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レッジョ・エミリア・アプローチとは?特徴やメリット・保育士の役割を解説

床に紙を置いてお絵描きをする子供の手の画像

レッジョ・エミリア・アプローチに関心をお持ちの保育士の方もいるのではないでしょうか。レッジョ・エミリアは人名ではなく、イタリアの都市名に由来します。指導法(メソッド)というより、教育に関する哲学である点が特徴です。この記事では、レッジョ・エミリア・アプローチの概要やメリット、モンテッソーリ教育との違いを解説します。保育士の役割や実践する際の難しさにも触れるので、参考にしてみてください。

この記事を書いた人

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「レバウェル保育士」編集部

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目次

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レッジョ・エミリア・アプローチとは

レッジョ・エミリア・アプローチとは、イタリア北部の都市レッジョ・エミリアで生まれた幼児教育の考え方です。1990年代にアメリカのニューズウィーク誌で紹介されたことをきっかけに、世界的に注目を集めるようになりました。ここでは、レッジョの教育理念や誕生した背景について解説します。

レッジョ・エミリア・アプローチの教育理念

レッジョ・エミリア・アプローチの根底にあるのは、「子どもは、生まれながらにしてすでに多くの力を持っている」という考え方です。子どもを一人の人間(市民)として尊重し、周囲との関わりの中で主体的に学ぶ姿勢を大切にします。

この理念を象徴するのが、創始者の一人であるローリス・マラグッツィの詩「子どもたちの100の言葉」です。マラグッツィは、子どもには表現や考え方の多様な選択肢(100の言葉)があり、大人が「こうあるべき」と正解を押し付けることで、その無限の可能性を奪ってはいけないと示しました。

レッジョ・エミリア・アプローチが生まれた背景

レッジョ・エミリア・アプローチの原点は、第二次世界大戦後の同市で、市民たちが自発的に始めた教育活動にあります。ファシズムに苦しんだ人々は、「これからの子どもたちには自分たちで考え、平和で民主的な社会を作る力を育んでほしい」と願いました。そこで、残された戦車やトラックを売却して建設資金を作ったり、レンガを自ら積み上げたりしながら、市民が一丸となって新しい幼児学校を建設したのです。

こうした市民の取り組みに教育者のローリス・マラグッツィが加わり、子どもの主体性や可能性を大切にする独自の教育哲学へと発展していきました。

出典

JIREA「公式サイト新規タブリンク」(2026年9月14日)

レッジョ・エミリア・アプローチの特徴

レッジョ・エミリア・アプローチには、子どもの自主性や創造性を育むための工夫が随所に取り入れられています。ここでは、レッジョの主な特徴を紹介します。

ドキュメンテーションで子どもの学びを記録する

ドキュメンテーションとは、子どもの言葉や行動を写真や文章で記録し、パネルや冊子などにまとめて共有する取り組みのことです。子どもや保育士、保護者がいつでも見られる場所に展示することで、活動を振り返り、皆で取り組むプロジェクトへとつなげます。

ドキュメンテーションは、単なる活動の成果報告ではありません。子どもにとっては、新たな気づきや問いを生むきっかけに、保育士にとっては次の環境や活動を考えるヒントになります。また、保護者にとっても、子どもの成長のプロセスを知る機会になります。

数日から数か月にわたるプロジェクト活動を行う

レッジョ・エミリア・アプローチでは、子どもたちの「なぜ?」「やってみたい」という疑問や興味を出発点に、プロジェクト活動を行います。あらかじめ決められたカリキュラムに沿って進めるのではなく、子どもを観察し、対話を重ねながら一緒にアイデアを膨らませていくのが特徴です。

テーマは、「光と影の不思議」「土や砂でのお絵描き」「みんなで作る人形劇」などさまざまです。数日で終わるものから数か月、ときには1年近く続くこともあります。

道具や素材が揃ったアトリエで活動する

レッジョ・エミリア・アプローチでは、創造的な活動や美的感覚を大切にしています。アートは、子どもにとって自分の思いや考えを伝える言葉の1つと考えているからです。

園内には「アトリエ」と呼ばれる専門の部屋があり、枝や葉といった自然物、廃材、布やひもなどの多様な素材が用意されています。子どもたちは、これらの素材を自由に組み合わせながらアイデアを形にしていきます。

アトリエリスタやペダゴジスタが学びを支える

本場イタリアの実践園には、保育者だけでなく、芸術の専門家であるアトリエリスタと、教育の専門家であるペダゴジスタが配置されています。

アトリエリスタは子どもの豊かな発想や表現を引き出し、ペダゴジスタは教育的な視点から保育者へのアドバイスやサポートを行います。スタッフ同士が互いに意見を交わしながら連携することで、子どもの学びを多角的に支えているのです。

