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児童指導員と保育士の違いを解説!仕事内容・給料・なり方を比較
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児童指導員と保育士の違いについて知りたい方もいるかもしれません。どちらも子どもの成長を支える専門職ですが、役割や対象年齢、資格が異なります。この記事では、児童指導員と保育士それぞれの仕事内容や給与水準、勤務形態などをまとめました。どちらの仕事に就こうか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
児童指導員と保育士の違いとは?
子どもの成長をサポートする専門職という点で、保育士と児童指導員は似ているように感じるかもしれません。ここでは、保育士と児童指導員の具体的な違いについて解説します。
仕事内容の違い
児童指導員は「自立に向けた支援を行う」、保育士は「生活の基礎を育てる」といった仕事内容の違いがあります。児童指導員は、家庭での生活が難しい子どもや障がいのある子どもに対して、生活指導や心理的ケア、社会性の育成など個別性の高い支援を行います。子ども一人ひとりに合わせた支援計画を作成し、自立に向けたサポートを提供することが求められるのが特徴です。
一方で保育士は乳幼児を中心に、遊びや学びを通して基本的な生活習慣を身につけさせるのが主な役割です。さらに、日々の成長を保護者と共有しながら見守り、集団生活を通じて協調性や社会性を育てることを大切にしています。
勤務先と支援対象の違い
児童指導員と保育士は、働く場所と対象とする子どもの年齢に違いがあります。以下で違いを表にまとめました。
児童指導員 | 保育士 | |
勤務先例 |
|
|
支援対象の年齢 | 0~18歳 | 0歳~5歳(未就学児) |
児童指導員は、児童養護施設や放課後等デイサービス、障害児入所施設など、子どもの福祉を目的とした多様な施設で働きます。支援対象は0歳から18歳までと幅広く、子どもの自立を促す役割を担います。
一方、保育士の主な勤務先は、認可保育所や認定こども園、託児所などです。支援対象となる子どもの年齢は、0歳から5歳(未就学児)までと限られています。
資格の違い
児童指導員と保育士は、必要な資格の種類が異なります。児童指導員は「任用資格」という種類に分類されます。これは、特定の学歴や実務経験などの要件を満たしたうえで、児童指導員として募集している施設で勤務するときに初めて名乗れるものです。資格証はなく、履歴書に保有資格として記載できません。
一方、保育士は国が定めた国家資格です。指定の養成校を卒業するか、国家試験に合格することで取得できます。一度取得すれば一生有効で、全国どこでも通用するため、資格を活かした転職がしやすい職業といえます。
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給与・年収の違い
児童指導員と保育士では、給与水準に若干の差があります。厚生労働省の「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.76)」によると、児童指導員の平均月収は約32万円、平均年収は約384万円です。一方、保育士の平均月収は約34万円、平均年収は約412万円と、児童指導員よりもやや高い水準です。なお、年収は月収×12で計算しました。
職種 | 平均月収 | 想定年収 |
児童指導員 | 31万9,690円 | 約384万円 |
保育士 | 34万3,600円 | 約412万円 |
参照:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.76)」
これらの数値はあくまで全国の平均値であり、地域や勤務先、役職の有無によって給与は変動するため、実際の給与を判断する際には、こうした要素も考慮する必要があります。
出典
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2025年8月20日)
働き方の違い
児童指導員と保育士では、勤務時間やシフトの形態が違います。児童指導員は施設によって働き方が異なりますが、児童養護施設などでは24時間体制で子どもたちを見守るため、宿直や夜勤があることが一般的です。
保育士の場合、夜間保育をしている職場では夜勤もありますが、基本的には日中のシフト勤務が中心です。運動会やお遊戯会などの行事前は、準備のために残業が増える傾向にあります。職場によっては土日勤務もあるため、自身のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切です。
児童指導員と保育士の仕事の魅力
児童指導員と保育士には、それぞれ異なった仕事の魅力があります。以下で具体的に見ていきましょう。
児童指導員の魅力
児童指導員は、障がいや発達に課題を抱える子どもたちと深く向き合う仕事です。そのため、療育に関する専門的な知識や対応経験が自然と身につきます。
保護者の悩みにもじっくりと耳を傾け、一緒に解決策を探っていくことで、深い信頼関係を築けるのも特徴です。今までできなかったことができるようになったり、少しずつ心を開いてくれたりする瞬間を間近で見守れることは、児童指導員として働くうえで大きな喜びとなるでしょう。
保育士の魅力
保育士は、子どもの保育や教育方法について体系的に学べるため、専門性を高めやすいのが特徴です。保育士向けのキャリアアップ研修や民間のセミナーなどもあり、業務に役立てられます。主任や園長といった管理職を目指すなど、段階的にスキルアップできる道筋がはっきりしているため、将来の目標が立てやすい職種といえるでしょう。
また、保育士資格は全国どこでも通用する国家資格なので、転職先の選択肢が広く、安定して働き続けられる魅力があります。
児童指導員と保育士の仕事の大変さ
