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保育士が児発管になるには?必要な実務経験や研修、転職後の給料を解説
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児童発達支援管理責任者になる方法が分からず、困っている保育士もいるのではないでしょうか。児童発達支援管理責任者になるには、保育士としての5年以上の実務経験に加え、基礎研修やOJT、実践研修の修了が必要です。 この記事では、保育士が児童発達支援管理責任者になるために必要な実務経験の要件や研修、OJTを解説します。保育士から児童発達支援管理責任者になるメリットも紹介しているので、ぜひご一読ください。
目次
保育士が児発管(児童発達支援管理責任者)になるには
保育士が児童発達支援管理責任者になるには、実務経験の要件を満たし、研修・OJTを受講する必要があります。ここでは、保育士から児童発達支援管理責任者になる方法をまとめました。
実務経験の要件を満たす
児童発達支援管理責任者になるには、相談支援業務または直接支援業務どちらかの実務経験を満たさなければいけません。保育士の場合は、保育所または幼保連携型認定こども園での勤務経験が5年以上あれば、直接支援業務の要件を満たします。
自分の勤務経験が条件を満たしているか不安な場合は、勤務先や市区町村の障害福祉担当課に確認してみましょう。
出典
東京都福祉局「東京都サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修について」(2025年8月8日)
基礎研修を受講する
保育士が実務経験の要件を満たしたら、基礎研修を受講します。基礎研修は合計26時間のカリキュラムです。厚生労働省の「サービス管理責任者等研修制度について(p.7)」より、基礎研修の内容を以下にまとめました。
相談支援従事者初任者研修講義部分(合計11時間) | 共通講義、演習部分(合計15時間) |
障害のある方への地域支援と相談支援従事者の役割に関する講義(5時間) | サービス管理責任者の基本姿勢とサービス提供のプロセスに関する講義(7.5時間) |
障害のある方の日常生活を支援する法律の概要とサービス提供の流れを学ぶ講義(3時間) | サービス提供プロセスの管理に関する演習(7.5時間) |
相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義(3時間) |
参照:厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について(p.7)」
基礎研修は保育士の実務経験が3年に達した時点から受講できるようになるので、計画的に研修の受講を進めましょう。
出典
厚生労働省「社会保障審議会障害者部会(第135回)の資料について」(2025年8月8日)
OJTを受ける
保育士が基礎研修を修了したあとは、実際の現場で経験を積むOJTに入ります。児童発達支援管理責任者になるには、基礎研修修了後に原則として2年以上のOJTが必要です。OJTでは児童発達支援管理責任者のもと、個別支援計画の原案作成やモニタリングなどの業務を通して実践力を身につけます。OJTは児童発達支援管理責任者としての視点や判断力を養うための大切な期間です。
出典
東京都福祉局「東京都サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修について」(2025年8月8日)
実践研修を受講する
保育士がOJTを終えると、実践研修を受講できます。実践研修は14時間30分のプログラムです。厚生労働省の「サービス管理責任者等研修制度について(p.7)」より、実践研修の内容を以下の表に整理しました。
実践研修(合計14.5時間) |
障害福祉の動向に関する講義(1時間) |
サービス提供に関する講義および演習(6.5時間) |
人材育成の手法に関する講義および演習(3.5時間) |
多職種および地域連携に関する講義・演習(3.5時間) |
参照:厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について(p.7)」
保育士が実践研修を修了すると、児童発達支援管理責任者になるための要件をすべて満たします。事業所に配置されることで、正式に児童発達支援管理責任者として業務に従事することが可能です。
出典
厚生労働省「社会保障審議会障害者部会(第135回)の資料について」(2025年8月8日)
資格取得後は5年おきに更新研修を受ける
児童発達支援管理責任者として正規配置されたあとは、5年おきに更新研修の受講が求められます。更新研修の対象となるのは、「実践研修修了後から更新研修開始日までの5年間に2年以上児童発達支援管理責任者として実務経験がある人」「現在も児童発達支援管理責任者として働いている人」です。厚生労働省の「サービス管理責任者等研修制度について(p.7)」によると、更新研修は以下の内容になります。
更新研修(合計13時間) |
障害福祉の動向に関する講義(1時間) |
サービス提供の自己検証に関する演習(5時間) |
サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義および演習(7時間) |
