保育の仕事

最終更新日:

保育教諭になるにはどうすれば良い?必要な免許・資格や仕事内容を解説

  • #保育士
  • #幼稚園教諭
ピアノを弾く先生と歌う在園児のイメージ

「保育教諭になりたいけど、どうすればいいのか分からない…」といった悩みを持っていませんか?保育教諭になるには、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が必要です。 この記事では、無資格の方が保育教諭を目指す方法や、保育士・幼稚園教諭として働いている方が幼保特例制度を活用して資格を取得する方法を解説します。保育教諭として働くメリットや向いている人にも触れているので、ぜひご一読ください。

保育教諭とは

保育教諭とは、幼保連携型認定こども園で働く専門職のことで、保育士と幼稚園教諭の両方の役割を担います。幼保連携型認定こども園は保育園と幼稚園の機能を併せ持つ施設で、保護者の就労状況に関わらず、すべての子どもに質の高い幼児教育と保育を提供するのが特徴です。

保育教諭の主な仕事は、0歳児から就学前までの子どもの保育と教育です。子どもの成長段階に応じた適切な関わりができる保育教諭は、これからの幼児教育・保育の分野で求められる存在といえるでしょう。

保育教諭についてより詳しく知りたい方は、「保育教諭とは?仕事内容や保育士・幼稚園教諭との違い、必要資格などを解説」をご確認ください。

保育教諭になるには

保育教諭になるには、保育士資格だけではなく幼稚園教諭免許も必要になります。ここでは、保育教諭になるための要件を解説しているので、目指している方はキャリア形成の参考にしてみてください。。

保育教諭に必要な資格・免許

保育教諭になるには、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が必要です。認定こども園では、保育と教育の両方の役割を担うため、保育教諭にも両方の専門性が求められます。

保育士資格は厚生労働省が管轄する国家資格で、幼稚園教諭免許は文部科学省が管轄する教員免許です。保育教諭として働くには、それぞれ異なる省庁が管轄する資格を持つことが必須となります。

幼保特例制度による例外ケース

文部科学省の「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例新規タブリンク」によると、現在は「幼保特例制度」という特例措置が設けられており、2030年3月31日までは、保育士資格か幼稚園教諭免許のどちらか一方を持っていれば保育教諭として勤務できます。ただし、幼保特例期間内に不足している免許・資格の取得が必要です。

幼保特例制度は、認定こども園の普及に伴い、保育教諭の人材確保を円滑に進めるために設けられました。保育現場の人材不足を解消し、スムーズな移行を促進することが目的です。
人材確保の難しさから何度か延長され、現在は2030年3月末までとなっています。この制度を利用して保育教諭を目指す方は、期限に注意して計画的に不足する免許・資格の取得を進めましょう。

出典

幼保特例制度の対象者や申請方法など、詳しい情報を知りたい方は「幼保特例制度とは?期限や申請方法、対象の保育士と幼稚園教諭を解説」をご一読ください。

無資格・未経験から保育教諭を目指す方法

保育士資格や幼稚園教諭免許状を持っていない未経験の方が保育教諭を目指すには、両免許・資格を取得できる教育機関で学ぶのが最短ルートです。学校によっては2年間で取得できます。保育養成課程のある大学・短大・専門学校では、卒業と同時に両資格を取得できるコースが設けられている場合があります。

たとえば、保育士養成施設かつ教職課程も設置している学校を選べば、効率的に両方の免許・資格を取得することが可能です。ただし、すべての保育関連の学校で両方の幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を取れるわけではありません。中には保育士資格のみ、または幼稚園教諭免許のみを取得できる学校もあるので、卒業時にどの免許・資格が取得できるかを確認することが重要です。

保育士資格がある方が保育教諭になる方法

保育士資格を持っている方が保育教諭になるには、幼稚園教諭免許を取得する必要があります。幼保特例制度を利用すれば、通常より少ない単位数で幼稚園教諭免許を取得することが可能です。

ここでは、幼保特例制度を活用して保育士から保育教諭になるための具体的な方法を解説します。幼保特例制度は2030年3月末までなので、期限に注意してください。

保育士として実務経験を積む

文部科学省の「幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例に関するQ&A新規タブリンク」によると、幼保特例制度を利用して幼稚園教諭免許を取得するには、保育士として3年かつ4,320時間以上の実務経験が必要です。保育士の実務経験が認められる要件は以下のとおりです。