保育者や保護者、地域が一体となって子どもを育む

レッジョ・エミリア・アプローチには、子どもが周囲の人や環境との関わりを通じて学びを深めるという「社会構築主義」の考え方が根付いています。

先に紹介したドキュメンテーションを保護者や地域と共有することも、社会とのつながりを大切にする取り組みの1つです。また、地元企業から譲り受けた素材をアトリエに取り入れるなど、社会全体で子どもの成長を支える体制がとられています。

レッジョ・エミリア・アプローチでの保育士の役割

レッジョ・エミリア・アプローチでの保育士は、子どもと一緒に学びを深める「ファシリテーター」としての役割を担います。ここでは、具体的にどのような関わりが求められるのかを見ていきましょう。

子どもの好奇心を刺激する環境を作る

レッジョ・エミリア・アプローチでは、環境を子どもの学びを支える「第三の教師」と捉えています。そのため保育士には、子どもの興味や変化を丁寧に観察し、「触ってみたい」「もっと知りたい」と思える環境をつくることが求められます。

レッジョでは、自然素材だけでなく、デジタル機器も学びの道具として活用します。マイクロスコープで自然物を観察したり、プロジェクターで自然の風景を映し出したりと、普段とは違う視点から世界に触れる機会をつくるのも保育士の大切な役割です。

子どもの疑問を受け止め一緒に考える

レッジョ・エミリア・アプローチでは、子どもの「なぜ?」「どうして?」を大切にし、保育士も一緒になって答えを探します。子どもの疑問にすぐ答えるのではなく、同じものを見つめ、驚きや発見を共有しながら探求を深めていくのです。

たとえば、道端の石を見つけたとき、子どもは色や形、手触りからさまざまなことを感じ取ります。そんな子どもの姿を通して、保育士自身も「こんな色だったんだ」「よく見ると面白い形だな」と、新たな気づきを得ることがあるでしょう。こうした大人と子どもがともに学ぶ関わりが、子どもの探求心や想像力を育んでいきます。

レッジョ・エミリア・アプローチのメリット

ここでは、レッジョ・エミリア・アプローチのメリットをまとめました。子どもの成長や学びにどのような良い影響があるのか、具体的に見ていきましょう。

主体性や問題解決能力が身につきやすい

レッジョ・エミリア・アプローチのメリットの1つは、子どもの主体性や問題解決能力が身につきやすい点です。決まった指示に従うのではなく、「何をしたいか」「どうやって実現するか」を自分で考えて行動することで、主体性が育ちます。

また、子どもが予想した通りにいかないことも学びの機会です。失敗を避けるのではなく、「やってみる→考える→もう一度やってみる」という試行錯誤を重ね、問題や課題を乗り越える力につなげます。

創造性や表現力を発揮する機会を作りやすい

創造性や表現力を伸ばせることも、レッジョ・エミリア・アプローチのメリットです。前述のとおり、レッジョではアートを子どもの多様な表現方法の1つとして取り入れています。

大人は必要な技術を教えたり、困ったときにサポートしたりしますが、何をどのように表現するかは子ども自身に委ねます。そのため、子どもは決められた正解にとらわれず、自分の興味や思いを自由に形にできます。

他者と協働する力を育みやすい

レッジョ・エミリア・アプローチでは、一人で学ぶのではなく、グループによる学びを重視しています。特にプロジェクト活動では、子どもたちが一緒にテーマを探究したり、課題を解決したりするため、話し合いや協力が欠かせません。

自分の考えを相手に伝えたり、自分とは異なる意見に耳を傾けたりする中で、子どもたちは他者と協力して物事に取り組む力を身につけていきます。こうした経験は、周囲の人と関わりながら、社会の一員として生きていくための力となるでしょう。

レッジョ・エミリア・アプローチの難しさ

ここでは、レッジョ・エミリア・アプローチを実践するうえで、保育士が難しいと感じやすいポイントを紹介します。

決められたカリキュラムや教具がない

レッジョ・エミリア・アプローチには、決まった教育カリキュラムや専用の教具、教員の認定資格などはありません。レッジョは、体系化された手法ではなく、子どもとどう向き合い、どのように学びを支えるかを示す教育哲学だからです。

園によって実践の形は大きく異なるため、「具体的に何をすればいいのか」がイメージしにくく、全体像の把握に難しさを感じることもあるでしょう。

保育士に観察力や専門性が求められる

レッジョ・エミリア・アプローチの難しさの1つは、子どもの小さな変化を捉える観察力と、そこから次の学びを広げていく専門性が求められることです。

レッジョでは、子どもの豊かな表現力「100の言葉」を尊重し、大人が先回りして答えを与えることはしません。だからこそ、子どもの姿を十分に観察できていないと、興味を追うだけになり、活動を深められない場合もあります。保育士自身も研修や専門書を通して学び続けることが大切といえるでしょう。