参照:厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について(p.7)」
更新研修は合計13時間のカリキュラムです。更新の時期は、実践研修を修了した年度を基準に考えます。修了年度の翌年度から数えて5年ごとに1回、更新研修の受講が必要です。
出典
東京都福祉局「東京都サービス管理責任者研修・児童発達支援管理責任者研修について」(2025年8月8日)
厚生労働省「社会保障審議会障害者部会(第135回)の資料について」(2025年8月8日)
児童発達支援管理責任者になるための研修の申し込み方法や働くまでの具体的な流れを知りたい方は、「児発管になるには?必要な資格や実務経験、求人を探すポイントも解説」をご確認ください。
児発管のOJT期間の要件が短縮される例外ケース
保育士が児童発達支援管理責任者になるには、通常2年以上のOJT期間が必要とされますが、短縮できる例外ケースがあります。厚生労働省の「サービス管理責任者等研修制度について(p.3)」によると、基礎研修受講開始時にすでに相談支援業務や直接支援業務の実務経験要件を満たしていて、現場で障害福祉サービスに関係する個別支援計画の作成業務に従事している場合は、6ヶ月以上のOJTで要件を満たすことが可能です。
たとえば、認可保育園や幼保連携型認定こども園などで5年以上経験を積んでいる保育士が、現職で障がい福祉サービスの個別支援計画作成に携わっていると想定します。この場合、基礎研修を受けて6か月間のOJTを行い、実践研修を受講すれば、児童発達支援管理責任者として働くための条件をクリアできます。
出典
厚生労働省「社会保障審議会障害者部会(第135回)の資料について」(2025年8月8日)
保育士から児発管になるメリット
保育士から児童発達支援管理責任者になると、給料アップが期待できたり、障がい児支援の知識が学べたりするのが魅力です。ここでは、児童発達支援管理責任者になるメリットを紹介します。
給料アップ・キャリアアップが期待できる
保育士から児童発達支援管理責任者になる魅力として、チームマネジメントに携われるといった点が挙げられるでしょう。児童発達支援管理責任者になると、スタッフの指導をする立場として現場全体を把握していくことになります。保育園では園長や主任になるポストは限られていますが、児童発達支援管理責任者は人手が不足しているので、チャンスを掴みやすいのが特徴です。
また、保育士から児童発達支援管理責任者になることで、収入アップも期待できます。職業情報サイトjob tagの「保育士」と「児童発達支援管理責任者
」を参考に、それぞれの平均年収をまとめました。
職種 | 平均年収 |
児童発達支援管理責任者 | 441万円 |
保育士 | 406万8,000円 |
参照:職業情報サイトjob tag「保育士」「児童発達支援管理責任者
」
児童発達支援管理責任者と保育士の平均年収を比較すると、児童発達支援管理責任者の年収の方が約34万円高いことが分かります。児童発達支援管理責任者は、キャリアアップするとともに、年収の増加も目指せる職種といえるでしょう。
出典
職業情報サイトjob tag「保育士」(2025年8月8日)
職業情報サイトjob tag「児童発達支援管理責任者」(2025年8月8日)
障がい児支援の最新知識を学び続けられる
児童発達支援管理責任者として働けば、障がい児支援に関する専門知識を深く学べるのがメリットです。定期的な研修や現場での経験を通して、発達障がいへの理解や支援技術、最新の療育方法などを学び続けられます。
保育士として培ってきた子どもとの関わり方のスキルを活かしながら、障がい児支援の知識を深めれば、より子どもたちの成長につながる実践的な支援が行えるでしょう。専門知識を身につけることで、キャリアの幅が広がることも期待できます。
将来性があり転職先も多い
こども家庭庁の「児童発達支援ガイドライン(p.29)」によると、児童発達支援管理責任者は、児童発達支援センターや児童発達支援事業所への配置が義務づけられています。そのため、保育士が児童発達支援管理責任者を取得すれば、転職の幅が広がるのが魅力です。
厚生労働省の「障害福祉サービス等の最近の動向について(p.3)」によると、障がい児の障がい福祉サービスの利用者数は平成25年時点では約15万人でしたが、令和5年には約54万人と3倍以上になっています。障がい児支援のニーズは年々高まっており、それに伴い児童発達支援管理責任者の需要も増加傾向にあるといえるでしょう。
出典
こども家庭庁「各種ガイドライン・手引き等について」(2025年8月14日)
厚生労働省「社会保障審議会障害者部会(第141回)の資料について」(2025年8月14日)
保育士が児発管になると感じられるやりがい
保育士から児童発達支援管理責任者になると、施設の運営に携われたり、子どもたちと深く関われたりする点がやりがいにつながりやすいでしょう。ここでは、児童発達支援管理責任者の仕事のやりがいを紹介します。
施設運営の仕事に携われる
児童発達管理責任者は、チームをまとめて、支援の質を高められると達成感を得られるでしょう。児童発達支援管理責任者になると、施設全体の支援計画を立案・管理する中心的な役割を担うので、主導的に施設を改善していけます。指導や助言を通じて、職員が成長し、より良い支援を提供できるようになる過程を間近で見守れる点も、児童発達管理責任者のやりがいでしょう。