  • 幼稚園:預かり保育を担当する職員や学級担任の補助職員として勤務

  • 幼保連携型認定こども園:園児の教育および保育に従事する職員としての勤務

  • 保育所(認可保育園):児童福祉法に基づく保育士としての勤務

  • 認可外保育施設:一定の規定を満たす施設での勤務

複数の施設での勤務経験を合算できるので、転職経験がある方でも条件を満たせる可能性があります。ただし、事務作業や清掃といった直接的な保育・教育に携わらない業務は、実務経験として含まれないので注意が必要です。詳細については、文部科学省のWebサイトを確認しましょう。

出典

大学で8~6単位を修得する

実務経験の条件を満たした保育士は、大学で特例科目を履修すれば、幼稚園教諭免許を取得できます。必要な科目は以下のとおりです。

科目 単位数
保育内容の指導法と教育の方法および技術 2単位
教職の意義および教員の役割・職務内容 2単位
教育に関する社会的、制度的または経営的事項 2単位
教育課程の意義および編成の方法 1単位
幼児理解の理論および方法 1単位

幼保連携型認定こども園で保育教諭としての実務経験が2年かつ2,880時間以上ある場合は、「保育内容の指導法と教育の方法および技術」と「幼児理解の理論および方法」の各1単位が修得済みとみなされます。そのため、必要単位数が6単位に軽減されるのが特徴です。

科目の履修は通信教育で修得できるので、保育士として働きながら不足分の単位を修得できます。

出典

幼稚園教諭免許がある方が保育教諭になる方法

幼稚園教諭免許をすでに持っている方が保育教諭となるためには、保育士資格を取得する必要があります。こちらも実務経験の要件を満たして幼保特例制度を利用すれば、保育士試験を受験せずに、負担を軽減して保育士資格を取得することが可能です。

幼稚園などで実務経験を積む

こども家庭庁の「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例新規タブリンク」によると、幼保特例制度を利用するには、幼稚園教諭として3年以上かつ4,320時間以上の実務経験が必要です。対象となる施設は以下のとおりです。

  • 幼稚園(特別支援学校幼稚部含む)

  • 認定こども園

  • 保育所

  • 小規模保育事業を実施する施設

  • 事業所内保育事業を実施する施設

  • 公立の認可外保育施設

  • へき地保育所

  • 幼稚園併設型認可外保育施設

  • 認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書が交付された認可外保育施設(児童の半数以上が一時預かりによる施設、児童の半数以上が午後10時~午前7時までのすべてまたは一部の利用による施設、利用定員が5人以下の施設を除く)

実務経験は原則として、幼稚園教諭免許を活用した勤務であることが条件となります。この実務経験も、複数の施設での勤務期間を合算することが可能です。

出典

保育士養成施設で必要な単位を取得する

実務経験の条件を満たした幼稚園教諭は、保育士養成施設で特例教科目を履修することで保育士資格を取得できます。必要な科目は以下の4科目8単位で、20日程度の通学で修得が可能です。

科目 単位数
福祉と養護(講義) 2単位
子ども家庭支援論(講義) 2単位
保健と食と栄養(講義) 2単位
乳児保育(演習) 2単位

幼保連携型認定こども園での勤務経験が2年以上かつ2,880時間以上ある場合は、「幼保2年特例」が適用され、「子ども家庭支援理論」と「乳児保育」の各1単位が修得済みとみなされます。そのため、必要単位数が6単位に軽減されるのが特徴です。

単位が足りない方は保育士試験を受験する

特例教科目をすべて履修した場合は、保育士試験を受験せず、保育士資格を取得できます。しかし、すべての特例教科目を履修できない場合は、保育士試験の受験が必要です。

こども家庭庁の「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例新規タブリンク」によると、特例制度によって、特例教科目を修得しなくても、「保育の心理学」「教育原理」「保育実習理論」「実技試験」は免除されます。保育士試験を受験する際は、前述の科目と受講済みの科目が免除されますが、そのほかの科目は合格しなければいけません。

保育教諭に向いている人

保育教諭は、幅広い年齢の子どもに対応できる柔軟性を持つ人や、保育・教育の両方から子どもの成長をサポートしたい人に向いている仕事です。認定こども園では、0歳児から就学前までのさまざまな発達段階の子どもたちと関わります。保育教諭は多様な背景を持つ子どもや保護者とコミュニケーションを取る力も必要です。

保育教諭は、保育の視点と教育の視点を両立できることが魅力になります。保護者の就労状況や家庭環境が多様な中、幅広い視野を持って対応する力も大切です。保育と教育の経験を積みながら専門性を高め、スキルアップを目指したい人にとって、保育教諭は理想的な仕事といえるでしょう。

