立させることが目標です。文字の学習では、通常の50音から覚えるのではなく、ヨコミネ式独自の「95音」を使用します。ヨコミネ式95音は、ひらがな・カタカナ・漢字の中で、画数が少なくて書きやすい文字から順に練習するという、独自のカリキュラムです。計算については、数字の練習から始めて、足し算や引き算、さらには簡単なかけ算まで学びます。
ヨコミネ式教育法における学習は、机上の勉強に留まりません。集団生活の中で、友だちとの関わりを通じて協調性や社会性を学んだり、自然環境に触れて生きる知恵を学んだりすることも重要な学習活動の一部と捉えています。
ヨコミネ式教育法を導入している保育園で保育士が働くメリット
ヨコミネ式教育法を導入している園で保育士が働くと、専門性が向上したり、子どもの成長を実感しやすかったりする点が魅力です。ここでは、ヨコミネ式教育法を採用している園で保育士が働くメリットを解説します。
専門的な教育法を学べる
ヨコミネ式教育法を実践する保育園で働くと、保育士自身のスキルや知識の幅が大きく広がります。具体的には、「4つのスイッチ」「才能開花の法則」といった独自の理論に基づいた指導法を習得できるでしょう。
ヨコミネ式教育法を採用する園では、子どもたちが自発的に難しい課題にチャレンジできるよう促す声かけの方法や、読み・書き・計算を学習するサポートなど、実践を通して学ぶ機会が豊富にあります。保育士は、通常の保育に加え、ヨコミネ式教育法ならではの専門的な教育スキルを身につけることが可能です。
子どもの成長を実感しやすい
ヨコミネ式教育法を採用している園で働く保育士は、子どもの成長を間近で実感しやすいというメリットがあります。ヨコミネ式教育法は、自己学習能力と個の能力を最大限に伸ばすことに焦点を当てているので、保育士は子どもができなかったことができるようになる瞬間に立ち会う喜びを感じやすい環境です。
子どもの自立を促す教育法だからこそ、子どもたちが自分自身の力で問題を乗り超え、成長していく過程を見守れ、保育士としてのやりがいと達成感を得られるでしょう。
ヨコミネ式教育法を導入している保育園で保育士が働くデメリット
ヨコミネ式教育法を実践するためには、保育士に高い専門性と独自の関わり方が求められます。保育士の中には、自学自習の姿勢が必要なことや、子どもとの関わり方について難しさを感じる人もいるようです。ここでは、ヨコミネ式教育法を導入している園で保育士が働くデメリットを紹介します。
自学自習の姿勢が必要
ヨコミネ式教育法は独自のメソッドに基づいているので、保育士はカリキュラムや指導方法を深く理解する必要があります。一般的な教育法の保育園で勤務経験があっても、そのまま活かせない部分もあり、新しい知識として徹底的に学ぶ姿勢が求められるでしょう。
読み・書き・計算といった基礎学習進め方や体操の指導法など、専門性の高い内容も含まれるため、園によっては業務時間外に研修や講習会への参加が必要な場合もあります。時間的な負担や学習のプレッシャーが、保育士のストレスにつながるかもしれません。
子どもたちとの関わり方が難しい
ヨコミネ式教育法は、乳幼児期の保育が子どもの人生を左右するという信念を持っています。そのため、保育士は「自分の指導次第で子どもの人生が変わる」というプレッシャーを感じるかもしれません。
また、子どもの自立心を大切にしているので、保育士が子どもを指導する際は注意が必要です。単に手を貸したり、教え過ぎたりするのは避け、あくまでも子どもが自分で考えることを促す声かけが中心となります。「見守る」「促す」という子ども主体の活動を徹底する関わり方は、一般的な保育観を持つ保育士にとって、慣れるまで難しく感じる場合があるでしょう。
ヨコミネ式教育法を導入している保育園に転職する方法
ヨコミネ式教育法を実践するために特別な資格は必要ありません。保育士資格があれば、ヨコミネ式教育法を導入している保育園で働けます。
保育方針や取り組みを自分で一から求人を探すのは大変なので、転職エージェントを活用して探すのがおすすめです。保育士専門の転職エージェント「レバウェル保育士」なら、ヨコミネ式教育法を行っている保育園に絞って、自宅近くの園を探せます。保育方針のほか、給与水準やシフトの組み方など、働くにあたって気になる条件を事前に確認できるので、安心して転職活動ができます。
ヨコミネ式教育法に関してよくある質問
ここでは、ヨコミネ式教育法に関してよくある質問にお答えします。
ヨコミネ式教育法は子どもがかわいそう?
ヨコミネ式教育法は、一見すると厳しい教育法に思えるかもしれませんが、決して子どもにプレッシャーをかけるものではありません。子どもの能力を信じ、ポテンシャルを最大限に解放するための環境づくりを重視しています。
子どもたちは、小さな成功体験を積み重ねることで自信をつけ、「もっとやりたい」という意欲を持つようになります。あくまでも子どもの主体性を大切にし、無理強いはしないという点が特徴です。
ヨコミネ式教育法を導入している保育園の1日のスケジュールは?
ヨコミネ式教育法を導入している保育園の1日のスケジュールは、各年齢や園によって異なります。スケジュール例は以下のとおりです。
| 時間 | 活動内容 |
| 8:45 | かけっこ |
| 10:30 | 読み・書き・計算 |
| 11:30 | 音楽活動 |
| 12:00 | 給食 |
| 13:00 | 午睡 |
| 13:30 | 絵本読み |
| 14:00 | 体操 |
| 15:00 | おやつ |
| 15:30 | 掃除 |
| 16:00 | 帰りの会 |
ヨコミネ式教育法を採用している保育園では、バランス良くさまざまな活動を取り入れ、子どもたちの「心の力」「体の力」「学ぶ力」を伸ばしていくプログラムが組まれています。
まとめ
ヨコミネ式教育法は、子どもの自ら伸びる力を大切にし、その子が持つ能力を十分に引き出すことを目指す教育法です。「子どものやる気を引き出す4つのスイッチ」や「才能開花の法則」を活用し、心の力・体の力・学ぶ力という3つの力を育みます。
保育内容としては、体を動かす活動や音楽活動、学習活動をバランス良く取り入れ、子どもたちの総合的な成長を促すのが特徴です。ヨコミネ式教育法を導入している保育園で働く保育士には、専門的なスキルを学べる機会がある一方で、自己研鑽が求められる側面もあります。
「ヨコミネ式教育法の保育園で働きたい」「独自の教育メソッドを学びたい」と考えている保育士は、レバウェル保育士にご相談ください。レバウェル保育士では、ヨコミネ式教育法を導入している保育園の求人を紹介できるので、効率的に転職活動をすすめられます。保育内容や職場の雰囲気など、働く前に確認したい情報も詳しく案内できるため、気軽にご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。
