ここでは、児童指導員と保育士が直面しやすい大変さについて整理していきます。両方の仕事の厳しさを比較してから転職することで、ミスマッチを防げるかもしれません。
児童指導員の大変さ
児童指導員は、子どもたちの心身に寄り添う仕事だからこそ、大変さも感じる場面もあります。たとえば、障がいの特性によっては運動量が多い子どもとの関わりでは、一緒に遊んだり体を動かしたりする際に負担を感じる場合もあるでしょう。また、過去の経験から大人に不信感を抱いている子どもや、言葉での意思疎通が難しい子どももいるため、信頼関係を築くまでに時間がかかり、コミュニケーションの取り方に悩むことも少なくありません。
保育士の大変さ
保育士の仕事は、子どもたちと向き合うこと以外にも、多くの業務をこなす必要があります。運動会やお遊戯会などのイベント前は準備が多く、残業や持ち帰り仕事が増える場合もあるでしょう。複数の保育士でクラスを担任する場合は、保育方針の考え方の違いから人間関係に悩んでしまうことも少なくありません。子どもたちのために協力し合わなければならないので、意見のすれ違いがあってもうまく連携をとっていく難しさを感じることがあるでしょう。
児童指導員と保育士それぞれに向いている人の特徴
ここでは、児童指導員と保育士それぞれに向いている人の特徴を解説します。自分の性格や得意なことと照らし合わせ、どちらの仕事が自分に合っているのかを見極めましょう。
児童指導員に向いている人の特徴
児童指導員は、子どもたちの抱える課題や困難に寄り添い、長期的な自立を支える仕事です。ここでは、児童指導員として活躍できる人の特徴をまとめました。
子どもと深く向き合い、成長を根気強く支えられる
柔軟な発想で、一人ひとりに合わせた支援方法を工夫できる
虐待や発達の課題など、困難を抱える子どもたちを支えたいという強い気持ちがある
保護者や学校、福祉機関など周囲と連携し、信頼関係を築ける
予想外の出来事にも動じず、前向きに行動できる
上記のような特徴を持つ人は、児童指導員として子どもたちの成長に寄り添い、やりがいを感じながら長く活躍できます。柔軟な対応力やコミュニケーション力を活かすことで、子どもや周囲の大人たちとの信頼関係を築き、質の高い支援を提供できるでしょう。
保育士に向いている人の特徴
保育士は、乳幼児の成長や日々の生活に寄り添いながら、遊びや生活を通して子どもたちの発達を支える仕事です。ここでは、保育士として活躍できる人の特徴をまとめました。
乳幼児の小さな成長を間近で見守り、喜びを感じられる
保護者と協力し、子どもの育ちを一緒に支えたい
行事や遊びを通して子どもたちの達成感や楽しさを共有したい
子どもとの関わりだけでなく、同僚や周囲と円滑にコミュニケーションできる
元気いっぱいの子どもに対応できる体力と、根気強く向き合う忍耐力がある
保育士の仕事は、子どもの成長を間近で見守り、保護者や同僚と協力しながら日々の生活を支えることに大きな喜びを感じられる人に向いています。
児童指導員と保育士どちらに転職するか迷ったら
児童指導員と保育士のどちらに転職するか迷ったときは、一人で悩まずに転職エージェントに相談するのがおすすめです。レバウェル保育士では、保育や福祉分野に詳しいキャリアアドバイザーが在籍しており、希望条件や職場の適性を総合的に考慮し、ぴったりの職場を提案いたします。保育士と児童指導員で迷っている方、これから目指す方向けにも転職相談を行っていますので、まずはお気軽にお問い合わせくださいね。
児童指導員と保育士の違いに関するよくある質問
ここでは、児童指導員と保育士の違いに関する質問にお答えします。ぜひ参考にしてみてください。
保育士が児童指導員になるには何が必要?
保育士が児童指導員になるには「任用資格」が必要です。高校を卒業していれば児童福祉事業で2年以上、学歴を問わない場合だと3年以上の実務経験を積むことで、児童指導員として働く資格が認められます。保育士としての勤務経験は、児童福祉事業での実務経験として認められることが多いため、保育士はこのルートで児童指導員になる方が多くいます。保育士資格を持っているだけでは児童指導員になれないので注意しましょう。
キャリアアップを考えるなら、どちらの職種がおすすめ?
どちらの職種もキャリアアップの道はありますが、方向性が異なります。児童指導員は専門性を深めるキャリア形成が特徴で、「児童発達支援管理責任者」などの資格取得や個別支援のエキスパートを目指すことが可能です。
一方、保育士は園長や主任など、組織を運営する管理職を目指すのが一般的です。組織運営に携わりたいなら保育士、専門知識を磨いて一人ひとりに寄り添いたいなら児童指導員がおすすめといえるでしょう。
まとめ
児童指導員と保育士は、どちらも子どもの成長をサポートする仕事ですが、その役割にはそれぞれ違いがあります。児童指導員は、0歳から18歳までの子どもに個別の支援を行い、自立を目指してサポートする任用資格である一方、保育士は、主に未就学児を対象に、遊びを通して生活習慣や社会性を育てる国家資格の専門職です。
給与面では、児童指導員は保育士に比べて年収がやや低く、約30万円の差があります。勤務形態も異なり、児童指導員は夜勤や宿直がある施設が多い一方、保育士は一般的な保育園であれば日中の勤務が中心です。どちらもやりがいのある仕事ですが、給与や働き方に違いがあるので、自分の適性や希望条件に合わせて選ぶことが大切です。
「児童指導員と保育士、それぞれの働き方や役割の違いを詳しく知りたい」「どちらの職種が自分に向いているか迷っている」という方には、転職支援サービスの活用もおすすめです。レバウェル保育士では、保育士や児童指導員など、子どもに関わる仕事に特化したキャリアアドバイザーが、あなたの希望や適性に合わせて最適な働き方をご提案します。履歴書・職務経歴書の添削や面接対策も丁寧にフォローいたします。すべてのサポートが無料なので、ぜひ一度ご相談ください。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。