児童発達支援管理責任者は、子どもたちの発達に合わせたきめ細やかな支援が実を結ぶことで、保護者から「ありがとう」と直接感謝されたり、職員から頼りにされたりします。保育士からステップアップしたい方にとって、児童発達管理責任者は喜びやモチベーションを感じやすい選択肢といえるでしょう。
子ども一人ひとりと深く関われる
児童発達管理責任者は個別支援計画の作成から実施、評価まで一貫して関わるため、子どもたちの成長をより深く見守れます。保育士としての経験を基盤に、子ども一人ひとりの特性や発達段階を詳しく分析し、支援方法を考えられるのが魅力です。
児童発達管理責任者は長期的な視点で子どもの成長を見守れるので、小さな変化や成長に気づきやすく、保護者と喜びを共有できる点もやりがいにつながります。
これから児発管を目指す保育士におすすめの職場
保育士が児童発達管理責任者になるための実務経験を積むなら、障がい児支援を行っている児童発達支援や放課後等デイサービスでの経験を積むのがおすすめです。実際に児童発達管理責任者が配置されているので、仕事内容や支援のイメージも掴みやすくなります。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、小学生から高校生までの障がいのある子どもや発達に特性がある子どもを対象とした支援施設です。子どもたちは、放課後や休日、夏休みといった長期休暇中に放課後等デイサービスに通います。保育士は、子どもたちに個別支援計画に基づいたきめ細かいケアを行うのが特徴です。
放課後等デイサービスでは、遊びの時間や宿題のサポート、発達トレーニングなどを行います。保育士は保護者からの相談に対応する力も求められますが、専門的な内容についてはほかの専門職のスタッフと連携しながら支援を進められるので安心です。
児童発達支援
児童発達支援は、障がいのある子どもの自立をサポートする施設です。保育士は、子どもたちが日常生活を送るために必要なスキルを身につけ、集団生活にスムーズに適応できるよう支援します。
児童発達支援での業務は、子どもたちが食事や着替えといった基本的な生活習慣を習得するためのサポートから、簡単なゲームや室内遊びを通して社会性の発達を促す活動まで多岐にわたります。定期的な面談や相談会を通して保護者の悩みに寄り添うのも、保育士の大切な役割です。
放課後等デイサービスや児童発達支援で働いてみたいと考えている方は、レバウェル保育士を活用するのがおすすめです。児童発達支援管理責任者になるための実務経験を積める職場を紹介できます。今後のキャリアについての悩みにも対応できるので、ぜひご相談ください。
児発管になりたい保育士によくある質問
児童発達支援管理責任者になりたい保育士によくある質問にお答えします。
保育士から児発管になるには何年かかる?
児童発達支援管理責任者になるまでの年数は、現在の保育士としての経験年数によって異なるのが特徴です。未経験の保育士が児童発達支援管理責任者になるには、最短で5年かかります。
まずは、保育士としての実務経験を3年以上積み、基礎研修を受講します。原則2年間のOJT期間を経て、合計5年間の実務経験を満たしたうえで実践研修を修了すれば、児童発達支援管理責任者の任用要件を満たせるという流れです。
保育士が児童発達支援管理責任者になる方法を詳しく知りたい方は、本記事の「保育士が児発管(児童発達支援管理責任者)になるには」をご確認ください。
児発管のOJTの内容は?
児童発達支援管理責任者になるためのOJTでは、実際の業務を担当しながら知識や技術を身につけます。具体的には、個別支援計画の原案作成や支援業務を学ぶのが特徴です。現場では基礎研修で学習したことを実践し、先輩から指導を受けます。OJTは業務に必要な知識だけでなく、より専門的な支援スキルを磨いていく過程といえるでしょう。
まとめ
保育士から児童発達支援管理責任者になるには、実務経験や研修の受講といった要件を満たす必要があります。保育士として5年以上の実務経験があれば実務要件をクリアでき、「基礎研修」「OJT」「実践研修」という流れで資格を取得することが可能です。転職後はキャリアアップや給料アップが期待できるでしょう。
児童発達支援管理責任者は施設運営に携われ、個別支援計画の作成から実施まで一貫して関われるので、子どもたちの成長をより深く見守れます。需要が高まっている仕事のため、将来性があり、保育士がキャリアアップするための選択肢になるでしょう。
「児童発達支援管理責任者になるには、どこで実務経験を積めば良いの?」と悩んでいる保育士は、「レバウェル保育士」にご相談ください。「レバウェル保育士」なら、保育士の経験を活かせる児童発達支援や放課後等デイサービスの求人を紹介できます。キャリアアドバイザーが履歴書添削や面接対策といったサポートもするので、安心して転職活動を行うことが可能です。
執筆者

「レバウェル保育士」編集部
保育士・幼稚園教諭専門の転職エージェント「レバウェル保育士」が運営するメディア。現役の保育士とこれから保育士を目指す方に向けて、仕事や転職に役立つ情報をお届けします。記事を通して不安や悩みが少しでも解消する状態を目指し、皆さんのキャリア選択を支援します。