レッジョ・エミリア・アプローチとモンテッソーリ教育の違い

レッジョ・エミリア・アプローチとモンテッソーリ教育の大きな違いは、教育哲学なのか教育手法なのかという点です。レッジョ・エミリア・アプローチには、前述のとおり、共通のカリキュラムや決められた教具があるわけではありません。一方、モンテッソーリ教育は、独自の教具や教師の資格制度などが整備され、一定の方法に基づいて実践されます。

また、学び方にも違いがあります。レッジョでは、集団でのプロジェクト活動を重視するのに対し、モンテッソーリ教育では、子どもが自分の興味や発達に合わせて取り組む、個人での「おしごと」が中心です。

保育士がレッジョ・エミリア・アプローチの保育園で働くには

ここでは、レッジョ・エミリア・アプローチを導入している園や一部の要素を取り入れている園で働くためのポイントをまとめました。レッジョに関心がある保育士の方は参考にしてみてください。

求人情報や園のWebサイトで教育方針を確認する

レッジョ・エミリア・アプローチを取り入れている園を探すときは、「レッジョ・エミリア・アプローチ 保育士 求人」といったキーワードで検索し、気になる園のWebサイトや採用ページを確認しましょう。求人情報だけでなく、園の理念や保育方針、ブログ・SNSなども確認すると、実際の保育の様子をイメージしやすくなります。

また、日本では「JIREA」がレッジョに関する活動を行っています。JIREAのWebサイトを確認して理解を深めたり、関連する園を探したりするのも手です。

出典

JIREA「公式サイト新規タブリンク」(2026年9月14日)

転職エージェントを活用して導入している園を探す

レッジョ・エミリア・アプローチを取り入れている園をはじめ、自分に合った保育方針の園を探したい場合は、転職エージェントに相談するのも1つの方法です。「子どもの主体性を大切にしている」「一人ひとりの個性を尊重している」など、希望する保育方針を転職エージェントに伝えることで、条件に合う求人があるか確認できます。

レッジョ・エミリア・アプローチに限らず、近い考え方を取り入れている園も含めて探すことで、選択肢を広げられる可能性があるでしょう。

レッジョ・エミリア・アプローチに関してよくある質問

ここでは、レッジョ・エミリア・アプローチに関してよくある質問を紹介します。

レッジョ・エミリア・アプローチを分かりやすく言うと?

レッジョ・エミリア・アプローチは、イタリアのレッジョ・エミリア市で生まれた幼児教育に対する考え方です。ローリス・マラグッツィの詩を教育理念として、子どもの豊かな表現力や主体性を大切にしています。大人が一方的に答えを教えるのではなく、子どもの問いや興味を起点に、園・家庭・地域が連携しながら学びを育むのが特徴です。

レッジョ・エミリア・アプローチは日本でも実践されている?

日本国内でも、レッジョ・エミリア・アプローチを取り入れている園はあります。アトリエの設置やアトリエリスタの配置を行う本格的な園もあれば、ドキュメンテーションやプロジェクト活動といった手法を部分的に取り入れている園もあり、取り組み方はさまざまです。日本の保育環境やスタイルに合わせて、柔軟に展開されています。

レッジョ・エミリア・アプローチを行うには資格が必要?

レッジョ・エミリア・アプローチを実践するのに、特別な資格は不要です。日本の保育士資格や幼稚園教諭免許があれば、導入園で働くことができます。レッジョは指導法ではなく子どもの捉え方に関する教育哲学のため、現場に入ってからの学びが重要になります。 研修制度やサポート体制が充実している園を選ぶと、専門性を身につけやすいでしょう。

まとめ

レッジョ・エミリア・アプローチは、北イタリアで生まれた幼児教育の考え方です。ローリス・マラグッツィの詩「子どもたちの100の言葉」に象徴される理念のもと、子どもを一人の市民として尊重し、社会で主体的に生きる力を育みます。グループで協働して行うプロジェクト活動をはじめ、多様な素材や道具を備えたアトリエの設置、芸術専門家「アトリエリスタ」の配置など、子どもの自主性や創造性を引き出すための取り組みが特徴です。

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執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェントサービス「レバウェル保育士」が運営するメディアです。編集部には、元幼稚園教諭・保育士資格者のメンバーも在籍。現役保育士さんや保育学生さん、保育士資格の取得を目指す方に向けて、仕事や働き方、キャリア、転職に関するお役立ち情報を発信します。保育士・幼稚園教諭の転職サポート実績をもとに、記事を通して不安や悩みが少しでも解消される状態を目指し、皆さまのキャリア選択を支援します。

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