保育教諭として働くメリット

保育教諭はキャリア形成や雇用の安定性において、保育園・幼稚園・認定こども園のどこでも働ける選択肢の広さが強みです。認定こども園への移行を進めている保育園や幼稚園もあり、認定こども園の施設数は今後増える可能性があります。両方の免許・資格を持つ保育教諭は、需要が高まる人材といえるでしょう。

認定こども園で働けば、乳児保育と幼児教育の両方の専門性を身につけられるので、将来の選択肢が広がります。保育教諭としての経験は、転職する際にもアピールポイントになるでしょう。

保育教諭についてよくある質問

ここでは、保育教諭についてよくある質問にお答えします。

認定こども園は保育教諭しか働けない?

こども家庭庁の「認定こども園概要新規タブリンク」によると、認定こども園のうち、「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」は保育教諭以外の職員も働くことが可能です。3歳未満の保育は保育士資格が必要で、3歳以上は保育教諭が望ましいとされています。「幼保連携型」は、原則として保育教諭の配置が求められています。ただし、2029年3月末までは経過措置として、どちらか一方の免許・資格を持つ職員であれば勤務することが可能です。

出典

こども家庭庁「認定こども園概要新規タブリンク」(2025年8月20日)

保育教諭と保育士・幼稚園教諭の違いは?

保育教諭と保育士・幼稚園教諭の主な違いは、対象となる子どもの年齢と勤務先、担当する業務の範囲です。

職業 子どもの年齢 勤務先
保育教諭 0~5歳児 認定こども園
保育士 0~5歳児 児童福祉施設(保育所や乳児院など)
幼稚園教諭 3~5歳児 幼稚園

保育教諭は認定こども園で勤務し、0歳児から就学前までの子どもの保育と教育の両方を担当します。子どもの生活習慣の確立や情緒の安定を図る保育の側面と、知的発達や表現力を育む教育の側面の専門性が必要です。

保育士は主に保育園や乳児院、児童養護施設といった児童福祉施設で勤務し、子どもの保育と保護者への支援を担当します。保護者が働いている間の子どもの生活全般のサポートが中心です。

幼稚園教諭は幼稚園で勤務し、3歳から就学前までの子どもの教育を担当します。子どもの知的好奇心や表現力、社会性などを育む教育活動を行うのが特徴です。

保育教諭の給料はどれくらい?

こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果(p.13)新規タブリンク」により、常勤保育教諭の平均給与月額を以下にまとめました。

認定こども園の種類 1人当たり給与月額(賞与込み)
私立 32万7,240円
公立 34万6,808円

公立と私立で比較すると、公立の給与が約2万円高いことが分かります。ただし、上記の給与月額はあくまで平均のため、認定こども園の運営主体や地域、経験年数などによって給与は異なります。給与面で重視したい方は、求人情報をよく確認し、可能であれば詳細な給与体系を確認しておくと安心です。

出典

こども家庭庁「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査新規タブリンク」(2025年8月20日)

まとめ

保育教諭になるには、保育士資格と幼稚園教諭免許の2つが必要ですが、2030年3月末までは片方の資格でも働ける特例制度があります。無資格の人は、大学や短大、専門学校の保育者養成課程で2つの資格をまとめて取得するのがおすすめです。すでに保育士や幼稚園教諭として働いている人は、特例制度を使えば少ない単位数で不足している資格を取得できます。

保育教諭は認定こども園で働く専門職で、0歳児から就学前の子どもの保育と教育を担当するのが特徴です。認定こども園は今後も増える可能性があり、保育教諭の仕事は将来性があるといえるでしょう。

「保育教諭として活躍したい」と悩んでいる方は、ぜひ「レバウェル保育士」にご相談ください。「レバウェル保育士」では、あなたの希望に合わせた認定こども園を紹介できます。保育教諭としてのキャリアプランや認定こども園の働き方についても詳しく相談できるので、将来の不安を解消したい方はお気軽にご登録ください。

執筆者

A

「レバウェル保育士」編集部

保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。

この記事をシェアする

  • Facebookでシェアする
  • Xでポストする
  • LINEで送る
  • はてなブックマークでブックマークする

保育士・幼稚園教諭の転職なら

レバウェル保育士
  • 非公開
    求人あり

  • LINEで
    気軽に相談

  • 面接対策
    ・条件交渉

転職サポートを受けてみる